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公開番号
2024127727
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-20
出願番号
2023196486
出願日
2023-11-20
発明の名称
真空蒸着方法
出願人
株式会社アルバック
代理人
弁理士法人青莪
主分類
C23C
14/24 20060101AFI20240912BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約
【課題】蒸着ボートに生ずる局所的な変形の進行を可及的に抑制して蒸着ボートの高寿命化を図ることができる真空蒸着方法を提供する。
【解決手段】蒸着源BSとして蒸着材料Emの収容部31aを有するボート本体31とボート本体の両端に夫々張り出す電極取付板部とを有する蒸着ボート3を用い、収容部を画成するボート本体の底板に当接するようにその上方からワイヤ状の蒸着材料を供給し、両電極取付板部の間に通電することでボート本体を加熱して収容部内の蒸着材料を蒸発させる蒸発工程を含む。ワイヤ状の蒸着材料を供給する間、ボート本体の底板に当接するワイヤ状の蒸着材料の先端部Em1のボート本体に対する相対移動によって先端部を連続または間欠的に変位させる変位工程を更に含む。
【選択図】図4
特許請求の範囲
【請求項1】
真空チャンバ内で蒸着材料を蒸発させて被蒸着物に対して蒸着するための真空蒸着方法であって、
蒸着源として蒸着材料の収容部を有するボート本体と当該ボート本体の両端に夫々張り出す電極取付板部とを有する蒸着ボートを用い、当該収容部を画成するボート本体の底板に当接するようにその上方からワイヤ状の蒸着材料を供給し、両電極取付板部の間に通電することでボート本体を加熱して収容部内の蒸着材料を蒸発させる蒸発工程を含むものにおいて、
ワイヤ状の蒸着材料を供給する間、ボート本体の底板に当接するワイヤ状の蒸着材料の先端部のボート本体に対する相対移動によって当該先端部を連続または間欠的に変位させる変位工程を更に含むことを特徴とする真空蒸着方法。
続きを表示(約 190 文字)
【請求項2】
前記収容部を画成するボート本体の底板面内で互いに直交する二軸方向をX軸方向及びY軸方向とし、また、当初にワイヤ状の蒸着材料の先端部が当接するボート本体の底板の位置を起点位置として、前記変位工程では、蒸着材料の先端部が起点位置からX軸方向への相対移動とY軸方向への相対移動とを順次繰り返しながら当該起点位置に戻るようにしたことを特徴とする請求項1記載の真空蒸着方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空チャンバ内で蒸着材料を蒸発させて被蒸着物に対して蒸着するための真空蒸着方法に関し、より詳しくは、蒸着ボートを用いて被蒸着物に対する蒸着を実施するものに関する。
続きを表示(約 3,000 文字)
【背景技術】
【0002】
この種の真空蒸着方法を実施できる真空蒸着装置用の蒸着源の中には、蒸着ボートを用いるものが例えば特許文献1で知られている。このものは、蒸着材料の収容部を有するボート本体と、当該ボート本体の一方向両端から上方に夫々起立する起立板部と、両起立板部の上端から外方に夫々張り出す電極取付板部とを備える。通常は、低コスト化等のため、ボート本体、起立板部及び電極取付板部といった各部が単一の金属製の板材から形成される。そして、蒸着ボートが、両電極取付板部を上下一対の電極プレートで夫々保持(挟持)させて真空チャンバ内に設置される。真空雰囲気の真空チャンバ内での被蒸着物への蒸着に際しては、電源によって電極プレートを介して両電極取付板部の間に通電することでボート本体をジュール熱で加熱する。そして、当該収容部を画成するボート本体の底板に当接するようにその上方からワイヤ状の蒸着材料を供給すると、当該収容部内で蒸着材料が溶解して濡れ拡がり、この濡れ拡がったものが蒸発し、この蒸発した蒸着物質が飛散することで被蒸着物に蒸着される。このとき、濡れ拡がった蒸着材料が収容部内に流動し、この流動したものが電極取付板部へと這い上がることが起立板部で防止される。
【0003】
