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公開番号2024169121
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-05
出願番号2023086335
出願日2023-05-25
発明の名称潜熱蓄熱材装填物、及び潜熱蓄熱材装填物の製造方法
出願人東邦瓦斯株式会社
代理人弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
主分類F28D 20/02 20060101AFI20241128BHJP(熱交換一般)
要約【課題】収容部材の内部に装填された潜熱蓄熱材に、相変化に伴う体積変態が生じても、収容部材の端部に及ぼす応力負荷の影響を抑制することができる潜熱蓄熱材装填物、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】潜熱蓄熱材装填物1は、相変化に伴う潜熱の出入りを利用して、蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材10を、収容部材30の内部空間31Sに漏れなく装填してなる潜熱蓄熱材装填物において、潜熱蓄熱材10は、内部空間31Sをなす収容部材30の端部32aとの間に緩衝材20を介在させた状態で、内部空間31Sに装填されている。緩衝材20は、液相状態の潜熱蓄熱材10とは非親和性をなす物質からなる。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
相変化に伴う潜熱の出入りを利用して、蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材を、収容部材の内部空間に漏れなく装填してなる潜熱蓄熱材装填物において、
前記潜熱蓄熱材は、前記内部空間をなす前記収容部材の端部との間に緩衝材を介在させた状態で、前記内部空間に装填されていること、
前記緩衝材は、液相状態の前記潜熱蓄熱材とは非親和性をなす物質からなること、
を特徴とする潜熱蓄熱材装填物。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
請求項1に記載する潜熱蓄熱材装填物において、
前記収容部材は、前記潜熱蓄熱材を充填するための開口を有した筒状体、または袋状体に形成され、前記潜熱蓄熱材と前記緩衝材とが、溶着または接着により、前記収容部材の前記開口を封止した状態で、前記内部空間に装填されていること、
前記緩衝材は、前記収容部材のうち、溶着または接着を施した封止部と隣接して配されていること、
を特徴とする潜熱蓄熱材装填物。
【請求項3】
請求項2に記載する潜熱蓄熱材装填物において、
前記封止部が複数箇所にある場合、前記緩衝材は、全箇所の前記封止部のうち、少なくとも一箇所の前記封止部を対象に配されていること、
を特徴とする潜熱蓄熱材装填物。
【請求項4】
請求項1に記載する潜熱蓄熱材装填物において、
前記潜熱蓄熱材は、無機塩水和物、包摂水和物、及び糖アルコールのうち、少なくとも1種を主成分とした蓄熱材であること、
を特徴とする潜熱蓄熱材装填物。
【請求項5】
請求項4に記載する潜熱蓄熱材装填物において、
前記緩衝材は、無機塩、または無機酸化物であること、
を特徴とする潜熱蓄熱材装填物。
【請求項6】
請求項5に記載する潜熱蓄熱材装填物において、
前記緩衝材は、前記潜熱蓄熱材の結晶化の誘起を促す過冷却防止剤として作用する物質であること、
を特徴とする潜熱蓄熱材装填物。
【請求項7】
相変化に伴う潜熱の出入りを利用して、蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材を、収容部材の内部空間に漏れなく装填してなる潜熱蓄熱材装填物の製造方法において、
液相状態の前記潜熱蓄熱材とは非親和性をなす緩衝材を有し、
前記内部空間をなす前記収容部材の端部と、前記内部空間に充填する前記潜熱蓄熱材との間に、前記緩衝材を介在させること、
を特徴とする潜熱蓄熱材装填物の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載する潜熱蓄熱材装填物の製造方法において、
前記収容部材は、前記潜熱蓄熱材を充填するための開口を有した筒状体、または袋状体に形成されており、前記緩衝材を、前記収容部材のうち、溶着または接着を施した封止部と隣接した部位に、前記開口から充填して配すること、
