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公開番号2025062553
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-14
出願番号2023181464
出願日2023-10-01
発明の名称非正規コート
出願人個人
代理人
主分類G06Q 50/18 20120101AFI20250404BHJP(計算;計数)
要約【課題】 裁判に踏み切るべきか、思い留まるべきかを逡巡している民事紛争の当事者は、「費用・期間・風評」と「効果・利益・満足」を総合的に判断するために、提訴した場合の「予想判決」と「勝訴確率」に関して、公正・中立な立場からの情報を必要としているが、情報不足から過った意思決定をしてしまう場合がが多く、徒に訴訟件数を増加させている。
【解決手段】 公正・中立な非営利機関が、各種の民事トラブルの当事者の双方、または一方から聴取した内容を審理して、簡易かつ迅速に判決文を作成、交付し、合わせて勝訴確率を予測するサービスを提供する、非正規コート(NRC:Non Regular Court)
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
民事紛争の各分野で紛争解決を目的とした非営利組織であり、一般的なADR(裁判外紛争解決)と異なり、示談、和解、仲裁、調停、斡旋を行わず、紛争当事者が、裁判に踏み切るべきか思い留まるべきか逡巡しても、助言、指導せず、いかなる思惑とも隔絶された、公正中立な立場から、当事者の一方または双方から事情聴取した内容の範囲で、法律を適用、解釈、判断して、過去の事例、判例に照らして、専門のスタッフ、あるいはAI(人口知能)が、正規の裁判所(Regular Court)のような強制力をともなわない、単に参考、指標とするための、簡易かつ迅速な暫定判決を下して、文書、音声、または両方で出力するサービスを提供する機能を設けたことを特徴とする非正規コート(NRC:Non Regular Court)。
続きを表示(約 330 文字)【請求項2】
正規の裁判所に訴訟提起した場合の勝算確率を、数値化して表示するサービスを提供する機能を設けたことを特徴とする請求項1の非正規コート。
【請求項3】
クラウドサーバCPU、複数の情報メモリ装置、最適化された判決を自動作成する機能を搭載したAI(人工知能)に、テキスト入力または音声入力して、文書生成言語モデル、GPT、学習プログラム、アプリケーションソフトウエアによって情報処理されたデータを、エリアユーザ(法曹資格者または専門スタッフを置いた支援拠点)に設置された複数の端末、インターネット上に形成されたIP‐VPNからなるCIGネットワークを介して、業務を実施する機能を設けたことを特徴とする請求項1~2の非正規コート。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、民事紛争の当事者に対して、紛争解決を目的として、助言、指導ではなく、判決を下すサービスを提供する非正規コート(民間の裁判所)に関するものである。
続きを表示(約 8,500 文字)【背景技術】
【0002】
従来、司法、立法、行政の三権分立は近代国家の原型として確立した制度であり、どれほど民営化が進行した国家でも、裁判所、中央銀行、議会、軍隊、警察は、絶対に民営化できない最後の生命線であり、国家そのものである。だから、法治国家で民間が運営する裁判所などというものは、誰ひとり想像もしていない。それは極めて当然のことである。
しかし、判決に法律的な強制力が全く存在しない裁判所であれば、国家の統治機構に何ら影響を及ぼさない。そうであれば、勝訴しても敗訴しても、判決文が単なる紙切れでしかない裁判所に、いかなる存在意義があるのか、という疑問が提起される。
例えば、A大学を志望している受験生がいるとする。受験生は学習塾でA大学の例年の入学試験問題と同じ難易度の模擬試験を受ける。合格ライン70点のところ、成績が85点で、合格確率90%という判定結果を得たとする。この通知票は単なる紙切れだから、これをA大学に提出しても入学は許可されない。しかし、A大学を受験するという決意を固める参考資料としての価値がある。あるいは、成績が55点で、合格確率60%という判定結果を得たとする。この通知票は単なる紙切れだから、これでA大学の不合格が確定した訳ではない。しかし、A大学の受験を断念して、B大学の受験に変更するという決意を固める参考資料としての価値がある。
