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公開番号2025012381
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-24
出願番号2023115173
出願日2023-07-13
発明の名称グリース組成物
出願人協同油脂株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C10M 169/02 20060101AFI20250117BHJP(石油,ガスまたはコークス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭)
要約【課題】水が混入し、せん断の加わる環境下でも、含水せん断安定性に優れ、防錆性能に優れるグリースの提供。
【解決手段】基油、増ちょう剤としてジウレア化合物、及びライスワックス、ラノリンワックス、カルナウバワックス、及びカスターワックスからなる群から選ばれる少なくとも1種のワックスを含む、グリース組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
基油、
増ちょう剤としてジウレア化合物、及び
ライスワックス、カルナウバワックス、ラノリンワックス、及びカスターワックスからなる群から選ばれる少なくとも1種のワックスを含む、グリース組成物。
続きを表示(約 990 文字)【請求項2】
ワックスが、ライスワックス又はカルナウバワックスである請求項1に記載のグリース組成物。
【請求項3】
ワックスが、ライスワックスである請求項1に記載のグリース組成物。
【請求項4】
ジウレア化合物が、下記式(1)で表されるジウレア化合物を含有する、請求項1に記載のグリース組成物。

1
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
3
(1)
(式中、R
2
は、炭素数6~15の芳香族炭化水素基を示し、R
1
及びR
3
は、同一でも異なっていても良く、炭素数8~20の脂肪族炭化水素基、又は炭素数6~15の芳香族炭化水素基を示し、R
1
及びR
3
の合計に占める脂肪族炭化水素基の割合は40~100モル%である。)
【請求項5】
ジウレア化合物が、下記式(1)で表されるジウレア化合物を含有する、請求項1に記載のグリース組成物。

1
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
3
(1)
(式中、R
2
は、炭素数6~15の芳香族炭化水素基を示し、R
1
及びR
3
は、同一でも異なっていても良く、炭素数8~20の脂肪族炭化水素基である。)
【請求項6】
さらに、防錆剤を含有する、請求項1に記載のグリース組成物。
【請求項7】
防錆剤が、コハク酸誘導体、金属スルホネート、及び有機酸金属塩の少なくとも1種を含む、請求項6に記載のグリース組成物。
【請求項8】
防錆剤が、ドデセニルコハク酸無水物、アルケニルコハク酸イミド、及びジノニルナフタレンスルホン酸亜鉛、セバシン酸ナトリウムの群から選ばれる少なくとも一種である、請求項6に記載のグリース組成物。
【請求項9】
防錆剤の含有量が、組成物の全質量に対して、0.01~5質量%である、請求項6に記載のグリース組成物。
【請求項10】
転がり軸受又は歯車用である請求項1~9のいずれか1項に記載のグリース組成物。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水が混入し得るか又は高湿度である上、せん断が加わる環境下で使用するのに好適なグリース組成物に関する。
続きを表示(約 4,500 文字)【背景技術】
【0002】
グリースは水が混入すると、軟化や漏洩を引き起こすため、グリース自体の耐水性能向上が必要となる。製鉄設備における熱間圧延機のワークロール軸受に使用されるグリースは、多量に冷却水を浴び、強いせん断を受けるため、含水せん断安定性に優れていることが要求される。エアコンのファンモーター又は換気扇の転がり軸受に使用されるグリースは、高湿度のうえ、せん断を受け得る環境で使用されるため、含水せん断安定性に優れていることが要求される。
自動車のハブユニットの転がり軸受に使用されるグリースは、洗車時や雨水、悪路走行時に水が混入し、せん断を受け得る環境で使用されるため、含水せん断安定性に優れていることが要求される。
歯車用では特に、自動車のラック&ピニオンギヤや電動パワーステアリングのウォームギヤ、パワーウィンドウモーター内のウォームギヤに使用されるグリースは、気象状況により水が混入し、せん断を受け得る環境で使用されるため、含水せん断安定性に優れていることが要求される。
非特許文献1には、鉱油とジウレア増ちょう剤とのみからなるグリースを、機械的せん断安定性を評価する試験機(ASTM D 1831)を用いて、含水10wt%、80℃の条件にて試験したところ、流動状になったことが報告されている。
耐水性の問題を解決するために、ジウレア化合物を増ちょう剤として選定する場合、塩基性金属スルホネート、塩基性金属サリチレート及び塩基性金属フェネートからなる群から選ばれた1種の金属塩化合物を含ませる方法が報告されている(特許文献1)。別の手段として、増ちょう剤を、硫酸バリウムのような含水性に優れた成分とする方法があげられる(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2002-053884号公報
特開2016-121336号公報
【非特許文献】
【0004】
トライボロジスト第35巻第5号(1990)343~348
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、含水せん断安定性に優れるグリース組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明により、以下のグリース組成物を提供する。
1.基油、
増ちょう剤としてジウレア化合物、及び
ライスワックス、カルナウバワックス、ラノリンワックス、及びカスターワックスからなる群から選ばれる少なくとも1種のワックスを含む、グリース組成物。
2.ワックスが、ライスワックス又はカルナウバワックスである請求項1に記載のグリース組成物。
3.ワックスが、ライスワックスである前記1に記載のグリース組成物。
4.ジウレア化合物が、下記式(1)で表されるジウレア化合物を含有する、前記1~3のいずれかに記載のグリース組成物。