前記緩衝材と前記潜熱蓄熱材とを前記内部空間に充填後、溶着または接着により、前記収容部材の前記開口を封止すること、
を特徴とする潜熱蓄熱材装填物の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載する潜熱蓄熱材装填物の製造方法において、
前記潜熱蓄熱材装填物が設置された条件の下、前記収容部材は、鉛直方向に沿った方向に対し、上下による位置関係で対向した上下2箇所の前記封止部を有し、
前記緩衝材は、前記上下2箇所の前記封止部のうち、下側に位置する前記封止部である下側封止部に、少なくとも配され、前記下側封止部側に配する前記緩衝材は、前記潜熱蓄熱材より大きい比重をなす物質であること、
を特徴とする潜熱蓄熱材装填物の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載する潜熱蓄熱材装填物の製造方法において、
前記上下2箇所の前記封止部のうち、上側に位置する前記封止部である上側封止部に、前記緩衝材を配する場合に、
前記上側封止部側に配する前記緩衝材は、前記潜熱蓄熱材より小さい比重をなす物質であること、
を特徴とする潜熱蓄熱材装填物の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄熱または放熱を行う潜熱蓄熱材や、このような潜熱蓄熱材に添加剤を配合した潜熱蓄熱材組成物を、収容部材の内部空間に装填してなる潜熱蓄熱材装填物、及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
潜熱蓄熱材(PCM:Phase Change Material)は、相変化に伴う潜熱の出入りを利用して蓄熱または放熱を行う物性を有しており、予め排熱等の熱を蓄熱し、蓄えた熱を必要に応じて取り出すことで、エネルギが無駄なく有効に活用できる。潜熱蓄熱材は、収容部材の内部空間に漏れなく装填され、収容部材内での密閉性を高めた状態で使用される。潜熱蓄熱材は、収容部材内で相変化を生じ、固相状態から液相状態に変化する際に潜熱を蓄え、固相状態から液相状態に変化する際に潜熱を放熱する。潜熱蓄熱材は、潜熱を蓄熱し、蓄えた潜熱を放熱する熱の移動サイクルを、複数回に亘って繰り返することができる。このような潜熱蓄熱材を収容部材内に装填して構成された潜熱蓄熱材装填物として、その一例が、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1は、本出願人による特許出願で開示された技術であり、無機塩水和物に含む水和水を脱離した無水和物と、加えた水とを、容器内で水和反応させることにより、蓄熱材となる無機塩水和物を生成し、容器内に封入する蓄熱材の容器内封入方法である。特許文献1では、無水和物の容器への充填前、隣接する粉末同士の間にあった間隙は水和反応時に、容器に加えた水で満たされるため、容器の容積に対し、蓄熱材が占める体積充填率は、粉末状の無機塩水和物を容器内に直に充填した場合に比べ、大幅に向上している。従って、間隙の発生が抑制され、蓄熱材と蓄熱槽内の熱媒体との間で、熱伝導に要する時間の短縮化ができているため、蓄熱材の伝熱性能の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2018-77035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、蓄熱材の伝熱性能を向上させる上で、有効性の高い技術である。しかしながら、本出願人は、潜熱蓄熱材に関する技術開発を継続して進めていく中で、収容部材内に装填した潜熱蓄熱材を使用するにあたり、特許文献1の技術を含め、従来の潜熱蓄熱材装填物に、新たな技術的な課題を見出した。
【0006】
すなわち、潜熱蓄熱材は、熱の移動サイクルを、複数回に亘って繰り返して使用されるのが一般的であり、密閉された状態の収容部材の内部空間では、潜熱蓄熱材は、液相と固相との間で可逆的な相変化を、何度も繰り返す。また、密閉された状態の収容部材の内部空間で、潜熱蓄熱材が、固相から液相に相変化すると、潜熱蓄熱材は膨張し、固相状態と液相状態との密度差に起因して、潜熱蓄熱材の体積変態化が生じる。この体積変態化で、液相状態下の潜熱蓄熱材の体積は、固相状態下との対比で10%程増加する。
【0007】