民事紛争の当事者は、裁判に踏み切るべきか、それとも思い留まるべきかと、逡巡する場合が多い。このとき、脳裏をよぎるのは、まず第1に「勝算」であり、第2に「費用・期間・風評」と「効果・利益・満足」を心理的な天秤にかけた傾き具合である。
だから、提訴した場合の「予想判決文」と「勝訴確率」が取得できれば、適正な判断と意思決定に大いに役立つから、公益性の高いサービスを提供する機関となる。
現在(21世紀の第1四半期)のところ、民事紛争の各分野で、仲裁、調停、斡旋を行うADR(裁判外紛争解決)機関が整備されて、示談、和解を推進することで裁判の回避に尽力している。しかし、判決を下すことで紛争解決を試みるADRは存在していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これは、次のような欠点があった。
一般市民が民事紛争の当事者となって法律のことで悩んだとき、最適の相談相手となるのが弁護士である。しかし、弁護士に相談することには、二つの欠点がある。
第1は、法律事務所は専門科目を表示していない場合が圧倒的に多いことである。医院であれば、内科、整形外科、皮膚科、産婦人科、耳鼻咽喉科、眼科、精神科…と明記しているが、法律事務所は、金銭トラブル科、交通事故科、離婚相続科、労働科、不動産科、悪質商法科、法人科…と明記していない。そのため、全くの専門外の弁護士に遭遇してしまうことが常態化している。専門外の弁護士に相談しても、広く浅い一般知識や教科書的な原則論しか助言を受けられず、個別の事例、判例や、深く踏み込んだ戦略的な方法論は助言を受けられない。人間を遥かに超越した存在である神様でさえ、学問の神様、縁結びの神様、商売繁盛の神様、病気平癒の神様、武運長久の神様…と、専門科目を明示しているのだから、神様より不完全な人間が、オールマイティーで集客することは、公共の福祉の観点から、あまり好ましいことではない。
第2は、原告側の弁護士と被告側の弁護士は意見が異なる場合が多いことである。異なるというより正反対と表現したほうが適切である。どちらも、法律の専門家である弁護士の意見であるが、原告は原告側の弁護士の一方的な意見だけで判断しなければならない。粗雑に表現すれば、原告側と被告側の両方の弁護士の意見を足して二で割った中間の意見が判事の意見であり、概ね正しい意見と言える。
一般市民が、民事紛争の当事者となって法律のことで悩んだとき、弁護士ではない相談相手となるのがADR(裁判外紛争解決)機関である。しかし、ADRに相談することには、二つの欠点がある。
第1は、ADRの担当者は、裁判を強行して決着をを付けるよりも、話し合いで歩み寄って穏やかに解決するほうが、裁判件数の減少に貢献するという理念で活動していることである。これは欠点どころか、尊敬に値する素晴らしい使命感である。ただし、「和解は費用、期間、風評の負担が回避できるし、裁判の面倒な手続きも不要だから素晴らしい」という価値観は、ひとつの正義である。しかし、「あなたが受けた理不尽で不条理な仕打ちは、不本意な妥協で不完全燃焼させずに、どんなに困難でも信念を貫いて、心に一点の曇りもない満足を得るために、裁判で戦いましょう」という価値観も、同じく、ひとつの正義である。どちらが正しいか間違っているかは、本来、第三者が決めるべきではない。しかし、ADRの担当者は、組織の性質上、懸命に前者の正義を推奨する。後者の正義を重視する者は、不適格者として最初から採用されない。これが、制度上の欠点である。
第2は、ADRの担当者は、弁護士やパラリーガルなど法律に造詣が深いことである。これは欠点どころか、法律相談の相手が法律の専門家であることは必須条件である。問題は、法曹人と一般人は、法解釈の感覚の乖離が大きいことである。
例えば、パチンコ玉を現金に交換する行為は賭博防止法で禁止されている。法曹人は、パチンコ玉を景品に交換してから、景品を現金に交換する行為は正当だと主張している。男女が肉体関係を金銭で取引する行為は売春防止法で禁止されている。法曹人は、不特定多数(街娼)は違法で、特定単数(愛人)は正当だと主張している。売春宿の経営は管理売春罪になる。法曹人は、個室で顧客とマッサージ嬢が自由恋愛して肉体関係を持って、顧客は店舗に買春料金ではなく特殊浴場料金を払う取引は正当だと主張している。憲法で軍隊の保有を禁止されている国家は軍隊を保有できない。法曹人は、戒律で飲酒を禁止されていた昔の僧侶が、酒を般若湯と呼び名を変えて飲酒したのと同じで、名称を変えれば合憲だと主張している。このような、一般庶民の素朴な疑問は、法曹界の常識とは異なる。最高裁判所の見解は常に正しく、庶民は疑問を差し挟む余地はないけれども、職業裁判官は庶民感覚が欠如しているという理由で、世界各国が、陪審員制度を導入した側面もある。おそらく、22世紀の法律論の教科書には、前時代の法解釈の誤謬が記述されるだろう。それは現在、前時代の植民地主義や奴隷制度を不当と法解釈している進歩と同じである。