1
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
3
(1)
(式中、R
2
は、炭素数6~15の芳香族炭化水素基を示し、R
1
及びR
3
は、同一でも異なっていても良く、炭素数8~20の脂肪族炭化水素基、又は炭素数6~15の芳香族炭化水素基を示し、R
1
及びR
3
の合計に占める脂肪族炭化水素基の割合は40~100モル%である。)
5.ジウレア化合物が、下記式(1)で表されるジウレア化合物を含有する、前記1~4のいずれかに記載のグリース組成物。

1
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
3
(1)
(式中、R
2
は、炭素数6~15の芳香族炭化水素基を示し、R
1
及びR
3
は、同一でも異なっていても良く、炭素数8~20の脂肪族炭化水素基である。)
6.さらに、防錆剤を含有する、前記1~5のいずれかに記載のグリース組成物。
7.防錆剤が、コハク酸誘導体、金属スルホネート、及び有機酸金属塩の少なくとも1種を含む、前記6に記載のグリース組成物。
8.防錆剤が、ドデセニルコハク酸無水物、アルケニルコハク酸イミド、及びジノニルナフタレンスルホン酸亜鉛、セバシン酸ナトリウムの群から選ばれる少なくとも一種である、前記6に記載のグリース組成物。
9.防錆剤の含有量が、組成物の全質量に対して、0.01~5質量%である、前記6に記載のグリース組成物。
10.転がり軸受又は歯車用である前記1~9のいずれかに記載のグリース組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明のグリース組成物は、水の混入下におけるせん断安定性に優れる。
本発明により含水せん断安定性が向上する理由は、原理的には、以下のように説明できると考えられる。すなわち、グリース成分であるジウレア系増ちょう剤は、基油中で微細粒子として存在し、この粒子で構成されるネットワーク構造の毛細管力によって基油を保持し、半固体ないし固体状のグリースを形成する。グリースは、せん断を受けることで、増ちょう剤のネットワーク構造が破壊され、軟化する。特に脂肪族ジウレアグリースは、水が混入すると、油膜厚さが著しく低下し、せん断軟化が促進される傾向が認められる。これを結晶レベルで見てみると、非特許文献1に記載されているとおり、ジウレア増ちょう剤の原料であるイソシアネートとアミンの反応直後の結晶形は安定なα型であり、グリース製造工程における昇温中に、準安定なβ型に相転移する。相転移したジウレアグリースに含水せん断を加えると、相転移前のα型に戻る。α型は全体として塊状になりやすい一方、薄く細長い繊維状粒子であるβ型の方が、毛細管力により基油を保持する能力が大きく、グリースとして十分な硬さを維持できる。すなわち、含水せん断により、結晶形がα型に戻るということは、グリースが軟化することを意味する。
如何なる理論にも拘束されるものではないが、本発明において、ライスワックス、カルナウバワックス、ラノリンワックス、及びカスターワックスからなる群から選ばれる少なくとも1種のワックスは、ジウレア増ちょう剤が、相転移前の分子配列(α型)に戻らないようにする役割を果たしており、その結果、本発明のグリース組成物は、含水せん断安定性に優れるものと推測される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<基油>
本発明で用いる基油の種類は特に制限されない。例えば、ナフテン系、パラフィン系に代表される鉱油、ポリαオレフィン(PAO)、ポリブテンに代表される合成炭化水素油、アルキルジフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールに代表されるエーテル系合成油、ジエステル、ポリエステルに代表されるエステル系合成油、シリコーン油、フッ素化油などの各種合成油が挙げられる。なお、合成油は、動植物などから生まれた生物資源を原料として製造される、所謂バイオマス油でもよい。例えば、植物油を原料とする各種脂肪酸とアルコールとから合成されるバイオマスエステル油や、パーム油、コーン油、大豆油などの植物油を用いたバイオマス炭化水素油を使用することもできる。基油は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合してもよい。
本発明の基油の40℃における動粘度は、例えば、17~600mm
2
/sである。
本発明の組成物中の基油の含有量は、組成物の全質量を基準にして、好ましくは70~97質量%、より好ましくは80~96質量%、さらに好ましくは85~95質量%である。このような範囲で基油を含ませることにより、グリース組成物の適用箇所における潤滑性を担保できる。
【0009】
<増ちょう剤>
本発明において用いる増ちょう剤は、ジウレア化合物である。ジウレア化合物は下記式(1)で表わすことができる。

