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公開番号2024118690
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-02
出願番号2023025115
出願日2023-02-21
発明の名称真空蒸着装置用の蒸着源
出願人株式会社アルバック
代理人弁理士法人青莪
主分類C23C 14/24 20060101AFI20240826BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】応答性よく蒸着レートを調節でき、スプラッシュの影響を受けることなく常時安定した蒸着が可能な真空蒸着装置用の蒸着源を提供する。
【解決手段】収容室12とその周囲の補助室13とを有する収容箱1と、拡散空間2を画成して収容箱の上方を覆う蓋体3と、加熱手段Htとを備える。蓋体に蒸着材料Msの放出通路31が形成される。収容箱の上壁部に収容室を臨む弁孔15aが開設された弁座部材15を有し、弁孔を拡散空間側から閉鎖可能な弁体4と、弁体を弁孔に接近する閉じ方向に付勢する付勢手段6と、蓋体に形成される放出通路に対面可能で弁孔より大きい面積を持つ遮蔽板7とを更に備える。収容箱の上壁部にはまた連通孔16が開設され、連通孔に駆動ロッド7が挿通し、補助室内に位置する駆動ロッドの部分に拡散空間と補助室とを雰囲気分離するベローズ管8が外挿される。
【選択図】図2


特許請求の範囲【請求項1】
真空チャンバ内で蒸着材料を蒸発させて被蒸着物に対して蒸着するための真空蒸着装置用の蒸着源において、
互いに隔絶された蒸着材料が収容される中央の収容室とこの収容室の周囲の補助室とを有する収容箱と、拡散空間を画成して収容箱の上方を覆う蓋体と、収容箱の周囲に設けられて蒸着材料を加熱する加熱手段とを備え、
蓋体に、加熱により気化または昇華した蒸着材料の拡散空間を経た真空チャンバ内への放出を可能とする放出通路が形成され、
収容箱の上壁部に収容室を臨む弁孔が開設された弁座部材を有し、弁孔を拡散空間側から閉鎖可能な弁体と、この弁体を弁孔に接近する閉じ方向に付勢する付勢手段と、蓋体に形成される放出通路に対面可能で弁孔より大きい面積を持つ遮蔽板とを更に備え、
収容箱の上壁部に拡散空間と補助室とを連通する連通孔が開設されると共に、連通孔に駆動ロッドが挿通し、補助室内に位置する駆動ロッドの部分に拡散空間と補助室とを雰囲気分離するベローズ管が外挿され、付勢手段の付勢力に抗した遮蔽板への駆動ロッドの押し操作で弁体を弁孔から離間する開き方向に移動するように構成したことを特徴とする真空蒸着装置用の蒸着源。
続きを表示(約 100 文字)【請求項2】
前記弁孔の内面が収容室内方に向けて先細りのテーパ面で構成され、前記弁体が、当該弁孔に挿入されて着座可能なニードル部を有することを特徴とする請求項1記載の真空蒸着装置用の蒸着源。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、真空チャンバ内で蒸着材料を蒸発させて被蒸着物に対して蒸着するための真空蒸着装置用の蒸着源に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
例えば、有機EL素子の製造工程においては、真空雰囲気中で基板などの被蒸着物に対して、α-NPDや2-TNATAといった固体の蒸着材料(有機材料)を気化または昇華(以下、単に「気化」と称する)させて被蒸着物表面に所定の薄膜を蒸着する工程があり、蒸着工程には、一般に、真空蒸着装置が利用される。このような真空蒸着装置用の蒸着源は例えば特許文献1で知られている。このものは、蒸着材料が充填される容器とこの容器内の蒸着材料を加熱する加熱手段とを備える。容器には、容器内を臨む流入口を有して加熱により気化した蒸着材料の真空チャンバ内への放出を可能とする放出通路が設けられると共に、その内部を蒸着材料側の第1空間と流入口側の第2空間とに仕切るコンダクタンス調整板が回動自在に組み込まれている。コンダクタンス調整板には、板厚方向に貫通する多数の分散孔とコンダクタンス調整板の回動位置に応じて放出通路の流入口を選択的に遮る弁部材とが設けられている。
【0003】
上記従来例のものでは、弁部材で放出通路の流入口を遮る遮蔽位置にコンダクタンス調整板を回動させれば、例えば、気化量が安定しない蒸着材料の加熱開始当初にこの気化した蒸着材料の真空チャンバへの放出を防止できる。そして、気化量が安定した後には、コンダクタンス調整板を回動させてその傾きを調整すれば、放出通路から放出される蒸着材料の量を変化させることができるため、応答性よく蒸着レートを調節できる。また、コンダクタンス調整板の仕切姿勢にて各分散孔が放出通路の孔軸上からオフセットさせて設けられているため、加熱当初にスプラッシュ(突沸)が発生したとしても、液体状又は固体状の蒸着材料が飛散して被蒸着物に直接付着することが防止される。