このように、法曹人と一般人の感覚の乖離は、示談・和解案が、法律的に妥当かつ正当であるという枝葉末節に拘泥するあまり、当事者が庶民感覚で納得できる心理的な満足が、法解釈よりも重要だという、紛争解決の本質を見過ごしてしまう傾向が否めない。
本発明は、以上のような欠点をなくすためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
各種の民事トラブルで困っている当事者が、最も知りたいことは、裁判に踏み切るべきか?あるいは思い留まるべきか?仮に告訴した場合は勝算はあるのか?それはどの程度の確率か?そして、どのような判決が下されると予想されるか?ということである。
公正・中立な第三者機関が、各種の民事トラブルに苦慮している当事者の双方、または一方から事情聴取して、当事者の主張がすべて事実かつ立証可能であると仮定した上で、証拠検証と事実認定を省略して、聴取した内容を陳述に替え、法律の構成要件、両当事者の過失割合、過去の事例・判例に照らして、即断即決で判決文を作成交付し、合わせて、勝訴確率を表示するサービスを提供する。
非正規コートは、和解の長所と短所、裁判の長所と短所には言及せず、特定の着地点に誘導しよバイアス、意図、思惑を排除し、事実をありのままに、客観的に淡々と伝える。当事者は、その判決を参考、指標として、自らの判断で今後の身の振り方が決定できる。
本発明は、以上の構成よりなる非正規コートである。
【発明の効果】
【0006】
(1)民事紛争の当事者が、裁判に踏み切るべきか、あるいは、思い留まるべきか、と迷っているとき、仮に、正規の裁判所に訴えた場合、どのような判決が下され、どの程度の勝算があるかを事前に知ることができる。
(2)仲裁、調停、斡旋による示談、和解は一切行わず、公正、中立な立場から、判決を提供することで、正しい判断と意思決定ができる。
(3)非正規コートの判決には法律的な強制力が無いので、それを相手に提示したところで、一笑に付されて終わるというパターンは必ずある。その一方、判決内容や高い勝算を提示された相手が、敗訴を覚悟して、訴訟回避に向けて歩み寄るパターンも必ずある。
(4)告訴する場合もしない場合も、きちんと理解、納得して迷わずに選択できるから、後悔はなく、結果にかかわらず、満足感、達成感が得られる。
(5)当事者は、勝算が高ければ裁判に踏み切るし、勝算が低ければ裁判を思い留まる。拮抗している場合は、和解を選択するようになる。本来、裁判すべき事件で不本意な和解をしたり、本来、和解すべき事件で無駄な裁判を強行したりする誤判断が軽減される。
(6)提訴が適正な事案だけに集約されてゆくようになり、裁判への進行を事前回避させるという、ADRの目的趣旨をバックアップできる。
(7)結果として、正規の裁判制度、一般ADR制度に加えて、非正規コートによって、紛争解決手段の多様化、選択肢が拡大・充実するから、国民生活と公共の福祉に資する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の実施説明図(一例)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
民事紛争の当事者が、裁判することが適正な場合は告訴し、裁判を回避することが適正な場合は告訴を見送り、和解することが適正な場合は和解に応じる。そのための判断材料を提供する機関である。従って、いかなる場合も裁判すべきとは助言せず、同じく、和解すべきとも助言しない。なぜなら、それは本人が決定すべきことであり、助言には、助言者の立場や思惑によるバイアスが含まれてはならないからである。
非正規コートは、NPO法人などの非営利組織が、社会奉仕の一環として、原則として無償で行うべきである。弁護士、パラリーガルまたは専門知識を有する者によって構成される。従来のADRの域を超えて、「判決をを下す」ことを最大の特徴とする。この判決には、いかなる法律的な強制力もない。