他方で、潜熱蓄熱材は、収容部材に薄い樹脂製袋を用いて袋内に充填され、融着により袋の端部を封止して装填されることもある。このような場合、潜熱蓄熱材が、液相と固相との間で可逆的な相変化を起こし、膨張・収縮を繰り返すことで、潜熱蓄熱材を装填した樹脂製袋には、大きな応力負荷が作用する。そのため、潜熱蓄熱材では、熱の移動サイクルが複数回に亘って繰り返されると、応力集中を生じ易い融着部では、疲労破壊が経時的に発生して、装填していた潜熱蓄熱材が、樹脂製袋の外に漏洩してしまう虞があった。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、収容部材の内部に装填された潜熱蓄熱材に、相変化に伴う体積変態が生じても、収容部材の端部に及ぼす応力負荷の影響を抑制することができる潜熱蓄熱材装填物、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る潜熱蓄熱材装填物、及びその製造方法は、以下の構成を有する。
【0010】
(1)相変化に伴う潜熱の出入りを利用して、蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材を、収容部材の内部空間に漏れなく装填してなる潜熱蓄熱材装填物において、前記潜熱蓄熱材は、前記内部空間をなす前記収容部材の端部との間に緩衝材を介在させた状態で、前記内部空間に装填されていること、前記緩衝材は、液相状態の前記潜熱蓄熱材とは非親和性をなす物質からなること、を特徴とする。
(2)(1)に記載する潜熱蓄熱材装填物において、前記収容部材は、前記潜熱蓄熱材を充填するための開口を有した筒状体、または袋状体に形成され、前記潜熱蓄熱材と前記緩衝材とが、溶着または接着により、前記収容部材の前記開口を封止した状態で、前記内部空間に装填されていること、前記緩衝材は、前記収容部材のうち、溶着または接着を施した封止部と隣接して配されていること、を特徴とする。
(3)(2)に記載する潜熱蓄熱材装填物において、前記封止部が複数箇所にある場合、前記緩衝材は、全箇所の前記封止部のうち、少なくとも一箇所の前記封止部を対象に配されていること、を特徴とする。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載する潜熱蓄熱材装填物において、前記潜熱蓄熱材は、無機塩水和物、包摂水和物、及び糖アルコールのうち、少なくとも1種を主成分とした蓄熱材であること、を特徴とする。
(5)(4)に記載する潜熱蓄熱材装填物において、前記緩衝材は、無機塩、または無機酸化物であること、を特徴とする。
(6)(5)に記載する潜熱蓄熱材装填物において、前記緩衝材は、前記潜熱蓄熱材の結晶化の誘起を促す過冷却防止剤として作用する物質であること、を特徴とする。
(7)相変化に伴う潜熱の出入りを利用して、蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材を、収容部材の内部空間に漏れなく装填してなる潜熱蓄熱材装填物の製造方法において、液相状態の前記潜熱蓄熱材とは非親和性をなす緩衝材を有し、前記内部空間をなす前記収容部材の端部と、前記内部空間に充填する前記潜熱蓄熱材との間に、前記緩衝材を介在させること、を特徴とする。
(8)(7)に記載する潜熱蓄熱材装填物の製造方法において、前記収容部材は、前記潜熱蓄熱材を充填するための開口を有した筒状体、または袋状体に形成されており、前記緩衝材を、前記収容部材のうち、溶着または接着を施した封止部と隣接した部位に、前記開口から充填して配すること、前記緩衝材と前記潜熱蓄熱材とを前記内部空間に充填後、溶着または接着により、前記収容部材の前記開口を封止すること、を特徴とする。
(9)(8)に記載する潜熱蓄熱材装填物の製造方法において、前記潜熱蓄熱材装填物が設置された条件の下、前記収容部材は、鉛直方向に沿った方向に対し、上下による位置関係で対向した上下2箇所の前記封止部を有し、前記緩衝材は、前記上下2箇所の前記封止部のうち、下側に位置する前記封止部である下側封止部に、少なくとも配され、前記下側封止部側に配する前記緩衝材は、前記潜熱蓄熱材より大きい比重をなす物質であること、を特徴とする。
(10)(9)に記載する潜熱蓄熱材装填物の製造方法において、前記上下2箇所の前記封止部のうち、上側に位置する前記封止部である上側封止部に、前記緩衝材を配する場合に、前記上側封止部側に配する前記緩衝材は、前記潜熱蓄熱材より小さい比重をなす物質であること、を特徴とする。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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