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公開番号2025039131
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-21
出願番号2023145994
出願日2023-09-08
発明の名称メモリー様ナチュラルキラー細胞を誘導するための組成物及びキット
出願人国立大学法人北海道大学
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C12N 5/02 20060101AFI20250313BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】本発明は、生体内でメモリー様ナチュラルキラー(NK)細胞を誘導するための組成物を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明のメモリー様NK細胞を誘導するための組成物は、インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)アゴニスト及びToll様受容体9(TLR9)アゴニストを含んでいる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)アゴニスト、及び、Toll様受容体9(TLR9)アゴニストを含む、メモリー様ナチュラルキラー(NK)細胞を誘導するための組成物。
続きを表示(約 750 文字)【請求項2】
メモリー様NK細胞を誘導するための組成物であって、STINGアゴニスト又はTLR9アゴニストのいずれか一方を含み、他方を含む別の組成物と組み合わせて使用するための、組成物。
【請求項3】
STINGアゴニスト及びTLR9アゴニストを含む、がんを治療又は予防するための組成物。
【請求項4】
がんを治療又は予防するための組成物であって、STINGアゴニスト又はTLR9アゴニストのいずれか一方を含み、他方を含む別の組成物と組み合わせて使用するための、組成物。
【請求項5】
前記STINGアゴニストが、環状ジヌクレオチド、サイクリックGMP-AMP合成酵素(cGAS)に結合する核酸、及びSTING作動性非核酸低分子化合物からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記TLR9アゴニストが、非メチル化CpGモチーフを有するオリゴヌクレオチド及び/又はプラスミドを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記STINGアゴニストが、脂質ナノ粒子に包含されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
IL-12産生を誘導するための、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
がん及び/又は感染症を治療又は予防するための、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項10】
前記メモリー様NK細胞が、CD11b
+
CD27
-
細胞を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリー様ナチュラルキラー(NK)細胞を誘導するための組成物及びキットに関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
NK細胞は自然免疫を司る細胞であり、高い細胞障害性とサイトカイン産生能を有している。特に、T細胞とは異なり抗原刺激の事前感作が不要であることから、がん免疫療法の対象として期待されている。サイトカイン刺激やNK細胞の阻害性受容体に対する抗体などを用いてNK細胞のエフェクター機能を増強する戦略で開発が進められている。また、NK細胞を使用した細胞療法としての開発も進められている。
【0003】
NK細胞は短命でかつ抗原に依存しない細胞傷害性を示すとされていたが、ハプテンやウイルスに対して抗原特異的な記憶を持つNK細胞、即ちメモリーNK細胞が存在することが明らかになってきた(非特許文献1)。また、単離したNK細胞にIL-12、IL-15、及びIL-18を作用させることでメモリー様NK細胞を誘導できることが報告され(非特許文献2)、がんに対する細胞療法として研究開発が進んでいる(非特許文献3)。
【0004】
他方、がん免疫応答の開始に必須な自然免疫センサーであるインターフェロン遺伝子刺激因子(STING)経路のアゴニストを、脂質ナノ粒子(LNP)に搭載して投与することで、I型IFNの産生を介してインビボで効率的にNK細胞が活性化され、強力な抗腫瘍活性が誘導されることが報告されている(非特許文献4及び5)。また、STINGアゴニストを、FasL発現抑制剤又は血管新生阻害剤と組み合わせて、血管新生依存性疾患の治療のために使用することも報告されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2022/097634号
【非特許文献】
【0006】
Mujal AM, et al., Annu Rev Immuol 39: 417-447, 2021
Cooper MA, et al., PNAS 106: 1915-1919, 2009
Terren I, et al., Front Immunol 13: 884648, 2022
Nakamura T, et al., J Control Release 216: 149-157, 2015
Nakamura T, et al., J Immunother Cancer 9: e002852, 2021
