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公開番号
2025005401
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-16
出願番号
2024096117
出願日
2024-06-13
発明の名称
電気モータシステム用の低粘度潤滑流体
出願人
アフトン・ケミカル・コーポレーション
,
Afton Chemical Corporation
代理人
弁理士法人特許事務所サイクス
主分類
C10M
169/04 20060101AFI20250108BHJP(石油,ガスまたはコークス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭)
要約
【課題】低粘度を有する電気モータシステム流体において使用するために、許容可能な摩耗性能、並びに良好な電気伝導率及び酸化安定有する電気モータ潤滑流体を提供する。
【解決手段】潤基油と、スクシンイミド分散剤であって、約0.5~約1重量%の窒素を有し、リン含有化合物及びホウ素含有化合物で後処理され、約70~約140ppmのリン及び約150~約300ppmの窒素を送達する、スクシンイミド分散剤と、約40~70ppmのリンを提供するリン酸エステルのアミン塩と、前記電気モータ潤滑流体に約40~約70ppmのリンを提供する無灰ジアルキルジチオホスフェートを含む油溶性リン耐摩耗添加剤と、前記電気モータ潤滑流体に最大950ppmの硫黄を提供するチアジアゾール又はその誘導体を含む硫黄提供添加剤とを含み、約4.5cSt以下のkV100℃及び約150~約250ppmの総リンを有する、電気モータ潤滑流体とする。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
電気自動車又はハイブリッド電気自動車に適した電気モータ潤滑流体であって、
潤滑粘度の1つ以上の基油と、
約2,000以上の数平均分子量を有するポリイソブチレンから誘導されるスクシンイミド分散剤であって、約0.5~約1重量%の窒素を有し、リン含有化合物及びホウ素含有化合物で後処理され、約70~約140ppmのリン及び約150~約300ppmの窒素を前記電気モータ潤滑流体に送達する、スクシンイミド分散剤と、
前記電気モータ潤滑流体に約40~70ppmのリンを提供するリン酸エステルのアミン塩と、
前記電気モータ潤滑流体に約40~約70ppmのリンを提供する無灰ジアルキルジチオホスフェートを含む油溶性リン耐摩耗添加剤と、
前記電気モータ潤滑流体に最大950ppmの硫黄を提供するチアジアゾール又はその誘導体を含む硫黄提供添加剤と、を含み、
約4.5cSt以下のkV100℃及び約150~約250ppmの総リンを有する、電気モータ潤滑流体。
続きを表示(約 2,700 文字)
【請求項2】
前記リン酸エステルのアミン塩は、式Iの構造又はその溶媒和物若しくは水和物を有し、
JPEG
2025005401000022.jpg
35
128
式中、
R
1
及びR
2
は、独立して、水素、又は直鎖状、分岐鎖状、若しくは環状ヒドロカルビル基であり、
mが、0~1の整数であり、pは、1~2の整数であり、m+pは、2に等しく、
R
3
、R
4
、R
5
及びR
6
は、独立して、水素又はヒドロカルビル基であり、R
3
~R
6
のうちの少なくとも1つは、ヒドロカルビル基であり、好ましくは、R
1
及びR
2
は、独立して、C
3
~C
10
アルキル基であり、R
3
、R
4
、R
5
及びR
6
のうちの少なくとも1つは、C
10
~C
20
アルキル基である、請求項1に記載の電気モータ潤滑流体。
【請求項3】
前記高分子量ポリイソブチレンの数平均分子量は、約2,000~約2,300であり、及び/又は前記電気モータ潤滑流体は、約2~約4重量%の前記スクシンイミド分散剤を含む、請求項1に記載の電気モータ潤滑流体。
【請求項4】
前記スクシンイミド分散剤、前記リン酸エステルのアミン塩、前記無灰ジアルキルジチオホスフェート、及び
