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公開番号
2024055440
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-04-18
出願番号
2022162369
出願日
2022-10-07
発明の名称
冷媒液注入及び封止方法
出願人
個人
代理人
個人
主分類
F28D
15/02 20060101AFI20240411BHJP(熱交換一般)
要約
【課題】注入口における注入ノズルの解放から、封止部材の圧着に至るまでの間に、ヒートパイプの注入口からの冷媒液の排出の程度を桁違いに小さい状態とするか又は流出を防止する構成の提供。
【解決手段】冷媒液の流動を予定しているウイック、及び当該ウイックに隣接している蒸気流動部を、上板、下板、又は上板、中板、下板、及び周囲壁によって囲んでいるヒートパイプ1において、ヒートパイプ1が投入されたチャンバー2に対する真空脱気、ヒートパイプ1に対する冷媒液の注入、注入後の注入口11に対する封止部材5の圧着に至るステップを採用し、かつ前記注入と前記圧着の間に、チャンバー2内の気圧を、ヒートパイプ1内にて形成されている冷媒液の飽和蒸気圧と同一の気圧に調整するステップを採用することによって、前記課題を達成する冷媒液注入及び封止方法。
【選択図】図1(d)
特許請求の範囲
【請求項1】
冷媒液の毛細管現象を伴う流動を予定しているウイック、及び当該ウイックの隣接領域にて冷媒蒸気の流動を予定している蒸気流動部を、上板、下板、又は上板、中板、下板、及び周囲壁によって囲んでおり、かつ加熱された対象物の冷却に使用するヒートパイプにおいて、以下のステップを採用している冷媒液注入及び封止方法。
1 ヒートパイプのチャンバー内への投入。
2 真空ポンプによるチャンバーに対する真空脱気の開始及び継続。
3 冷媒液供給機と連通している注入器の先端に備えられている注入ノズルからのヒートパイプの注入口に対する冷媒液の注入及び注入完了段階における注入器に備えられている開閉弁の閉鎖。
4 チャンバーに対する空気又は窒素ガスの流入によって、チャンバー内の気圧を、ヒートパイプ内にて形成されている冷媒液の飽和蒸気圧と同一の気圧状態とする調整。
5 注入ノズルのヒートパイプの注入口からの解放。
6 チャンバー内におけるヒートパイプの封止部材搭載装置の位置への移動並びに1個の封止部材の注入口への配置。
7 ヒートパイプの加圧ロッドの位置への移動。
8 加圧ロッドの封止部材に対する加圧に基づく当該加圧部材の注入口への圧着。
9 加圧ロッドの封止部材からの解放及びヒートパイプのチャンバーからの脱出。
続きを表示(約 820 文字)
【請求項2】
ステップ7とステップ8の間に、以下のステップを採用していることを特徴とする請求項1記載の冷媒液注入及び封止方法。
加圧ロッドがステップ6によって配置された封止部材を上側からの接触によって留着した上で、ステップ4によって流入したチャンバーに対する空気又は窒素ガスの脱気によって、ステップ4の気圧状態とステップ2の真空脱気による気圧状態との中間の気圧状態に至る減圧によるステップ5の解放からステップ6への配置の間に、注入口内部付近に流入した空気又は窒素ガスの排出。
【請求項3】
減圧によるチャンバー内の気圧状態が常温にて500~1500Paであることを特徴とする請求項2記載の冷媒液注入及び封止方法。
【請求項4】
ステップ3による注入量を、冷媒液の注入過程において設置した流量計の積算量を基準として、ヒートパイプにおける冷媒液の収容量に対応して一定とすることを特徴とする請求項1記載の冷媒液注入及び封止方法。
【請求項5】
冷媒液供給機と注入器との間に流量計を設置することを特徴とする請求項4記載の冷媒液注入及び封止方法。
【請求項6】
注入器において開閉弁と注入ノズルとの間に流量計を設置することを特徴とする請求項4記載の冷媒液注入及び封止方法。
【請求項7】
チャンバー及びヒートパイプを所定の温度に設定した上で、ステップ4における気圧状態の調整に際し、当該温度に対応する冷媒液の飽和蒸気圧を採用することを特徴とする請求項1記載の冷媒液注入及び封止方法。
【請求項8】
冷媒液として水を採用した上で、チャンバー及びヒートパイプの温度を、20℃又は25℃に設定し、かつステップ4における飽和水蒸気圧を、それぞれ2400Pa又は3200Paに設定することを特徴とする請求項7記載の冷媒液注入及び封止方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒液の毛細管現象を伴う流動を予定しているウイック、及び当該ウイックと隣接しており、冷媒蒸気が流動を予定している蒸気流動部を空洞部内に設置しており、かつ加熱された対象物の冷却に使用するヒートパイプに対する冷媒液の注入及び封止方法を対象としている。
続きを表示(約 2,200 文字)
