特許ウォッチ

公開番号2025039004
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-21
出願番号2023145724
出願日2023-09-08
発明の名称カップ付き衣類及びその製造方法
出願人株式会社クライム
代理人弁理士法人バリュープラス
主分類A41B 9/06 20060101AFI20250313BHJP(衣類)
要約【課題】ブラジャーを必要とせず一枚で楽に着られることに加え、カップ周囲の生地の肌あたりが良く、伸縮性及びフィット性に優れ、肌に吸い付くような感覚が得られ、バスト全体をホールドするカップ付き衣類を実現する。
【解決手段】
身頃部24の左右端に第2アームホール部21が、上端に第2襟ぐり部22が設けられた外側生地部2と、外側生地部2の内側に縫着して取り付けられた内側生地部1と、を備えたカップ付き衣類5である。内側生地部1は、成型編み機によって連続的に筒状に編成された編地部14と、編地部14の表側面の所要位置に縫着されたカップ部17とからなる。編地部14には裁断によって第1アームホール部11と第1襟ぐり部12が形成されている。外側生地部2と内側生地部1は、互いのアームホール部11,21と互いの襟ぐり部12,22において、それぞれ部分的に縫着されている。
【選択図】図3C
特許請求の範囲【請求項１】
前身頃及び後ろ身頃からなる身頃部の左右端にアームホール部が、前記身頃部の上端に襟ぐり部が設けられた外側生地部と、
前記外側生地部の内側に取り付けられた内側生地部と、を備え、
前記内側生地部は、成型編み機によって連続的に筒状に編成された編地部と、前記編地部の所要位置に縫着されたカップ部とからなり、前記編地部には裁断によってアームホール部と襟ぐり部が形成されており、
前記外側生地部と前記内側生地部とは、互いのアームホール部と互いの襟ぐり部において、それぞれ部分的に縫着されている、カップ付き衣類。
続きを表示（約 750 文字）【請求項２】
前記カップ部は、前記編地部の表側面と縫着されている、請求項１に記載のカップ付き衣類。
【請求項３】
前記内側生地部においてアームホール部と襟ぐり部の間に位置する中間部は、前記外側生地部と縫着されておらず、かつ、ほつれ防止処理が施されている、請求項１又は２に記載のカップ付き衣類。
【請求項４】
前記外側生地部と前記内側生地部との縫着部分は、それぞれの生地端を被包するパイピングテープと共に縫着されている、請求項１又は２に記載のカップ付き衣類。
【請求項５】
外側生地部と、前記外側生地部の内側に取り付けられた内側生地部とを備えたカップ付き衣類を製造する方法であって、
前記内側生地部を製造する工程は、
成型編み機によって編地を筒状に編立てながら所要位置に裁断予定線を編み込み、編地部を編成する工程と、
前記裁断予定線に沿って編地をカットすることにより前記編地部に第１アームホール部と第１襟ぐり部を形成する工程と、
前記第１アームホール部と前記第１襟ぐり部の間に位置する中間部に、ほつれ防止処理を施す工程と、
前記編地部の表側面の所要位置にカップ部を縫合する工程と、
を有する、カップ付き衣類の製造方法。
【請求項６】
前身頃と後身頃を縫合し、左右端に第２アームホール部が、上端に第２襟ぐり部が形成された身頃部を備えた前記外側生地部を製造する工程と、
前記第１アームホール部と前記第２アームホール部を部分的に縫着する工程と、
前記第１襟ぐり部と前記第２襟ぐり部を部分的に縫着する工程と、
を有する、請求項５に記載のカップ付き衣類の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、乳房を被覆するカップを備えた衣類と、このカップ付き衣類を製造する方法に関するものである。
続きを表示（約 1,900 文字）【背景技術】
【０００２】
ブラジャーは、左右一対のカップ、フロント布、脇布、バックベルト等のパーツを縫い合わせ、これにストラップ、アンダーベルト、アジャスター、ホック等の部品を取付けて製造される。このようなブラジャーは、布帛同士を縫い合わせた縫合部が多く存在するため、肌あたりが悪い、更にブラジャーを外した後も肌に縫合部の跡が残りやすいという欠点が指摘されている。
