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公開番号
2024177789
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-24
出願番号
2023096125
出願日
2023-06-12
発明の名称
ホール輸送材料及びホール輸送材料を用いた太陽電池
出願人
株式会社アイシン
代理人
弁理士法人R&C
主分類
H10K
30/50 20230101AFI20241217BHJP()
要約
【課題】優れたホール輸送特性を安定的に示すホール輸送材料の提供。また、ホール輸送材料を安価に提供。更に、電池性能の高い太陽電池を安価に提供。
【解決手段】一般式(1)で表されるドナー-アクセプター-ドナー型構造を有し、非置換又は置換の直鎖状のチオフェンオリゴマーとして構成し、一般式(1)中、Zは、2~11の整数の繰り返し単位であり、R
A1
及びR
A2
は、それぞれ独立して、-H又は-C
m
H
2m+1
基であり、ここで、m=1~12の整数であり、Z個の()内の繰り返し単位毎にR
A1
及びR
A2
は同一又は異なっていてもよく、チオフェンオリゴマー構造の両端にD部が導入された化合物であるホール輸送材料、及び、ホール輸送材料を用いた太陽電池。
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【選択図】図9
特許請求の範囲
【請求項1】
下記の一般式(1)で表されるドナー-アクセプター-ドナー(D-A-D)型構造を有するホール輸送材料。
TIFF
2024177789000036.tif
51
169
〔一般式(1)中、
2つのD部は、同一の構造を有する領域であり、
各D部は、下記の基(I)、基(II)、基(III)、基(IV)、及び、基(V)から選択される1つの構造を有し、
TIFF
2024177789000037.tif
101
169
(基(I)中、
XとYは、それぞれ独立して、0、1、2の何れかの整数である
R
1
は、-H、-C
n
H
2n+1
、-O-C
n
H
2n+1
、及び、-S-C
n
H
2n+1
から選択され、ここで、n=1~8の整数であり、
R
3
は、-H、-C
n
H
2n+1
、-O-C
n
H
2n+1
、及び、-S-C
n
H
2n+1
から選択され、ここで、n=1~8の整数であり、
ただし、R
1
とR
3
は、同時に-Hであることはなく、
R
2a1
、R
2a2
、R
2b1
、及び、R
2b2
は、それぞれ独立して、-H、-F、及び、-CF
3
から選択され、ここで、R
2a1
とR
2a2
は、少なくとも一方が-Hであり、R
2b1
とR
2b2
は、少なくとも一方が-Hである。)
TIFF
2024177789000038.tif
101
169
(基(II)中、
XとYは、それぞれ独立して、0、1、2の何れかの整数である
R
1
は、-H、-C
n
H
2n+1
、-O-C
n
H
2n+1
、及び、-S-C
n
H
2n+1
から選択され、ここで、n=1~8の整数であり、
R
3
は、-H、-C
n
H
2n+1
、-O-C
続きを表示(約 860 文字)
【請求項2】
Z個の()内の繰り返し単位内の全てのR
A1
は-C
m
H
2m+1
基であり、全てのR
A2
は-Hである、又は、Z個の()内の繰り返し単位内の全てのR
A1
は-Hであり、Z個の()内の繰り返し単位内の全てのR
A2
は-C
m
H
2m+1
基である、請求項1に記載のホール輸送材料。
【請求項3】
R
A1
及びR
A2
が-C
m
H
2m+1
基を選択する場合に、-C
m
H
2m+1
基がn-へキシル基である請求項1に記載のホール輸送材料。
【請求項4】
Zが、3又は5である請求項1に記載のホール輸送材料。
【請求項5】
D部が、テトラキス-4-メトキシフェニルカルバゾールである請求項1に記載のホール輸送材料。
【請求項6】
以下の一般式(2)で表される、請求項1に記載のホール輸送材料。
TIFF
2024177789000043.tif
109
169
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載のホール輸送材料を用いた太陽電池であって、
透明導電膜を有する基板、
電子を前記透明導電膜に受け渡し、かつ逆電子移動を防止するブロッキング層、
光によって励起して前記電子を発生するペロブスカイト層を多孔質半導体に積層させて形成される発電層、
前記ペロブスカイト層から発生したホールが通過し、前記ホール輸送材料を有するホール輸送層、の順に積層される積層体と、
前記透明導電膜を介して前記電子を放出する光電極、及び、前記ホール輸送層の表面に設けられた対向電極で構成される電極と、を備えている、太陽電池。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホール輸送材料及びホール輸送材料を用いた太陽電池に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)
