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公開番号
2025002593
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-09
出願番号
2023102882
出願日
2023-06-23
発明の名称
緩衝器
出願人
カヤバ株式会社
代理人
個人
主分類
F16F
9/32 20060101AFI20241226BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約
【課題】リザーバを利用した液圧ロック機能を発揮できるとともに下方室内の負圧を防ぎ異音の発生を抑制と安定した減衰力の発生が可能な緩衝器を提供する。
【解決手段】本発明の緩衝器Dは、シリンダ1と、シリンダ1内に挿入されるピストンロッド2と、シリンダ1内に伸側室R1と圧側室R2とを区画するピストン3と、液体と気体とを貯留するとともにシリンダ1内に出入りするピストンロッド2の体積を補償するリザーバRと、ピストン3が中立位置にある状態でリザーバR内の液面Sより上方に収容されてリザーバR内を上方室Uと下方室Lとに仕切る仕切部材4とを備え、上方室Uと下方室Lとの間に、上方室Uと下方室Lとを連通するポート4aと、上方室Uと下方室Lとを連通する通路5と、通路5の上端であってポート4aの上方室Uに開口する開口端よりも上方に配置されるオリフィス6とを備えている。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
シリンダと、
前記シリンダ内に軸方向へ移動可能に挿入されるピストンロッドと、
前記ピストンロッドに連結されるとともに前記シリンダ内に移動可能に挿入されて前記シリンダ内に液体が充満する伸側室と圧側室とを区画するピストンと、
液体と気体とを貯留するとともに前記圧側室に連通されて前記シリンダ内に出入りする前記ピストンロッドの体積を補償するリザーバと、
前記リザーバ内であって前記ピストンが前記シリンダに対して中立位置にある状態で液面よりも上方に収容されて前記リザーバ内を上方室と下方室とに仕切る仕切部材とを備え、
前記上方室と前記下方室との間に、
前記上方室と前記下方室とを連通するポートと、
前記上方室と前記下方室とを連通する通路と、
前記通路の上端であって前記ポートの前記上方室に開口する開口端よりも上方に配置されるオリフィスとを有する
ことを特徴とする緩衝器。
続きを表示(約 310 文字)
【請求項2】
前記ポートの下端を開閉するとともに前記上方室から前記下方室へ向かう流れのみを許容するチェックバルブを備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の緩衝器。
【請求項3】
前記シリンダの外周に前記シリンダとの間に前記リザーバを形成する外筒を備え、
前記ポートと前記通路は、前記仕切部材に対して周方向にずれた位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の緩衝器。
【請求項4】
前記通路の途中に設けられるとともに、前記オリフィスよりも液体の流れに与える抵抗が小さな抵抗要素を備えた
ことを特徴とする請求項1または2に記載の緩衝器。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝器に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、車両に利用される緩衝器にあっては、たとえば、シリンダと、シリンダ内に移動可能に挿入されるピストンロッドと、ピストンロッドの先端に連結されるとともにシリンダ内に移動可能に挿入されてシリンダ内を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、シリンダを覆ってシリンダとの間にシリンダ内に出入りするピストンロッドの体積を補償するリザーバを形成する外筒とを備えている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
このように複筒型に構成された従来の緩衝器では、最収縮時の衝撃を緩和するためにシリンダから外方へ突出するピストンロッドの外周に装着されるバンプクッションラバーをシリンダの上端に取り付けられたバンプクッションに衝合させるものが一般的であるが、近年のスポーツ・ユーティリティ・ビークルのブームによって、年々車両重量が重くなるとともに車両の重心高さが高くなっており、急制動時や急転舵時の車体の振動を軽減すべく、収縮側のストロークエンドでの衝撃の緩和について弾性反発を生じないオイルロックの利用が要望されるようになっている。
【0004】
他方、テレスコピック型に形成されて伸縮可能な伸縮体内に伸縮時に減衰力を発生するダンパカートリッジを収容する二輪車用のフロントフォークでは、伸縮体内であってダンパカートリッジ外の空間に充填された作動油の油面が伸縮体の伸縮時に前記作動油の油面が伸縮体内で上下動することに着目して、ダンパカートリッジの外周に伸縮体内を上方室と下方室とに区画するとともに上方室と下方室とを連通するオリフィスを備えた区画部材を設け、ストロークエンド近傍まで収縮すると作動油にオリフィスを通過させて、ダンパカートリッジが発生する減衰力に前記オリフィスによる減衰力を重畳させて収縮側へのストローク速度を減少させるものがある(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2017-002988号公報
特開2004-286197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって、従来の複筒型の緩衝器のリザーバ内に特許文献2に開示されているような区画部材を設けてリザーバ内を上下に区画すれば、緩衝器がストロークエンド近傍まで収縮する際に、リザーバ内の作動油が区画部材のオリフィスを通過して区画部材の上方へ移動するようにすれば、最収縮時の衝撃を緩和できると考えられる。ところが、複筒型の緩衝器では伸長作動時にシリンダ内にピストンロッドがシリンダから退出する体積分の作動油を供給しなければならず、区画部材のオリフィスを通過した作動油が区画部材の下方へ戻る際にオリフィスを通過しなければならず、緩衝器の伸長速度によってはリザーバ内の下方室内への作動油の供給が間に合わず下方室内が負圧となってしまい油中に気泡が生じて減衰力発生応答性が悪化したり異音が発生したりする心配がある。
【0007】
フロントフォークでは、ダンパカートリッジの伸長時にダンパカートリッジ外の作動油を多量に吸い込むことを想定していないため、前述のような問題は生じないが、複筒型の緩衝器では伸縮時にシリンダ内とリザーバとで作動油のやり取りが行われるため、前述の問題が生じてしまう恐れがある。
【0008】
そこで、本発明は、リザーバを利用した液圧ロック機能を発揮できるだけでなく、下方室内の負圧を防ぎ異音の発生を抑制と安定した減衰力の発生が可能な緩衝器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の緩衝器は、シリンダと、シリンダ内に軸方向へ移動可能に挿入されるピストンロッドと、ピストンロッドに連結されるとともにシリンダ内に移動可能に挿入されてシリンダ内に液体が充満する伸側室と圧側室とを区画するピストンと、液体と気体とを貯留するとともに圧側室に連通されてシリンダ内に出入りするピストンロッドの体積を補償するリザーバと、リザーバ内であってピストンがシリンダに対して中立位置にある状態で液面よりも上方に収容されてリザーバ内を上方室と下方室とに仕切る仕切部材とを備え、上方室と下方室との間に、上方室と下方室とを連通するポートと、上方室と下方室とを連通する通路と、通路の上端であってポートの上方室に開口する開口端よりも上方に配置されるオリフィスとを備えている。
【0010】
このように構成された緩衝器は、収縮作動時にピストンがシリンダに対して中立位置から収縮方向へ移動する際に、リザーバ内の液面がオリフィスに到達すると、収縮が進むのに伴ってオリフィスによって収縮を妨げる液圧ロック機能を発揮して、最収縮時の衝撃の緩和と底付きの防止が可能である。また、緩衝器では、緩衝器が液圧ロック機能を発揮した後伸長作動を呈して下方室から液体がシリンダ内へ移動する際、オリフィスがポートの上方室側の開口端よりも上方に配置されており、通路とオリフィスとを通じて上方室の気体が下方室へ移動できるので、ピストンロッドの補償を行うリザーバを利用して液圧ロック機能を発揮しても、下方室内の圧力が負圧なるような事態が生じない。
(【0011】以降は省略されています)
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