【背景技術】
【0002】
従来技術においては、冷媒液が流動する一層又は複数層のウイック及び隣接する空洞部を備えたヒートパイプにおいて、冷媒液の注入及び封止を実現するために、以下のステップを採用している。
(1)ヒートパイプのチャンバー内への投入。
(2)真空ポンプによるチャンバーに対する真空脱気の開始及び継続。
(3)冷媒液供給機と連通している注入器の先端に備えられている注入ノズルからのヒートパイプの注入口に対する冷媒液の注入及び注入完了段階における注入器に備えられている開閉弁の閉鎖。
(4)注入ノズルの注入口からの解放。
(5)注入口に対する封止部材の加圧を伴う圧着による閉鎖。
(6)真空脱気の中止及びヒートパイプのチャンバーからの脱出。
【0003】
しかしながら、ステップ(4)の解放の段階では、チャンバー内がステップ(2)の継続によって真空状態であるため、ステップ(4)の解放から、ステップ(5)の閉鎖に至るまでの間に、注入した冷媒液が注入口から流出するという弊害を免れることができない。
【0004】
本願の出願人の出願に係る特許文献1の発明における請求項13は、冷媒液の注入及び封止に係る構成を提唱しているが、当該構成もまた、ステップ(1)~(6)に立脚しており、前記弊害を免れることができない。
【0005】
然るに、出願人がサーチする限り、前記弊害をクリアするような先行技術は見当たらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第7041445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、加熱された対象物の冷却に使用するヒートパイプにおいて、注入ノズルの注入口における解放から、封止部材の圧着に至るまでの間に、冷媒液の注入口からの排出の程度を桁違いに小さい状態とするような構成を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、以下の(1)、(2)、(3)の基本構成を採用している。
(1)冷媒液の毛細管現象を伴う流動を予定しているウイック、及び当該ウイックの隣接領域にて冷媒蒸気の流動を予定している蒸気流動部を、上板、下板、又は上板、中板、下板、及び周囲壁によって囲んでおり、かつ加熱された対象物の冷却に使用するヒートパイプにおいて、以下のステップを採用している冷媒液注入及び封止方法。
1 ヒートパイプのチャンバー内への投入。
2 真空ポンプによるチャンバーに対する真空脱気の開始及び継続。
3 冷媒液供給機と連通している注入器の先端に備えられている注入ノズルからのヒートパイプの注入口に対する冷媒液の注入及び注入完了段階における注入器に備えられている開閉弁の閉鎖。
4 チャンバーに対する空気又は窒素ガスの流入によって、チャンバー内の気圧を、ヒートパイプ内にて形成されている冷媒液の飽和蒸気圧と同一の気圧状態とする調整。
5 注入ノズルのヒートパイプの注入口からの解放。
6 チャンバー内におけるヒートパイプの封止部材搭載装置の位置への移動並びに1個の封止部材の注入口への配置。
7 ヒートパイプの加圧ロッドの位置への移動。
8 加圧ロッドの封止部材に対する加圧に基づく当該加圧部材の注入口への圧着。
9 加圧ロッドの封止部材からの解放及びヒートパイプのチャンバーからの脱出。
(2)ステップ7とステップ8の間に、以下のステップを採用していることを特徴とする前記(1)の冷媒液注入及び封止方法。
加圧ロッドがステップ6によって配置された封止部材を上側からの接触によって留着した上で、ステップ4によって流入したチャンバーに対する空気又は窒素ガスの脱気によって、ステップ4の気圧状態とステップ2の真空脱気による気圧状態との中間の気圧状態に至る減圧によるステップ5の解放からステップ6への配置の間に、注入口内部付近に流入した空気又は窒素ガスの排出。
(3)ステップ3による注入量を、冷媒液の注入過程において設置した流量計の積算量を基準として、ヒートパイプにおける冷媒液の収容量に対応して一定とすることを特徴とする前記(1)の冷媒液注入及び封止方法。
【発明の効果】
【0009】
基本構成(1)は、チャンバーに対する窒素ガス又は空気の流入によって、ヒートパイプ内に形成されている冷媒蒸気による飽和蒸気圧と同一の気圧状態の設定というステップ4を採用していることに特徴点が存在する。
【0010】
ステップ4の採用の技術的趣旨について説明するに、ステップ3によって、ヒートパイプの注入口に対する冷媒液の注入が終了した段階では、チャンバー内は真空状態が継続しているが、ヒートパイプにおいては、注入された冷媒液がヒートパイプ内に残留している気体(大抵の場合は空気)と平衡状態を実現し、その結果、冷媒液による飽和蒸気が形成されている。
(【0011】以降は省略されています)
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