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公開番号2024135223
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-04
出願番号2023045803
出願日2023-03-22
発明の名称表面処理鋼板
出願人日本製鉄株式会社
代理人アクシス国際弁理士法人
主分類C23C 28/00 20060101AFI20240927BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】耐食性に優れるとともに、スポット溶接電極の寿命を延ばすことが可能な表面処理鋼板を提供する。
【解決手段】素地鋼板20と、素地鋼板20上に形成されたZn-Al系合金めっき層30と、Zn-Al系合金めっき層30上に形成された樹脂皮膜40とを備える表面処理鋼板10である。Zn-Al系合金めっき層30は、1~70質量%のAlを含む。樹脂皮膜40は、ベース樹脂を含む有機成分、並びに10.0~95.0mg/m2のTiである第1無機元素と、0mg/m2超過50.0mg/m2以下のZr、0mg/m2超過20.0mg/m2以下のV及び0mg/m2超過42.0mg/m2以下のPから選択される1種以上の第2無機元素と、0~20.0mg/m2のMo、0~20.0mg/m2のW及び0~30.0mg/m2のSiから選択される1種以上の第3無機元素とを含む無機成分を有し、且つ10℃/分の昇温速度で600℃まで加熱したときの質量減少率が85.0%以上である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
素地鋼板と、前記素地鋼板上に形成されたZn-Al系合金めっき層と、前記Zn-Al系合金めっき層上に形成された樹脂皮膜とを備え、
前記Zn-Al系合金めっき層は、1~70質量%のAlを含み、
前記樹脂皮膜は、ベース樹脂を含む有機成分、並びに10.0~95.0mg/m
2
のTiである第1無機元素と、0mg/m
2
超過50.0mg/m
2
以下のZr、0mg/m
2
超過20.0mg/m
2
以下のV及び0mg/m
2
超過42.0mg/m
2
以下のPから選択される1種以上の第2無機元素と、0~20.0mg/m
2
のMo、0~20.0mg/m
2
のW及び0~30.0mg/m
2
のSiから選択される1種以上の第3無機元素とを含む無機成分を有し、且つ10℃/分の昇温速度で600℃まで加熱したときの質量減少率が85.0%以上である、表面処理鋼板。
続きを表示(約 400 文字)【請求項2】
前記ベース樹脂は脂肪族系ウレタン樹脂である、請求項1に記載の表面処理鋼板。
【請求項3】
前記脂肪族系ウレタン樹脂がエポキシ変性されている、請求項2に記載の表面処理鋼板。
【請求項4】
前記樹脂皮膜における前記無機成分の合計付着量が150.0mg/m
2
以下である、請求項1又は2に記載の表面処理鋼板。
【請求項5】
前記樹脂皮膜における前記無機成分の合計付着量に対する前記Tiの付着量の比が0.40~0.90である、請求項1又は2に記載の表面処理鋼板。
【請求項6】
前記樹脂皮膜の厚さが0.3~2.0μmである、請求項1又は2に記載の表面処理鋼板。
【請求項7】
前記樹脂皮膜における前記ベース樹脂以外の有機成分の含有量が13.0質量%以下である、請求項1又は2に記載の表面処理鋼板。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理鋼板に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
素地鋼板上にZn-Al系合金めっき層が設けられた表面処理鋼板は、耐食性などの特性に優れることから、自動車部品、家電製品、建材などの各種分野で広く用いられている。このような各種分野で用いられる表面処理鋼板には、各種製品を製造する際に溶接が施されることが多い。溶接としては、溶接部分が小さく、他の溶接よりも仕上がりが良好になるスポット溶接が多く利用されている。
【0003】
しかしながら、表面処理鋼板に対してスポット溶接を行うと、スポット溶接に用いられる電極(以下、「スポット溶接電極」という)の寿命が極端に短くなるという問題がある。これは、スポット溶接時の発熱により、Zn-Al系合金めっき層中のZnがスポット溶接電極の主要成分であるCu中に拡散し、CuとZnとの合金層がスポット溶接電極の先端に形成されることに主に起因する。すなわち、スポット溶接電極に形成されたCuとZnとの合金層は脆いため、連続打点を繰り返すうちに剥離することにより、スポット溶接電極の先端が損耗するとともに先端の径が拡大する。その結果、スポット溶接時に電流密度が低下して発熱不足となり、所望の大きさのナゲットを生成できなくなる。
【0004】
そこで、スポット溶接電極の寿命の問題を解決するために、Zn-Al系合金めっき層などの各種めっき層の表面に各種皮膜を形成することが提案されている。例えば、特許文献1には、素地鋼板上に形成されたZn系めっき層上にエポキシ系樹脂皮膜を形成すること、及びこのエポキシ系樹脂皮膜に酸化物を含有させることが提案されている。また、特許文献2には、素地鋼板上に形成されたZn系めっき層上に、Mo、V、Cuの一種又は二種以上の金属酸化物皮膜を形成することが提案されている。さらに、特許文献3には、素地鋼板上に形成されたAl系めっき層上に、シリカ、高分子固体潤滑剤を含む有機樹脂皮膜を形成することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平4-216930号公報
特開平5-214558号公報
特開平9-142466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のエポキシ系樹脂皮膜、及び酸化物を含有するエポキシ系樹脂皮膜は、耐食性が十分でないとともに、スポット溶接電極の寿命を延ばす効果も乏しい。
特許文献2に記載の金属酸化物皮膜は、スポット溶接を繰り返すうちに金属酸化物がスポット溶接電極の先端に堆積してしまう。
特許文献3に記載の有機樹脂皮膜は、ベース樹脂である有機樹脂が限定されていないため、有機樹脂の種類によっては、スポット溶接を繰り返すうちにスポット溶接電極の先端に有機樹脂の成分が堆積してしまう。また、有機樹脂皮膜に含まれるシリカもスポット溶接電極の先端に堆積し易い。
したがって、特許文献2及び3に記載の各皮膜はいずれも、スポット溶接電極の先端に各皮膜の成分が堆積することによってスポット溶接電極と表面処理鋼板との間の抵抗が上昇する。その結果、スポット溶接時に発熱不足となるため、スポット溶接電極の寿命が短くなり易い。
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、耐食性に優れるとともに、スポット溶接電極の寿命を延ばすことが可能な表面処理鋼板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、素地鋼板上に形成されたZn-Al系合金めっき層を備える表面処理鋼板について鋭意研究を行った結果、Zn-Al系合金めっき層に特定の樹脂皮膜を形成することにより、上記の問題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、素地鋼板と、前記素地鋼板上に形成されたZn-Al系合金めっき層と、前記Zn-Al系合金めっき層上に形成された樹脂皮膜とを備え、
前記Zn-Al系合金めっき層は、1~70質量%のAlを含み、
前記樹脂皮膜は、ベース樹脂を含む有機成分、並びに10.0~95.0mg/m
2
のTiである第1無機元素と、0mg/m
2
超過50.0mg/m
2
以下のZr、0mg/m
2
超過20.0mg/m
2
以下のV及び0mg/m
2
超過42.0mg/m
2
以下のPから選択される1種以上の第2無機元素と、0~20.0mg/m
2
のMo、0~20.0mg/m
2
のW及び0~30.0mg/m
2
のSiから選択される1種以上の第3無機元素とを含む無機成分を有し、且つ10℃/分の昇温速度で600℃まで加熱したときの質量減少率が85.0%以上である、表面処理鋼板に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、耐食性に優れるとともに、スポット溶接電極の寿命を延ばすことが可能な表面処理鋼板を提供することできる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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