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公開番号2024156212
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-01
出願番号2023070513
出願日2023-04-22
発明の名称イオン交換膜の分解処理方法及びそれを行うための装置
出願人学校法人神奈川大学
代理人個人
主分類C08J 11/16 20060101AFI20241025BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】イオン交換膜の新しい分解処理方法を提供すること。
【解決手段】アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の塩基性化合物の存在下、処理対象であるイオン交換膜を250℃以上の亜臨界水に接触させる工程を含むことを特徴とするイオン交換膜の分解処理方法を用いればよい。この亜臨界水の温度は300℃以上であることが好ましく、350℃以上であることがより好ましい。また、本発明によれば、フッ素原子を含有するポリマーからなるイオン交換膜も好ましく分解処理することが可能である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の塩基性化合物の存在下、処理対象であるイオン交換膜を250℃以上の亜臨界水に接触させる工程を含むことを特徴とするイオン交換膜の分解処理方法。
続きを表示(約 320 文字)【請求項2】
前記イオン交換膜が、フッ素原子含有ポリマーで形成されたものである請求項1記載のイオン交換膜の分解処理方法。
【請求項3】
前記亜臨界水の温度が300℃以上である請求項1記載のイオン交換膜の分解処理方法。
【請求項4】
前記塩基性化合物が水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムである請求項1記載のイオン交換膜の分解処理方法。
【請求項5】
アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の塩基性化合物の存在下、処理対象であるイオン交換膜を250℃以上の亜臨界水に接触させるための反応容器を備えることを特徴とするイオン交換膜の分解装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン交換膜の分解処理方法及びそれを行うための装置に関するものである。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
イオン交換膜は、イオン交換樹脂を膜状にしたものであり、きわめて小さい空孔を備える。そして、その空孔内部に面してスルホン酸ナトリウム基(-SO

Na)や四級アンモニウム塩からなる基等のイオン交換基が存在することで、カチオンとアニオンのいずれか一方のイオンを通過させる一方で、他方のイオンは通過させない性質を備える。このような性質を利用して、イオン交換膜は、海水の淡水化、製塩、各種物質の精製等に利用されるほか、イオン交換膜の備える高い導電性に着目して固体高分子形燃料電池(PEFC)における電解質としても応用されている。
【0003】
こうしたイオン交換膜の中でも、化学的な安定性や耐熱性の点からフルオロカーボン系のイオン交換膜が広く用いられている。フルオロカーボン系のイオン交換膜は、パーフルオロビニル化合物と、イオン交換基又はその前駆体となる基を備えたフッ化ビニル化合物とを共重合して調製されたものであり、ポリテトラフルオロエチレンを主鎖とし、その主鎖からイオン交換基を末端に含む側鎖が形成されたポリマーからなることが多い。そして、その側鎖もまた、パーフルオロアルキレン鎖で形成されることが好ましいとされる(例えば、特許文献1、2等を参照)。
【0004】
フルオロカーボン系のイオン交換膜は、上記のように優れた特性を備えるので、その使用においては高い利点を享受することができるが、使用を終えて廃棄処理を行う際にはその化学的な安定性ゆえに困難を生じがちである。すなわち、フルオロカーボン系のイオン交換膜を焼却しようとすれば、共有結合の中で最強である炭素-フッ素結合の存在によりその分解には高温での処理が必要になるばかりでなく、焼却により発生するフッ化水素ガスによる焼却炉材の劣化を招くことになる。このため、フルオロカーボン系のイオン交換膜を廃棄処分しようとすれば埋め立て処理が必要となるが、廃棄物の最終処分場が逼迫している現状ではそれも問題である。したがって、フルオロカーボン系のイオン交換膜についての、焼却でもなく埋め立てでもない、新たな廃棄物処理法が求められている。また、フルオロカーボン系のイオン交換膜を上記のように焼却処分すると、フルオロカーボンに含まれるフッ素原子がフッ化水素ガスとして拡散してしまうため、そのフッ素原子のリサイクルも困難である。
【0005】
一方、フッ素原子含有ポリマーに関しては、本発明者らにより、これを亜臨界水に接触させることにより分解する処理方法が提案されている(特許文献3及び4を参照)。これらのうち、特許文献4に記載された発明では、塩基性化合物の存在下でフッ素原子含有ポリマーを200℃以上の亜臨界水に接触させることが提案されている。しかしながら、その分解対象となるフッ素原子含有ポリマーは、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)等とされており、ポリテトラフルオロエチレンのように水素原子の存在しないポリマーでは分解が困難とされていた(特許文献4、段落0018を参照)。また、特許文献3及び4記載の発明では、上記イオン交換基のような置換基がフッ素原子含有ポリマーに結合している場合にも問題無く分解されるかどうかが示されてはいなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2004-279112号公報
特開2019-108607号公報
特開2018-104578号公報
特開2021-155478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、イオン交換膜の新しい分解処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、以上の課題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の塩基性化合物の存在下にて、分解対象となるイオン交換膜を250℃以上の亜臨界水に接触させるとそのイオン交換膜を分解処理することが可能であり、また、そのイオン交換膜にフッ素原子が含まれていた場合には、そのフッ素原子も高い収率で回収可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のようなものを提供する。
【0009】
(1)本発明は、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の塩基性化合物の存在下、処理対象であるイオン交換膜を250℃以上の亜臨界水に接触させる工程を含むことを特徴とするイオン交換膜の分解処理方法である。
【0010】
(2)また本発明は、上記イオン交換膜が、フッ素原子含有ポリマーで形成されたものである(1)項記載のイオン交換膜の分解処理方法である。
(【0011】以降は省略されています)

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