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公開番号
2024172510
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-12
出願番号
2023090276
出願日
2023-05-31
発明の名称
被覆金属材の耐食性試験方法、耐食性試験装置、耐食性試験用プログラム及び記録媒体
出願人
マツダ株式会社
代理人
弁理士法人前田特許事務所
主分類
G01N
33/2045 20190101AFI20241205BHJP(測定;試験)
要約
【課題】試験対象個所の姿勢に拘わらず、耐食性試験の精度及び信頼性を向上できる被覆金属材の耐食性試験方法、耐食性試験装置、耐食性試験用プログラム及び記録媒体をもたらす。
【解決手段】鋼板2に電着塗膜4が設けられてなる被覆金属材1の耐食性試験方法であって、試験対象個所Eにおいて電着塗膜4に接触するように含水材料6を保持する容器11と、含水材料6に接触する電極12と、を配置するとともに、電極12及び鋼板2間を外部回路7により電気的に接続する準備ステップS1と、通電手段8により、電極12及び鋼板2を、それぞれアノード及びカソードとして両者間に通電することにより、被覆金属材1の腐食を進行させる通電ステップS3と、腐食の進行度合いを算出する算出ステップS4と、試験対象個所Eの姿勢に基づいて、腐食の進行度合いを補正する補正ステップS5と、腐食の進行度合いの補正値に基づいて、被覆金属材1の耐食性を評価する評価ステップS6と、を備える。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
金属製基材に表面処理膜が設けられてなる被覆金属材の耐食性試験方法であって、
上記被覆金属材の試験対象個所において上記表面処理膜に接触するように含水材料を保持する1つ又は2つの容器と、該1つの容器に収容された上記含水材料に接触する1つの電極又は該2つの容器の各々に収容された上記含水材料にそれぞれ接触する2つの電極と、を配置するとともに、上記電極及び上記金属製基材間、又は、上記2つの電極間を外部回路により電気的に接続する準備ステップと、
上記外部回路上に設けられた通電手段により、上記電極及び上記金属製基材、又は、上記2つの電極の一方及び他方を、それぞれアノード及びカソードとして両者間に通電することにより、上記被覆金属材の腐食を進行させる通電ステップと、
上記通電ステップにおける上記腐食の進行度合いを算出する算出ステップと、
上記試験対象個所の姿勢に基づいて、上記腐食の進行度合いを補正する補正ステップと、
上記腐食の進行度合いの補正値に基づいて、上記被覆金属材の耐食性を評価する評価ステップと、を備えた
ことを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
続きを表示(約 1,800 文字)
【請求項2】
請求項1において、
上記試験対象個所の姿勢は、該試験対象個所の基準姿勢からの傾斜角度で表され、
上記基準姿勢は、上記被覆金属材を上記表面処理膜が上側となるように配置した状態で、上記試験対象個所が略水平方向となる姿勢である
ことを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
【請求項3】
請求項2において、
上記準備ステップで、上記傾斜角度を計測しておき、
上記補正ステップで、予め試験的に求めておいた上記傾斜角度と上記腐食の進行度合いとの相関関係と、上記準備ステップで計測した上記傾斜角度と、に基づいて、上記腐食の進行度合いを補正する
ことを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
【請求項4】
請求項3において、
上記相関関係は、上記傾斜角度に対して上記腐食の進行度合いが比例的に減少する関係であり、
上記補正ステップで、下記式(1)に基づいて、上記腐食の進行度合いを補正する
A
0
=A+aθ ・・・(1)
但し、式(1)中、A
0
は上記補正値、Aは上記腐食の進行度合い、aは上記相関関係の傾き、θは上記傾斜角度(0°≦θ≦90°)である
ことを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
【請求項5】
請求項3において、
上記相関関係は、上記傾斜角度に対して上記腐食の進行度合いが比例的に減少する関係であり、
上記補正ステップで、下記式(2)に基づいて、上記腐食の進行度合いを補正する
A
0
=A/[1-(a/b)]×θ ・・・(2)
但し、式(2)中、A
0
は上記補正値、Aは上記腐食の進行度合い、aは上記相関関係の傾き、bは上記相関関係の切片、θは上記傾斜角度(0°≦θ≦90°)である
ことを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
【請求項6】
請求項1又は請求項2において、
上記被覆金属材は、上記試験対象個所において、上記表面処理膜を貫通して上記金属製基材に達する1箇所又は2箇所の傷を備えており、
上記容器は、上記含水材料が上記1箇所の傷又は上記2箇所の傷に接触するように配置される
ことを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
