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公開番号2024168915
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-05
出願番号2023085962
出願日2023-05-25
発明の名称周波数多重型非ガウス型量子状態生成器、補助光生成装置及び光量子コンピュータ
出願人日本電信電話株式会社,国立大学法人 東京大学,国立研究開発法人理化学研究所
代理人弁理士法人谷・阿部特許事務所
主分類G06E 3/00 20060101AFI20241128BHJP(計算;計数)
要約【課題】伝令付き手法における所望の量子状態生成の確率を現実的な実験系で向上させることが可能な周波数多重型非ガウス型量子状態生成器、当該周波数多重型非ガウス型状態生成器を含む補助光生成装置、並びに、当該補助光生成装置を含む光量子コンピュータを提供する。
【解決手段】本発明による周波数多重型非ガウス型量子状態生成器は、異なる周波数を有する複数の光に対して、伝令付き手法を実行する周波数多重型非ガウス型量子状態生成器であって、周波数が対称になった光子ペアを生成する第1の量子もつれ光源であって、シグナル側の光及びアイドラー側の光を含む光を出力する第1の量子もつれ光源と、第1の量子もつれ光源から出力された光を周波数に応じて複数に分岐させる周波数分岐装置と、周波数分岐装置から出力された複数の光のうち、アイドラー側の光に対して一般化測定を実行する、複数の一般化測定装置と、を含む。
【選択図】図7
特許請求の範囲【請求項1】
異なる周波数を有する複数の光に対して、伝令付き手法を実行する周波数多重型非ガウス型量子状態生成器であって、
周波数が対称になった光子ペアを生成する第1の量子もつれ光源であって、シグナル側の光及びアイドラー側の光を含む光を出力する第1の量子もつれ光源と、
前記第1の量子もつれ光源から出力された光を周波数に応じて複数に分岐させる周波数分岐装置と、
前記周波数分岐装置から出力された前記複数の光のうち、前記アイドラー側の光に対して一般化測定を実行する、複数の一般化測定装置と、
を備える、周波数多重型非ガウス型量子状態生成器。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記第1の量子もつれ光源における量子もつれ生成は、周波数非縮退の光パラメトリック過程であり、
前記第1の量子もつれ光源は導波路型光パラメトリック増幅器である、請求項1に記載の周波数多重型非ガウス型量子状態生成器。
【請求項3】
請求項1に記載の周波数多重型非ガウス型量子状態生成器を備えた補助光生成装置であって、
前記周波数多重型非ガウス型量子状態生成器の出力側に配置され、非ガウス型量子状態が必要な周波数の光に対し、量子テレポーテーションを実行するテレポーテーション回路をさらに備える、補助光生成装置。
【請求項4】
前記テレポーテーション回路は、
前記周波数多重型非ガウス型量子状態生成器から出力される光と同じ周波数を有する光と、所望の補助光と同じ周波数を有する光、の間の量子もつれを生成する第2の量子もつれ光源と、
前記周波数多重型非ガウス型量子状態生成器により生成された非ガウス型量子状態と前記第2の量子もつれ光源から出力される光のうち、前記周波数多重型非ガウス型量子状態生成器から出力される光と同じ周波数を有する光とを干渉させた光の測定位相及び前記測定位相における直交位相の各々の振幅を測定する2つのホモダイン測定器と、
前記ホモダイン測定器における測定結果に基づいて、前記第2の量子もつれ光源から出力される光のうち、所望の補助光と同じ周波数を有する光に対し、位相操作及び変位操作を実行するフィードフォワード装置と、
をさらに備える、請求項3に記載の補助光生成装置。
【請求項5】
前記ホモダイン測定器は、
入力された光をローカルオシレータ光と干渉させるビームスプリッタと、
前記ローカルオシレータ光の位相を前記入力された光と同一の周波数になるように変調する位相変調器と、
前記ビームスプリッタからの2つの出力光を受光し、差分信号を出力するバランス型フォトディテクタと、
を備える、請求項4に記載の補助光生成装置。
【請求項6】
前記ホモダイン測定器は、前記非ガウス型量子状態と前記第2の量子もつれ光源から出力される光のうちの一方の光とを干渉させた前記光の測定位相成分を、予め位相敏感増幅器によって増幅する位相敏感増幅器をさらに備える、請求項4に記載の補助光生成装置。
【請求項7】
前記フィードフォワード装置は、前記第2の量子もつれ光源から出力される光のうちのもう一方の前記光に対して、コヒーレント光を干渉させることにより、前記変位操作を実行する、請求項4に記載の補助光生成装置。
【請求項8】
請求項3から7のいずれか一項に記載の補助光生成装置をプロセッサと組み合わせた、光量子コンピュータ。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数多重型非ガウス型量子状態生成器、補助光生成装置及び光量子コンピュータに関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
量子コンピュータは、量子力学特有の性質である量子エンタングルメントや量子重ね合わせ状態を巧みに利用し、従来のコンピュータの性能を凌駕するコンピュータとして期待されている。その実現方法には様々な物理系が考えられているが、その中でも光電場の直交位相振幅に量子情報をエンコードして計算を行う連続量光量子情報処理の手法(以下、光量子コンピュータという)は、現実的な誤り耐性型万能量子コンピュータを実現する有力候補として着目されている。広く研究がなされている定在波型の量子ビットでは、大規模化を行う際に空間的な多重化が必須となり、大きな障壁となっている。それに対して光量子コンピュータでは、光電場という進行波を使用するため、後述の通り時間的に多重化することが可能である。また、光量子コンピュータは、使用する光のキャリア周波数が200THz程度と高いため、装置の大部分を室温大気圧環境下に設置することができ、また、コンピュータのクロック周波数の面でも有利である。さらに、波長1550nm付近の光を使用することで、光ファイバーや変調器などの成熟した光通信の技術をそのまま流用することも可能である。
