特許ウォッチ

公開番号2025033290
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-13
出願番号2023138910
出願日2023-08-29
発明の名称タイヤ
出願人横浜ゴム株式会社
代理人清流国際弁理士法人,個人,個人
主分類B60C 13/00 20060101AFI20250306BHJP(車両一般)
要約【課題】サイドウォール部の外表面に文字、図形、または記号を描写する表示物を備え、この表示物の表面を研磨する工程を経て製造されるタイヤにおいて、表示物の表面状態を良好にすることを可能にしたタイヤを提供する。
【解決手段】サイドウォール部2の外表面に表示物10を備え、表示物10が描写する文字、図形、または記号の輪郭線を構成する凸部11の頂面の少なくとも一部がサイドウォール部2の一部に埋設された異色ゴムを露出させることでサイドウォール部2の外表面と異なる色を有するタイヤにおいて、表示物10を構成する凸部11のタイヤ径方向に沿って延びる部分を径方向要素11rとし、表示物10を構成する凸部11のタイヤ周方向に沿って延びる部分を周方向要素11cとしたとき、径方向要素11rの頂面の幅Wrと周方向要素11cの頂面の幅WcとがWr/Wc≧1.2の関係を満たすようにする。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項１】
タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部とを備え、前記サイドウォール部の外表面に、前記サイドウォール部の外表面から隆起した凸部の頂面の形状によって文字、図形、または記号の輪郭線を描写する表示物が形成され、前記凸部の頂面の少なくとも一部が前記サイドウォール部の一部に埋設された異色ゴムを露出させることで前記サイドウォール部の外表面と異なる色を有するタイヤにおいて、
前記表示物を構成する前記凸部のタイヤ径方向に沿って延びる部分を径方向要素とし、前記表示物を構成する前記凸部のタイヤ周方向に沿って延びる部分を周方向要素としたとき、前記径方向要素の頂面の幅Ｗｒと前記周方向要素の頂面の幅ＷｃとがＷｒ／Ｗｃ≧１．２の関係を満たすことを特徴とするタイヤ。
続きを表示（約 700 文字）【請求項２】
前記径方向要素の頂面の幅Ｗｒが２．５ｍｍ以上であることを特徴とする請求項１に記載のタイヤ。
【請求項３】
前記周方向要素の頂面の幅Ｗｃが２．０ｍｍ以下であることを特徴とする請求項１または２に記載のタイヤ。
【請求項４】
前記径方向要素がタイヤ径方向に対して成す角度が±３０°の範囲内であることを特徴とする請求項１または２に記載のタイヤ。
【請求項５】
前記径方向要素と直交する断面において前記凸部の側面が前記サイドウォール部の外表面の法線方向と成す角度θｒが前記周方向要素と直交する断面において前記凸部の側面が前記サイドウォール部の外表面の法線方向と成す角度θｃよりも大きいことを特徴とする請求項１または２に記載のタイヤ。
【請求項６】
前記径方向要素と直交する断面において前記凸部の側面と前記サイドウォール部の外表面とが円弧状の接続部を介して滑らかに接続し、前記周方向要素と直交する断面において前記凸部の側面と前記サイドウォール部の外表面とが円弧状の接続部を介して滑らかに接続し、前記径方向要素における前記接続部の曲率半径Ｒｒが前記周方向要素における前記接続部の曲率半径Ｒｃよりも大きいことを特徴とする請求項１または２に記載のタイヤ。
【請求項７】
前記凸部が構成する輪郭線に囲まれた部分の最小幅が２．０ｍｍ以上であることを特徴とする請求項１または２に記載のタイヤ。
【請求項８】
前記表示物のタイヤ径方向に沿った長さＬが２５ｍｍ以下であることを特徴とする請求項１または２に記載のタイヤ。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、サイドウォール部の外表面に文字、図形、または記号を描写する表示物を備えたタイヤに関する。
続きを表示（約 2,500 文字）【背景技術】
【０００２】
タイヤのサイドウォール部の外表面には、メーカー名やブランド名などを表示するための表示物が形成される場合がある。特に、この表示物の視認性や装飾性を向上する目的で、サイドウォール部の色（一般的に黒色）と異なる色の異色ゴム（例えば白色ゴム）で表示物を形成することが行われている（所謂「ホワイトレター」）。このようなタイヤを製造する際には、グリーンタイヤのサイドウォール部に対応する部分の少なくとも一部（表示物に対応する部分）を異色ゴム層（白色ゴム層）とその異色ゴム層を覆うカバーゴム層（黒色ゴム層）とが積層した構造にし、そのグリーンタイヤを加硫し、表示物をサイドウォール部の表面から隆起した凸部として形成した後に、凸部の表面（カバーゴム層）を研磨して除去することにより白色ゴム層を露出させて、異色ゴムからなる表示物を形成する（例えば特許文献１を参照）。
【０００３】
