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公開番号
2025167143
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-11-07
出願番号
2024071491
出願日
2024-04-25
発明の名称
波形解析方法及び波形解析装置
出願人
株式会社島津製作所
代理人
弁理士法人京都国際特許事務所
主分類
G01N
30/86 20060101AFI20251030BHJP(測定;試験)
要約
【課題】解析対象波形に含まれる、幅が異なるピークを正しく検出する。
【解決手段】第1参照波形データに第1ウィンドウを適用した機械学習により構築され第1部分データに対しピーク部分又は非ピーク部分の第1指標を出力する第1学習済モデルが保存された第1学習済モデル記憶部(44)と、第2参照波形データに第1ウィンドウと異なる第2ウィンドウを適用した機械学習によって構築され第2部分データに対しピーク部分又は非ピーク部分の指標を出力する第2学習済モデルが保存された第2学習済モデル記憶部(44)と、第1解析対象部分データを第1学習済モデルに入力し第1指標を出力させる第1指標出力処理部(55)と、第2解析対象部分データを第2学習済モデルに入力し第2指標を出力させる第2指標出力処理部(56)と、第1指標と第2指標からピーク部分を推定するピーク部分推定部(58)を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
分析装置を用いて試料を測定することにより取得された解析対象データから構成され、横軸に第1のパラメータを持ち、縦軸に第2のパラメータを持つ波形を解析する波形解析方法であって、
横軸に前記第1のパラメータを持ち、縦軸に前記第2のパラメータを持ち、ピーク部分の位置である前記第1パラメータの値と前記第2パラメータの値の組が既知である第1参照波形を構成する第1参照波形データを教師データとし、該第1参照波形データから前記横軸方向に所定範囲のデータを抽出する第1ウィンドウを適用した機械学習によって、該第1ウィンドウに対応する第1部分データが入力されると該第1部分データを構成する複数の第1部分データ要素のそれぞれに対してピーク部分又は非ピーク部分を表す第1指標を出力する第1学習済モデルを構築する第1学習済モデル構築ステップと、
横軸に前記第1のパラメータを持ち、縦軸に前記第2のパラメータを持ち、ピーク部分の位置である前記第1パラメータの値と前記第2パラメータの値の組が既知である第2参照波形を構成する第2参照波形データを教師データとし、該第2参照波形データから前記横軸方向に、前記第1ウィンドウと異なる幅の所定範囲のデータを抽出する第2ウィンドウを適用した機械学習によって、該第2ウィンドウに対応する第2部分データが入力されると該第2部分データを構成する複数の第2部分データ要素のそれぞれに対してピーク部分又は非ピーク部分を表す第2指標を出力する第2学習済モデルを構築する第2学習済モデル構築ステップと、
前記解析対象データから前記第1ウィンドウに対応する第1解析対象部分データを抽出して前記第1学習済モデルに入力し、該第1解析対象部分データを構成する複数の第1解析対象データ要素のそれぞれについて前記第1指標を出力させる第1指標出力ステップと、
前記解析対象データから前記第2ウィンドウに対応する第2解析対象部分データを抽出して前記第2学習済モデルに入力し、該第2解析対象部分データを構成する複数の第2解析対象データ要素のそれぞれについて前記第2指標を出力させる第2指標出力ステップと、
前記第1指標出力ステップにおいて出力された前記第1指標と、前記第2指標出力ステップにおいて出力された前記第2指標に基づいて、前記解析対象データからピーク部分を推定するピーク部分推定ステップと
を備える、波形解析方法。
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【請求項2】
分析装置を用いて試料を測定することにより取得された解析対象データから構成され、横軸に第1のパラメータを持ち、縦軸に第2のパラメータを持つ波形を解析するために用いられる波形解析装置であって、
横軸に前記第1のパラメータを持ち、縦軸に前記第2のパラメータを持ち、ピーク部分の位置である前記第1パラメータの値と前記第2パラメータの値の組が既知である第1参照波形を構成する第1参照波形データを教師データとし、該第1参照波形データから前記横軸方向に所定範囲のデータを抽出する第1ウィンドウを適用した機械学習によって構築され、該第1ウィンドウに対応する第1部分データが入力されると該第1部分データを構成する複数の第1部分データ要素のそれぞれに対してピーク部分又は非ピーク部分を表す第1指標を出力する第1学習済モデルが保存された第1学習済モデル記憶部と、