チアジアゾール又はその誘導体は、添加剤濃縮物中に提供され、前記添加剤濃縮物は、約15~約80cStのkV100℃を有し、及び/又は前記添加剤濃縮物のkV100℃と前記電気モータ潤滑流体のkV100℃との比は、約5:1~約30:1である、請求項1に記載の電気モータ潤滑流体。
【請求項5】
前記電気モータ潤滑流体は、CEC L-48-A)に従って前記電気モータ潤滑流体がエージングされた後に0.09cSt未満の粘度変化を有し、及び/又は前記電気モータ潤滑流体は、CEC L-84-02のFZG A10/16.6R/90スカッフィング試験において少なくとも8の破壊荷重段階を達成し、及び/又は前記電気モータ潤滑流体は、前記電気モータ潤滑流体を使用してASTM D2624-15に準拠した修正伝導率試験によって測定され、20Hz及び100℃で測定されて、約60nS/M以下の電気伝導率を有する、請求項1に記載の電気モータ潤滑流体。
【請求項6】
前記無灰ジアルキルジチオホスフェートを含む前記油溶性リン耐摩耗添加剤は、(a)有機ヒドロキシ化合物を五硫化リンと反応させて反応生成物を形成する工程と、前記反応生成物を不飽和カルボン酸と更に反応させて、前記無灰ジアルキルジチオホスフェートを含む前記油溶性リン耐摩耗添加剤を形成する工程と、を含むプロセスによって作製され、及び/又は前記無灰ジアルキルジチオホスフェートは、式IIの化合物又はその塩を含み、
JPEG
2025005401000023.jpg
40
128
R
7
及びR
8
は、独立して、C
3
~C
8
直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、R
9
は、-H又は-CH
3
であり、好ましくは、前記無灰ジアルキルジチオホスフェートは、3-[[ビス(2-メチルプロポキシ)ホスフィノチオイル]チオ]-2-メチル-プロパン酸である、請求項1に記載の電気モータ潤滑流体。
【請求項7】
前記チアジアゾール又はその誘導体は、式IIIの構造を有する1つ以上の化合物を含み、
JPEG
2025005401000024.jpg
25
128
式中、
各R
10
は、独立して、水素又は硫黄であり、
各R
11
は、独立して、アルキル基であり、
nは、0又は1の整数であり、R
10
が、水素である場合、隣接のR
11
部分の前記整数nは、0であり、R
10
が、硫黄である場合、隣接のR
11
部分の前記整数nは、1であり、
少なくとも1つのR
10
は、硫黄である、請求項1に記載の電気モータ潤滑流体。
【請求項8】
前記電気モータ潤滑流体に約50ppm以下のカルシウムを提供する1つ以上の金属含有清浄添加剤を更に含む、請求項1に記載の電気モータ潤滑流体。
【請求項9】
電気モータ潤滑流体に適した添加剤濃縮物であって、
約2,000以上の数平均分子量を有する高分子量ポリイソブチレンから誘導されるスクシンイミド分散剤であって、約0.5~約1重量%の窒素を有し、リン含有化合物及びホウ素含有化合物で後処理され、約1400~約2450ppmのリン及び約3000~約5400ppmの窒素を前記分散剤添加剤濃縮物に送達する量で存在する、スクシンイミド分散剤と、
前記添加剤濃縮物に約1000~1500ppmのリンを提供するリン酸エステルのアミン塩と、
前記添加剤濃縮物に約800ppm~約1300ppmのリンを提供する無灰ジアルキルジチオホスフェートを含む油溶性リン耐摩耗添加剤と、
前記添加剤濃縮物に硫黄を提供するが、約18,000ppm以下の硫黄を提供するチアジアゾール又はその誘導体を含む硫黄提供添加剤と、を含み、
約15cSt~約80sCtのkV100℃を有する、添加剤濃縮物。
【請求項10】
前記高分子量ポリイソブチレンの前記数平均分子量は、約2,000~約2,300であり、及び/又は前記スクシンイミド分散剤は、約40~約70重量%の前記添加剤濃縮物を含み、及び/又は前記添加剤濃縮物に約950ppm以下のカルシウムを提供する1つ以上の金属含有清浄添加剤を更に含む、請求項9に記載の添加剤濃縮物。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気モータシステム用の潤滑流体、及び電気モータシステム内のギア及びクラッチを潤滑する方法に関する。特に、開示される方法及び潤滑流体は、潤滑粘度の油及び少なくとも1つのより高分子量の分散剤を含む、電気自動車又はハイブリッド電気自動車の電気モータにおいて使用するための低粘度潤滑流体に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)
