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公開番号2024179509
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-26
出願番号2023098410
出願日2023-06-15
発明の名称医療用磁気発生装置
出願人ニプロ株式会社
代理人弁理士法人深見特許事務所
主分類A61N 2/04 20060101AFI20241219BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】非侵襲であり、人体の頭部を直接刺激することなく簡便に脳に作用し、認知症やうつ病をはじめとする精神・神経疾患の治療または予防を行うことができる医療用磁気発生装置を提供する。
【解決手段】交番磁界を人体の頭部以外の部分に照射して渦電流を発生させ、精神・神経疾患の治療または予防を行う、医療用磁気発生装置。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
交番磁界を人体の頭部以外の部分に照射して渦電流を発生させ、精神・神経疾患の治療または予防を行う、医療用磁気発生装置。
続きを表示(約 400 文字)【請求項2】
1~3kHzの範囲内の周波数に制御された交番磁界を照射して渦電流を発生させる、請求項1に記載の医療用磁気発生装置。
【請求項3】
1~3kHzの範囲内の周波数に制御された交番磁界の出力磁束密度が10mT以下である、請求項2に記載の医療用磁気発生装置。
【請求項4】
1~3kHzの範囲内の周波数に制御された交番磁界に同期して、225~275MHzの範囲内の周波数に制御された交番磁界をさらに照射して渦電流を発生させる、請求項2に記載の医療用磁気発生装置。
【請求項5】
精神・神経疾患が、脳卒中、認知症、うつ病、統合失調症、パーキンソン病、てんかん、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症、線維筋痛症、適応障害および睡眠障害からなる群から選ばれる少なくともいずれかである、請求項1に記載の医療用磁気発生装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、磁界を人体の頭部以外の部分に照射することで、非侵襲かつ簡便に脳へ作用し、認知症やうつ病をはじめとする精神・神経疾患の治療または予防を行うための医療用磁気発生装置に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
精神・神経疾患とは、脳・脊髄・末梢神経などの機能障害を引き起こす病気の総称で、脳血管障害、認知障害、精神疾患、変性疾患、脱髄疾患、神経免疫疾患、中枢神経疾患、末梢神経疾患、筋疾患など多岐にわたり、それぞれ脳卒中、認知症、うつ病、統合失調症、パーキンソン病、てんかん、多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症などが含まれる。たとえば、うつ病を治療する方法として、経頭蓋治療用磁気刺激(rTMS:repetitive Transcranial Magnetic Stimulation)装置が存在する。Anke Post et al., "Transcranial magnetic stimulation as a therapeutic tool in psychiatry: what do we know about the neurobiological mechanisms?", (2001), Journal of Psychiatric Research, 35(4):193-215(非特許文献1)、Shinsuke Kito et al., "Regional cerebral blood flow changes after low-frequency transcranial magnetic stimulation of the right dorsolateral prefrontal cortex in treatment-resistant depression", (2008), Neuropsychobiology, 58(1): 29-36(非特許文献2)によれば、rTMS装置は、頭部に当てた磁気コイルから、非侵襲的に「左背外側前頭前野」に磁気刺激を与え、神経伝達物質の放出を促すことで脳内を活性化させるものであり、約40分の治療を週5回、計20~30回行うことで、うつ症状を軽減、消失する効果が期待される。
【0003】
図15は、rTMS装置による磁気刺激を模式的に示す図である。rTMS装置は、パルス磁場によってトリートメントコイル直下の領域の皮質内に電場が誘導され、誘導電場が局所的に渦電流を引き起こし、この皮質内に生じた渦電流により電荷がニューロン膜に蓄積される。ニューロンの電位が活性化されるほど電荷密度が十分に高くなった場合、神経伝達物質が放出される。規則的な刺激を繰り返し行うことで、生理学的変化をもたらし、うつ症状の改善が期待できる。
【0004】
しかしながら、rTMS装置を用いた治療では、高出力(装置により0.5T(テスラ)あるいは1.2~2.4T)の磁気を頭部に直接照射することから、頭痛、耳鳴り、めまい、不快感が比較的高頻度で認められ、重大な副作用として失神、けいれん発作も報告されるなど、侵襲度が高い。また、施術中は脳の局所に照射する為に頭部固定が必要で、拘束時間も長いなど、簡便ではないといった問題もある。高出力の磁気を発生させる為に大がかりな装置・コイルが必要であり、電磁防護の観点から施術場所が病院での使用に限られるなど、患者や施術者の負担も大きい。経頭蓋磁気刺激を用いたシステム、方法は、たとえば特開2020-36704号公報(特許文献1)にも提案されているが、同様の問題を抱えていると考えられる。
【0005】
また、人体の頭部以外の部分(これらの部分を「末梢」と総称する)を刺激する方法として、たとえば特開2021-166665号公報(特許文献2)には経皮的電気刺激(TENS:transcutaneous electrical nerve stimulation)が提案され、また、たとえば特開2022-134700号公報(特許文献3)には磁気刺激装置が、特開2013-103121号公報(特許文献4)にはリハビリ治療用磁気刺激装置が提案されている。しかしながら、これらはいずれも、筋の収縮を誘発する、末梢の制御を目的としたリハビリテーション用治療装置である。
【0006】
特開2022-168040号公報(特許文献5)には、末梢を電気刺激することで、脳に作用させ、振戦を治療するためのシステムが提案されている。また、末梢への2kHz付近(低周波)の電気刺激が、触覚神経であるAβ線維と同調して脊髄後角から延髄、中脳に伝導されることは以前より知られている。神経機能診断装置Neurometer
(商標)
(ニューロトロン社製)を用いた電流知覚閾値検査では2kHzの電流刺激によりAβ線維を選択的に興奮させることができる。Aβ線維は触覚(感覚神経)を脊髄後角灰白質の第III層に伝導する。しかしながら、この原理を利用した低周波治療器は、皮膚から筋肉に電気刺激を与えるため、皮膚での電気抵抗により不快感や刺激痛が生じるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2020-36704号公報
特開2021-166665号公報
特開2022-134700号公報
特開2013-103121号公報
特開2022-168040号公報
【非特許文献】
【0008】
Anke Post et al., "Transcranial magnetic stimulation as a therapeutic tool in psychiatry: what do we know about the neurobiological mechanisms?", (2001), Journal of Psychiatric Research, 35(4):193-215
Shinsuke Kito et al., "Regional cerebral blood flow changes after low-frequency transcranial magnetic stimulation of the right dorsolateral prefrontal cortex in treatment-resistant depression", (2008), Neuropsychobiology, 58(1): 29-36
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、非侵襲であり、人体の頭部を直接刺激することなく簡便に脳に作用し、認知症やうつ病をはじめとする精神・神経疾患の治療または予防を行うことができる医療用磁気発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の医療用磁気発生装置は、交番磁界を人体の頭部以外の部分に照射して渦電流を発生させ、精神・神経疾患の治療または予防を行うことを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

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