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公開番号2024173487
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-12
出願番号2023091933
出願日2023-06-02
発明の名称ガス化炉設備、ガス化複合発電設備及びガス化炉設備の運転方法
出願人三菱重工業株式会社
代理人SSIP弁理士法人
主分類C10J 3/48 20060101AFI20241205BHJP(石油,ガスまたはコークス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭)
要約【課題】ガス化炉の酸素比の上昇を抑制してガス化炉に生じる熱疲労及び腐食を抑制することができるガス化炉設備を提供する。
【解決手段】ガス化炉を備えるガス化炉設備であって、制御装置は、(a)燃料供給ラインの第1位置と燃料供給ラインにおける第1位置より下流側の第2位置との差圧、(b)ガス化炉に炭素含有固体燃料を供給する燃料ホッパを切り替えるための切替信号、又は(c)ガス化炉に供給する炭素含有固体燃料の流量の設定値と燃料供給ラインにおける炭素含有固体燃料の実流量を演算した実流量演算値との差分、の何れかに基づいて、コンバスタ酸化剤流量調整装置を制御する。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
炭素含有固体燃料と酸化剤とを用いて可燃性ガスを生成するためのガス化炉と、
前記ガス化炉に前記炭素含有固体燃料を供給する燃料供給ラインと、
前記ガス化炉のコンバスタ部に前記酸化剤を供給するための酸化剤供給ラインと、
前記酸化剤供給ラインに設けられ、前記ガス化炉の前記コンバスタ部へ供給する前記酸化剤の流量であるコンバスタ酸化剤流量を調整するためのコンバスタ酸化剤流量調整装置と、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
(a)前記燃料供給ラインの第1位置と前記燃料供給ラインにおける前記第1位置より下流側の第2位置との差圧、(b)前記ガス化炉に前記炭素含有固体燃料を供給する燃料ホッパを切り替えるための切替信号、又は(c)前記ガス化炉に供給する前記炭素含有固体燃料の流量の設定値と前記燃料供給ラインにおける前記炭素含有固体燃料の実流量を演算した実流量演算値との差分、の何れかに基づいて、前記コンバスタ酸化剤流量調整装置を制御するように構成された、ガス化炉設備。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記制御装置は、前記燃料供給ラインにおける前記第1位置と前記第2位置との前記差圧が閾値を下回った場合に、前記コンバスタ酸化剤流量を減少させるように前記コンバスタ酸化剤流量調整装置を制御するように構成された、請求項1に記載のガス化炉設備。
【請求項3】
前記コンバスタ部には、前記酸化剤と前記燃料供給ラインから供給された前記炭素含有固体燃料とを混合するバーナが設けられており、
前記バーナは、フローノズルを含み、
前記第1位置は、前記バーナにおける前記フローノズルの上流側の位置であり、前記第2位置は、前記バーナにおける前記フローノズルの下流側の位置である、請求項2に記載のガス化炉設備。
【請求項4】
前記制御装置は、前記ガス化炉の目標圧力に基づいて前記コンバスタ酸化剤流量の第1指令値を算出するように構成され、
前記制御装置は、前記燃料供給ラインにおける前記第1位置と前記第2位置との前記差圧が前記閾値を下回った場合に、前記第1指令値に負の補正値を加算した第2指令値を算出し、前記第2指令値に基づいて前記コンバスタ酸化剤流量調整装置を制御するように構成された、請求項2に記載のガス化炉設備。
【請求項5】
前記制御装置は、前記燃料供給ラインにおける前記第1位置と前記第2位置との前記差圧が閾値を上回った場合に、前記第1指令値に基づいて前記コンバスタ酸化剤流量調整装置を制御するように構成された、請求項4に記載のガス化炉設備。
【請求項6】
前記制御装置は、前記燃料供給ラインにおける前記第1位置と前記第2位置との前記差圧が前記閾値を下回った場合に、前記コンバスタ酸化剤流量調整装置を前記第2指令値に基づいて所定時間制御し、前記所定時間の経過後に前記第1指令値に基づいて前記コンバスタ酸化剤流量調整装置を制御するように構成された、請求項4に記載のガス化炉設備。
【請求項7】
前記制御装置は、前記燃料供給ラインにおける前記第1位置と前記第2位置との前記差圧が前記閾値を下回った場合に、前記コンバスタ酸化剤流量調整装置を前記第2指令値に基づいて制御し、前記制御装置は、前記燃料供給ラインにおける前記第1位置と前記第2位置との前記差圧が前記閾値を上回った場合に、前記第1指令値に基づいて前記コンバスタ酸化剤流量調整装置を制御するように構成された、請求項4に記載のガス化炉設備。
【請求項8】
前記ガス化炉のリダクタ部又は前記ガス化炉のスラグホッパに前記酸化剤を供給するためのリダクタ等酸化剤供給ラインと、
前記ガス化炉の前記リダクタ部又は前記スラグホッパへ供給する前記酸化剤の流量であるリダクタ等酸化剤流量を調整するリダクタ等酸化剤流量調整装置と、
を更に備え、
前記制御装置は、前記燃料供給ラインにおける前記第1位置と前記第2位置との前記差圧が前記閾値を下回った場合に、前記コンバスタ酸化剤流量を減少させるとともに前記リダクタ等酸化剤流量を増加させるように前記コンバスタ酸化剤流量調整装置及び前記リダクタ等酸化剤流量調整装置を制御する、請求項2に記載のガス化炉設備。
【請求項9】