【請求項7】
請求項6において、
上記通電ステップで、上記被覆金属材の腐食の進行は、上記傷の周りで発生する上記表面処理膜の膨れとして現れるものであり、
上記算出ステップで、上記表面処理膜の膨れの大きさに基づいて、上記腐食の進行度合いを算出する
ことを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
【請求項8】
請求項1又は請求項2において、
上記通電ステップで、上記電極及び上記金属製基材間、又は、上記2つの電極間に直流の定電流を印加する
ことを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
【請求項9】
請求項1又は請求項2において、
上記表面処理膜は、樹脂塗膜である
ことを特徴とする被覆金属材の耐食性試験方法。
【請求項10】
金属製基材に表面処理膜が設けられてなる被覆金属材の耐食性試験装置であって、
上記被覆金属材の試験対象個所において上記表面処理膜に接触するように含水材料を保持する1つ又は2つの容器と、
上記1つの容器に収容された上記含水材料に接触する1つの電極又は上記2つの容器の各々に収容された上記含水材料にそれぞれ接触する2つの電極と、
上記電極及び上記金属製基材間、又は、上記2つの電極間を電気的に接続する外部回路と、
上記外部回路上に設けられ、上記電極及び上記金属製基材、又は、上記2つの電極の一方及び他方を、それぞれアノード及びカソードとして両者間に通電する通電手段と、
上記通電により進行した上記被覆金属材の腐食の進行度合いを算出する算出部と、
上記試験対象個所の姿勢に基づいて、上記腐食の進行度合いを補正する補正部と、
上記腐食の進行度合いの補正値に基づいて、上記被覆金属材の耐食性を評価する評価部と、を備えた
ことを特徴とする被覆金属材の耐食性試験装置。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、被覆金属材の耐食性試験方法、耐食性試験装置、耐食性試験用プログラム及び記録媒体に関する。
続きを表示(約 1,300 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、塗膜性能を評価する手法として複合サイクル試験、塩水噴霧試験等の腐食促進試験が行われている。
【0003】
しかし、かかる腐食促進試験においては、評価に数ヶ月を要するため、例えば塗装鋼板の構成材料や焼付条件の異なる塗膜の状態を簡便に評価し、塗装条件の最適化等を迅速に行うことが困難である。従って、材料開発、塗装工場の工程管理、車両防錆に係る品質管理の場において、塗装鋼板の耐食性を迅速且つ簡便に評価する定量評価法の確立が望まれている。
【0004】
これに対して、特許文献1には、被覆金属材の塗膜表面側に電解質材料を介して電極を配置し、被覆金属材の基材と塗膜表面との間に電圧を印加し、塗膜が絶縁破壊するときの電圧値に基づいて、被覆金属材の耐食性を評価することが記載されている。
【0005】
特許文献2には、電解質溶液を充填可能であって、内部に金属試料が配置される試験槽と、前記試験槽の内部に挿入可能な圧子と、前記金属試料及び前記圧子の端面の傾きを測定可能な傾き測定装置と、を備える、腐食試験装置が開示されている。そして、当該装置により金属試料の表面に均一な厚さの水膜を形成しつつ電気化学測定を行うことができると記載されている。
【0006】
特許文献3には、セル本体が、ペースト状の電解質溶液を保持する一定の大きさの開口部及び該電解質溶液が乾燥するのを防ぐためのカバーを備えたマグネットシートであり、該開口部に分極の小さい対極材が設置され、更にセル全体が導電性遮蔽材料で覆われ、該導電性遮蔽材料が高絶縁材を介して塗膜上に着脱自在に保持され、アースされた電気化学的測定セル及びこれを用いた電気化学的測定方法が記載されている。そして、当該セル及び方法によれば、曲面、凹凸の激しい面、垂直面、下向き面等、被塗面の状態を問わず測定することができ、かつ外部ノイズの影響を避けられ、正確な測定をすることができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2016-50915号公報
特開2021-085692号公報
特開2003-344332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1~3のように、被覆金属材の耐食性を迅速且つ簡便に評価する定量評価法として種々の方法が開発されている。しかしながら、測定試料の姿勢や形状により、測定精度にばらつきが出るという問題があった。
【0009】
この点、特許文献3の技術では、測定セル自体の構成により、測定試料の姿勢や形状によらず測定精度を担保するようにしている。
【0010】
しかしながら、試験中、化学反応によりガスが発生する場合には、測定試料の姿勢や形状によって当該ガスの抜け性が異なり、測定精度に影響を及ぼすおそれがある。従来技術ではこのようなガスの抜け性を考慮していないため、測定精度向上の観点から、改善の余地がある。
(【0011】以降は省略されています)
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