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公開番号
2024152303
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-25
出願番号
2023066418
出願日
2023-04-14
発明の名称
レールキャップ
出願人
日本精工株式会社
代理人
弁理士法人栄光事務所
主分類
F16C
29/08 20060101AFI20241018BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約
【課題】取付穴への異物の侵入を適正に抑制するとともに、座ぐり穴からの取り外し作業の作業性に優れるレールキャップを提供すること。
【解決手段】座ぐり穴16に嵌め込まれて取付穴15を閉塞するレールキャップ20であって、金属材から構成される蓋部材20aと、樹脂材から構成されて蓋部材20aに組み付けられる嵌合部材20bと、を備え、蓋部材20aは、板状の円板部21と、円板部21の下面から突出する短円筒部22と、短円筒部22の上端部に設けられて短円筒部22の外周面が径方向内側に窪む溝部23と、短円筒部22の内周部よりも径方向内側に位置するように円板部21に設けられる薄肉部24と、を有し、嵌合部材20bは、該レールキャップ20が座ぐり穴16に嵌め込まれた状態において座ぐり穴16の内周面と面接触することになる外周面と、嵌合部材20bの上下方向に延びるスリット28と、を有する。
【選択図】図3
特許請求の範囲
【請求項1】
直動案内軸受装置を構成する案内レールの取付穴の上部に設けられた座ぐり穴に嵌め込まれて該取付穴を閉塞するレールキャップであって、
金属材から構成される蓋部材と、樹脂材から構成されて前記蓋部材に組み付けられるリング状の嵌合部材と、を備え、
前記蓋部材は、板状の円板部と、前記円板部の下面から突出する前記円板部と同芯の短円筒部と、を備え、
前記短円筒部の上端部には、前記短円筒部の外周面が径方向内側に窪む溝部が形成され、
前記円板部には、下面が前記短円筒部の内側に形成される空間を構成し、前記短円筒部より径方向外側に延出するフランジ部よりも薄肉な薄肉部が設けられ、
前記嵌合部材は、前記蓋部材の溝部に取り付けられ、該レールキャップが前記座ぐり穴に嵌め込まれた状態において前記座ぐり穴の内周面と面接触することになる外周面と、該嵌合部材の上下方向に延びるスリットと、を有する、
レールキャップ。
続きを表示(約 270 文字)
【請求項2】
前記蓋部材の上端から前記溝部の下端までの上下方向の長さは、
前記蓋部材の上端から前記嵌合部材の外周面の上端までの上下方向の長さよりも大きく、且つ、該レールキャップの上下方向の長さよりも小さい、
請求項1に記載のレールキャップ。
【請求項3】
前記蓋部材の上端から前記嵌合部材の外周面の上端までの上下方向の長さは、
前記蓋部材の上端から前記溝部の下端までの上下方向の長さよりも大きく、且つ、該レールキャップの上下方向の長さよりも小さい、
請求項1に記載のレールキャップ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、レールキャップの改良に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)
【背景技術】
【0002】
従来から、直線状の案内レールと、案内レールに相対移動可能に跨架されたスライダと、を備えて、案内レール及びスライダに形成された転動体転動溝間を循環する複数の転動体(例えば、ボール)を介して、スライダが案内レール上を軸方向に相対移動可能に構成される、直動案内軸受装置が提案されている。このような直動案内軸受装置は、案内レールに上面から下面まで貫通する取付穴が設けられ、取付穴にボルトを挿入し、ボルトのねじ軸を基台等のねじ孔に締め付けることによって基台等に取り付けられる。かかる取り付け後、取付穴を閉塞すべく、取付穴の上部に設けられた座ぐり穴には、例えば金属製のレールキャップが嵌め込まれる。これにより、直動案内軸受装置は、取付穴に異物が溜まるのを抑制している(特許文献1~2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2014-137140号公報
特開2016-196905号公報
実開平4-117914号公報
特開2012-172750号公報
特開2016-217508号公報
特開2015-152021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のレールキャップは、一定の厚さで製作された短円柱状の形状を有するものがある。このレールキャップは、外径が座ぐり穴の内径よりも大きく、外周部が塑性変形または削られながら座ぐり穴に嵌入され、弾性力によって座ぐり穴の内周部に圧着されることによって抜け止めされる。しかしながら、レールキャップを座ぐり穴から取り外す際、レールキャップをドリル等の工具で破壊するため、レールキャップの取り外し作業に時間を要する。また、上記作業によって座ぐり穴が損傷することがあり、案内レールを再利用できなくなるおそれがあった。
