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公開番号
2025024401
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-02-20
出願番号
2023128478
出願日
2023-08-07
発明の名称
画像解析装置、画像解析方法およびプログラム、ならびにライトフィールド量子計測システムおよびライトフィールド量子計測方法
出願人
国立大学法人広島大学
,
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
代理人
個人
主分類
G01N
21/64 20060101AFI20250213BHJP(測定;試験)
要約
【課題】量子センサおよびライトフィールド光学系を使用して高い空間分解能で高速に試料内の三次元空間の物理量を計測する。
【解決手段】少なくとも一つの量子センサを含む試料に励起光およびマイクロ波が照射された状態でライトフィールド光学系により撮像された試料のライトフィールド画像を解析する画像解析装置30は、試料のライトフィールド画像から各深度位置にリフォーカスした画像を再構成する画像再構成部32と、各深度位置の再構成画像をスタックして試料のボルメトリック画像を再構成する三次元再構成部33と、試料のボルメトリック画像において各量子センサの三次元空間座標を求める量子センサ位置特定部34と、試料のライトフィールド画像に捉えられた同一量子センサ起源の蛍光光線から各量子センサの蛍光強度を求める蛍光強度特定部35と、各量子センサの蛍光強度から各量子センサの三次元空間座標における物理量を算出する物理量算出部36とを備える。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
少なくとも一つの量子センサを含む試料に前記量子センサが蛍光励起する波長の励起光および前記量子センサが光検出磁気共鳴する周波数のマイクロ波が照射された状態でライトフィールド光学系により撮像された前記試料のライトフィールド画像を解析する画像解析装置であって、
前記試料のライトフィールド画像から各深度位置にリフォーカスした画像を再構成する画像再構成部と、
前記各深度位置の再構成画像をスタックして前記試料のボルメトリック画像を再構成する三次元再構成部と、
前記試料のボルメトリック画像において各量子センサの三次元空間座標を求める量子センサ位置特定部と、
前記試料のライトフィールド画像に捉えられた同一量子センサ起源の蛍光光線から前記各量子センサの蛍光強度を求める蛍光強度特定部と、
前記各量子センサの蛍光強度から前記各量子センサの三次元空間座標における物理量を算出する物理量算出部と、
を備えた画像解析装置。
続きを表示(約 2,100 文字)
【請求項2】
前記試料のライトフィールド画像が、前記マイクロ波の周波数を前記量子センサの光検出磁気共鳴の共鳴周波数前後でスイープさせて前記試料を連続撮像したものであり、
前記物理量算出部が、前記各量子センサの蛍光強度の変化パターンから前記各量子センサの光検出磁気共鳴の共鳴周波数を特定し、当該特定した共鳴周波数に対応する前記物理量を算出する
請求項1に記載の画像解析装置。
【請求項3】
前記試料のライトフィールド画像が、さらに前記マイクロ波を一定周期でオン/オフしながら前記試料を連続撮像したものであり、
前記蛍光強度特定部が、時系列的に相前後する前記マイクロ波がオンのときとオフのときの前記ライトフィールド画像に捉えられた前記各量子センサの蛍光強度の相対値を前記各量子センサの蛍光強度として求める
請求項2に記載の画像解析装置。
【請求項4】
前記試料のライトフィールド画像が、さらに前記マイクロ波を一定周期でオン/オフしながら前記試料を連続撮像したものであり、
前記画像解析装置が、前記ライトフィールド画像において前記マイクロ波のオン/オフ周期で明暗する光線を量子センサの蛍光光線として識別する蛍光光線識別部をさらに備え、
前記画像再構成部が、前記識別された蛍光光線について各深度位置にリフォーカスした画像を再構成し、
前記蛍光強度特定部が、前記識別された蛍光光線の強度を求める
請求項2に記載の画像解析装置。
【請求項5】
前記量子センサが蛍光ナノダイヤモンドである
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像解析装置。
【請求項6】
前記物理量が温度である
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像解析装置。
【請求項7】
前記量子センサが蛍光ナノダイヤモンドであり、
前記物理量が温度である
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像解析装置。
【請求項8】
