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公開番号2024097644
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-19
出願番号2023001238
出願日2023-01-06
発明の名称焼鈍酸洗鋼板の製造方法
出願人JFEスチール株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C23G 3/02 20060101AFI20240711BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】表面外観品質に優れる焼鈍酸洗鋼板を継続的に安定して製造することが可能な、焼鈍酸洗鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】酸化性の第1の酸と非酸化性の第2の酸とを含む混酸液を収容する酸洗槽20に焼鈍鋼板S2を通板して、混酸液で焼鈍鋼板S2を酸洗する酸洗工程では、酸洗槽20と循環タンク30との間で混酸液を循環させ、混酸液と焼鈍鋼板との反応熱による混酸液の温度上昇を抑制するために冷却設備26により混酸液を冷却する。また、スプレーノズル32から焼鈍鋼板S2に吹きかけられた水が酸洗槽20に混入することで、混酸液中の第1の酸及び第2の酸の濃度が低下した際に、第1原液タンク40及び第2原液タンク50から、循環タンク30に第1の酸の原液及び第2の酸の原液を供給する。この原液供給と同期して、冷却設備26の出力を一時的に増加させて、第1の酸の原液及び第2の酸の原液の溶解熱による混酸液の温度上昇を抑制する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
冷延鋼板を焼鈍炉内に通板させて、前記焼鈍炉内で前記冷延鋼板を焼鈍して、焼鈍鋼板を得る焼鈍工程と、
前記焼鈍炉から排出された前記焼鈍鋼板を、酸化性の第1の酸と非酸化性の第2の酸とを含む混酸液を収容する酸洗槽に通板して、前記混酸液で前記焼鈍鋼板を酸洗する酸洗工程と、
前記酸洗槽から排出された前記焼鈍鋼板に、前記酸洗槽の上方に位置するスプレーノズルから水を吹きかけるスプレー工程と、
その後、前記焼鈍鋼板を非酸化性の第3の酸を含む酸液を収容する再酸洗槽に通板して、前記酸液で前記焼鈍鋼板を再酸洗する再酸洗工程と、
を連続的に行って、焼鈍酸洗鋼板を連続的に製造する方法であって、
前記酸洗工程では、
前記酸洗槽と循環タンクとの間で前記混酸液を循環させ、
前記混酸液と前記焼鈍鋼板との反応熱による前記混酸液の温度上昇を抑制するために、前記酸洗槽と前記循環タンクとの間に設けた冷却設備により前記混酸液を冷却し、
前記スプレー工程で前記焼鈍鋼板に吹きかけられた水が前記酸洗槽に混入することで、前記混酸液中の前記第1の酸及び前記第2の酸の濃度が低下した際に、前記第1の酸の原液及び前記第2の酸の原液をそれぞれ収容する第1原液タンク及び第2原液タンクから、前記循環タンクに前記第1の酸の原液及び前記第2の酸の原液を供給する原液投入工程を行い、
前記原液投入工程の実施と同期して、前記冷却設備の出力を一時的に増加させて、前記第1の酸の原液及び前記第2の酸の原液の溶解熱による前記混酸液の温度上昇を抑制する冷却強化工程を行うことを特徴とする、焼鈍酸洗鋼板の製造方法。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記冷却強化工程では、
前記冷却設備の下流に設けた温度計で前記混酸液の温度を測定し、
前記原液投入工程の実施後に、前記温度計で測定された前記混酸液の温度と前記混酸液の目標温度との差を補償するように、前記冷却設備の出力を一時的に増加させる、請求項1に記載の焼鈍酸洗鋼板の製造方法。
【請求項3】
前記冷却強化工程では、
前記原液投入工程の実施から前記溶解熱による前記混酸液の温度上昇開始までの時間と、前記原料投入工程における前記第1の酸の原液及び前記第2の酸の原液の投入量から計算される溶解熱による前記混酸液の温度上昇量と、を予測し、
前記溶解熱による前記混酸液の温度上昇を相殺するように、前記冷却設備の出力を一時的に増加させる、請求項1に記載の焼鈍酸洗鋼板の製造方法。
【請求項4】
前記第1の酸が硝酸である、請求項1~3のいずれか一項に記載の焼鈍酸洗鋼板の製造方法。
【請求項5】
前記第2の酸が、塩酸、硫酸、リン酸、ピロリン酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、弗酸、及びシュウ酸から選択される一種以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の焼鈍酸洗鋼板の製造方法。
【請求項6】
前記第3の酸が、塩酸、硫酸、リン酸、ピロリン酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、弗酸、及びシュウ酸から選択される一種以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の焼鈍酸洗鋼板の製造方法。
【請求項7】
前記冷延鋼板が、Siを0.50~3.00質量%含有する成分組成を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の焼鈍酸洗鋼板の製造方法。
【請求項8】
前記成分組成が、質量%で、C:0.03~0.45%、Si:0.50~3.00%、Mn:0.5~5.0%、P:0.05%以下、S:0.005%以下、Al:0.001~0.060%、及びN:0.005%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である、請求項7に記載の焼鈍酸洗鋼板の製造方法。
【請求項9】
