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公開番号2025066192
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-23
出願番号2022009974
出願日2022-01-26
発明の名称たばこ原料の製造方法およびたばこ原料
出願人日本たばこ産業株式会社
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類A24B 15/28 20060101AFI20250416BHJP(たばこ;葉巻たばこ;紙巻たばこ;喫煙具)
要約【課題】たばこ植物に由来するTSNAの量を抑制することができる、特には少なくとも4-(N-ニトロソメチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン(NNK)の量を抑制することができるたばこ原料の製造方法、およびこれらの抑制が達成されたたばこ原料を提供することを課題とする。
【解決手段】たばこ植物をキュアリングするキュアリング工程、前記キュアリング後のたばこ植物を加工してラミナを得るラミナ加工工程、及び前記ラミナを保存する蔵置工程を有し、
前記キュアリング工程のキュアリング開始時点から前記蔵置工程における蔵置開始時点までの間に、糖及び抗酸化剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加物質を前記たばこ植物に添加する、たばこ原料の製造方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
たばこ植物をキュアリングするキュアリング工程、前記キュアリング後のたばこ植物を加工してラミナを得るラミナ加工工程、及び前記ラミナを保存する蔵置工程を有し、
前記キュアリング工程のキュアリング開始時点から前記蔵置工程における蔵置開始時点までの間に、糖及び抗酸化剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加物質を前記たばこ植物に添加する、たばこ原料の製造方法。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記ラミナ加工工程後かつ前記蔵置工程前に、前記ラミナを蔵置用の容器に詰める容器詰め工程を有する、請求項1に記載のたばこ原料の製造方法。
【請求項3】
前記添加物質の前記たばこ植物への添加が、少なくとも、前記キュアリング工程の開始時点からキュアリング開始後14日経過時点までの間に行われる、請求項1又は2に記載のたばこ原料の製造方法。
【請求項4】
前記ラミナ加工工程中に、前記たばこ植物の含水率を調整する調湿工程、前記調湿工程後に前記たばこ植物からラミナを分離する分離工程、及び前記分離工程後に乾燥を行う乾燥工程を有し、
前記添加物質の前記たばこ植物への添加が、少なくとも、前記調湿工程における調湿処理の開始時点から前記乾燥工程における乾燥処理の開始時点までの間に行われる、請求項1~4のいずれか1項に記載のたばこ原料の製造方法。
【請求項5】
前記糖が、分子量が90以上、1640以下である糖、及びフルクタンからなる群から選択される少なくとも1つ以上の糖である、請求項1~4のいずれか1項に記載のたばこ原料の製造方法。
【請求項6】
前記糖が、還元性糖、又はたばこ植物が持つ加水分解酵素の作用によって還元性糖に変化する糖である、請求項1~5のいずれか1項に記載のたばこ原料の製造方法。
【請求項7】
前記還元性糖の溶解度が10g/100g水(20℃)以上である、請求項6に記載のたばこ原料の製造方法。
【請求項8】
前記還元性糖が、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マルトース、ラクトース、セロビオース、アラビノース、マンノース、ラムノース、リボース、及びキシロースからなる群から選択される少なくとも1つ以上の糖である、請求項6又は7に記載のたばこ原料の製造方法。
【請求項9】
抗酸化剤が、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、没食子酸、没食子酸エステル、リボフラビン、α―トコフェロール、フラボノイド、およびカロテノイドからなる群から選択される少なくとも1つ以上の化合物である、請求項1~8のいずれか1項に記載のたばこ原料の製造方法。
【請求項10】
前記添加物質の合計添加量が、前記たばこ植物の乾燥重量100重量部に対して1重量部以上、60重量部以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載のたばこ原料の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、たばこ原料の製造方法およびたばこ原料に関する。
続きを表示(約 4,600 文字)【背景技術】
【0002】
