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公開番号
2024132760
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-01
出願番号
2023061020
出願日
2023-03-15
発明の名称
細菌の検出用ファージ、検出用試薬及びそれを用いた検出方法
出願人
国立感染症研究所長
代理人
主分類
C12N
7/01 20060101AFI20240920BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】宿主特異性が高く、感度が良好で、簡便で迅速に検出でき、また安全で安価な、細菌検出用試薬、該試薬に用いる細菌検出用の組換えファージを提供すること。
【解決手段】ファージゲノム上の目的ファージタンパク質をコードする遺伝子配列の上流または下流にDNAからなるタグ配列を付加したファージゲノムを含む組換えファージによる。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
ファージゲノム上の目的ファージタンパク質をコードする遺伝子配列の上流または下流にDNAからなるタグ配列を付加したファージゲノムを含む組換えファージ。
続きを表示(約 890 文字)
【請求項2】
前記目的ファージタンパク質をコードする遺伝子配列が、ビリオン構成タンパク質、核酸複製遺伝子、溶菌遺伝子、パッケージング遺伝子、および代謝調節遺伝子からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、DNAからなるタグ配列が、HiBiT VSGWRLFKKIS(Genbank:LC437023)、またはレポーター遺伝子である請求項1に記載のファージ。
【請求項3】
前記請求項1に記載のファージと、DNAからなるタグ配列から発現するペプチドと結合できるルシフェラーゼの断片と、ルシフェリンとを混合し、発光法により目的タンパク質の存在の有無を観察する病原細菌の検出方法。
【請求項4】
前記病原細菌が、カンピロバクター・ジェジュニ、コレラ菌、大腸菌、レジオネラ・ニューモフィラ、ペスト菌、サルモネラ菌、または赤痢菌である請求項1~3のいずれか1項に記載の病原細菌の検出方法。
【請求項5】
大腸菌が、大腸菌O157である請求項4に記載の病原細菌の検出方法。
【請求項6】
以下の工程(1)~(4)を含む、組換えファージの調製方法。
(1)下記a)及びb)を用意する工程
a)ファージゲノム
b)DNAからなるタグ配列
(2)前記ファージゲノム上の目的ファージタンパク質をコードする遺伝子配列の上流または下流に、前記DNAからなるタグ配列を付加して、組換えファージゲノムを得る工程(3)前記組換えファージゲノムを導入した組換えファージを得る工程
(4)前記組換えファージを回収する工程
【請求項7】
前記目的ファージタンパク質をコードする遺伝子配列が、ビリオン構成タンパク質、核酸複製遺伝子、溶菌遺伝子、パッケージング遺伝子、および代謝調節遺伝子からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、DNAからなるタグ配列が、VSGWRLFKKIS(Genbank:LC437023)、またはレポーター遺伝子である請求項6に記載の組換えファージの調製方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファージを用いた細菌の迅速な検出方法に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)
【背景技術】
【0002】
病原細菌は、ヒトまたは動物の体内に侵入し、増殖することによって様々な感染症を引き起こす。感染症治療において、早期診断、簡便なモニタリングシステムの開発は必要不可欠である。このようなシステムの開発は、直接的な医療費や入院患者制限による病院機能の低下、法的訴訟費用まで含めた膨大な医療施設における経済的、社会的損失を防ぐことができる。しかし、パルスフィールド電気泳動(PFGE)法や、超並列DNAシークエンス解析(次世代シークエンス解析)、PCR-based ORF Typing(POT)法に代表される高精度の細菌検査法は、高度な知識と熟練した手技の習得が必要になることに加え、これらを導入するには高額な機器が必要であり、金銭的にも人的にも余裕のある大学病院や大規模病院に限って行われている。そのため、安価で簡便な細菌検査法の開発が求められている。
【0003】
また、病原細菌の検出は、食品、水、乳製品、家畜領域においても重要である。飲食店や食料品を扱う業者は衛生管理を義務付けられているが、微生物による食中毒事故は毎年多数発生している。病原細菌の迅速な検出、簡便なモニタリングシステムを開発することで、食中毒の発生を未然に防ぐことができる。
