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公開番号
2024178551
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-25
出願番号
2023096762
出願日
2023-06-13
発明の名称
電子調光シート付きレンズの製造方法
出願人
住友ベークライト株式会社
代理人
個人
主分類
G02C
7/10 20060101AFI20241218BHJP(光学)
要約
【課題】電子調光シート付きレンズを製造するときに、射出樹脂中への異物の混入を抑制する技術を提供する。
【解決手段】両面に保護シート50が設けられたエレクトロクロミックシート150を準備する準備工程と、保護シート50を分離しエレクトロクロミックシート150の両面を露出させるシート面露出工程と、エレクトロクロミックシート150の表側の面または裏側の面のいずれかを、射出成形用の金型のキャビティ面に当たるようにして、エレクトロクロミックシート150を金型内に配置するシート配置工程と、金型のキャビティ内に樹脂材料を充填し成形する光学素子成形工程と、を有し、準備工程において準備されるエレクトロクロミックシート150の外縁近傍において、キャビティ面に当たる側の面91と側面93とが成す角θ1が、キャビティ面に当たらない側の面92と側面93とが成す角θ2よりも小さい、製造方法が提供される。
【選択図】図9
特許請求の範囲
【請求項1】
光学素子の表側の面に、電子調光シートの裏側の面を取り付けた電子調光シート付きレンズの製造方法であって、
表側の面および裏面の面に保護シートが設けられた電子調光シートを準備する準備工程と、
前記電子調光シートから前記保護シートを分離し、前記電子調光シートの表側の面および裏側の面を露出させるシート面露出工程と、
前記電子調光シートの表側の面または裏側の面のいずれかを、射出成形用の金型のキャビティ面に当たるようにして、前記電子調光シートを前記金型内に配置するシート配置工程と、
前記金型のキャビティ内に前記光学素子の樹脂材料を充填し成形する光学素子成形工程と、を有し、
前記準備工程において準備される前記電子調光シートの外縁近傍において、前記キャビティ面に当たる側の面と側面とが成す角が、前記キャビティ面に当たらない側の面と側面とが成す角よりも小さい、製造方法。
続きを表示(約 930 文字)
【請求項2】
前記キャビティ面に当たる側の面は、前記電子調光シートの表側の面である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記キャビティ面に当たる側の面は、前記電子調光シートの裏側の面である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記シート面露出工程と、前記シート配置工程の間に、前記電子調光シートを加熱して所定形状に変形させる熱曲げ工程を更に有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記光学素子成形工程において、前記金型に設けられるゲート口は、前記光学素子において前記電子調光シートの前記キャビティ面に当たらない側の面の端部近傍に相当する位置に設けられる、請求項1から3までのいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記準備工程は、前記電子調光シートを、表側の面が凸面となるように曲げ成形する曲面成形工程を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記準備工程は、前記電子調光シートを、裏側の面が凸面となるように曲げ成形する曲面成形工程を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記曲面成形工程で成形された前記電子調光シートにおいて前記キャビティ面に当たる側の面が呈する曲面が、前記光学素子成形工程に用いられる前記金型における前記電子調光シートが配置される領域の曲面と、一致している、請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
前記光学素子成形工程において、前記電子調光シートが前記金型に配置された状態で、前記電子調光シートの前記キャビティ面と当たる側の面と側面とが前記金型の内部に接触している、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記電子調光シートにおいて、前記光学素子の樹脂材料が積層される面の材料の線膨張係数α、室温25℃から射出成形工程における成形温度との温度差Δtとの積α・Δtが0.5以下である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子調光シート付きレンズの製造方法に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)
【背景技術】
【0002】
電圧を印加することで、可逆的に酸化還元反応が起こり、可逆的に色が変化する現象をエレクトロクロミズムと言い、近年、このエレクトロクロミズムを示すエレクトロクロミック材料を用いたエレクトロクロミック素子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このエレクトロクロミック素子は、例えば、プラス電圧の印加により発色がなされ、マイナス電圧の印加により消色して透明となることから、エレクトロクロミック素子に対して、プラス電圧とマイナス電圧との印加の切り替えを行うことが可能なスイッチを設けることで、エレクトロクロミック素子における発色と消色とを、任意のタイミングで行い得るようになる。
【0004】