【背景技術】
【0002】
太陽電池には、シリコン系、化合物半導体、有機半導体などの素子を用いたものが一般的であるが、高い光捕集能に加え、薄膜化や低コスト化の可能なハイブリッド型太陽電池(ペロブスカイト太陽電池)が注目されている。
【0003】
非特許文献1には、透明導電膜付きガラス基板と、緻密な二酸化チタン(TiO
2
)膜からなるブロッキング層と、光によって励起して電子を発生するペロブスカイト化合物として臭化鉛(PbBr
2
)、ヨウ化鉛(PbI
2
)、メチルアミン臭化水素酸塩(CH
5
N・HBr:以下、「MABr」と略する場合がある)、及び、ホルムアミジンヨウ化水素酸塩(CH
4
N
2
・HI:以下、「FAI」と略する場合がある)を多孔質の二酸化チタン(TiO
2
)に積層させて形成される発電層と、ホール輸送層と、電極とを備えたペロブスカイト太陽電池が示されている。
【0004】
この発電層は、混合ハロゲン化物(FAPbI
3
)
0.85
(MAPbBr
3
)
0.15
ペロブスカイト層として形成されている。
【0005】
従来において、ホール輸送層に用いられるホール輸送材料として、下記の一般式(A)で表される2,2´,7,7´-テトラキス(N,N´-ジ-p-メトキシフェニルアミノ)-9,9´-スピロビフルオレン(2,2',7,7'-tetrakis(N,N'-di-p-methoxyphenylamine)-9,9'-spirobifluorene(一般呼称「spiro-OMeTAD」、以下、本呼称を使用))が汎用されている。ペロブスカイト化合物の結晶が光を吸収することによって電子とホールを生じる。ホールは、ホール輸送材料により対向電極に輸送され、電子は光電極に移動するといったサイクルを繰り返すことで発電する。
【0006】
TIFF
2024177789000002.tif
96
169
【0007】
spiro-OMeTADは市販されており入手が容易であるが、非特許文献1でも報告される通り、spiro-OMeTADには、合成及び精製工程数が多く要求されることから本質的に低コスト化が困難であるとの問題点があった。更に、ホール移動度が比較的低い、ホール輸送材料として効率的かつ安定的に機能するためにはコバルト錯体等のドーパントを要する等の問題点もあった。また、spiro-OMeTADをホール輸送材料として太陽電池に組み込んだ際に高い初期性能を発揮し得るが、その持続性に問題があった。そのため、低コストに提供でき、かつ、効率的かつ安定的なホール輸送効果を奏するホール輸送材料の研究が進められている。
【0008】
そこで、非特許文献1では、新規なホール輸送材料として、アクセプター(以下、「A」という)部にカルバゾール環、ドナー(以下、「D」という)部にトリフェニルジメトキアミノ基を有し、これらがドナー-アクセプター-ドナー型(以下、「D-A-D型」という)構造に連結した下記の一般式(B)で表されるLD29と呼称される化合物が報告されている。かかるLD29をホール輸送材料として利用した太陽電池においてドーパントフリーでは変換効率が14.29%であったが、ドーパントとしてリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、「LiTFSI」と称する場合がある)、4-tert-ブチルピリジン(TBP)、コバルト錯体(FK209)を添加すると変換効率が18.0%に改善され、spiro-OMeTADに匹敵する変換効率が得られている。
【0009】
TIFF
2024177789000003.tif
103
169
【0010】
LD29において、溶媒への溶解性を向上させるためにA部を構成するカルバゾール環に置換基を導入する必要があり、置換基として4-(ビス(4-メトキシフェニル)アミノ)フェニル基が導入されている。しかし、このようなホールの輸送に関わらない置換基を分子に導入することにより、当該分子をホール輸送材料としてホール輸送層を形成した際に、分子間でのホールの授受が阻害される可能性が考えられる。これにより、LD29の分子内でのホール輸送能力が低下し、LD29をホール輸送材料として使用する太陽電池において十分な太陽電池効率を得ることが難しいことが想定される。また、当該太陽電池は、時間の経過と共に太陽電池効率が低下する等、その耐久性の面での課題があった。これは、ホール輸送材料にドーパントとして添加されたLiTFSIに含まれるリチウムイオンがホール輸送層の外に拡散してしまうことや、LiTFSI自体に強い吸湿性があること等に起因するものであると考えられる。
(【0011】以降は省略されています)
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