横軸に前記第1のパラメータを持ち、縦軸に前記第2のパラメータを持ち、ピーク部分の位置である前記第1パラメータの値と前記第2パラメータの値の組が既知である第2参照波形を構成する第2参照波形データを教師データとし、該第2参照波形データから前記横軸方向に、前記第1ウィンドウと異なる幅の所定範囲のデータを抽出する第2ウィンドウを適用した機械学習によって構築され、該第2ウィンドウに対応する第2部分データが入力されると該第2部分データを構成する複数の第2部分データ要素のそれぞれに対してピーク部分又は非ピーク部分を表す第2指標を出力する第2学習済モデルが保存された第2学習済モデル記憶部と、
前記解析対象データから前記第1ウィンドウに対応する第1解析対象部分データを抽出して前記第1学習済モデルに入力し、該第1解析対象部分データを構成する複数の第1解析対象データ要素のそれぞれについて前記第1指標を出力させる第1指標出力処理部と、
前記解析対象データから前記第2ウィンドウに対応する第2解析対象部分データを抽出して前記第2学習済モデルに入力し、該第2解析対象部分データを構成する複数の第2解析対象データ要素のそれぞれについて前記第2指標出力処理部と、
前記第1指標出力部により出力された前記第1指標と、前記第2指標出力部により出力された前記第2指標に基づいて、前記解析対象データからピーク部分を推定するピーク部分推定部と
を備える、波形解析装置。
【請求項3】
前記解析対象データに、当該解析対象データを取得した測定におけるサンプリングレートの情報が対応付けられており、
前記第1ウィンドウの幅が、前記サンプリングレートに基づいて決められる、請求項2に記載の波形解析装置。
【請求項4】
前記解析対象データに、当該解析対象データを取得した測定で使用された検出器の種類の情報が対応付けられており、
前記第2ウィンドウの幅が、前記検出器の種類に応じて予め決められている、請求項2に記載の波形解析装置。
【請求項5】
前記第2ウィンドウが、前記解析対象データの全体を抽出する、請求項2に記載の波形解析装置。
【請求項6】
前記第1学習済モデルと前記第2学習済モデルが、異なるアーキテクチャで構成されている、請求項2に記載の波形解析装置。
【請求項7】
前記ピーク部分推定部は、同一の測定データ要素について、前記第1指標出力ステップから出力された指標と前記第2指標出力ステップから出力された指標が異なる場合に、ピーク部分を表す指標を優先して前記解析対象データからピーク部分を推定する、請求項2に記載の波形解析装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置を用いて試料を測定することにより取得された波形を解析する方法及び装置に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)
【背景技術】
【0002】
試料に含まれる成分を同定したり定量したりするために、液体クロマトグラフやガスクロマトグラフが用いられている。クロマトグラフでは、試料中の成分をカラムで分離し、カラムから順に流出する成分を検出する。その後、横軸を時間、縦軸を検出強度とするクロマトグラムを作成してピークを検出し、その面積や高さから、当該ピークに対応する化合物の濃度や含有量を求める。また、液体クロマトグラフやガスクロマトグラフからスペクトル波形を取得する手法も広く用いられており、スペクトル波形は横軸を波長や質量電荷比、縦軸を検出強度とするものであり、物質同定に用いられることが多い。
【0003】
クロマトグラムのピークを検出する方法として、これまで様々な方法が実用に供されているが、近年、新たなピーク検出方法として、機械学習を利用した方法が提案され実用化されている(例えば、特許文献1、非特許文献1、2)。
【0004】
特許文献1には、ピーク部分の位置が既知である複数の参照波形のデータを教師データとする機械学習を行うことにより学習済モデルを構築し、その学習済モデルを用いて解析対象の波形のデータに含まれるピーク部分を推定する波形解析技術が記載されている。その例として、画像解析の分野で使用されているセマンティックセグメンテーションを使用した学習モデルに、選択イオンモニタリング(SIM)測定や多重反応モニタリング(MRM)測定により取得されピーク部分の位置が既知である複数の抽出イオンクロマトグラム(EIC)のデータを教師データとする機械学習を実行させて学習済モデルを構築し、その学習済モデルに、SIM測定やMRM測定により取得された解析対象の抽出イオンクロマトグラムから抽出された、予め決められた点数の測定データを入力し、ピーク部分に属するものであるか、非ピーク部分に属するものであるかを示す指標(ラベル)を出力させることが記載されている。解析対象の波形を構成する一次元のデータから、学習済モデルに入力する予め決められた点数の測定データを抽出する際に用いられる枠(抽出範囲)は、ウィンドウと呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2021/064924号