【０００３】
そこで、例えば丸編機によって編成された肌触りのよい編地をベースとした下着が提案されている。例えば、図５（ａ）に示すように、特許文献１のトップ下着１００は、エレクトロニクス制御が可能な自動成型編み機によって編成された筒状の編地を使用している。このトップ下着１００では、表地の裾口下端縁より折返して裏地を連続編成することで、バストに対応する位置に一対の二重構造のカップ収納部１０１が設けられている。
【０００４】
また、一般に「ブラトップ」と称されているカップ付きインナーが市場で販売されている。カップ付きインナーは、ブラジャーと外衣が一体になった衣類の一つで、外衣にはキャミソール、スリップなどのインナーと同等の生地が使用されている。また、外衣にタンクトップ、Ｔシャツなどのアウターと同等の生地を用いたカップ付き衣類も提案されている（例えば、特許文献２を参照）。この場合は、外衣がしっかりとした生地であるため、例えばリゾートウエア、タウンウエア、カジュアルウェアとしての着用も可能となる。
【０００５】
これらのカップ付き衣類（以下、本明細書では、インナーであるかアウターであるかは問わず、何れの用途であっても「カップ付き衣類」という。）は、前身頃と後身頃を縫合した外衣の内側に、直接的にブラジャー部を取り付けた構成の衣類である。ブラジャー部は、乳房を覆う左右一対のカップと、フロント布と脇布とバック布からなり、例えば脇布およびバック布の上端縁が、外衣の内側面と縫着されている。カップ付き衣類は、ブラジャーを着けずに一枚で楽に着られる衣類として若い世代を中心に親しまれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
特開２００３－１９３３０２号公報
実用新案登録第３１８６３２３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
しかし、上記した従来の下着やカップ付き衣類には、以下の課題があった。
先ず、図５（ｂ）に示すように、特許文献１のトップ下着１００のカップ収納部１０１は、カップ周縁の表地と裏地をポケット状に縫着１０４することで袋部１０２を設け、この袋部１０２にカップ１０３を挿入している。そのため、特許文献１では、フィット性に優れる成型編み機による編地を使用しているものの、カップ１０３は袋部１０２の中で動いてしまう不安定な状態であり、着用時にパカパカする感覚があって、バストに対するサポート力が不足していた。また、外衣の部分が存在しないトップ下着１００は、室内もしくは室外において一枚で楽に着られることを目的とするカップ付き衣類の代替品とはなり得ない。
【０００８】
次に、上述した「ブラトップ」や特許文献２のカップ付き衣服は、前身頃と後身頃を縫合した外衣の内側面に、直接的にブラジャー部を取り付けた構成の衣類である。外衣に取り付けるブラジャー部は、左右一対のカップ以外の部分は、フロント布と脇布とバック布で構成されている。そのため、着用時にはフロント布、脇布、及び、バック布の部分が、肌あたりの点やフィット性の点で劣るものとなっていた。
【０００９】
また、一般に、カップサイズ（トップバストとアンダーバストの寸法差）とアンダーバストサイズの組み合わせは着用者によってさまざまであるところ、「ブラトップ」や特許文献２のカップ付き衣類は、カップの周囲に位置するフロント布、脇布、バック布の部分のフィット性が必ずしも良好でないために、例えばアンダーバストサイズを合わせても、カップサイズの小さい人は乳房とカップとの間に隙間を感じることがあり、逆にカップサイズの大きい人はカップが心もとなく感じることがあった。
【００１０】
本願発明者は、カップ周囲の生地の肌あたりが良く、伸縮性及びフィット性に優れ、バスト全体をホールドするカップ付き衣類を開発したいと考え、試作を繰り返して鋭意検討を進めた。その結果、外側生地部の内側に、成型編み機によって編成された編地部を用いた内側生地部を縫合させた二重構造の衣類とすることが有効であることを見出した。
（【００１１】以降は省略されています）

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