公正・中立な第三者機関が、各種の民事トラブルに苦慮している当事者の双方、または一方から事情聴取して、当事者の主張がすべて事実かつ立証可能であると仮定した上で、証拠検証と事実認定を省略して、聴取した内容を陳述に替え、法律の構成要件、両当事者の過失割合、過去の事例・判例に照らして、即断即決で判決文を作成交付し、合わせて、勝訴確率を表示するサービスを提供する。
判決は、職業専門家の注意義務をもって誠実に作成するが、それが将来、正規の裁判所の判決と全く異なっていたとしても、一切の責任を負わない。例えば、企業が社員の行楽や運動会の予定を組むために、民間の気象予報会社から天気予報の情報を取得した場合、誠意を尽くして予報した限り、予報が外れても責任は発生しない。あるいは、神主が安全祈願祭を実施した工事現場で事故が発生しても、責任が発生しないことと同様である。
非正規コートは、全国の利便性の高いテナントビルなどに有り、会社帰りに気軽に立ち寄れるように、比較的遅い時刻まで対応する。受付で必要事項を記入して、担当者と面談して、紛争の内容を説明する。必要に応じて質疑応答して、調書を作成し、事件の内容にもよるが、翌日または2~3日後に判決文を送付する。この判決文は、仮に正規の裁判所に提訴した場合に、予想される判決文を目標として作成する。合わせて、勝算を数値化した予想を提供する。
気象業界では、かつて晴れは○印・笑顔マークで表示し、雨や雪は×印・落胆マークで表示していた。しかし、農業関係者やスキー場関係者にとっては、恵みの雨・雪になるから、一律なパブリックイメージを是正して、現在は晴れは太陽、雨は傘、雪は雪だるまのマークが主流にになっている。自動車業界では、「交通安全はみんなの願い」という標語が長く使用されている。建前上、今後も是正されることはない。しかし、自動車修理工場の経営者は、少なくとも人が死傷しない物損事故に関しては減少を望まないはずである。損害保険会社は、AI技術の進歩で安全対策が飛躍的に向上する近未来において、保険の必要性と存在意義が希薄になり、料率の妥当性、つまり企業の収益構造の変化に危機感を抱いているはずである。同じく法曹界では、弁護士は、着手金、成功報酬などで依頼人と利害関係にあるから、勝算が見込めると、受注に向けた営業努力として、勝算を過大表現するバイアスが作用する。一方、ADR機関は、訴訟の回避を目的としているから、訴訟の短所と和解の長所にフォーカスした説明と、勝算を過小表現するバイアスが作用する。どちらも真正な説明から偏位するから、素人の相談者が、真正でない情報に基づいて判断し、意思決定する結果を招いている。これは、是正すべき社会的課題である。
現在、相談者に対していかなる方向にも恣意的に誘導しない、公正、中立な立ち位置の機関は、唯一、裁判所である。しかし、裁判所は敷居が高い。「今日は仕事が一段落したから、早退してデパ地下で買物して、ついでに7階に寄って裁判でも受けようかな」という気軽さは望めない。
基本的に、一般人の法律相談に応じて報酬を受け取ることが認められる職業は、弁護士と司法書士であり、広義には税理士、その他も含まれる。ADR機関の担当者は、必ずしも法曹資格を有していないが、報酬を受け取らないから認められている。従って、非正規コートは、運営主体が民間といっても、NPO法人、社団法人、財団法人などの、非営利組織でなければならない。
裁判所が、判決を下す国家の専権機関であることは、中央銀行が、通貨を発行する国家の専権機関であることと同じである。中央銀行でない者が通貨を発行することは重大犯罪として禁止されている。しかし、多くの玩具メーカーは通貨に似た商品を販売している。これは、強制力が無いから認められている。同じように、裁判所の擬似機関が民事トラブルに関して判決を下したとしても、その判決に強制力が無ければ、玩具と一緒である。
国民生活のあらゆるシーンで、判決は日常的に下されている。例えば、家庭で兄弟喧嘩した一方に父親が謝罪命令を下したり、宿題を後回しにした子供に母親がテレビ視聴権の剥奪命令を下したりする。学校で教師が不良生徒に髪型や服装、着こなしの強制変更命令を下す。会社で遅刻した社員に上司が罰金刑を課す。私営の駐車場で無断駐車に罰金額を表示している。罰金は公の法律用語であるが、個人で判決を下している。このような微笑ましい判決がある一方で、反社会勢力が違法なADR(いわゆる示談屋)を運営する場合がある。さらに、反社会勢力の組織内の裁判では、時には死刑判決が下されることもある。