ここで、蒸着時にボート本体の底板の一定の位置に対してワイヤ状の蒸着材料を供給していると、蒸着ボートの材質、蒸着レートに応じたボート本体の加熱温度、蒸着材料の供給速度や蒸着材料の種類によっては、ボート本体の底板に対する蒸着材料の当接箇所を含む領域で当該底板が局所的に変形する。そして、このときの変形量が蒸着時間の増加に従い大きくなって、やがて底板部分に孔が開き、蒸着ボートが早期に寿命を迎えることが判明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2007-46106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、蒸着ボートに生ずる局所的な変形の進行を可及的に抑制して蒸着ボートの高寿命化を図ることができる真空蒸着方法を提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、真空チャンバ内で蒸着材料を蒸発させて被蒸着物に対して蒸着するための本発明の真空蒸着方法は、蒸着源として蒸着材料の収容部を有するボート本体と当該ボート本体の両端に夫々張り出す電極取付板部とを有する蒸着ボートを用い、当該収容部を画成するボート本体の底板に当接するようにその上方からワイヤ状の蒸着材料を供給し、両電極取付板部の間に通電することでボート本体を加熱して収容部内の蒸着材料を蒸発させる蒸着工程を含み、ワイヤ状の蒸着材料を供給する間、ボート本体の底板に当接するワイヤ状の蒸着材料の先端部のボート本体に対する相対移動によって当該先端部を連続または間欠的に変位させる変位工程を更に含むことを特徴とする。
【0007】
ここで、本願発明者らの鋭意研究の結果、例えば蒸着ボートを高融点金属製とし、蒸着材料を銅製とした場合、ボート本体の底板に生ずる局所的な変形は、蒸着材料の供給によってもたらされる荷重が作用することで発生する高温度下でのクリープによるもの(クリープ変形)であるとの知見を得た。他方で、例えば蒸着ボートをBNとTiB
2
の粉末を焼結したものとし、蒸着材料をアルミニウム製とした場合、ボート本体の底板に生ずる局所的な変形は、アルミニウムの溶解に伴う腐食の進行によるものであると知見を得た。そこで、本発明においては、蒸着材料を供給する際にボート本体の底板に当接するワイヤ状の蒸着材料の先端部を連続または間欠的に変位させることで、蒸着中、例えば蒸着材料の供給によってもたらされる荷重が作用する領域がボート本体の底板面内の各所に分散される。その結果、蒸着ボートに生ずる局所的な変形の進行が可及的に抑制され、その結果、蒸着ボートの高寿命化を図ることができる。
【0008】
ところで、収容部を画成するボート本体の底板に当接するようにその上方からワイヤ状の蒸着材料を供給して蒸発させる際(蒸着中)に、濡れ拡がった蒸着材料の周囲に蒸着材料の副生成物(不純物)が析出することが知られている。このように析出したものが再蒸発せずに堆積すると、この堆積したものによって堰止めされて蒸着材料が濡れ拡がる面積(湯面)が狭められる場合があり、蒸着レートの低下を招くといった不具合が生じる。また、収容部に蒸着材料のない状態で加熱すると、ボート本体の底板はその全面に亘って略均等に加熱されるが、蒸着材料の供給状態では、濡れ拡がった蒸着材料が存するボート本体の底板部分の温度が低下してその周辺温度が相対的に高くなる(つまり、ボート本体の底板面内に温度勾配ができる)。特に、蒸着材料とボート本体の底板との接触が固相かつ面圧を生じる条件下では、その温度勾配は顕著となる。そのとき、副生成物の堆積状態によっては、濡れ拡がった蒸着材料が、比較的高温となっているボート本体の底板部分まで流動する場合があり、突沸が発生して良好な蒸着が阻害されるという不具合が生じる。
【0009】
本発明においては、前記収容部を画成するボート本体の底板面内で互いに直交する二軸方向をX軸方向及びY軸方向とし、また、当初にワイヤ状の蒸着材料の先端部が当接するボート本体の底板の位置を起点位置として、前記変位工程では、蒸着材料の先端部が起点位置からX軸方向への相対移動とY軸方向への相対移動とを順次繰り返しながら当該起点位置に戻るようにすればよい。この場合、例えば、ボート本体の底板中心付近を起点位置とし、起点位置からX軸方向への相対移動とY軸方向への相対移動とを順次繰り返しながら当該起点位置に戻るまでを1サイクルとして、蒸着時間に応じてこの1サイクルが複数回繰り返される。
【0010】
以上によれば、1サイクルの相対移動中、X-Y平面における座標位置が互いに重ならないように、ボート本体の底板面内にて蒸着材料の先端部が溶解する位置を連続または間欠的に変化させることで、ボート本体の底板面内に温度勾配が生ずることが抑制され、副生成物が堆積し難くでき、ひいては、突沸の発生を可及的に抑制することができる。仮に析出した副生成物が堆積したとしても、次のサイクルで蒸着材料の先端部が相対移動されてきたときに、その副生成物が、溶解して濡れ拡がる蒸着材料によってボート本体の底板の周縁側へと押し出され、その結果、蒸着中、湯面の面積を略一定に確保することが可能になる。なお、蒸着材料の先端部のボート本体に対する相対移動速度は、例えば1mm/sec~1000mm/secの範囲に設定できる。また、X軸方向及びY軸方向への変位量は、ボート本体の底板の周縁部に副生成物が堆積される領域が確保されるように、X軸方向及びY軸方向の全長の60%~80%の範囲とすればよい。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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