このようなタイヤにおいて、表示物（凸部）の表面を研磨する工程は、専用の研磨機（バフマシーン）等により行われる。この装置は、架台に装着されて回転するタイヤのサイド部に研磨体（砥石など）を回転させながら当てて、予めタイヤの種類毎に設定された間隔だけ、タイヤのサイドウォール部（表示物）を肉厚方向（凸部の隆起高さ方向）に研磨し、埋設された異色ゴムをタイヤ表面に露出させるように研磨する（例えば特許文献２を参照）。このような装置で研磨工程（バフ工程）を行う場合、凸部として形成される表示物の寸法が小さいと、表示物（凸部）の剛性が確保できず、研磨時に表示物が倒れ込む等の不具合が生じ、それに起因して研磨後の表示物の表面状態が悪化する虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
特開２０１８‐１１４７３２号公報
特開平０５‐２７７９２５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明の目的は、サイドウォール部の外表面に文字、図形、または記号を描写する表示物を備え、この表示物の表面を研磨する工程を経て製造されるタイヤにおいて、表示物の表面状態を良好にすることを可能にしたタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記目的を達成するための本発明のタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部とを備え、前記サイドウォール部の外表面に、前記サイドウォール部の外表面から隆起した凸部の頂面の形状によって文字、図形、または記号の輪郭線を描写する表示物が形成され、前記凸部の頂面の少なくとも一部が前記サイドウォール部の一部に埋設された異色ゴムを露出させることで前記サイドウォール部の外表面と異なる色を有するタイヤにおいて、前記表示物を構成する前記凸部のタイヤ径方向に沿って延びる部分を径方向要素とし、前記表示物を構成する前記凸部のタイヤ周方向に沿って延びる部分を周方向要素としたとき、前記径方向要素の頂面の幅Ｗｒと前記周方向要素の頂面の幅ＷｃとがＷｒ／Ｗｃ≧１．２の関係を満たすことを特徴とする。
【発明の効果】
【０００７】
本発明者は、表示物を構成する凸部の表面を研磨する工程を経て製造されるタイヤにおける表示物の外観不良について鋭意研究した結果、凸部として形成される表示物の寸法が小さいと、研磨体が回転しながら表示物（凸部）に当接する際に、研磨体の回転方向（研磨方向）に表示物（凸部）が倒れ込む等の不具合が生じ、それに起因して研磨後の表示物の表面状態が悪化する（表示物の表面が平滑にならず例えばうろこ状の凹凸が生じる）ことを知見した。本発明は、この知見に基づくものであり、表示物を構成する凸部のうち研磨方向の負荷を受けやすい部位（研磨方向に対して垂直な方向、即ちタイヤ径方向に沿って延びる部分）の強度を増すことで表示物（凸部）の倒れ込みを防止し、研磨後の表示物の表面状態を良好にするものである。具体的には、凸部が文字、図形、または記号の輪郭線を描写するタイプの表示物では、従来は凸部の頂面の幅（輪郭線の幅）が一定であったのに対して、本発明のタイヤにおいては、径方向要素の頂面の幅Ｗｒを周方向要素の頂面の幅Ｗｃよりも大きく構成し、これらの比がＷｒ／Ｗｃ≧１．２の関係を満たしているため、研磨方向の負荷を受けやすい径方向要素の剛性が確保され、表示物（凸部）の倒れ込みを防止することができる。その結果、表示物（凸部）の倒れ込みに起因する表示物の外観不良を抑制し、研磨後の表示物の表面を平滑にすることができる。
【０００８】
本発明のタイヤにおいては、径方向要素の頂面の幅Ｗｒが２．５ｍｍ以上であることが好ましい。また、周方向要素の頂面の幅Ｗｃが２．０ｍｍ以下であることが好ましい。これにより、研磨方向の負荷を受けやすい径方向要素の剛性を十分に確保することができ、表示物（凸部）の倒れ込みを防止するには有利になる。
【０００９】
本発明のタイヤにおいては、径方向要素がタイヤ径方向に対して成す角度が±３０°の範囲内であることが好ましい。このような角度範囲でタイヤ径方向に対して延在する部位を径方向要素とすることで、表示物の表面を研磨する際に倒れ込みが生じやすい部位を効果的に補強することができ、表示物の表面状態を良好にするには有利になる。
【００１０】
本発明のタイヤにおいては、径方向要素と直交する断面において凸部の側面がサイドウォール部の外表面の法線方向と成す角度θｒが周方向要素と直交する断面において凸部の側面がサイドウォール部の外表面の法線方向と成す角度θｃよりも大きいことが好ましい。これにより研磨方向の負荷を受けやすい径方向要素の厚みや体積が確保され、剛性を更に高めることができるので、表示物（凸部）の倒れ込みを防止するには有利になる。
（【００１１】以降は省略されています）

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