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公開番号2024132602
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-01
出願番号2023043438
出願日2023-03-17
発明の名称ハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム、ハイブリッドロケット、及び、ハイブリッドロケットの飛翔方法
出願人国立大学法人信州大学,株式会社キッツ
代理人個人
主分類F02K 9/72 20060101AFI20240920BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約【課題】 外部からロケットへの液体酸化剤の注入と燃焼室への液体酸化剤の注入とを軽量な構成を用いて簡易な操作により実現できるハイブリッドロケット用の酸化剤注入システムを提供する。
【解決手段】 ロケット本体、液体酸化剤を貯留する第1タンク、固体燃料を収容し、前記第1タンクから前記液体酸化剤が注入されることで前記固体燃料を燃焼させる燃焼室、液体酸化剤注入装置の配管に接続可能に構成された第1コネクタ、及び、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間の接続状態を切り替える弁体を備えた三方弁、を有し、前記三方弁は、前記第1コネクタと前記第1タンクとを接続して前記液体酸化剤を前記第1タンクに注入する第1注入状態、及び、前記第1タンクと前記燃焼室とを接続して前記燃焼室に前記液体酸化剤を注入する第2注入状態、を切り替え可能に構成されている。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
液体酸化剤を用いた燃焼により燃焼ガスをノズルから噴出して飛翔するハイブリッドロケットと、前記ハイブリッドロケットの外部に設けられて、配管を介して前記ハイブリッドロケットに前記液体酸化剤を注入する液体酸化剤注入装置と、を備えたハイブリッドロケット用の酸化剤注入システムであって、
前記ハイブリッドロケットは、
筒状に構成されたロケット本体、
前記ロケット本体内で先端側に設けられて、前記液体酸化剤を貯留する第1タンク、
前記ロケット本体内で後端側に設けられて、固体燃料を収容し、前記第1タンクから前記液体酸化剤が注入されることで前記固体燃料を燃焼させる燃焼室、
前記ロケット本体の外面に設けられて、前記液体酸化剤注入装置の前記配管に接続可能に構成された第1コネクタ、及び、
前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間に接続され、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間の接続状態を切り替える弁体を備えた三方弁、を有し、
前記液体酸化剤注入装置は、
前記液体酸化剤を貯留し、前記配管を介して前記第1コネクタから前記ハイブリッドロケットに前記液体酸化剤を供給する第2タンク、を有し、
前記三方弁は、前記第1コネクタと前記第1タンクとを接続して前記液体酸化剤を前記第1タンクに注入する第1注入状態、及び、前記第1タンクと前記燃焼室とを接続して前記燃焼室に前記液体酸化剤を注入する第2注入状態、を切り替え可能に構成されている
ハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム。
続きを表示(約 2,300 文字)【請求項2】
前記第1コネクタは、前記液体酸化剤を流す第1通孔と外周に形成された周溝とを備えたプラグを有し、
前記液体酸化剤注入装置は、前記配管の先端に設けられて前記第1コネクタに接続される第2コネクタを有し、
前記第2コネクタは、
前記液体酸化剤を流す第2通孔と前記プラグが挿入される第3通孔とが連通して形成されたソケットと、
前記第1通孔と前記第2通孔とを連通した状態で前記第3通孔内において前記プラグの外側に配置され、前記ソケットから前記プラグを引き離す力を付与するスプリングと、
前記スプリングを縮めて前記第3通孔に前記プラグを差し込んだ状態で、前記周溝と重なりかつ当該周溝を挟む位置において前記ソケットに形成された一対の貫通孔に差し込まれるロックピンと、を備え、
前記第1通孔と前記第2通孔とを連通した状態から前記周溝と前記貫通孔とに挿入された前記ロックピンを抜き、前記スプリングの弾発力で前記ソケットから前記プラグを引き離し、前記第1コネクタから前記第2コネクタを外して、前記液体酸化剤注入装置を前記ハイブリッドロケットから分離させる
請求項1に記載のハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム。
【請求項3】
前記ハイブリッドロケットは、前記三方弁の前記弁体を動作させる弁棒を回転させて前記第1注入状態及び前記第2注入状態を切り替えるアクチュエータを有する
請求項1又は2に記載のハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム。
【請求項4】
前記アクチュエータの動作を制御する外部の制御部が第3コネクタにより前記アクチュエータに接続される
請求項3に記載のハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム。
【請求項5】
前記ノズルを介して前記燃焼室に挿入されて前記燃焼室に酸素を注入するパイプを備える
請求項1に記載のハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム。
【請求項6】
筒状に構成されたロケット本体、
前記ロケット本体内で先端側に設けられて、液体酸化剤を貯留する第1タンク、
