TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024167397
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-03
出願番号2024152750,2023075235
出願日2024-09-04,2019-09-10
発明の名称心房細動指標値の測定方法
出願人株式会社島津製作所
代理人弁理士法人京都国際特許事務所
主分類G01N 33/68 20060101AFI20241126BHJP(測定;試験)
要約【課題】心房細動に関連すると考えられる代謝物の量を測定することであり、ひいては、その測定結果を心房細動の診断に役立てることである。
【解決手段】本発明は、心房細動の発症に関連する指標である心房細動指標値を測定する方法であり、被検者から採取された生体試料を分析し、16種の代謝物であるβ‐アラニン、トレオニン、リンゴ酸、フマル酸、2-ヒドロキシピリジン、2-オキソグルタル酸、セリン、アラビノース、マルガリン酸、リボース、イソクエン酸、フェニルアラニン、コハク酸、フコース、クエン酸、エリスリトールから選ばれる少なくとも1種の代謝物の量を前記心房細動指標値として測定する。上述した心房細動指標値を測定した結果は、心房細動の診断に役立てることができる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
心房細動の発症に関連する指標である心房細動指標値を測定する方法であって、
被検者から採取された生体試料を分析し、代謝物であるトレオニンの量を前記心房細動指標値として測定する、心房細動指標値の測定方法。
続きを表示(約 420 文字)【請求項2】
請求項1に記載の心房細動指標値の測定方法において、
前記心房細動指標値が、トレオニンの量と、β-アラニン、フマル酸、2-オキソグルタル酸のうちのいずれか1種の代謝物の量の組み合わせからなる、心房細動指標値の測定方法。
【請求項3】
請求項1に記載の心房細動指標値の測定方法において、
前記心房細動指標値が、トレオニンの量と、β-アラニン、リンゴ酸、フマル酸、2-ヒドロキシピリジン、2-オキソグルタル酸、セリン、アラビノース、マルガリン酸、リボースのうちのいずれか1種の代謝物の量の組み合わせからなる、心房細動指標値の測定方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の心房細動指標値の測定方法において、
前記心房細動指標値が、生体試料をクロマトグラフMS分析することによって得られたデータに基づき測定された代謝物の量である、心房細動指標値の測定方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や尿等の生体試料に含まれる物質のうち心房細動の発症に関連する物質の測定方法に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
心房細動は比較的よく認められる心臓不整脈である。心房細動の有病率は加齢に伴い増加し、また、各年齢層では一般に男性の方が女性よりも有病率が高い。心房細動では、速く不規則で無秩序な心房興奮が起こり、有効な心房収縮が消失するため、心房内の血流が停滞して心房内に血栓が形成される。心房内の血栓形成が原因となって発症する脳塞栓(心原性脳梗塞)は心房細動の重篤な合併症の一つであり、その予防として抗凝固薬による治療が永続的に必要となる場合が多い。
【0003】
また、心房細動では有効な心房収縮が得られないため心拍出量が減少する。そのため、心疾患を有する患者で心房細動が発生すると、血行動態が保てず心不全が増悪する。さらに、心房細動による頻脈が持続すると心筋障害が起こり、長期的には心機能の低下をもたらす。従って、心房細動が発生した場合には、抗不整脈薬による薬物療法や、電気的除細動及びカテーテルアブレーション等の非薬物療法を用いた早期の洞調律化や再発予防、心拍数調節治療が重要となる(非特許文献1)。
【0004】
心房細動の診断手法としては12誘導心電図検査が標準的である。しかしながら、発作性のように時々しか起こらない心房細動は短時間の検査では見つけ出すことが容易でないことから、24時間継続して心電図がとれるホルター心電計が用いられる。さらに、心臓の弁の異常ではないことを除外するためには、心エコー検査が行われる。心房細動が初めて発生してから持続性心房細動に移行する危険因子としては、心不全、高齢(75歳以上)、一過性脳虚血発作や脳梗塞の既往、慢性閉塞性肺疾患、高血圧などが挙げられる(非特許文献2)。
【0005】
心房細動を発症した比較的早い段階において心房細動の診断ができれば、脳梗塞などの重篤な合併症の予防が可能となるばかりでなく、洞調律維持のための迅速な対応をとることができる。さらに、持続性心房細動への移行を促進する背景因子の管理に役立てることができる(非特許文献3)。従って、心房細動の発症前状態や早期の状態を特異的に捉えた疾患マーカーは、心房細動の治療や予防のために非常に有用である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版).
