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公開番号2024119004
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-02
出願番号2023096543
出願日2023-06-12
発明の名称真空蒸着装置用の蒸着源
出願人株式会社アルバック
代理人弁理士法人青莪
主分類C23C 14/24 20060101AFI20240826BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】比較的速い蒸着レートで蒸着するときでも蒸着ボートの変形を可及的に抑制して高寿命化を図ることができる真空処理装置用の蒸着源を提供する。
【解決手段】蒸着材料Emの収容部31aを有するボート本体31と当該ボート本体の両端に夫々張り出す電極取付板部33とを有する蒸着ボート3と、ボート本体の収容部に対してその上方からワイヤ状の蒸着材料Emを供給する材料供給手段6とを備える、両電極取付板部の間に通電することでボート本体を加熱して収容部内の蒸着材料を蒸発させる。蒸着材料の供給によってもたらされる荷重が作用する、当該収容部を画成するボート本体の底板部分にその下方から当接する支持手段8を設ける。
【選択図】図2

特許請求の範囲【請求項1】
真空チャンバ内で蒸着材料を蒸発させて被蒸着物に対して蒸着するための真空蒸着装置用の蒸着源において、
蒸着材料の収容部を有するボート本体と当該ボート本体の両端に夫々張り出す電極取付板部とを有する蒸着ボートと、ボート本体の収容部に対してその上方からワイヤ状の蒸着材料を供給する材料供給手段とを備え、両電極取付板部の間に通電することでボート本体を加熱して収容部内の蒸着材料を蒸発させるものにおいて、
蒸着材料の供給によってもたらされる荷重が作用する、当該収容部を画成するボート本体の底板部分にその下方から当接する支持手段を設けたことを特徴とする真空蒸着装置用の蒸着源。
続きを表示(約 320 文字)【請求項2】
前記支持手段がベース板とこのベース板に碍子を介して設けられる高融点金属製の支持板とを備えることを特徴とする請求項1記載の真空蒸着装置用の蒸着源。
【請求項3】
前記支持板が一枚の板材をコ字状に屈曲させたものであり、当該支持板の2個をその両自由端側が前記収容部側を向く姿勢で且つ各支持板の一方の自由端が前記底板部分に夫々当接するように並設したことを特徴とする請求項2記載の真空蒸着装置用の蒸着源。
【請求項4】
前記支持手段は、前記ベース板の上方に配置される、前記蒸着ボートの底面と同等以上の面積を有するリフレクタ板を更に備えることを特徴とする請求項2または請求項3記載の真空蒸着装置用の蒸着源。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、真空チャンバ内で蒸着材料を蒸発させて被蒸着物に対して蒸着するための真空蒸着装置用の蒸着源に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
この種の真空蒸着装置用の蒸着源の中には、蒸着ボートを用いるものが例えば特許文献1で知られている。このものは、蒸着材料の収容部を有するボート本体と、当該ボート本体の一方向両端から上方に夫々起立する起立板部と、両起立板部の上端から外方に夫々張り出す電極取付板部とを備える。通常は、低コスト化等のため、ボート本体、起立板部及び電極取付板部といった各部が単一の金属製の板材から形成される。そして、蒸着ボートが、両電極取付板部を上下一対の電極プレートで夫々保持(挟持)させて真空チャンバ内に設置される。真空雰囲気の真空チャンバ内での被蒸着物への蒸着に際しては、電源によって電極プレートを介して両電極取付板部の間に通電することでボート本体をジュール熱で加熱し、例えば、ボート本体の収容部に対してその上方からワイヤ状の蒸着材料を連続または間欠的に供給して当該収容部内で溶解、蒸発させ、この蒸発した蒸着物質が飛散することで被蒸着物に蒸着される。このとき、溶解した蒸着材料は収容部で流動し、この流動したものが電極取付板部へと這い上がることが起立板部で防止される。
【0003】