前記制御装置は、前記燃料供給ラインにおける前記第1位置と前記第2位置との前記差圧が前記閾値を下回った場合に、前記ガス化炉への酸化剤の流量を減少させるように前記コンバスタ酸化剤流量調整装置を制御する、請求項2に記載のガス化炉設備。
【請求項10】
前記制御装置は、前記切替信号を検出した場合に、前記コンバスタ酸化剤流量を減少させるように前記コンバスタ酸化剤流量調整装置を制御する、請求項1に記載のガス化炉設備。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、ガス化炉設備、ガス化複合発電設備及びガス化炉設備の運転方法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
炉内で燃料灰をスラグとして溶融処理するガス化炉では、微粉炭やバイオマス、廃棄物やチャー等が燃料として供給ホッパ等から搬送され、バーナにて周囲から空気又は酸素が投入されることで燃焼による高温雰囲気の確立と、理論酸素比以下の雰囲気でのガス化反応が進行される。上記反応が進行するガス化炉は、一般に周囲を水冷管から成る周壁管で構成される。また、その表面は耐火材もしくは連続流下してくる溶融スラグで通常は覆われている。
【0003】
ガス化反応させるために固体燃料量と酸素量の比率は理論酸素比よりも低い条件となるよう設定されガス化炉に通気される。しかし、それら固体燃料の搬送過程(ホッパからの排出、ストレーナの通過、分岐部や昇り/下り配管の通過等)や制御弁挙動、途中投入されるガス、分岐、供給ホッパ側の状態変化(保有量、切替)等により、比率が経時的に変化しうる。上記の燃料量と酸素量の比率が非定常的に変化することで、ガス化炉の酸素比が変動し、ガス温度が高い状態と低い状態を繰り返し変動することが生じうる。ガス温度が極端に高い状態に達すると、周壁水冷管に熱負荷変動とそれに伴う熱応力が生じ、管の損傷に繋がる可能性がある。また、水冷管の表面には、運転初期や安定条件下では溶融スラグや耐火材が強固に保持されているが、酸素比が変動してガス温度が高い状態となると、これらの一部が溶け出して薄くなったり、剥離及び脱落したりすることで、上記熱応力及び腐食の進行が顕著になる可能性がある。
【0004】
燃料搬送系統の流量調節弁によって流量を安定化させる必要があるが、制御対象である燃料流量自体は密度のバラつきを含んだ微粉燃料という固気二層流の物質であり、この燃料流量を燃料流量調節弁だけで一定に保つことは困難である。
【0005】
特許文献1には、負荷変動に対してガス化炉出口ガス温度の変動を抑えて安定したスラグ排出を維持することを目的とした、石炭ガス化装置の自己学習ファジィ制御方法が開示されている。具体的には、石炭と酸素を供給してガスを生成する石炭ガス化装置の制御方法であって、所定の酸素/石炭比に基づき石炭供給量デマンドに対する酸素供給量デマンドを求め、該酸素供給量デマンドを、ガス化炉出口ガス温度と該出口ガス温度設定値との間の偏差及び該偏差の変化率を用いて自己学習ファジィ制御器により補正して、ガス化炉に供給する酸素量を決定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2002-146366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の方法では、ガス化炉出口ガス温度と該出口ガス温度設定値との間の偏差及び該偏差の変化率に基づいてガス化炉に供給する酸素量を決定しているため、ガス化炉内の酸素比が上昇してガス温度が高い状態となってからガス化炉に供給する酸素量を減少させる制御を行うこととなる。このため、溶融スラグ等の剥離及び脱落を抑制する効果は限定的であり、ガス化炉に生じる熱疲労や腐食を抑制する効果も限定的である。
【0008】
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態は、ガス化炉の酸素比の上昇を抑制してガス化炉に生じる熱疲労及び腐食を抑制することができるガス化炉設備、ガス化複合発電設備及びガス化炉設備の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本開示の少なくとも一実施形態に係るガス化炉設備は、
炭素含有固体燃料と酸化剤とを用いて可燃性ガスを生成するためのガス化炉と、
前記ガス化炉に前記炭素含有固体燃料を供給する燃料供給ラインと、
前記ガス化炉のコンバスタ部に前記酸化剤を供給するための酸化剤供給ラインと、
前記酸化剤供給ラインに設けられ、前記ガス化炉のコンバスタ部へ供給する前記酸化剤の流量であるコンバスタ酸化剤流量を調整するためのコンバスタ酸化剤流量調整装置と、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
(a)前記燃料供給ラインの第1位置と前記燃料供給ラインにおける前記第1位置より下流側の第2位置との差圧、(b)前記ガス化炉に前記炭素含有固体燃料を供給する燃料ホッパを切り替えるための切替信号、又は(c)前記ガス化炉に供給する前記炭素含有固体燃料の流量の設定値と前記燃料供給ラインにおける前記炭素含有固体燃料の実流量を演算した実流量演算値との差分、の何れかに基づいて、前記コンバスタ酸化剤流量調整装置を制御するように構成され。
【発明の効果】
【0010】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、ガス化炉の酸素比の上昇を抑制してガス化炉に生じる熱疲労及び腐食を抑制することができるガス化炉設備、ガス化複合発電設備及びガス化炉設備の運転方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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