【背景技術】
【0002】
電気自動車パワートレイン潤滑剤を開発する際の主要な課題は、許容可能な摩耗及び摩擦性能を達成し、酸化安定性を維持する一方で、パワートレイン中の帯電した構成要素との潤滑剤相溶性を確実にすることである。電気自動車又はハイブリッド電気自動車における潤滑剤はまた、電気モータ内の構成要素と接触し得るため、流体の電気伝導率はまた、帯電した構成要素の静電蓄積及び放電を阻止するために、比較的低くする必要がある。
【0003】
効率を改善するために、潤滑剤製造業者は、潤滑剤の粘度を低下させようとすることが多いが、より低い粘度の流体は、産業及び/又は自動車製造業者によってしばしば要求される厳しい摩耗及び摩擦試験にはあまり望ましくないことが多い。したがって、低粘度流体は、必要とされる摩耗試験を満たすために追加の耐摩耗添加剤を必要とすることが多くてもよい。しかしながら、これらの追加の添加剤を添加すると、潤滑剤の電気伝導率が増加し、酸化安定性が低下することが多い。例えば、約4.5cSt以下のkV100℃(ASTM D445)を有する潤滑剤は、必要とされる摩耗性能を達成するために、より高い粘度の潤滑剤において必要とされるよりも多い量の摩耗防止添加剤を必要とし得るが、特定の摩耗防止添加剤の添加は、増加した伝導率及び低下した酸化安定性をもたらし得る。特に、約4.5cSt以下、又は3.5cSt以下、又は3.0cSt以下のkV100℃を有する低粘度潤滑剤が、CEC L-84-02の要求の厳しいA10/16.6R/90スカッフィング試験などの厳しいFZG摩耗試験に合格する一方で、低い伝導率をも示し、酸化安定性を維持することは、以前は困難であった。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、電気自動車又はハイブリッド電気自動車に適した電気モータ潤滑流体が本明細書に記載される。手法では、電気モータ潤滑流体は、潤滑粘度の1つ以上の基油と、約2,000以上の数平均分子量を有するポリイソブチレンから誘導されるスクシンイミド分散剤であって、約0.5~約1重量%の窒素を有し、リン含有化合物及びホウ素含有化合物で後処理され、約70~約140ppmのリン及び約150~約300ppmの窒素を電気モータ潤滑流体に送達する、スクシンイミド分散剤と、電気モータ潤滑流体に約40~70ppmのリンを提供するリン酸エステルのアミン塩と、電気モータ潤滑流体に約40~約70ppmのリンを提供する無灰ジアルキルジチオホスフェートを含む油溶性リン耐摩耗添加剤と、電気モータ潤滑流体に最大約950ppmの硫黄を提供するチアジアゾール又はその誘導体を含む硫黄提供添加剤と、を含み、電気モータ潤滑流体は、約4.5cSt以下のkV100℃及び約150~約250ppmの総リンを有する。
【0005】
他の手法又は実施形態では、前段落に記載される電気モータ潤滑は、任意の組合せで、1つ又は複数の任意選択の特徴又は実施形態を含んでもよい。これらの任意選択の特徴又は実施形態は、以下のうちの1つ以上を含み得る:リン酸エステルのアミン塩は、式Iの構造又はその溶媒和物若しくは水和物を有し、
【0006】
JPEG
2025005401000001.jpg
35
128
R
1
及びR
2
は、独立して、水素、又は直鎖状、分岐鎖状、若しくは環状ヒドロカルビル基であり、mが、0~1の整数であり、pは、1~2の整数であり、m+pは、2に等しく、R
3
、R
4
、R
5
及びR
6
は、独立して、水素又はヒドロカルビル基であり、R
3
~R
6
の少なくとも1つは、ヒドロカルビル基であり、及び/又はR
1
及びR
2
は、独立して、C
3
~C
10
アルキル基であり、R
3
、R
4
、R
5
及びR
6
の少なくとも1つは、C
10
~C
20