【0003】
光量子コンピュータのプロセッサは、時間領域多重クラスター状態を生成するように構成され得る。時間領域多重クラスター状態は、スクイーズド光と呼ばれる量子相関を有する光の光源(スクイーズド光源)と、光学遅延をもつ非対称干渉計と、ホモダイン検出器により生成される。このホモダイン検出器における測定位相を適切に選択することによって、様々な量子計算が実現できることが知られている(例えば、非特許文献1、2参照)。
【0004】
光量子コンピュータの最終的なクロック周波数を制限するのは、スクイーズド光源から発生するスクイーズド光の帯域である。現在、波長1550nm付近では、数THzの帯域を持つスクイーズド真空場の生成に成功している(例えば、非特許文献3参照)ため、原理的にはクロックはTHzのオーダーまで向上させることは可能である。しかしながら、プロセッサのその他の部分の帯域が十GHzに制限されている(例えば、非特許文献4参照)ため、広帯域なスクイーズド光源の性能を十分に活かしきることができないという課題があった。このような課題に対し、近年では、広帯域なスペクトルを複数の周波数バンドに分割し、それぞれに対してホモダイン検出器を設置することで、独立したマルチコア光量子コンピュータが構成できることが分かっている。即ち、現在における技術でも、1つのクラスター状態生成部から、クロック周波数が数十GHzで数十コアの光量子プロセッサが構築できることになる。
【0005】
しかしながら、誤り耐性型万能量子コンピュータでは、誤り耐性を付与するために、非ガウス型量子状態と呼ばれる特殊な量子状態をプロセッサに導入する必要がある。単一光子状態などの単純な非ガウス型量子状態であれば、量子ドットなどを用いて100%に近い確率で当該量子状態を生成することができる。一方、光量子情報処理で必要となるのは、シュレディンガーの猫状態、光子数重ね合わせ状態、ゴッテスマン・キタエフ・プレスキル(以下、GKPという)状態といった非常に複雑な状態である(例えば、非特許文献5参照)。定在波を利用した物理系ではGKP量子ビットを含む非ガウス型量子状態を生成したという報告もあるが、実際に量子計算に使用するためには生成した状態を外に取り出す必要がある。対して光電場のような進行波の場合、光波束に非ガウス型状態を生成自体は困難であるが、そのまま誤り耐性のある量子ビットとして使用することができるという利点があるため、進行波型の非ガウス型量子状態生成器は誤り耐性型量子コンピュータの実現に直結する。
【0006】
現在、このような状態を生成する唯一の方法は、量子もつれ光源と光子数識別器を用いた伝令付き手法である。しかしながら、この手法では状態生成が確率的となるため、実用化にはタイミング調節機構が必須となる。そして、当該生成確率が低い場合、タイミング調節機構に対する要求性能(メモリー時間、損失など)が厳しく、実用性が失われるという課題がある。多数の非ガウス型量子状態生成器を用意し、生成に成功したもののみを光スイッチで選択する手法も実施されているが、単純な状態にしか適用できないという課題がある。また、この用途で使用する光スイッチは、多入力であり、かつ高速性(10ps程度の応答速度)と低損失性(数%未満の損失)を両立している必要があるが、一般にそのような光スイッチは存在しない。
【0007】
以下に、従来技術による光量子コンピュータの構成及び動作について、詳細に述べる。
【0008】
(従来技術による光量子コンピュータの構成)
図1は、従来技術による光量子コンピュータ100の構造を例示する図である。尚、図1では、光量子コンピュータ100は、誤り耐性型万能量子コンピュータの形態として示されている。図1に示される通り、従来技術による光量子コンピュータ100は、プロセッサ110と補助光生成装置120と、を含む。また、プロセッサ110は、スクイーズド光源111a-dと、非対称干渉計112と、ホモダイン検出器113a-dと、を含み、補助光生成装置120は、量子もつれ光源121と、検出器122と、を含む。
【0009】
光量子コンピュータ100では、時間領域多重化技術によって2次元クラスター状態を実現し、測定誘起型量子操作を利用して量子演算が実現される。2次元クラスター状態は、あらゆる量子計算パターンを実現できる量子もつれ状態である。十分な量子ビットの数で適切なもつれの構造を有するクラスター状態を準備することで、2次元クラスター状態に対し、個々の量子ビットを測定することにより、任意の量子演算を実施する。量子ビットの測定はホモダイン検出器113a-dによって実行され、ホモダイン検出器113a-dにおけるローカルオシレータ光の位相を選択することで、所望の測定が可能となる。
【0010】
しかしながら、プロセッサ110のようなプロセッサのみでは、上述の通り、誤り耐性のある量子計算は実現できないことが知られており、プロセッサ110に対し、誤り耐性を付与するために、外部から非ガウス型量子状態という補助光を導入する必要がある。この非ガウス型量子状態を生成する部分が補助光生成装置120である。補助光生成装置120における非ガウス型量子状態の生成は、上述の通り、確率的である。なお、誤り耐性型量子コンピュータには、本発明で着目している光方式に限らず、超伝導量子ビットやイオントラップなどいかなる方式であっても原理的に確率的な要素を含む。確率的な要素を如何に減らし、またその確率を向上させることが誤り耐性型量子コンピュータ研究の実現に向けた共通の課題である。
(【0011】以降は省略されています)

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