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公開番号2024140668
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-10
出願番号2023051933
出願日2023-03-28
発明の名称電解質溶液及び電気化学的防食工法
出願人デンカ株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C23F 13/10 20060101AFI20241003BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】塩害及びASRを抑制することができる電気化学的防食工法に用いられる電解質溶液、及び電気化学的防食工法を提供することを目的とする。
【解決手段】電気化学的防食工法に用いられる電解質溶液であって、炭素数3以下のカルボン酸塩及び炭素数3以下のアルキルスルホン酸塩の少なくともいずれかの有機酸塩を電解質として有する、電解質溶液である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
電気化学的防食工法に用いられる電解質溶液であって、
炭素数3以下のカルボン酸塩及び炭素数3以下のアルキルスルホン酸塩の少なくともいずれかの有機酸塩を電解質として有する、電解質溶液。
続きを表示(約 320 文字)【請求項2】
前記有機酸塩が、アルカリ土類金属を含む、請求項1に記載の電解質溶液。
【請求項3】
pHが、6.5~12.0である、請求項1又は2に記載の電解質溶液。
【請求項4】
前記電解質の濃度が、3~20質量%である、請求項1又は2に記載の電解質溶液。
【請求項5】
コンクリート表面側に設置した電極を外部電極とし、コンクリート内部側に埋設されている鉄筋を内部電極とし、前記内部電極、請求項1又は2に記載の電解質溶液を保持した電解質溶液保持材、及び前記外部電極をこの順に配置して、前記外部電極と前記内部電極との間に直流電流を通電する鉄筋コンクリートの電気化学的防食工法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電解質溶液及び電気化学的防食工法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
従来、道路、鉄道などの土木建設構造物、具体的には橋梁の下部工、橋梁の橋桁、トンネルなどの地下構造物又は半地下構造物、カルバートなどの構築には、一般的に鉄筋コンクリートが使用されている。この鉄筋コンクリートは、高い圧縮強度性能を持つコンクリートと、高い引張強度性能を持つ鉄筋とを組み合わせることにより、圧縮強度と引張強度とを併せ持つ複合構造体を作ることが可能であり、構造物の材料として多く使用されている。なお、この鉄筋コンクリートを用いた構造物には、所謂PC構造物と呼ばれ、更にPC鋼材(PC鋼線、PC鋼棒、PC鋼より線など)をコンクリート内に配置したコンクリート構造物も多く存在する。
【0003】
ところで、コンクリートの鉄筋やPC鋼材などの鋼材周辺に多量の塩化物イオンが存在すると、いわゆる塩害が発生する。「塩害」とは、沿岸部にあるコンクリート構造物の場合、海水の飛沫がコンクリート表面に付着し、その塩化物イオンがコンクリートの吸着現象や濃度勾配によりコンクリート中に浸透して鉄筋まで到達すると、塩化物イオンにより鉄筋の不動態皮膜が破壊され腐食が始まる劣化現象である。さらに、過去のコンクリート構造物では、細骨材として海砂が使用されることもあり、その際、管理の不十分さから塩化物イオンの除去が十分に行われないまま使用されたため、多量の塩化物イオンがコンクリート中に存在することになり、その結果、鉄筋の不動態皮膜が破壊され腐食が始まるケースもある。なお、道路の管理で用いられる塩化物系の凍結防止剤によっても「塩害」は発生する。
上記のような鉄筋コンクリートの劣化現象が進行すると、複合構造物としての耐久性が大きく低下することになる。
【0004】
劣化した鉄筋コンクリートの補修方法として、破壊を伴うことなく電気化学的な方法により補修を行う方法が提案され、実施されてきた。
例えば、特許文献1では、板状体の一方面側に外部電極を配設するとともに、外部電極配設領域の全面を電解質溶液保持材で被覆した電極用ユニットパネルを、処理対象のコンクリート面に対して、並べて配設するとともに、コンクリート内部に埋設されている鉄筋を内部電極とし、外部電極と内部電極との間に直流電流を通電することによりコンクリート内部の塩化物イオンを外部電極側に泳動させて除去する鉄筋コンクリートの電気化学的処理方法が提案されている。この電気化学的処理方法に用いられる電解質溶液の溶質としては、リチウム、ナトリウム及びカリウム、並びにマグネシウムやカルシウムなどの炭酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩、さらに水酸化物や塩化物等が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第6586000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示される方法など、電気化学的な方法により補修を行うことで、コンクリート構造物の脱塩を、非破壊でかつ効率的に行うことができる。
しかしながら、電気化学的な方法においては、コンクリート中に含まれるナトリウム等のアルカリ金属イオンがコンクリート中の陰極に引き寄せられて、陰極である鉄筋(鋼材)周辺に集積され、アルカリシリカ反応(以下「ASR」と記載する。)が開始されることがある。ASRが開始すると、コンクリート内部の反応性の高いシリカがアルカリと反応しケイ酸アルカリゲルが生成され、ゲルの吸水により、膨張が生じて、コンクリート構造物にひび割れが発生し耐久性の低下を招く恐れがある。
【0007】
以上から、本発明は、塩害及びASRを抑制することができる電気化学的防食工法に用いられる電解質溶液、及び電気化学的防食工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために鋭意検討したところ、本発明者は下記本発明に想到し、当該課題を解決できることを見出した。すなわち本発明は下記のとおりである。
[1] 電気化学的防食工法に用いられる電解質溶液であって、炭素数3以下のカルボン酸塩及び炭素数3以下のアルキルスルホン酸塩の少なくともいずれかの有機酸塩を電解質として有する、電解質溶液。
[2] 前記有機酸塩が、アルカリ土類金属を含む、[1]に記載の電解質溶液。
[3] pHが、6.5~12.0である、[1]又は[2]に記載の電解質溶液。
[4] 前記電解質の濃度が、3~20質量%である、[1]~[3]のいずれかに記載の電解質溶液。
[5] コンクリート表面側に設置した電極を外部電極とし、コンクリート内部側に埋設されている鉄筋を内部電極とし、前記内部電極、[1]~[4]のいずれかに記載の電解質溶液を保持した電解質溶液保持材、及び前記外部電極をこの順に配置して、前記外部電極と前記内部電極との間に直流電流を通電する鉄筋コンクリートの電気化学的防食工法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、塩害及びASRを抑制することができる電気化学的防食工法に用いられる電解質溶液、及び電気化学的防食工法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本実施形態に係る電気化学的防食工法の実施に用いられる電気化学的防食システムの一例を示す部分断面図である。
実施例の試験方法を説明する図であり、側面側の断面図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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