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公開番号2024162566
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-21
出願番号2023078194
出願日2023-05-10
発明の名称積層体、その製造方法、および成形体
出願人株式会社カネカ
代理人
主分類B32B 27/10 20060101AFI20241114BHJP(積層体)
要約【課題】紙基材層と、接着性樹脂層と、接着性成分を含みポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂を含む樹脂層とをこの順で含む積層体であって、接着性樹脂層を形成する際の乾燥性が良好であり、かつ紙基材層と樹脂層との接着強度が高い積層体を提供すること。
【解決手段】紙基材層(A)2の少なくとも片面に、目付量が、0.1g/m2以上3.0g/m2未満の第1の接着性樹脂層(B)3と、平均厚みが20μm以上100μm未満の熱可塑性樹脂層(C)4とがこの順に積層し、熱可塑性樹脂層(C)は、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂100重量部に対して第2の接着性樹脂(D)を0.1重量部以上10重量部未満含む、積層体に関する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
積層体であって、紙基材層(A)の少なくとも片面に第1の接着性樹脂層(B)と、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂層(C)とがこの順に積層しており、
前記第1の接着性樹脂層(B)の目付量は、0.1g/m

以上3.0g/m

未満であり、
前記熱可塑性樹脂層(C)の平均厚みは、20μm以上100μm未満であり、
前記熱可塑性樹脂層(C)は、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂100重量部に対して第2の接着性樹脂(D)を0.1重量部以上10重量部未満含む、積層体。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記第1の接着性樹脂層(B)がエステル系樹脂、アクリル系或いはメタクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン-アクリル系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、スチレン-イソプレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、尿素樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ウレタン系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、イミン系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の樹脂を含む、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記第2の接着性樹脂(D)がエステル系樹脂、アクリル系或いはメタクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン-アクリル系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、スチレン-イソプレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、尿素樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ウレタン系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、イミン系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の樹脂を含む、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記第1の接着性樹脂層(B)は、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、エチレン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アルキルフェノール-ホルムアルデヒド系樹脂、アルキルフェノール-アセチレン系樹脂、クマロン-インデン系樹脂、スチレン系樹脂、及び、キシレン-ホルムアルデヒド系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上の粘着性付与樹脂(E)を含む、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項5】
前記粘着性付与樹脂(E)は、重量平均分子量(Mw)が100以上5,000未満である、請求項4に記載の積層体。
【請求項6】
前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂である、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項7】
前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)である、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の積層体の製造方法であって、
前記基材層(A)の少なくとも片面に、前記第1の接着性樹脂層(B)を形成する工程、
前記第1の接着性樹脂層(B)の表面に、押出ラミネート法または熱ラミネート法により前記熱可塑性樹脂層(C)を形成する工程を含む、積層体の製造方法。
【請求項9】
前記押出ラミネート法で前記熱可塑性樹脂層(C)を形成する際に、T型ダイスの先端から溶融押出された直後の樹脂温度が、前記熱可塑性樹脂層(C)中に主成分として含まれるポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の融点以上165℃未満である、請求項8に記載の積層体の製造方法。
【請求項10】
前記熱ラミネート法において、前記熱可塑性樹脂層(C)を構成するフィルムを使用し、前記フィルムは、T型ダイスの先端から溶融押出された直後の樹脂温度が、前記熱可塑性樹脂層(C)中に主成分として含まれるポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の融点以上165℃未満で形成されたフィルムである、請求項8に記載の積層体の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、紙基材層の少なくとも片面に、樹脂層が積層してなる積層体、その製造方法、および成形体に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
近年、廃棄プラスチックによる環境問題がクローズアップされている。中でも、廃棄プラスチックによる海洋汚染は深刻であり、自然環境下で分解する生分解性プラスチックの普及が期待されている。
【0003】
そのような生分解性プラスチックとしては、種々のものが知られているが、中でも、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系共重合体(以下、「P3HA」と称することがある。)は、多くの微生物種の細胞内にエネルギー貯蔵物質として生産、蓄積される熱可塑性ポリエステルであり、土中だけでなく、海水中でも生分解が進行しうる材料である。そのため、上記の問題を解決する素材として注目されている。
【0004】
特に、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系共重合体である、3-ヒドロキシブチレート(以下、「3HB」と称することがある。)と3-ヒドロキシヘキサノエート(以下、「3HH」と称することがある。)との共重合体(以下、「PHBH」と称することがある。)は、多くの微生物種の細胞内にエネルギー貯蔵物質として生産、蓄積される熱可塑性ポリエステルであり、土中だけでなく、海水中でも生分解が進行しうる材料である。そのため、上記の問題を解決する素材として注目されている。
【0005】
中でも、PHBHを紙等の基材層と一体化させたPHBH/紙複合材は、環境負荷の小さい食品接触容器等に応用できることから、社会的な関心が特に高い。
【0006】
PHBHと紙とを一体化させる手段としては押出ラミネート法や水系スラリーのコーティング法などが挙げられるが、コーティング法では樹脂層の機械強度が十分には得られにくいことなどから、押出ラミネート法が好まれる。しかし、PHBHは一般的に溶融粘度が高く紙への食い込みが悪いため、溶融押出したPHBHと紙とを十分な強度で接着することは容易ではなかった。その結果、飲料用コップなどのカップ成形体の製造工程においてラミネート層が紙から剥離してしまい、内容物を充填した際に漏れ出してしまう問題が生じていた。
【0007】
特許文献1では、PHBHは開示されていないが、生分解性樹脂の紙への食い込みを改善してラミネート強度を向上させることを目的に、ポリカプロラクトンのディスパージョンまたはエマルジョンを、紙の上に10g/m

の目付量(層の乾燥重量)で塗布、乾燥した後に、押出ラミネートにて、3-ヒドロキシ酪酸・3-ヒトロキシ吉草酸共重合体(PHBV)を積層する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開平6-293113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の方法によれば紙と樹脂層の接着性は改善される傾向にあるものの、ポリカプロラクトンのディスパージョンまたはエマルジョンを10g/m

という大きな目付量で塗布した後、乾燥させるため、当該乾燥に長時間を要し生産性が高くない、また、当該乾燥によって紙基材層が劣化したり、紙が乾燥しすぎてしまい積層体に反りを生じたりしてしまう等といった課題があった。
【0010】
乾燥を容易にするため接着層の目付量を10g/m

より少なくする方法があるが、その場合には紙基材層と樹脂層との間の接着性が不十分になるといった課題があった。
(【0011】以降は省略されています)

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