【0005】
従来のレールキャップの中には、この問題を解決するための方法が提案されたものもある。例えば、上面の一部を薄肉とすることでドライバ等の工具で簡単に穴をあけることができ、その穴を利用してレールキャップを座ぐり穴から容易に取り外し可能な方法が提案されている(特許文献3を参照)。また、上面を反り返らせて、座ぐり穴の内周面にレールキャップを固定させる方法(特許文献4を参照)や、中央付近の厚さを最大として、一端を薄くすることによって、タガネ等の工具で叩くと他端が浮き上がりレールキャップを座ぐり穴から容易に取り外し可能な方法(特許文献5を参照)も提案されている。更には、内部側蓋部材と外部側蓋部材との間に形成された空間内に液状ゴムを注入し、空間を液状ゴムで満たし硬化させることによって、栓部材を繰り返しの取り付け及び取り外しを可能とする方法(特許文献6を参照)も提案されている。
【0006】
しかしながら、従来のレールキャップは、スライダが上側を通過した際、スライダに挟まれた異物によって、レールキャップの上面が押し込まれて変形して平滑な面を維持できないものがある。このようなレールキャップでは、レールキャップの上面の周縁部と座ぐり穴との隙間に異物がたまり、直動案内軸受装置の内部に異物が侵入するおそれがあった。また、レールキャップの上面に薄肉部がないことによって、レールキャップを取り外す際、穴あけが難しく、取り外しに時間を要するものもあった。このように、従来のレールキャップは、座ぐり穴からの取り外し作業の作業性と、座ぐり穴(取付穴)への異物の侵入を適正に抑制することと、の両立が困難であった。
【0007】
本発明は、上述した問題点に着目してなされたものであり、取付穴への異物の侵入を適正に抑制するとともに、座ぐり穴からの取り外し作業の作業性に優れるレールキャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明の上記目的は、直動案内軸受装置に係る下記(1)~(3)の構成により達成される。
(1)
直動案内軸受装置を構成する案内レールの取付穴の上部に設けられた座ぐり穴に嵌め込まれて該取付穴を閉塞するレールキャップであって、
金属材から構成される蓋部材と、樹脂材から構成されて前記蓋部材に組み付けられるリング状の嵌合部材と、を備え、
前記蓋部材は、板状の円板部と、前記円板部の下面から突出する前記円板部と同芯の短円筒部と、を備え、
前記短円筒部の上端部には、前記短円筒部の外周面が径方向内側に窪む溝部が形成され、
前記円板部には、下面が前記短円筒部の内側に形成される空間を構成し、前記短円筒部より径方向外側に延出するフランジ部よりも薄肉な薄肉部が設けられ、
前記嵌合部材は、前記蓋部材の溝部に取り付けられ、該レールキャップが前記座ぐり穴に嵌め込まれた状態において前記座ぐり穴の内周面と面接触することになる外周面と、該嵌合部材の上下方向に延びるスリットと、を有する、
レールキャップ。
(2)
前記蓋部材の上端から前記溝部の下端までの上下方向の長さは、
前記蓋部材の上端から前記嵌合部材の外周面の上端までの上下方向の長さよりも大きく、且つ、該レールキャップの上下方向の長さよりも小さい、
(1)に記載の直動案内軸受装置。
(3)
前記蓋部材の上端から前記嵌合部材の外周面の上端までの上下方向の長さは、
前記蓋部材の上端から前記溝部の下端までの上下方向の長さよりも大きく、且つ、該レールキャップの上下方向の長さよりも小さい、
(1)に記載のレールキャップ。
【発明の効果】
【0009】
上記(1)の構成のレールキャップによれば、蓋部材と嵌合部材とによって構成されることによって、取付穴への異物の侵入が適正に抑制される。また、円板部に薄肉部が設けられることによって、レールキャップを座ぐり穴から取り外すとき、薄肉部に穴をあけやすく取り外し作業が容易となる。また、座ぐり穴と面接触する嵌合部材が樹脂材から構成されることによって、レールキャップを座ぐり穴から取り外すとき、座ぐり穴(取付穴)の内周面が損傷し難くなり、案内レールの再利用が可能となる。このように、本構成のレールキャップは、取付穴への異物の侵入の適正な抑制と、座ぐり穴からの取り外し作業の優れた作業性と、の両立が可能である。
また、嵌合部材にスリットが設けられていることによって、嵌合部材の蓋部材へ取り付け作業が容易となる。
【0010】
上記(2)の構成のレールキャップによれば、嵌合部材と座ぐり穴との接触部分と、嵌合部材と蓋部材(即ち、溝部)との接触部分とが上下方向に一部重複している。これにより、レールキャップを座ぐり穴に嵌め込むとき、及び、レールキャップを座ぐり穴から取り外すときにおいても、嵌合部材が蓋部材から外れることが抑制される。換言すると、嵌合部材は、上記構成により蓋部材への優れた保持力を有している。
(【0011】以降は省略されています)
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