シガレット、非燃焼加熱式たばこ、又は無煙たばこ等のたばこ製品の作製に用いられるたばこ植物については、その収穫後、酵素の働きを高めて香喫味成分を増加させる工程や、その後乾燥させることにより品質の固定化を行う工程を含む処理を行うことが一般的である。この処理の後、原料工場にて、たばこ植物はラミナと中骨に分離され、カードボード等のケースに詰められた状態で保存する工程を経ることが一般的である。この保存期間を含め、シガレット等のたばこ製品の製造工場にラミナ等の分離たばこ原料が届くのは、船による輸送期間も含め収穫から約1~2年後になる。たばこ植物をこのような処理に供して得られたたばこ原料は、その後、最終製品であるたばこ製品の製造工場にて、目的のたばこ製品に適した形態となるように加工されてたばこ材料となり、最終的にたばこ製品に組み込まれて出荷される。
【0003】
このように、収穫されたたばこ植物は、最終製品であるたばこ製品の製造工場にて処理されるまでに様々な工程を経る。通常、最終製品であるたばこ製品の製造工場にて処理されるまでの様々な工程においては、たばこ植物の葉中で、N’-ニトロソノルニコチン(NNN)、N’-ニトロソアナタビン(NAT)、N’-ニトロソアナバシン(NAB)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン(NNK)からなるたばこ特異的なニトロソアミン(以下、「TSNA」と称する。)の量が増加してしまう。TSNAは、たばこ葉に含まれるアルカロイドのニトロソ化により生成する物質であり、発がん物質と考えられており、除去されることが好ましいとされている。
最終製品であるたばこ製品においてTSNAの量を低減させる技術は様々に行われており、例えば、特許文献1には、一方が親水性で他方が疎水性の極性官能基を有する非酸性の単量体と架橋剤との吸着性非分子鋳型重合体と、たばこ材料とを接触させることにより、たばこ材料からTSNAを除去することができる方法が開示されている。また、特許文献2には、たばこ材料を抽出することによって得られた抽出液をビフィズス菌と接触させることにより抽出液中のTSNAの量を減少させることができ、該抽出液を用いて再生たばこを製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開平6-113807号公報
特開2006-180715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、最終製品であるたばこ製品に組み込まれるたばこ材料中のTSNAの量を低減させる方法は様々に検討されている。従来の方法では、主として、たばこ原料の製造後からたばこ材料の製造段階又は最終製品への組み込み段階までに特定の処理を行うことでたばこ材料中のTSNAの量の低減が図られていた。
一方で、たばこ原料の製造段階で、つまり、たばこ植物の収穫からたばこ原料の製造の最終工程までの段階で、特定の処理を行うことによりたばこ原料中のTSNAを減少させる方法はほとんど検討されていなかった。
本発明者らは、一般的なたばこ製品の製造において、たばこ植物に由来するTSNAの発生が生じやすい段階があること、さらにはたばこ原料の製造工程において該TSNAの
発生が生じやすいことを見出した。よって、たばこ原料の製造工程において該TSNAの発生を抑制することができれば、最終製品であるたばこ製品中のTSNAの量のさらなる低減や、たばこ製品の製造工程の改善が図りやすくなる。
そこで、本発明は、たばこ植物に由来するTSNAの量を抑制することができる、特には少なくとも4-(N-ニトロソメチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン(NNK)の量を抑制することができるたばこ原料の製造方法、およびこれらの抑制が達成されたたばこ原料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、たばこ原料の製造における特定の期間において糖及び抗酸化剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加物質を前記たばこ植物に添加することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1] たばこ植物をキュアリングするキュアリング工程、前記キュアリング後のたばこ植物を加工してラミナを得るラミナ加工工程、及び前記ラミナを保存する蔵置工程を有し、
前記キュアリング工程のキュアリング開始時点から前記蔵置工程における蔵置開始時点までの間に、糖及び抗酸化剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加物質を前記たばこ植物に添加する、たばこ原料の製造方法。
[2] 前記ラミナ加工工程後かつ前記蔵置工程前に、前記ラミナを蔵置用の容器に詰める容器詰め工程を有する、[1]に記載のたばこ原料の製造方法。
[3] 前記添加物質の前記たばこ植物への添加が、少なくとも、前記キュアリング工程の開始時点からキュアリング開始後14日経過時点までの間に行われる、[1]又は[2]に記載のたばこ原料の製造方法。
[4] 前記ラミナ加工工程中に、前記たばこ植物の含水率を調整する調湿工程、前記調湿工程後に前記たばこ植物からラミナを分離する分離工程、及び前記分離工程後に乾燥を行う乾燥工程を有し、
前記添加物質の前記たばこ植物への添加が、少なくとも、前記調湿工程における調湿処理の開始時点から前記乾燥工程における乾燥処理の開始時点までの間に行われる、[1]~[4]のいずれかに記載のたばこ原料の製造方法。