アルキル基であり、及び/又は高分子量ポリイソブチレンの数平均分子量は、約2,000~約2,300であり、及び/又は電気モータ潤滑流体は、約2~約4重量%のスクシンイミド分散剤を含み、及び/又はスクシンイミド分散剤、リン酸エステルのアミン塩、無灰ジアルキルジチオホスフェート、及びチアジアゾール又はその誘導体は、添加剤濃縮物中に提供され、添加剤濃縮物は、約15~約80cStのkV100℃を有し、及び/又は添加剤濃縮物のkV100℃と電気モータ潤滑流体のkV100℃との比は、約5:1~約30:1であり、及び/又は電気モータ潤滑流体は、CEC L-48-A)に従って電気モータ潤滑流体がエージングされた後、0.09cSt未満の粘度変化を有し、及び/又は電気モータ潤滑流体は、CEC L-84-02のFZG A10/16.6R/90スカッフィング試験において少なくとも8の破壊荷重段階を達成し、及び/又は電気モータ潤滑流体は、電気モータ潤滑流体を使用してASTM D2624-15に準拠した修正伝導率試験によって測定され、20Hz及び100℃で測定されて、約60nS/M以下の電気伝導率を有し、及び/又は無灰ジアルキルジチオホスフェートを含む油溶性リン耐摩耗添加剤は、(a)有機ヒドロキシ化合物を五硫化リンと反応させて反応生成物を形成する工程と、反応生成物を不飽和カルボン酸と更に反応させて、無灰ジアルキルジチオホスフェートを含む油溶性リン耐摩耗添加剤を形成する工程と、を含むプロセスによって作製され、及び/又は無灰ジアルキルジチオホスフェートは、式IIの化合物又はその塩を含み、
【0007】
JPEG
2025005401000002.jpg
41
128
R
7
及びR
8
は、独立して、C
3
~C
8
直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、R
9
は、-H又は-CH
3
であり、及び/又は無灰ジアルキルジチオホスフェートは、3-[[ビス(2-メチルプロポキシ)ホスフィノチオイル]チオ]-2-メチル-プロパン酸であり、及び/又はチアジアゾール若しくはその誘導体は、式IIIの構造を有する1つ以上の化合物を含み、
【0008】
JPEG
2025005401000003.jpg
25
128
各R
10
は、独立して、水素又は硫黄であり、各R
11
は、独立して、アルキル基であり、nは、0又は1の整数であり、R
10
が水素である場合、隣接するR
11
部分の整数nは0であり、R
10
が硫黄である場合、隣接するR
11
部分のnは1であり、少なくとも1つのR
10
は硫黄であり、及び/又は電気モータ潤滑流体に約50ppm以下のカルシウムを提供する1つ以上の金属含有清浄添加剤を更に含む。
【0009】
更に他の実施形態において、本開示は、電気モータ潤滑流体に適した添加剤濃縮物を提供する。手法では、添加剤濃縮物は、約2,000以上の数平均分子量を有する高分子量ポリイソブチレンから誘導されるスクシンイミド分散剤であって、約0.5~約1重量%の窒素を有し、リン含有化合物及びホウ素含有化合物で後処理され、約1400~約2450ppmのリン及び約3000~約5400ppmの窒素を分散剤添加剤濃縮物に送達する量で存在する、スクシンイミド分散剤と、添加剤濃縮物に約1000~1500ppmのリンを提供するリン酸エステルのアミン塩と、添加剤濃縮物に約800ppm~約1300ppmのリンを提供する無灰ジアルキルジチオホスフェートを含む油溶性リン耐摩耗添加剤と、添加剤濃縮物に硫黄を提供するが、約18,000ppm以下の硫黄を提供するチアジアゾール又はその誘導体を含む硫黄提供添加剤と、を含み、添加剤濃縮物は、約15cSt~約80sCtのkV100℃を有する。
【0010】
他の実施形態では、前段落の添加剤濃縮物は、任意の組合せで、1つ以上の任意選択的な特色又は実施形態を含み得る。これらの任意選択の特徴又は実施形態は、以下のうちの1つ以上を含み得る:リン酸エステルのアミン塩は、式Iの構造又はその溶媒和物若しくは水和物を有し、
(【0011】以降は省略されています)
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