1
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
3
(1)
式中、R
2
は、炭素数6~15の芳香族炭化水素基を示し、R
1
及びR
3
は、同一でも異なっていても良く、炭素数8~20の脂肪族炭化水素基、炭素数6~15の芳香族炭化水素基又はシクロヘキシル基を示す。
ジウレア化合物としては、
- 原料のアミンが芳香族アミン及び脂肪族アミンの混合物である芳香族-脂肪族ウレア化合物、
- 原料のアミンが芳香族アミンである芳香族ウレア化合物、
- 原料のアミンが脂肪族アミンである脂肪族ウレア化合物、
- 原料のアミンが脂環式アミンである脂環式ウレア化合物、
- 原料のアミンが脂環式アミン及び脂肪族アミンの混合物である脂環式-脂肪族ウレア化合物、又は
- これらの2種以上の組み合わせが挙げられる。
なかでも、芳香族-脂肪族ウレア化合物、脂肪族ウレア化合物、脂環式-脂肪族ウレア化合物が好ましい。なお、原料のアミンが混合物の場合、得られるジウレア化合物も混合物となる。
ジウレア化合物が、式(1)中、R
1
及びR
3
が、同一でも異なっていても良く、炭素数8~20の脂肪族炭化水素基、又は炭素数6~15の芳香族炭化水素基を示し、R
1
及びR
3
の合計に占める脂肪族炭化水素基の割合が40~100モル%であるジウレア化合物を含有するのが好ましい。
ジウレア化合物が、式(1)中、R
1
及びR
3
が、同一でも異なっていても良く、炭素数8~20の脂肪族炭化水素基であるジウレア化合物を含有するのもまた好ましい。
【0010】
本発明のグリース組成物の混和ちょう度は、好ましくは180~400である。
本発明の組成物中の増ちょう剤の含有量は、ちょう度を上記範囲に調整するのに適した量であればよく、例えば、組成物の全質量を基準として、2.0~25質量%である。なお、本明細書において、単に「ちょう度」と称する場合、JIS K 2220 7.にしたがって測定される60回混和ちょう度を指す。
(【0011】以降は省略されています)

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