【非特許文献】
【0006】
「Peakintelligence for GCMS LabSolutions Insight向け波形処理ソフトウェア」、[online]、[2024年3月14日検索]、株式会社島津製作所、インターネット<URL:https://www.an.shimadzu.co.jp/products/gas-chromatograph-mass-spectrometry/gc-ms-software/peakintelligence-for-gcms/index.html>
「Peakintelligence for LCMS LabSolutions LCMS、LabSolutions Insight 向け波形処理オプションソフトウェア」、[online]、[2024年3月14日検索]、株式会社島津製作所、インターネット<URL: https://www.an.shimadzu.co.jp/products/liquid-chromatograph-mass-spectrometry/lc-ms-software/peakintelligence/index.html>
「Peakintelligence for GCMSによる農薬データ解析時間の短縮」、[online]、[2024年3月14日検索]、株式会社島津製作所、インターネット<URL: https://www.an.shimadzu.co.jp/sites/an.shimadzu.co.jp/files/pim/pim_document_file/an_jp/applications/application_note/21749/an_01-00585-jp.pdf>
「Nexera-i MT による欧州薬局方に準拠した医薬品不純物分析の高速化」、[online]、[2024年3月14日検索]、株式会社島津製作所、インターネット<URL: https://www.an.shimadzu.co.jp/sites/an.shimadzu.co.jp/files/pim/pim_document_file/an_jp/applications/application_note/17727/an_l518.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
試料に含まれる既知の目的成分を分析(ターゲット分析)する場合には、例えば、検出器として質量分析計を使用し、当該目的成分から生成されるイオンをターゲットイオンとするSIM測定やMRM測定を行って抽出イオンクロマトグラムを作成する。ターゲット分析では、クロマトグラフの全測定時間のうち、どのような目的成分であったとしても保持時間に対応する限られた時間帯の波形(例えば1.5分間のピーク部分を含む波形)からピークを検出すればよい(例えば非特許文献3)。また、SIM測定やMRM測定では目的成分の選択性が高く、幅が狭いシャープなピークが得られる。こうした波形からピークを検出する際には、特許文献1に記載の波形解析技術を好適に用いることができる。
【0008】
一方、試料に含まれる未知成分を網羅的に分析(ノンターゲット分析)する場合には、ピークが現れる位置(保持時間)が不明であるため、クロマトグラフの全測定時間(例えば60分超)の波形からピークを検出する必要がある。また、クロマトグラフの検出器としてPDA検出器やUV検出器を用いると、ピーク開始点からピーク終了点までの時間が短いもの(例えばピーク幅が0.5分程度)から長いもの(例えばピーク幅が5分超)まで、様々な幅を持つピークが現れうる(例えば非特許文献4)。本発明者がこのようなクロマトグラムに対して特許文献1に記載の波形解析技術を適用したところ、ピークを正しく検出することができない場合があることが分かった。
【0009】
ここではクロマトグラフを用いて取得されるクロマトグラムからピークを検出する場合を例に説明したが、他の種類の波形からピークを検出する場合にも上記同様の問題があった。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、分析装置を用いて試料を測定することにより取得された波形に含まれる、幅が異なるピークを正しく検出することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
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