【0004】
例えば、腸管出血性の病原細菌である大腸菌O157は集団的食中毒の原因となり、溶血性尿毒症症候群(HUS)といった重篤な続発症を引き起こすことが知られている。大腸菌O157の汚染を迅速に検出できる手法があれば、社会問題までに発展する食中毒の発生の予防につながり、発生してしまった場合にも迅速な対応が可能となる。
【0005】
そのため、細菌に寄生するウイルスであり、極めて高い宿主特異性があるファージを利用することが検討されている。ファージは、カプシド(殻)に核酸(DNAまたはRNA)を封入しており、感染時には核酸を細菌内に注入し増殖する。ファージは、殺菌を主に行う溶菌性ファージ(virulent phage)と、ファージの遺伝子が細菌の遺伝子の中に組み込まれる溶原性ファージ(temperate phage)とに分類できる。検出方法としては、具体的には、レポーター遺伝子を搭載したファージによる細菌の検出方法が挙げられる。大腸菌O157に特異的に感染する溶菌性ファージによる検出例もあるが(非特許文献1)、実験室株での定性的な検討しか行われていない。大腸菌O157ファージの検出系が十分に検討されてこなかった理由として、in vitroでの遺伝子合成が困難であったことが挙げられる。通常、in vitroで合成できるファージのDNA長は40~50kb程度であり、60kbを超える大腸菌O157に特異的に感染する組換え溶菌性ファージ(O157 coliphage vB_Eco4M-7、Genbank:MN176217)等の合成は困難であった。
【0006】
大腸菌O157に特異的に感染する溶原性ファージは、40kbほどのものも知られている。溶原性ファージはゲノムに入り込んでいるファージであるため、通常の細菌の遺伝子組み換え法が適用できる(非特許文献2)。また、従来のin vitro合成法も使用できる。しかしながら、この方法で得られた溶原性ファージは、ファージの遺伝子が細菌の遺伝子の中に組み込まれ、そしてファージ由来の遺伝子が細菌の子孫にも受け継がれるため、予期せぬ細菌の進化を引き起こす可能性が高く安全性に問題がある。また、同系統の溶原性ファージが溶原化した細菌には感染できない重感染阻害の問題がある。このように組換え溶原性ファージは、大腸菌O157の特異的検出に使用できない可能性が高い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
Hoang HA, Dien le T.Rapid and simple colorimetric detection of Escherichia coli O157:H7 in apple juice using a novel recombinant bacteriophage-based Method. Biocontrol Sci. 2015;20(2):99-103.doi: 10.4265/bio.20.99.
Perry LL, SanMiguel P, Minocha U, Terekhov AI, Shroyer ML, Farris LA, Bright N, Reuhs BL, Applegate BM. Sequence analysis of Escherichia coli O157:H7 bacteriophage PhiV10 and identification of a phage-encoded immunity protein that modifies the O157 antigen. FEMS Microbiol Lett. 2009 Mar;292(2):182-6. doi: 10.1111/j.1574-6968.2009.01511.x.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上の通り、現在までファージを用いた大腸菌O157等の病原細菌の高感度検出法は確立されていなかった。そこで、本発明の課題は、宿主特異性が高く、感度が良好で、簡便で迅速に検出でき、また安全で安価な、細菌検出用試薬、該試薬に用いる細菌検出用の組換え溶菌性ファージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、従来のin vitroファージ合成法において、検出タグ位置を最適化することで、60kbを超えるDNA長のファージであっても目的とする細菌を検出するためのDNAからなるタグ配列を遺伝子組換えで導入したファージを合成できることを見出し、本発明を完成させた。ファージに遺伝子を搭載するとファージの感染力が変化することも多いが、利用したタグは非常に小さいため、ファージの表現型は変化しなかった。さらに、タグ配列の挿入位置が検出感度に大きく影響することを見出した。
(【0011】以降は省略されています)
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