あらゆるトラブル解決の理想は、第1に理性的に話し合い、互いの非を認め合い、誠実に歩み寄ることで解決を図ることである。第2に、その話し合いに専門家を交えて助言、指導を仰ぐことである。第3に裁判所に判断を委ねることである。その過程で、天気予報サービスを利用するように、判決予想サービスが利用されれば、そのベクトルは円満解決を推進する方向に作用するから、全体的に無駄な訴訟が減少して、社会に有益である。
非正規コートは、当初は人間のスタッフが知識と経験則に基づいて最適な判決文を作成するが、時代が進歩するにつれて、AI(人口知能)が関与する割合を増加させる。AIは基本六法を含む全ての法律を一言一句、一文字も間違うことなく完璧に暗記している。全ての判例、裁判記録も同様である。このビッグデータを、チャットGPT、学習プログラムで構成すると、瞬時に、最適化された判決文が作成できるようになる。アウトプットはプリンターから印刷される。近未来にはアンドロイドから音声出力されるようにする。アンドロイドには法衣とカールのウイッグを装着する。室内のインテリアも趣向を凝らすようにする。さらに進化するとアンドロイドは多様化する。マーケティングの手法としては、閻魔大王が最も適しており、定番となるだろう。
おそらく22世紀になっても、正規の裁判所の裁判官は人間である。AI、ロボットに代替されることはないだろう。ただし、単純で定型的な訴訟手続に関しては、対面質疑と認否応答が簡素化、自動化される。つまりロボットの判事に代替される。
例えば、交通事故の判決文作成プログラムで、フォーマットにインプットする選択項目は、加害者は、無免許ではない。飲酒していない。救護義務を果たした。超過速度40Km/時。カーブを曲がりきれず接触した。歩行者は歩道を歩いていた。全治2週間、後遺症なし。被害者の所得、治療費、休業補償、慰謝料。反省・謝罪普通。処罰感情普通…と選択肢を順次クリックすると判決文が自動作成される。あまり複雑でない内容の事件に関しては、金銭貸借、離婚、相続、労働、不動産など、どの分野についても同様である。
22世紀の裁判制度の世界的な潮流を予想すると、裁判は、複雑な事件と単純な事件に大別されて、前者は人間の知見で慎重に吟味する、後者はAIが機械的に処理するというように、棲み分けが進展してゆく。このとき、単純で膨大な軽微な事件は、一般の裁判所と切り離して、専門機関に外注・請負わせるという形態になる。この機関は法律によって設立された、国家が管理する公益法人である。この機関は厳密な定義では非正規コートであるが、判決に強制力があるので、本発明の対象外である。
本発明の非正規コートの判決文は、正規の裁判所の判決文と異なるコンセプトで作成される。最大の特徴は、「正確・厳密・難解」ではなく、「簡素・明瞭・平易」な文面とすることである。そして、「迅速」に交付することである。
判決文は、当事者の表示は不要である。原告、被告の氏名、住所、電話番号は記載しない。必要に応じて、相談者(窓口にきた人)を便宜上原告として記載する。ただし、紛争相手に提示する際に、演出上の理由で当事者の表示を希望する場合は表示する。
判決文は、日時、場所、および登場人物の固有名詞の表示は不要である。日時に関しては、時効成立が関連する場合にのみ記載する場合がある。
判決文は、被告の正当性と原告の正当性を区分して記載する。これにより、原告は自分の落ち度と客観的評価に気付き、被告も自分の不手際と客観的評価に気付く。
判決文は、権威保持の観点から文語体をベースとするが、交付対象が法曹人でなく一般人である点を考慮して、庶民感覚を重視し、なるべく難解な言い回しは避け、平易な表現で、一部、口語体や会話調も交えて記述する。特に多角的な視点から、例話法、社会全体が共有する時事問題などを取り入れて、庶民感覚で理解、納得できるように工夫する。
判決文は、訴訟費用、期間金利、仮執行の宣言、その他の付随的な要素は記載しない。
原告の正当性は、原告の加点・被告の減点となり、被告の正当性は、被告の加点・原告の減点となる。例えば、スポーツ競技では、球技やスピード種目の結果は一目瞭然であるが、判定のみで審査する種目は、細分化されたマニュアルがあれば機械的に判定できる。特に、格闘技のように1本勝ち(KO勝ち)と判定勝ちが並立した競技は、正規裁判所と非正規裁判所が並立する未来社会の司法環境に類似している。
上記の細分化されたマニュアル(AIの場合はプログラム)を用いて、判決と合わせて正規裁判における「勝訴確率」を算出して、参考指標として提供する。

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