然し、コンダクタンス調整板の回動位置によっては、第1空間側から視て第1空間内の蒸着材料の上層部分がコンダクタンス調整板のいずれかの分散孔を通して直視できる位置に放出通路が存することがある。このため、蒸着中に何等かの原因でスプラッシュが発生した場合、液体状又は固体状の蒸着材料の被蒸着物への付着を防止できない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2022-165867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、応答性よく蒸着レートを調節できるという機能を損なうことなく、スプラッシュの影響を受けることなく常時安定した蒸着が可能な構造を持つ真空蒸着装置用の蒸着源を提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、真空チャンバ内で蒸着材料を蒸発させて被蒸着物に対して蒸着するための本発明の真空蒸着装置用の蒸着源は、互いに隔絶された蒸着材料が収容される中央の収容室とこの収容室の周囲の補助室とを有する収容箱と、拡散空間を画成して収容箱の上方を覆う蓋体と、収容箱の周囲に設けられて蒸着材料を加熱する加熱手段とを備え、蓋体に、加熱により気化または昇華した蒸着材料の拡散空間を経た真空チャンバ内への放出を可能とする放出通路が形成され、収容箱の上壁部に収容室を臨む弁孔が開設された弁座部材を有し、弁孔を拡散空間側から閉鎖可能な弁体と、この弁体を弁孔に接近する閉じ方向に付勢する付勢手段と、蓋体に形成される放出通路に対面可能で弁孔より大きい面積を持つ遮蔽板とを更に備え、収容箱の上壁部に拡散空間と補助室とを連通する連通孔が開設されると共に、連通孔に駆動ロッドが挿通し、補助室内に位置する駆動ロッドの部分に拡散空間と補助室とを雰囲気分離するベローズ管が外挿され、付勢手段の付勢力に抗した遮蔽板への駆動ロッドの押し操作で弁体を弁孔から離間する開き方向に移動するように構成したことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、収容箱の収容室内に例えば粉末状の蒸着材料を所定の充填率で充填した後、弁体を弁孔に挿入して着座させて収容室内を密閉状態とする。この状態で真空雰囲気中の真空チャンバ内で収容箱を加熱手段により加熱すると、収容箱の壁面からの伝熱や輻射熱で蒸着材料が加熱されて気化を開始する。このとき、ベローズ管の内面や駆動ロッドも加熱される。収容室内での気化量が安定すると、付勢手段の付勢力に抗した遮蔽板への駆動ロッドの押し操作で弁体を開き方向に移動させる。これにより、蒸着材料が順次気化している収容室と真空チャンバに放出通路を介して連通している拡散空間との間に圧力差が生じて、気化した蒸着材料が遮蔽板の外周側を回って拡散空間へと導かれる。そして、当該拡散空間で拡散された後、放出通路を通って真空チャンバに放出されて被蒸着物表面に付着、堆積して蒸着される。蒸着中には、駆動ロッドにより弁体の開き方向への移動量を変えて弁体と弁孔との間の隙間の大きさを変化させれば、放出通路から放出される蒸着材料の量を変化させることができるため、応答性よく蒸着レートを調節できるという機能は損なわれない。このとき、弁体の開き方向への移動に伴って同方向に移動する遮蔽板によって蒸着材料の飛行経路が常時遮られるため、気化量が安定しない蒸着材料の加熱当初だけでなく、蒸着中にスプラッシュが発生したとしても、液体状又は固体状の蒸着材料が飛散して被蒸着物に直接付着することが防止される。結果として、スプラッシュの影響を受けることなく常時安定した蒸着が可能になる。
【0008】
また、弁孔から遮蔽板の外周側を経て拡散空間へと気化した蒸着材料を一旦導くことで、例えば、遮蔽板の上方に位置する蓋体の部分に放出通路が存する場合でも、当該放出通路にも気化した蒸着材料を確実に導くことができる。蒸着中には、蒸着材料がベローズ管内へと侵入するが、収容箱の外方から加熱することで、ベローズ管の内面や駆動ロッドも加熱されているため、ベローズ管の内面や駆動ロッドの外面に蒸着材料が堆積するといった不具合も生じない。しかも、蒸着を停止する場合、弁体を弁孔に挿入して着座させて収容室内を密閉状態に戻せば、蒸着材料が無駄に消費されることもない。
【0009】
本発明においては、前記弁孔の内面が収容室内方に向けて先細りのテーパ面で構成され、前記弁体が当該弁孔に挿入可能なニードル部を有する構成を採用することができる。これにより、蒸着レートを細やかに調整することができ、有利である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の実施形態の蒸着源を備える真空蒸着装置を模式的に示す断面図。
本実施形態の蒸着源の拡大断面図であり、(a)は、弁体の閉じ位置であり、(b)は、弁体の開き位置である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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