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公開番号2024146934
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-15
出願番号2024058257
出願日2024-03-29
発明の名称固体電解質シート及び全固体電池
出願人本田技研工業株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類H01M 10/0562 20100101AFI20241004BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】強度が向上し、クラックの発生が抑制され、かつイオン伝導性が向上した固体電解質シートを提供すること。
【解決手段】内層と、内層の一方の表面に積層された第1外層と、内層の他方の表面に積層された第2外層とを有し、内層は多孔質基材と多孔質基材に充填されている内層固体電解質組成物とを含み、内層固体電解質組成物は固体電解質材料とバインダとを含有し、第1外層は固体電解質材料とバインダとを含有する第1外層固体電解質組成物を含み、第2外層は固体電解質材料とバインダとを含有する第2外層固体電解質組成物を含み、内層固体電解質組成物は、第1外層固体電解質組成物及び第2外層固体電解質組成物と比較してバインダ含有率が高く、内層固体電解質組成物に含まれる固体電解質材料の平均粒子径は、第1外層固体電解質組成物及び第2外層固体電解質組成物に含まれる固体電解質材料の平均粒子径よりも小さい、固体電解質シート。
【選択図】図1

特許請求の範囲【請求項１】
内層と、前記内層の一方の表面に積層された第１外層と、前記内層の他方の表面に積層された第２外層と、を有し、
前記内層は、多孔質基材と前記多孔質基材に充填されている内層固体電解質組成物とを含み、前記内層固体電解質組成物は、固体電解質材料とバインダとを含有し、
前記第１外層は固体電解質材料とバインダとを含有する第１外層固体電解質組成物を含み、
前記第２外層は固体電解質材料とバインダとを含有する第２外層固体電解質組成物を含み、
前記内層固体電解質組成物は、前記第１外層固体電解質組成物及び前記第２外層固体電解質組成物と比較してバインダ含有率が高く、
前記内層固体電解質組成物に含まれる固体電解質材料の平均粒子径は、前記第１外層固体電解質組成物及び前記第２外層固体電解質組成物に含まれる固体電解質材料の平均粒子径よりも小さい、固体電解質シート。
続きを表示（約 830 文字）【請求項２】
前記第１外層固体電解質組成物及び前記第２外層固体電解質組成物のバインダ含有率は、前記内層固体電解質組成物のバインダ含有率の１／１０～９／１０の範囲内にある、請求項１に記載の固体電解質シート。
【請求項３】
前記第１外層固体電解質組成物及び前記第２外層固体電解質組成物のバインダ含有率は、前記内層固体電解質組成物のバインダ含有率の３／１０～６／１０の範囲内にある、請求項２に記載の固体電解質シート。
【請求項４】
前記内層固体電解質組成物のバインダ含有率が、３～２０質量％の範囲内にある、請求項１に記載の固体電解質シート。
【請求項５】
前記内層固体電解質組成物のバインダ含有率が、３～９質量％の範囲内にある、請求項４に記載の固体電解質シート。
【請求項６】
前記内層の厚さが１０～２５μｍの範囲内にある、請求項５に記載の固体電解質シート。
【請求項７】
前記内層固体電解質組成物のバインダ含有率が、１０～２０質量％の範囲内にある、請求項４に記載の固体電解質シート。
【請求項８】
前記内層固体電解質組成物に含まれる固体電解質材料の粒度分布のピークは、粒子径が１μｍ以下の領域にあり、前記第１外層固体電解質組成物及び前記第２外層固体電解質組成物に含まれる固体電解質材料の粒度分布のピークは、粒子径が１μｍ以下の領域と粒子径が３μｍ以上の領域とにある、請求項１に記載の固体電解質シート。
【請求項９】
前記内層の厚さが２～３０μｍの範囲内にあり、前記第１外層及び前記第２外層の厚さが前記内層の厚さの１／５～２倍の範囲内にある、請求項１に記載の固体電解質シート。
【請求項１０】
前記第１外層及び前記第２外層の厚さが前記内層の厚さよりも薄い、請求項９に記載の固体電解質シート。
（【請求項１１】以降は省略されています）
発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、固体電解質シート及び全固体電池に関する。
続きを表示（約 2,000 文字）【背景技術】