エレクトロクロミック素子を備える電子調光シート(エレクトロクロミックシート)をレンズに設けることで、眼鏡、サングラスのようなアイウエアを、スイッチのON/OFFの切り替えにより、このアイウエアが備えるレンズおいて、発色と消色とを、任意のタイミングで切り替えが可能なものとし得ることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2020-106786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般に、樹脂性のレンズ本体の表面に電子調光シートを設けたレンズの製造は、電子調光シートを金型のキャビティ内に配置に配置し、レンズ用樹脂材料(射出樹脂)をキャビティ内に射出して成形する。このとき電子調光シートに異物が付着していると、製造された電子調光シート付きレンズが不良となってしまうことがある。特に調光シートとレンズ本体(射出樹脂の硬化物)との間に異物が混入してしまうと、異物の除去は不可能であって製品不良となってしまう。
【0007】
本発明の目的は、電子調光シート付きレンズを製造するときに、射出樹脂中への異物の混入を抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば以下の技術が提供される。
(1)
光学素子の表側の面に、電子調光シートの裏側の面を取り付けた電子調光シート付きレンズの製造方法であって、
表側の面および裏面の面に保護シートが設けられた電子調光シートを準備する準備工程と、
前記電子調光シートから前記保護シートを分離し、前記電子調光シートの表側の面および裏側の面を露出させるシート面露出工程と、
前記電子調光シートの表側の面または裏側の面のいずれかを、射出成形用の金型のキャビティ面に当たるようにして、前記電子調光シートを前記金型内に配置するシート配置工程と、
前記金型のキャビティ内に前記光学素子の樹脂材料を充填し成形する光学素子成形工程と、を有し、
前記準備工程において準備される前記電子調光シートの外縁近傍において、前記キャビティ面に当たる側の面と側面とが成す角が、前記キャビティ面に当たらない側の面と側面とが成す角よりも小さい、製造方法。
(2)
前記キャビティ面に当たる側の面は、前記電子調光シートの表側の面である、(1)に記載の製造方法。
(3)
前記キャビティ面に当たる側の面は、前記電子調光シートの裏側の面である、(1)に記載の製造方法。
(4)
前記シート面露出工程と、前記シート配置工程の間に、前記電子調光シートを加熱して所定形状に変形させる熱曲げ工程を更に有する、(1)から(3)までのいずれか1に記載の製造方法。
(5)
前記光学素子成形工程において、前記金型に設けられるゲート口は、前記光学素子において前記電子調光シートの前記キャビティ面に当たらない側の面の端部近傍に相当する位置に設けられる、(1)から(4)までのいずれか1に記載の製造方法。
(6)
前記準備工程は、前記電子調光シートを、表側の面が凸面となるように曲げ成形する曲面成形工程を有する、(1)から(5)までのいずれか1に記載の製造方法。
(7)
前記準備工程は、前記電子調光シートを、裏側の面が凸面となるように曲げ成形する曲面成形工程を有する、(1)から(5)までのいずれか1に記載の製造方法。
(8)
前記曲面成形工程で成形された前記電子調光シートにおいて前記キャビティ面に当たる側の面が呈する曲面が、前記光学素子成形工程に用いられる前記金型における前記電子調光シートが配置される領域の曲面と、一致している、(7)記載の製造方法。
(9)
前記光学素子成形工程において、前記電子調光シートが前記金型に配置された状態で、前記電子調光シートの前記キャビティ面と当たる側の面と側面とが前記金型の内部に接触している、(8)に記載の製造方法。
(10)
前記電子調光シートにおいて、前記光学素子の樹脂材料が積層される面の材料の線膨張係数α、室温25℃から射出成形工程における成形温度との温度差Δtとの積α・Δtが0.5以下である、(1)から(9)までのいずれか1に記載の製造方法。
(11)
前記保護シートは自己粘着性シートである、(1)から(10)までのいずれか1に記載の製造方法。
(12)
前記準備工程は、前記電子調光シートを製造するECシート製造工程を有し、
前記ECシート製造工程は、EC機能層と、前記EC機能層の表側の面に設けた第1の基材と、前記EC機能層の裏側の面に設けた第2の基材と、前記第1の基材の表側の面と前記第2の基材の裏側の面のそれぞれに設けられた前記保護シートとを有するシート母材に対して、厚さ方向に切断刃を向けて打ち抜き、所定形状の前記電子調光シートを製造する、(1)から(11)までのいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子調光シート付きレンズを製造するときに、射出樹脂中への異物の混入を抑制する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
実施形態のエレクトロクロミックシートを湾曲形状とした湾曲シートを有するレンズを備えるサングラスを示す斜視図である。
実施形態のエレクトロクロミックシートを湾曲形状とした湾曲シートを有するレンズの製造方法を説明するための模式図である。
実施形態のエレクトロクロミックシートを示す平面図である。
実施形態の図3に示すエレクトロクロミックシートの主要部分におけるA-A線縦断面図である。
実施形態の湾曲シートを有するレンズを示す平面図である。
実施形態の図5に示すレンズの主要部分におけるB-B線縦断面図である。
実施形態のエレクトロクロミックシートの縦断面図である。
実施形態の保護シートを貼付したエレクトロクロミックシートの断面図である。
実施形態の打ち抜き時のエレクトロクロミックシートの断面図である。
実施形態の打ち抜き時に端面に異物が付着することを説明するエレクトロクロミックシートの断面図である。
実施形態の樹脂層成形工程において金型に樹脂材料を射出して樹脂層(光学素子)を成形することを説明する図である。
実施形態のエレクトロクロミックシートの鈍角の角部側の面が湾曲凹面に密着するように配置したときに異物が混入してしまうことを説明する図である。
実施形態のエレクトロクロミックシートの鈍角の角部側の面が湾曲凹面に密着するように配置したときに異物が混入してしまうことを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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