de Vos, C. B. et al. Progression from paroxysmal to persistent atrial fibrillation: clinical correlates and prognosis. J Am Coll Cardiol 55, 725-731 (2010)
Aggressive Risk Factor Reduction Study for Atrial Fibrillation and Implications for the Outcome of Ablation: The ARREST-AF Cohort Study. J Am Coll Cardiol 64, 2222-2231 (2014)
Schnabel, R. B. et al. Relation of multiple inflammatory biomarkers to incident atrial fibrillation. Am J Cardiol. 104, 92-6 (2009)
Mayr, M. et al. Combined metabolomic and proteomic analysis of human atrial fibrillation. J Am Coll Cardiol. 51, 585-94 (2008)
Alonso A, Yu B, Qureshi WT, Grams ME, Selvin E, Soliman EZ, Loehr LR, Chen LY,Agarwal SK, Alexander D, Boerwinkle E. Metabolomics and Incidence of AtrialFibrillation in African Americans: The Atherosclerosis Risk in Communities (ARIC) Study. PLoS One. 2015 Nov 6;10(11)
Ehret, G. B. et al. International Consortium for Blood Pressure Genome-Wide Association Studies (ICBP-GWAS). Genetic variants in novel pathways influence blood pressure and cardiovascular disease risk. Nature 478, 103-109 (2011)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これまで、心房細動の発症と関連する疾患マーカーとして、オステオプロテゲリン(Osteoprotegerin)などの炎症性マーカーが報告されている(非特許文献4)。この疾患マーカーの検出には、汎用性の高いELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay) という免疫学的検出法が用いられている。免疫学的検出法は、目的の対象物を個々に測定する方法であり、複数種類の対象物を一度に測定することはできないため、心房細動の発症に対する特異性の高い新規の疾患マーカーを網羅的に探索するには限界があった。
【0008】
近年、代謝物を解析するメタボローム解析(メタボロミクス)を用いて、様々な疾患マーカーを探索する試みが行われている。心房細動におけるメタボローム解析としては、これまでのところ2つの報告がなされている。一つは、2008年のMayrらによる、核磁気共鳴分光法(NMR)を用いたメタボローム解析とプロテオーム解析を組み合わせた前向き研究(追跡調査による研究)の報告であり、この研究では、心臓外科手術後に心房細動を発症した群と洞調律を維持したコントロール群を比較検討し、心房細動発症群における心房筋組織の代謝物の変化を観察している(非特許文献5)。心臓外科手術後に心房細動に進展した群では、心房筋組織において統率されていない代謝物の変化が認められ、心房細動の発症に関連する代謝物としてケトン体の存在が示唆された。
【0009】
もう一つは、2015年のAlonsoらによるARIC(Atherosclerosis Risk in Communities)研究の報告であり、この研究では、1919名のアフリカ系アメリカ人を22年間追跡調査し、心房細動を新規発症した183名の対象者の血清を分析している(非特許文献6)。そして、分析の結果から心房細動の発症と関連する代謝物を解析し、その結果、胆汁酸の代謝と関連のあるGlycolithocholate sulfate及びGlycocholenate sulfateが心房細動の発症と関連する代謝物として報告された。
このように、心房細動の発症に関連するマーカー候補の報告があるものの、いずれのマーカー候補も実際に臨床応用がされていない。
【0010】
心房細動はその発症要因として、遺伝因子(遺伝的素因)と環境因子(生活習慣)の二つが考えられている(非特許文献7)。遺伝的素因は、疾患の発症し易さという点で重要であり、遺伝子情報を疾患マーカーの一つとして将来における疾患発症のリスクを推定できると考えられるが、遺伝子素因だけでは早期の段階で疾患を診断することは困難である。また、生活習慣は、遺伝的素因に影響を及ぼすような習慣の場合は遺伝因子と同様に重要な環境因子となるが、生活習慣は年齢とともに変化することが多く、また、多種多様な要因が重なり合って発症する疾患を早期の段階で診断することは困難である。
(【0011】以降は省略されています)

特許ウォッチbot のツイートを見る
この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

日本精機株式会社
計器装置
9日前
株式会社東光高岳
計器
5日前
日本精機株式会社
液面検出装置
11日前
株式会社ミツトヨ
測定器
2日前
大和製衡株式会社
組合せ秤
11日前
大和製衡株式会社
組合せ秤
11日前
大和製衡株式会社
組合せ秤
17日前
大同特殊鋼株式会社
疵検出方法
2日前
日本特殊陶業株式会社
ガスセンサ
3日前
エグゼヴィータ株式会社
端末装置
3日前
日本特殊陶業株式会社
ガスセンサ
23日前
日本特殊陶業株式会社
ガスセンサ
3日前
ダイハツ工業株式会社
試験用治具
17日前
日本特殊陶業株式会社
ガスセンサ
12日前
日本特殊陶業株式会社
ガスセンサ
12日前
バイオテック株式会社
容器設置装置
3日前
タカノ株式会社
試料分析装置
2日前
タカノ株式会社
試料分析装置
2日前
富士電機株式会社
エンコーダ
4日前
株式会社クボタ
作業車
16日前
柳井電機工業株式会社
部材検査装置
3日前
富士電機株式会社
エンコーダ
4日前
株式会社ノーリツ
通信システム
9日前
新電元メカトロニクス株式会社
位置検出装置
9日前
TDK株式会社
計測装置
10日前
株式会社フジキン
流量測定装置
18日前
トヨタ自動車株式会社
歯車の検査方法
12日前
JNC株式会社
トランジスタ型センサ
2日前
JNC株式会社
トランジスタ型センサ
2日前
ジャパンプローブ株式会社
超音波探触子
3日前
帝国通信工業株式会社
圧力センサ
3日前
ウシオ電機株式会社
光学測定装置
2日前
日本電気株式会社
測位装置及びその方法
5日前
住友化学株式会社
積層基板
23日前
株式会社島津製作所
発光分析装置
9日前
大和ハウス工業株式会社
計測用治具
23日前
続きを見る