少なくとも一つの量子センサを含む試料に前記量子センサが蛍光励起する波長の励起光および前記量子センサが光検出磁気共鳴する周波数のマイクロ波が照射された状態でライトフィールド光学系により撮像された前記試料のライトフィールド画像を解析する画像解析方法であって、
画像再構成部が、前記試料のライトフィールド画像から各深度位置にリフォーカスした画像を再構成するステップと、
三次元再構成部が、前記各深度位置の再構成画像をスタックして前記試料のボルメトリック画像を再構成するステップと、
量子センサ位置特定部が、前記試料のボルメトリック画像から各量子センサの三次元空間座標を求めるステップと、
蛍光強度特定部が、前記試料のライトフィールド画像に捉えられた同一量子センサ起源の蛍光光線から前記各量子センサの蛍光強度を求めるステップと、
物理量算出部が、前記各量子センサの蛍光強度から前記各量子センサの三次元空間座標における物理量を算出するステップと、
を備えた画像解析方法。
【請求項9】
コンピューターに、少なくとも一つの量子センサを含む試料に前記量子センサが蛍光励起する波長の励起光および前記量子センサが光検出磁気共鳴する周波数のマイクロ波が照射された状態でライトフィールド光学系により撮像された前記試料のライトフィールド画像を解析させるプログラムであって、
前記試料のライトフィールド画像から各深度位置にリフォーカスした画像を再構成する画像再構成手段、
前記各深度位置の再構成画像をスタックして前記試料のボルメトリック画像を再構成する三次元再構成手段、
前記試料のボルメトリック画像から各量子センサの三次元空間座標を求める量子センサ位置特定手段、
前記試料のライトフィールド画像に捉えられた同一量子センサ起源の蛍光光線から前記各量子センサの蛍光強度を求める蛍光強度特定手段、および
前記各量子センサの蛍光強度から前記各量子センサの三次元空間座標における物理量を算出する物理量算出手段、
としてコンピューターを機能させるプログラム。
【請求項10】
量子センサを用いて物理量を計測するシステムであって、
前記量子センサが蛍光励起する波長の励起光を発生させる励起光発生器と、
前記量子センサが光検出磁気共鳴する周波数のマイクロ波を発生させるマイクロ波発生器と、
被写体のライトフィールド画像を撮像するライトフィールド光学系と、
少なくとも一つの前記量子センサを含む試料に前記励起光および前記マイクロ波が照射された状態で前記ライトフィールド光学系により撮像された前記試料のライトフィールド画像を解析する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像解析装置と、
を備えたライトフィールド量子計測システム。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像解析装置、画像解析方法およびプログラム、ならびにライトフィールド量子計測システムおよびライトフィールド量子計測方法に関し、特に、特定の条件下で蛍光する量子センサが含まれる試料のライトフィールド画像を解析して試料内の三次元空間の物理量を計測する量子計測技術に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)
【背景技術】
【0002】
疾病や細胞の老化・がん化、放射線に対する細胞応答などの現象を理解するには、細胞や分子のわずかな変化に敏感に応答するセンサが必要となる。例えば、細胞内の温度を計測するセンサとして、これまで、タンパク質型、ポリマー型、蛍光低分子型温度計測プローブなどが開発されてきた。このような蛍光を用いた生体イメージングは、細胞や生体内の分子局在やその機能の解析のために欠かせない技術となっている。
【0003】
生命現象が引き起こす生体内の非常に小さい変化を正確に理解するには細胞や分子のわずかな変化に敏感に応答する超高感度のセンサが必要である。そのようなセンサとして量子効果を利用して磁気、磁場、温度などの物理量を計測する量子センサがあり、中でも、蛍光ナノダイヤモンド(FND:Fluorescent nanodiamond)が細胞イメージングや極微量ウイルス検出などにおける高感度の蛍光標識剤として注目されている。量子センサを用いて細胞内の分子を計測するには、量子センサの大きさが数十nmでは大きすぎるため分子サイズの数nmサイズにする必要がある。本願発明の発明者は、世界最小の数nmサイズのFNDの作成に成功するとともに、FNDを使用した蛍光イメージングにおいて自家蛍光や夾雑物の蛍光などの背景光が量子センサの蛍光検出の妨げとなるといった欠点を克服し、信号/背景光比(SBR値)の向上を実現している(例えば、非特許文献1を参照)。
【0004】