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来は、生体内でメモリー様NK細胞を誘導する方法は報告されていない。STINGアゴニストで活性化されたNK細胞は、メモリー様NK細胞の特性を有しておらず、長期的な効果の持続性は期待できない。薬剤を投与することで、生体内で効率的にメモリー様NK細胞を誘導することができれば、コストや煩雑性などの製剤の面と新しいがん免疫療法の開発に大きく貢献できる。そこで、本発明は、生体内でメモリー様NK細胞を誘導するための組成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、STINGアゴニストと組み合わせてToll様受容体9(TLR9)アゴニストを使用すると、生体内でメモリー様NK細胞を誘導できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下に示すメモリー様NK細胞を誘導するための組成物及びキット、並びに、がんを治療又は予防するための組成物及びキットを提供するものである。
〔1〕STINGアゴニスト、及び、TLR9アゴニストを含む、メモリー様NK細胞を誘導するための組成物。
〔2〕メモリー様NK細胞を誘導するための組成物であって、STINGアゴニスト又はTLR9アゴニストのいずれか一方を含み、他方を含む別の組成物と組み合わせて使用するための、組成物。
〔3〕STINGアゴニスト及びTLR9アゴニストを含む、がんを治療又は予防するための組成物。
〔4〕がんを治療又は予防するための組成物であって、STINGアゴニスト又はTLR9アゴニストのいずれか一方を含み、他方を含む別の組成物と組み合わせて使用するための、組成物。
〔5〕前記STINGアゴニストが、環状ジヌクレオチド、サイクリックGMP-AMP合成酵素(cGAS)に結合する核酸、及びSTING作動性非核酸低分子化合物からなる群より選択される1種以上を含む、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の組成物。
〔6〕前記TLR9アゴニストが、非メチル化CpGモチーフを有するオリゴヌクレオチド及び/又はプラスミドを含む、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の組成物。
〔7〕前記STINGアゴニストが、脂質ナノ粒子に包含されている、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の組成物。
〔8〕IL-12産生を誘導するための、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の組成物。
〔9〕がん及び/又は感染症を治療又は予防するための、前記〔1〕又は〔2〕に記載の組成物。
〔10〕前記メモリー様NK細胞が、CD11b
+
CD27
-
細胞を含む、前記〔1〕又は〔2〕に記載の組成物。
〔11〕STINGアゴニスト及びTLR9アゴニストを含む、メモリー様NK細胞を誘導するためのキット。
〔12〕STINGアゴニスト及びTLR9アゴニストを含む、がんを治療又は予防するためのキット。
【発明の効果】
【0009】
本発明に従えば、STINGアゴニストと組み合わせてTLR9アゴニストを使用することにより、生体内でメモリー様NK細胞を誘導し、以てがんを治療又は予防することができる。STINGアゴニストやTLR9アゴニストは、比較的簡便かつ安価に調製できるため、効率性の高い新規がん免疫療法の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
各試験サンプルをマウスに静脈内投与した後の血清中のサイトカイン濃度を示す。
マウスにB16-F10メラノーマを投与し、各試験サンプルを投与した後の肺の写真を示す。
肺に生着しているB16-F10メラノーマに由来するルシフェラーゼレベルのグラフを示す。
マウスにB16-F10メラノーマを投与し、各試験サンプルを投与した後の肺の写真を示す。
肺に生着しているB16-F10メラノーマに由来するルシフェラーゼレベルのグラフを示す。
各試験サンプル投与後のCD3陰性NK1.1陽性脾臓細胞(NK細胞群)中の、CD11b陽性細胞(左)、CD27陽性細胞(中央)、又は、KLRG1陽性細胞(右)の割合を示す。(「+ve」は「陽性」を表す。)
各試験サンプル投与後のCD3陰性NK1.1陽性脾臓細胞(NK細胞群)における、CD11b及びCD27の発現解析結果を示す。
各試験サンプル投与後のCD3陰性NK1.1陽性脾臓細胞(NK細胞群)中の、CD11b陰性CD27陰性ダブルネガティブ(DN)細胞(左上)、CD11b陰性CD27陽性シングルポジティブ(SP)細胞(右上)、CD11b陽性CD27陽性ダブルポジティブ(DP)細胞(左下)、又は、CD11b陽性CD27陰性SP細胞(右下)の割合を示す。矢印は、対照群(PBS)に対する増減の傾向を示す。
各試験サンプル投与後のCD3陰性NK1.1陽性脾臓細胞(NK細胞群)中のCD11b陽性CD27陰性SP細胞の割合の推移を示す。「28(腫瘍)」は、24日目にB16-F10メラノーマを投与して4日後の測定データである。
マウスに各試験サンプルを投与し、B16-F10メラノーマを投与した後の肺の写真を示す。
肺に生着しているB16-F10メラノーマに由来するルシフェラーゼレベルのグラフを示す。
マウスに各試験サンプルを投与し、B16-F10メラノーマを投与した後の肺の写真を示す。
肺に生着しているB16-F10メラノーマに由来するルシフェラーゼレベルのグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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