[5] 前記糖が、分子量が90以上、1640以下である糖、及びフルクタンからなる群から選択される少なくとも1つ以上の糖である、[1]~[4]のいずれかに記載のたばこ原料の製造方法。
[6] 前記糖が、還元性糖、又はたばこ植物が持つ加水分解酵素の作用によって還元性糖に変化する糖である、[1]~[5]のいずれかに記載のたばこ原料の製造方法。
[7] 前記還元性糖の溶解度が10g/100g水(20℃)以上である、[6]に記載のたばこ原料の製造方法。
[8] 前記還元性糖が、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マルトース、ラクトース、セロビオース、アラビノース、マンノース、ラムノース、リボース、及びキシロースからなる群から選択される少なくとも1つ以上の糖である、[6]又は[7]に記載のたばこ原料の製造方法。
[9] 抗酸化剤が、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、没食子酸、没食子酸エステル、リボフラビン、α―トコフェロール、フラボノイド、およびカロテノイドからなる群から選択される少なくとも1つ以上の化合物である、[1]~[8]のいずれかに記載のたばこ原料の製造方法。
[10] 前記添加物質の合計添加量が、前記たばこ植物の乾燥重量100重量部に対して1重量部以上、60重量部以下である、[1]~[9]のいずれかに記載のたばこ原料の製造方法。
[11] 前記添加物質として少なくとも糖が用いられ、前記糖の合計添加量が、前記た
ばこ植物の乾燥重量100重量部に対して5重量部以上、50重量部以下である、[1]~[10]のいずれかに記載のたばこ原料の製造方法。
[12] 前記糖の合計添加量が、前記たばこ植物の乾燥重量100重量部に対して10重量部以上、30重量部以下である、[11]に記載のたばこ原料の製造方法。
[13] 前記添加物質として少なくとも抗酸化剤が用いられ、前記抗酸化剤の合計添加量が、前記たばこ植物の乾燥重量100重量部に対して1重量部以上、10重量部以下である、[1]~[12]のいずれかに記載のたばこ原料の製造方法。
[14] 前記たばこ植物の品種がバーレー種である、[1]~[13]のいずれかに記載のたばこ原料の製造方法。
[15] 前記容ラミナ加工工程後のラミナを用いて70℃、20%RH、及び14日間の条件で行う保存試験後の該ラミナ中の添加物質の合計含有率が8重量%未満である、[1]~[14]のいずれかに記載のたばこ原料の製造方法。
[16] 前記蔵置工程後の前記ラミナ中の前記添加物質の合計含有率が、前記たばこ植物の乾燥重量100重量部に対して0.1重量部以上、18重量部以下である、[1]~[15]のいずれかに記載のたばこ原料の製造方法。
[17] 前記ラミナ加工工程後のラミナを用いて70℃、20%RH、及び14日間の条件で行う保存試験において、下記式(1)で表される4-(N-ニトロソメチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノンの含有率変化量(NNK含有変化量)が0.6ppm以下である、[1]~[17]のいずれかに記載のたばこ原料の製造方法。
NNK含有率変化量(重量%)=(保存試験後のラミナ中のNNKの含有率(重量%))-(保存試験前のラミナ中のNNKの含有率(重量%)) ・・・(1)
[18] たばこ原料を有するたばこ製品の製造方法であり、
前記たばこ原料が、[1]~[17]のいずれかに記載のたばこ原料の製造方法により得られる、たばこ製品の製造方法。
[19] たばこ植物を含み、該たばこ植物の品種がバーレー種であり、
4-(N-ニトロソメチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノンの含有率が0.1重量ppm以下である、たばこ原料。
[20] [19]に記載のたばこ原料を有する、たばこ製品。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、たばこ植物に由来するTSNAの量を抑制することができる、特には少なくとも4-(N-ニトロソメチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン(NNK)の量を抑制することができるたばこ原料の製造方法、およびこれらの抑制が達成されたたばこ原料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
たばこ原料の製造において行われる処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、これらの説明は本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味し、「A~B」は、A以上B以下であることを意味する。
また、本明細書では複数の実施形態を説明するが、適用できる範囲で各実施形態における種々の条件を互いに適用し得る。
(【0011】以降は省略されています)

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