前記成分組成が、質量%で、B:0.005%以下、Cu:1.00%以下、Nb:0.050%以下、Ti:0.080%以下、V:0.5%以下、Mo:1.00%以下、Cr:1.000%以下、及びNi:1.00%以下のうちから選ばれる少なくとも1種をさらに含有する、請求項8に記載の焼鈍酸洗鋼板の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、冷延鋼板を焼鈍、酸洗、及び再酸洗して、焼鈍酸洗鋼板を連続的に製造する方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保護の観点から、自動車の燃費向上及び衝突安全性の向上が強く求められており、自動車車体の軽量化及び高強度化が求められている。これらの要求に応えるため、自動車部材の素材となる冷延鋼板を高強度化し、薄肉化(軽量化)することで、自動車車体の軽量化と高強度化を同時に達成することが積極的に推し進められている。しかし、自動車部材の多くは、冷延鋼板を成形加工して製造されていることから、その素材となる冷延鋼板には、高い強度に加えて、優れた成形性も求められている。
【0003】
成形性を大きく損なわずに冷延鋼板を高強度化する手段として、Si添加による固溶強化法が挙げられる。しかし、冷延鋼板に多量のSiを添加した場合には、冷間圧延後の焼鈍時に、鋼板表面にSiO

やSi-Mn系複合酸化物等のSi含有酸化物が多量に形成されるため、化成処理性及び塗装後耐食性に劣る。
【0004】
この問題を解決する技術として、特許文献1には、冷延鋼板を焼鈍して焼鈍鋼板を得る工程と、前記焼鈍鋼板を、硝酸等の酸化性の酸と、塩酸、弗酸等の非酸化性の酸とを含む混酸液に浸漬して酸洗する酸洗工程と、その後、前記焼鈍鋼板を、塩酸、硫酸等の非酸化性の酸を含む酸液に浸漬して再酸洗する再酸洗工程と、を連続的に行って、焼鈍酸洗鋼板を連続的に製造する方法が記載されている。この方法は、酸洗工程で、連続焼鈍により生成した鋼板表面のSi含有酸化物を除去し、再酸洗工程で、酸洗工程で発生した鉄系酸化物を除去するものであり、これにより、化成処理性及び塗装後耐食性に優れる焼鈍酸洗鋼板を製造することができる。
【0005】
このような二段階酸洗における酸洗工程(1段階目の酸洗)では、特許文献2(図1参照)に示すように、酸洗槽と循環タンクとの間で混酸液を循環させつつ、焼鈍鋼板を酸洗槽に通板して、混酸液で焼鈍鋼板を酸洗する。その際、混酸液と焼鈍鋼板との反応熱による混酸液の温度上昇を抑制するべく、循環する混酸液を冷却設備(熱交換器)で冷却する。しかしながら、以下のような問題があった。すなわち、時間が経つにつれて冷延鋼板から徐々にFeが溶出することで混酸液中のFe濃度が上昇する。それに伴い、酸洗速度が増加し、発生する反応熱が冷却設備の能力を超えることで混酸液の温度が上昇し、これが原因で、製造される焼鈍酸洗鋼板の表面外観品質が劣化するのである。そこで特許文献2では、混酸液中のFe濃度が上昇するほど、混酸液中の酸化性の酸の濃度を低く、非酸化性の酸の濃度を高く変更している。これにより、酸洗速度を落とし、反応熱による混酸液の温度上昇を冷却設備で十分に抑制可能とすることで、混酸液を所定の温度範囲に維持し、表面外観品質に優れる焼鈍酸洗鋼板を継続的に製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2012-132092号公報
国際公開2017/007036号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明者がさらに検討を進めたところ、上記のように混酸液と焼鈍鋼板との反応熱による混酸液の温度上昇を抑制するために、一定の出力で冷却設備を稼働させるのみでは、表面外観品質に優れる焼鈍酸洗鋼板を継続的に安定して製造することができない場合があることが判明した。
【0008】
そこで本発明は、上記課題に鑑み、表面外観品質に優れる焼鈍酸洗鋼板を継続的に安定して製造することが可能な、焼鈍酸洗鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、本発明者が鋭意検討を進めたところ、以下の知見を見出した。すなわち、近年、上記のような二段階酸洗では、酸洗工程と再酸洗工程との間で、焼鈍鋼板が酸洗槽から引き上げられた直後に、焼鈍鋼板上の混酸液の乾きによる変色を防止する目的で、焼鈍鋼板に水を吹きかけて水濡れ状態にするスプレー工程を行うことがある。この場合、スプレーノズルが酸洗槽の上方に位置するため、焼鈍鋼板に吹きかけられた水が酸洗槽に混入することによって、混酸液中の酸が薄まり、酸濃度が徐々に低下してしまう。そこで、混酸液中の酸濃度を適正範囲に維持するために、酸洗工程の実施中に、混酸液中の酸濃度がある程度低下したタイミングで間欠的に、酸濃度の高い酸液(原液)を循環タンクに供給して混酸液に添加する原液投入工程を行う。この原液投入工程の実施直後に酸洗工程が行われて製造された焼鈍酸洗鋼板は、表面外観品質に劣ることが分かった。この原因は、原液投入直後に、酸原液の溶解熱によって混酸液の一時的な温度上昇が生じることである。混酸液と焼鈍鋼板との反応熱による混酸液の温度上昇を抑制するために、一定の出力で冷却設備を稼働させるのみでは、この溶解熱による混酸液の一時的な温度上昇を抑制することができず、実際には混酸液を好適温度範囲に常に維持することができないのである。混酸液の温度が好適温度範囲を超えると、鋼板に過剰な酸洗を施すことになる。この過酸洗が発生すると、鋼板表面における鉄粉付着による汚れや押疵が発生し、表面外観品質が損なわれる。
【0010】
そこで本発明者は、原液投入工程の実施と同期して、冷却設備の出力を一時的に増加させて混酸液の冷却強化を行うことを想到した。これにより、酸原液の溶解熱による混酸液の一時的な温度上昇を抑制することができ、混酸液を常に好適温度範囲に維持することができる。その結果、過酸洗を抑え、表面外観品質に優れる焼鈍酸洗鋼板を継続的に安定して製造することができることが分かった。
(【0011】以降は省略されています)

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