【０００２】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する全固体電池に関する研究開発が行われている。全固体電池は、一般に正極と負極との間に固体電解質層を挟んだ構造を有する。例えばリチウムイオン全固体電池の固体電解質層は、リチウムイオンを伝導する機能と、正極内の正極層（正極活物質層）と負極内の負極層（負極活物質層）との間の短絡を防ぐセパレータとしての機能を有する。ここで、セパレータとなる固体電解質層は、エネルギー密度を向上させるために極力薄いことが好ましいとされている。しかし、単に薄くするだけでは強度の低下によりクラックの発生等を招来するため、多孔質基材を含有させて固体電解質層の薄層化と強度確保を図った全固体電池が知られている（特許文献１等参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
特開２０１５－１５３４６０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ところで、全固体電池に関する技術においては長期間にわたる安定性と充放電効率の向上が課題である。多孔質基材の含有により固体電解質層の強度が向上して、全固体電池の安定性が向上する。しかしながら、多孔質基材を用いることによる、強度の偏りの発生、あるいは多孔質基材を含有することによるクラックの発生やイオン伝導性の低下などが考えられる。
【０００５】
本願は上記の課題を解決するために、強度が向上し、クラックの発生が抑制され、かつイオン伝導性が向上した固体電解質シート、及び強度が向上し、クラックの発生が抑制され、かつイオン伝導性が向上した固体電解質層を有する全固体電池を提供することを主たる目的としている。そして、延いてはエネルギーの効率化に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明者らは、上記の課題解決のため、固体電解質材料とバインダとを含有する固体電解質組成物を多孔質基材に充填した内層と、内層の表面に積層された固体電解質組成物を含む外層とを有する固体電解質シートにおいて、内層と外層で使用する固体電解質材料の粒径やバインダの量を調整することが有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。したがって、本発明は下記のものを提供する。
【０００７】
（１）内層と、前記内層の一方の表面に積層された第１外層と、前記内層の他方の表面に積層された第２外層と、を有し、前記内層は、多孔質基材と前記多孔質基材に充填されている内層固体電解質組成物とを含み、前記内層固体電解質組成物は、固体電解質材料とバインダとを含有し、前記第１外層は固体電解質材料とバインダとを含有する第１外層固体電解質組成物を含み、前記第２外層は固体電解質材料とバインダとを含有する第２外層固体電解質組成物を含み、前記内層固体電解質組成物は、前記第１外層固体電解質組成物及び前記第２外層固体電解質組成物と比較してバインダ含有率が高く、前記内層固体電解質組成物に含まれる固体電解質材料の平均粒子径は、前記第１外層固体電解質組成物及び前記第２外層固体電解質組成物に含まれる固体電解質材料の平均粒子径よりも小さい、固体電解質シート。
【０００８】
（１）の固体電解質シートによれば、内層固体電解質組成物はバインダ含有率が高く、内層の多孔質基材との密着性が高いので、クラックが発生しにくくなる。一方、第１外層固体電解質組成物及び第２外層固体電解質組成物はバインダ含有率が低いので、イオン伝導性が向上する。また、内層固体電解質組成物は、固体電解質材料の平均粒子径が小さく、内層の多孔質基材に充填しやすく高密度で充填されるので、固体電解質シートの強度とクラックの発生抑制効果が向上する。さらに第１外層固体電解質組成物及び第２外層固体電解質組成物は、固体電解質材料の平均粒子径が大きいので、固体電解質シートのリチウムイオン伝導性が向上する。よって、（１）の固体電解質シートによれば、強度が向上し、クラックの発生が抑制され、かつイオン伝導性が向上する。
【０００９】
（２）前記第１外層固体電解質組成物及び前記第２外層固体電解質組成物のバインダ含有率は、前記内層固体電解質組成物のバインダ含有率の１／１０～９／１０の範囲内にある、（１）に記載の固体電解質シート。
【００１０】
（２）の固体電解質シートによれば、内層固体電解質組成物、第１外層固体電解質組成物及び第２外層固体電解質組成物のバインダ含有率が上記の関係にあるので、固体電解質シートの強度とクラックの発生抑制効果とリチウムイオン伝導性とがよりバランスよく向上する。
（【００１１】以降は省略されています）

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