前記ロケット本体内で後端側に設けられて、固体燃料を収容し、前記第1タンクから前記液体酸化剤が注入されることで前記固体燃料を燃焼させる燃焼室、
前記ロケット本体の外面に設けられて、外部に設けられた液体酸化剤注入装置の配管に接続可能に構成された第1コネクタ、及び、
前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間に接続され、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間の接続状態を切り替える弁体を備えた三方弁、を有し、
前記三方弁は、前記第1コネクタと前記第1タンクとを接続して前記液体酸化剤を前記第1タンクに注入する第1注入状態、及び、前記第1タンクと前記燃焼室とを接続して前記燃焼室に前記液体酸化剤を注入する第2注入状態、を切り替え可能に構成されている
ハイブリッドロケット。
【請求項7】
前記三方弁と前記第1コネクタとの間に、前記三方弁から前記第1コネクタへの前記液体酸化剤の流れを止める逆止弁を有する
請求項6に記載のハイブリッドロケット。
【請求項8】
前記三方弁は、Tポートが形成されたボール弁体を前記弁体として有する3方ボール弁である
請求項6又は7に記載のハイブリッドロケット。
【請求項9】
液体酸化剤を用いた燃焼により燃焼ガスをノズルから噴出して飛翔するハイブリッドロケットを、前記ハイブリッドロケットの外部に設けられて、配管を介して前記ハイブリッドロケットに前記液体酸化剤を注入する液体酸化剤注入装置を用いて発射させて飛翔させるハイブリッドロケットの飛翔方法であって、
前記ハイブリッドロケットは、筒状に構成されたロケット本体、前記ロケット本体内で先端側に設けられて、前記液体酸化剤を貯留する第1タンク、前記ロケット本体内で後端側に設けられて、固体燃料を収容し、前記第1タンクから前記液体酸化剤が注入されることで前記固体燃料を燃焼させる燃焼室、前記ロケット本体の外面に設けられて、前記液体酸化剤注入装置の前記配管に接続可能に構成された第1コネクタ、及び、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間に接続され、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間の接続状態を切り替える弁体を備えた三方弁、を有し、
前記液体酸化剤注入装置は、前記液体酸化剤を貯留し、前記配管を介して前記第1コネクタから前記ハイブリッドロケットに前記液体酸化剤を供給する第2タンク、を有し、
前記三方弁により前記第1コネクタと前記第1タンクとを接続して前記液体酸化剤を前記第2タンクから前記第1タンクに注入する第1注入状態に切り替えて、所定の圧力又は所定の重量の前記液体酸化剤が前記第1タンクに充填されるまで注入し、
前記ハイブリッドロケットから前記液体酸化剤注入装置を分離し、
前記三方弁により前記第1タンクと前記燃焼室とを接続して前記燃焼室に前記液体酸化剤を注入する第2注入状態に切り替えて、前記液体酸化剤を前記第1タンクから前記燃焼室に注入し、前記燃焼室に注入された前記液体酸化剤を用いて前記固体燃料を燃焼させて発生させた燃焼ガスを前記ノズルから噴出させて前記ハイブリッドロケットを飛翔させる
ハイブリッドロケットの飛翔方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、ハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム、ハイブリッドロケット、及び、ハイブリッドロケットの飛翔方法に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
安全で環境に優しく低コストに運用可能なロケットとしてハイブリッドロケットが知られている。ハイブリッドロケットは、固体状の燃料(以下、固体燃料という)に液体状の酸化剤(以下、液体酸化剤という)を供給することで固体燃料を燃焼させ、その燃焼で生じた燃焼ガスを噴出することで推力を発生させる。
【0003】
例えば、特許文献1にはハイブリッドロケットの構成が開示されている。特許文献1に開示されたハイブリッドロケットにおいて、液体酸化剤はロケットの先端側に配置されたタンクに貯留される。また、固体燃料はロケット後端側に配置されるケーシング内に収容される。ケーシングには、高温の燃焼ガスを発生させるイグナイタが設けられている。このハイブリッドロケットは、イグナイタから高温の燃焼ガスをケーシング内で発生させ、タンクとケーシングの間に設けられた液体酸化剤供給弁を介して液体酸化剤をケーシングに供給することで固体燃料を燃焼し推力を発生させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2019-138246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたハイブリッドロケットをはじめとする既存のハイブリッドロケットにおいては、液体酸化剤を供給するために別途の配管をタンクに接続して液体酸化剤を注入する必要がある。このため、ハイブリッドロケット自体の構成が複雑となり重量が増加する。また、液体酸化剤をタンクに注入し充填した後にロケットを組み付けてもよいが、ロケットを発射させる工程が煩雑になる。
【0006】