ここで、加熱されたボート本体の収容部に対してワイヤ状の蒸着材料を供給すると、蒸着レートに応じたボート本体の加熱温度、蒸着材料の供給速度や蒸着材料の種類によっては、収容部を画成するボート本体の底板部分が下方に向けて膨出するように変形し、このときの変形量が蒸着時間の増加に従い大きくなって、やがて底板部分に孔が開くことが判明した。しかも、蒸着時間の増加に従い、ボート本体から電極取付板部に亘って蒸着ボート全体の変形が進行し、場合によっては、起立板部で破断することがあり、これでは、蒸着ボートが早期に寿命を迎えるという問題がある。このような場合、ボート本体、起立板部及び電極取付板部といった各部分を構成する板材の板厚を厚くすればよいが、これでは、電気抵抗値が低くなり、比較的速い蒸着レートを得ようとすると、ボート本体に大電流を通電することが必要になってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2007-46106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、比較的速い蒸着レートで蒸着するときでも蒸着ボートの変形を可及的に抑制して高寿命化を図ることができる真空処理装置用の蒸着源を提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、真空チャンバ内で蒸着材料を蒸発させて被蒸着物に対して蒸着するための本発明の真空蒸着装置用の蒸着源は、蒸着材料の収容部を有するボート本体と当該ボート本体の両端に夫々張り出す電極取付板部とを有する蒸着ボートと、ボート本体の収容部に対してその上方からワイヤ状の蒸着材料を供給する材料供給手段とを備え、両電極取付板部の間に通電することでボート本体を加熱して収容部内の蒸着材料を蒸発させ、蒸着材料の供給によってもたらされる荷重が作用する、当該収容部を画成する底板部分にその下方から当接する支持手段を設けたことを特徴とする。
【0007】
ここで、本願発明者らの鋭意研究の結果、蒸着中、加熱されたボート本体にワイヤ状の蒸着材料を供給したときに収容部を画成するボート本体の底板部分に生ずる変形は、高温度下におけるクリープによるもの(クリープ変形)であるとの知見を得た。そこで、本発明においては、蒸着材料の供給によってもたらされる荷重が作用するボート本体の底板部分にその下側から当接する支持手段を設けたことで、クリープ変形が可及的に抑制され、その結果、比較的速い蒸着レートで蒸着するときでも蒸着ボート全体の変形を可及的に抑制して高寿命化を図ることができる。
【0008】
ところで、底板部分をその下側から当接して支持する場合、当該支持用の部品には、蒸着材料の融点以上の温度における耐熱性と機械的強度を有することを前提として、ボート本体の電気抵抗値の低下や、ボート本体の温度応答性を低下させる熱容量の増加を招来しないことが求められる。本発明においては、前記支持手段がベース板とこのベース板に碍子を介して立設される高融点金属製の支持板とを備える構成を採用することができる。この場合、前記支持板が一枚の板材をコ字状に屈曲させたものであり、当該支持板の2個をその両自由端側が前記収容部側を向く姿勢で且つ各支持板の一方の自由端が前記底板部分に夫々当接するように並設するようにしてもよい。
【0009】
以上によれば、底板部分に対する接触面積を可及的に小さくでき、しかも、ワイヤ状の蒸着材料を供給するときの振動等により底板部分に対して荷重が作用する領域が多少変動したとしても、支持板の自由端を位置させるようにでき、常時、荷重が作用する底板部分を支持できる。その上、2個の屈曲した支持板を並設しておけば、各支持板の他方の自由端で当該底板部分以外の部分も支持できるため、ボート本体全体の変形を低減でき、蒸着中にはボート本体を常時略水平に保持することができる。なお、2個の屈曲した支持板を並設する場合、各支持板の幅方向が、ボート本体の長手方向に合致する姿勢またはボート本体の長手方向に直交する方向に合致する姿勢とすることができ、ワイヤ状の蒸着材料を供給したときの荷重が作用する領域の変動方向に応じて適宜選択することができる。
【0010】
また、本発明においては、前記支持手段が、ベース板の上方に配置される、前記凹部の底板と同等以上の面積を有するリフレクタ板を更に備える構成を採用することができる。これにより、蒸着中に何らかの原因によってボート本体の収容部内で突沸が発生したとき、この突沸により生ずる液体状又は固体状の蒸着材料が碍子に付着して絶縁破壊を招くといったことが確実に防止できる。更には、ボート本体からの輻射熱を反射することで、仮にボート本体の下方空間に何らかの部品が配置されているような場合には、当該部品を熱から保護することもでき、有利である。この場合、リフレクタ板もまた高融点金属で構成され、ボート本体に対向するリフレクタ板の面を鏡面加工するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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