一方、蛍光イメージングにより一度に複数の生体分子や細胞内挙動を繊細かつダイナミックに観察するには高速かつ大規模な三次元イメージングが必要となる。一般的に、そのような三次元画像は、コンフォーカル顕微鏡(共焦点顕微鏡)を使って試料に対する合焦位置を深度方向(Z方向)に所定ピッチで連続的に変えて、各合焦位置における試料の像を撮像することで生成される。また、三次元イメージングを可能にする顕微鏡としてスピニングディスク共焦点顕微鏡がある。スピニングディスク共焦点法は、多数のピンホールが並ぶ回転ディスクにレーザー光を照射することで、複数の平行な光を作り、それらで試料を高速スキャンして共焦点画像を形成するというものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Tamami Yanagi, Kiichi Kaminaga, Michiyo Suzuki, Hiroshi Abe, Hiroki Yamamoto, Takeshi Ohshima, Akihiro Kuwahata, Masaki Sekino, Tatsuhiko Imaoka, Shizuko Kakinuma, Takuma Sugi, Wataru Kada, Osamu Hanaizumi, and Ryuji Igarashi, “All-Optical Wide-Field Selective Imaging of Fluorescent Nanodiamonds in Cells, In Vivo and Ex Vivo,”ACS Nano 2021 15 (8), 12869-12879, 2021年8月2日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
共焦点顕微鏡による三次元イメージングは、深度方向にスキャンが必要なため計測に時間がかかり、高速事象を観察するには不向きである。例えば、30fpsで三次元空間をZ方向に30スキャンして撮像する場合、三次元空間全体の撮像速度は30fps/30=1vpsとなり、三次元空間を撮るのに1秒要する。これに対し、例えば、細胞内の熱拡散率を1.5×10
-7
m
2
/秒とした場合、直径10μmの細胞内を熱が三次元的に通過するのに要する時間は0.5秒であり、共焦点顕微鏡による三次元イメージングのスピードでは細胞内の熱拡散の様子を追跡するのが困難である。
【0007】
三次元イメージングの別の選択肢としてライトフィールド顕微鏡(LFM:Light Field Microscopy)がある。ライトフィールド(光線空間)とは三次元空間における光線の集合を表す。LFMは、多数のマイクロレンズが二次元配列されたマイクロレンズアレイを中間像面に配置し、対物レンズの開口絞り上の光線の通過位置とイメージセンサ上での光線の取得位置を得ることでライトフィールドを記録できるようにしたものである。LFMにより記録されたライトフィールド画像から、小口径レンズに相当するサブアパーチャ画像が取得できる。サブアパーチャ画像は視点をずらして被写体を部分的に撮像したものであり、それぞれがピンホール効果により深い被写界深度を持つと同時に他のサブアパーチャ画像との間で視差を有する。したがって、サブアパーチャ画像をずらして重ね合わせることで任意の深度位置にリフォーカスした画像を再構成(reconstruction)することができる。LFMは、深度方向にスキャンすることなくシングルショットで三次元像を高速に撮像することができるため、高速事象を観察するのに向いている。
【0008】
そこで、本発明は、量子センサおよびライトフィールド光学系を使用して高い空間分解能で高速に試料内の三次元空間の物理量を計測することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様1に係る画像解析装置は、少なくとも一つの量子センサを含む試料に前記量子センサが蛍光励起する波長の励起光および前記量子センサが光検出磁気共鳴する周波数のマイクロ波が照射された状態でライトフィールド光学系により撮像された前記試料のライトフィールド画像を解析する画像解析装置であって、前記試料のライトフィールド画像から各深度位置にリフォーカスした画像を再構成する画像再構成部と、前記各深度位置の再構成画像をスタックして前記試料のボルメトリック画像を再構成する三次元再構成部と、前記試料のボルメトリック画像において各量子センサの三次元空間座標を求める量子センサ位置特定部と、前記試料のライトフィールド画像に捉えられた同一量子センサ起源の蛍光光線から前記各量子センサの蛍光強度を求める蛍光強度特定部と、前記各量子センサの蛍光強度から前記各量子センサの三次元空間座標における物理量を算出する物理量算出部と、を備えている。
【0010】
本発明の態様2に係る画像解析装置は、前記態様1に係る画像解析装置において、前記試料のライトフィールド画像が、前記マイクロ波の周波数を前記量子センサの光検出磁気共鳴の共鳴周波数前後でスイープさせて前記試料を連続撮像したものであり、前記物理量算出部が、前記各量子センサの蛍光強度の変化パターンから前記各量子センサの光検出磁気共鳴の共鳴周波数を特定し、当該特定した共鳴周波数に対応する前記物理量を算出する。
(【0011】以降は省略されています)
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