そこで、本開示では、外部からロケットへの液体酸化剤の注入と燃焼室への液体酸化剤の注入とを軽量な構成を用いて簡易な操作により実現できるハイブリッドロケット用の酸化剤注入システム、ハイブリッドロケット、及び、ハイブリッドロケットの飛翔方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示のハイブリッドロケット用の酸化剤注入システムは、 液体酸化剤を用いた燃焼により燃焼ガスをノズルから噴出して飛翔するハイブリッドロケットと、前記ハイブリッドロケットの外部に設けられて、配管を介して前記ハイブリッドロケットに前記液体酸化剤を注入する液体酸化剤注入装置と、を備えたハイブリッドロケット用の酸化剤注入システムであって、前記ハイブリッドロケットは、筒状に構成されたロケット本体、前記ロケット本体内で先端側に設けられて、前記液体酸化剤を貯留する第1タンク、前記ロケット本体内で後端側に設けられて、固体燃料を収容し、前記第1タンクから前記液体酸化剤が注入されることで前記固体燃料を燃焼させる燃焼室、前記ロケット本体の外面に設けられて、前記液体酸化剤注入装置の前記配管に接続可能に構成された第1コネクタ、及び、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間に接続され、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間の接続状態を切り替える弁体を備えた三方弁、を有し、前記液体酸化剤注入装置は、前記液体酸化剤を貯留し、前記配管を介して前記第1コネクタから前記ハイブリッドロケットに前記液体酸化剤を供給する第2タンク、を有し、前記三方弁は、前記第1コネクタと前記第1タンクとを接続して前記液体酸化剤を前記第1タンクに注入する第1注入状態、及び、前記第1タンクと前記燃焼室とを接続して前記燃焼室に前記液体酸化剤を注入する第2注入状態、を切り替え可能に構成されている。
【0008】
本開示のハイブリッドロケットは、筒状に構成されたロケット本体、前記ロケット本体内で先端側に設けられて、液体酸化剤を貯留する第1タンク、前記ロケット本体内で後端側に設けられて、固体燃料を収容し、前記第1タンクから前記液体酸化剤が注入されることで前記固体燃料を燃焼させる燃焼室、前記ロケット本体の外面に設けられて、外部に設けられた液体酸化剤注入装置の配管に接続可能に構成された第1コネクタ、及び、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間に接続され、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間の接続状態を切り替える弁体を備えた三方弁、を有し、前記三方弁は、前記第1コネクタと前記第1タンクとを接続して前記液体酸化剤を前記第1タンクに注入する第1注入状態、及び、前記第1タンクと前記燃焼室とを接続して前記燃焼室に前記液体酸化剤を注入する第2注入状態、を切り替え可能に構成されている。
【0009】
本開示のハイブリッドロケットの飛翔方法は、液体酸化剤を用いた燃焼により燃焼ガスをノズルから噴出して飛翔するハイブリッドロケットを、前記ハイブリッドロケットの外部に設けられて、配管を介して前記ハイブリッドロケットに前記液体酸化剤を注入する液体酸化剤注入装置を用いて発射させて飛翔させるハイブリッドロケットの飛翔方法であって、前記ハイブリッドロケットは、筒状に構成されたロケット本体、前記ロケット本体内で先端側に設けられて、前記液体酸化剤を貯留する第1タンク、前記ロケット本体内で後端側に設けられて、固体燃料を収容し、前記第1タンクから前記液体酸化剤が注入されることで前記固体燃料を燃焼させる燃焼室、前記ロケット本体の外面に設けられて、前記液体酸化剤注入装置の前記配管に接続可能に構成された第1コネクタ、及び、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間に接続され、前記第1タンクと前記燃焼室と前記第1コネクタとの間の接続状態を切り替える弁体を備えた三方弁、を有し、前記液体酸化剤注入装置は、前記液体酸化剤を貯留し、前記配管を介して前記第1コネクタから前記ハイブリッドロケットに前記液体酸化剤を供給する第2タンク、を有し、前記三方弁により前記第1コネクタと前記第1タンクとを接続して前記液体酸化剤を前記第2タンクから前記第1タンクに注入する第1注入状態に切り替えて、所定の圧力又は所定の重量の前記液体酸化剤が前記第1タンクに充填されるまで注入し、前記ハイブリッドロケットから前記液体酸化剤注入装置を分離し、前記三方弁により前記第1タンクと前記燃焼室とを接続して前記燃焼室に前記液体酸化剤を注入する第2注入状態に切り替えて、前記液体酸化剤を前記第1タンクから前記燃焼室に注入し、前記燃焼室に注入された前記液体酸化剤を用いて前記固体燃料を燃焼させて発生させた燃焼ガスを前記ノズルから噴出させて前記ハイブリッドロケットを飛翔させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本技術を適用したハイブリッドロケット用の酸化剤注入システムの一実施形態の全体構成を示す概念図。
ハイブリッドロケット用の酸化剤注入システムの全体構成の三方弁の駆動装置に関する部分を説明するための概念図。
第1タンクに液体酸化剤を注入する状態の三方弁を示す拡大断面図。
燃焼室に液体酸化剤を注入する状態の三方弁を示す拡大断面図。
第2コネクタが第1コネクタに接続される前の状態を示す主要構成の拡大断面図。
第2コネクタが第1コネクタに接続された後の状態を示す主要構成の拡大断面図。
第2コネクタが第1コネクタに接続される前の状態を示す主要構成の拡大断面図。
第2コネクタが第1コネクタに接続された後の状態を示す主要構成の拡大断面図。
ハイブリッドロケットの飛翔方法を示すフローチャート。
第1タンクに液体酸化剤を注入する工程を説明するための概念図。
ハイブリッドロケットから液体酸化剤注入装置を分離する工程を説明するための概念図。
燃焼室に液体酸化剤を注入する工程を説明するための概念図。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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