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公開番号2024123920
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-12
出願番号2023031742
出願日2023-03-02
発明の名称地盤改良方法
出願人太平洋セメント株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類E02D 3/12 20060101AFI20240905BHJP(水工;基礎;土砂の移送)
要約【課題】泥炭を含む未改良土に供給すべきセメント系固化材を簡易に選択することができ、強度に優れた固化改良土を得ることができる地盤改良方法を提供する。
【解決手段】未改良土から、未改良土の試料を採取する試料採取工程と、試料を用いて、未改良土の含水比を測定する含水比測定工程と、試料を乾燥させ、乾燥後の上記試料とアルカリ水溶液を混合して混合物を得た後、該混合物のCOD(化学的酸素要求量)を測定するCOD測定工程と、セメント系固化材の候補を1種以上用意するセメント系固化材準備工程と、含水比、COD、及び上記候補である1種以上のセメント系固化材のSO3の含有率、並びに、予め定めた判定式を用いて、未改良土に供給すべきセメント系固化材を選択する選択工程と、未改良土に対して、選択工程で選択されたセメント系固化材を供給し混合して、固化改良土を得る固化処理工程を含む地盤改良方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
泥炭を含む未改良土に対して、セメント系固化材を供給し、混合して、固化改良土を得る地盤改良方法であって、
上記未改良土から、上記未改良土の試料を採取する試料採取工程と、
上記試料を用いて、上記未改良土の含水比を測定する含水比測定工程と、
上記試料を乾燥させ、乾燥後の上記試料とアルカリ水溶液を混合して混合物を得た後、該混合物のCOD(化学的酸素要求量)を測定するCOD測定工程と、
上記セメント系固化材の候補を1種以上用意するセメント系固化材準備工程と、
上記含水比、上記COD、及び上記候補である1種以上のセメント系固化材のSO

の含有率、並びに、予め定めた判定式を用いて、上記未改良土に供給すべきセメント系固化材を選択する選択工程と、
上記未改良土に対して、上記選択工程で選択されたセメント系固化材を供給し、混合して、上記固化改良土を得る固化処理工程、
を含むことを特徴とする地盤改良方法。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
上記COD測定工程において、上記乾燥は、上記試料を30~60℃の条件下で10時間以上静置することによって行われ、かつ、上記混合は、乾燥後の上記試料と0.2~0.8mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を、上記試料と上記水酸化ナトリウム水溶液の質量比(試料/水酸化ナトリウム水溶液)が0.005~0.10となる量で混合した後、10~30℃の条件下で30分間以上静置することによって行われるものである請求項1に記載の地盤改良方法。
【請求項3】
上記セメント系固化材が、ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、及び石膏粉末を含む請求項1または2に記載の地盤改良方法。
【請求項4】
上記選択工程において、上記判定式が以下の式(1)であり、かつ、上記含水比、上記COD、及び上記候補である1種以上のセメント系固化材のSO

の含有率、並びに、以下の式(1)を用いて算出された値が、0よりも大きいセメント系固化材を上記未改良土に供給すべきセメント系固化材として選択し、該値が0以下であるセメント系固化材を上記未改良土に供給すべきセメント系固化材として選択しない請求項1又は2に記載の地盤改良方法。
-AXa-Blog
10
Xb+CXc ・・・(1)
(上記式(1)中、Xaは上記含水比(%)、Xbは上記COD(mg/リットル)、Xcは上記候補である1種以上のセメント系固化材のSO

の含有率(質量%)であり、Aは0.59~0.63の数、Bは54~56の数、Cは63~64の数である。)
【請求項5】
上記選択工程において、上記判定式が以下の式(2)であり、かつ、上記含水比、上記COD、上記候補である1種以上のセメント系固化材のSO

の含有率、及び上記候補である1種以上のセメント系固化材のブレーン比表面積、並びに、以下の式(2)を用いて算出された値が、0よりも大きいセメント系固化材を上記未改良土に供給すべきセメント系固化材として選択し、該値が0以下であるセメント系固化材を上記未改良土に供給すべきセメント系固化材として選択しない請求項1又は2に記載の地盤改良方法。
-DXa-Elog
10
Xb+FXc+GXd ・・・(2)
(上記式(2)中、Xaは上記含水比(%)、Xbは上記COD(mg/リットル)、Xcは上記候補である1種以上のセメント系固化材のSO

の含有率(質量%)、Xdは上記候補である1種以上のセメント系固化材のブレーン比表面積(cm

/g)であり、Dは0.58~0.60の数、Eは53~55の数、Fは22~24の数、Gは0.03~0.05の数である。)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤改良方法に関する。
続きを表示(約 4,600 文字)【背景技術】
【0002】
従来、地盤の改良に用いるための様々な土質改良材が提案されている。
熱帯性泥炭等の高有機質土、マリンクレイ等の高含水土等の固化、改良処理に用いられるセメント系固化材として、例えば、特許文献1には、普通セメント、高炉セメント、早強セメント、アーウイン系セメントの1種または2種以上を100重量部および石膏を3~100重量部含むことを特徴とするセメント系固化材が記載されている。
また、有機酸の含有量、及び、含水比が高い高有機質土を固化できる固化材として、特許文献2には、セメントと高炉スラグ微粉末と無水石こうとを含む高有機質土または腐植土用固化材であって、前記セメントと高炉スラグ微粉末と無水石こうとの合計量に対する前記高炉スラグ微粉末と無水石こうの合計量が15~40質量%であり、かつ前記セメントと高炉スラグ微粉末と無水石こうとの合計量に対して高炉スラグ微粉末を10質量%以上含むことを特徴とする高有機質土または腐植土用固化材が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2002-137950号公報
特開2018-193515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セメント系固化材を用いて土(地盤)を改良(固化)する場合において、土に有機物である腐植物質が含まれていると、セメント系固化材による土の固化が阻害されるという問題がある。腐植物質の成分のうち、特にフミン酸は土の固化を阻害する原因となるため、フミン酸が多く含まれる土を改良する場合には、より水和反応性に優れたセメント系固化材を用いることが好ましい。しかし、土に含まれるフミン酸の量を測定するためには、複雑な手順、試薬、及び設備等が必要である。
また、土に含まれている有機物の量を評価する指標として、強熱減量があるが、強熱減量によって評価される有機物の量には、フミン酸以外の有機物の量も含まれるため、強熱減量を用いて、セメント系固化材による土の固化の阻害の程度を正確に評価することは難しい。
本発明の目的は、強度に優れた固化改良土を得ることができるような、未改良土に供給すべきセメント系固化材を、固化処理の対象となる未改良土に応じて、簡易に選択することができ、強度に優れた固化改良土を得ることができる地盤改良方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、未改良土から試料を採取する工程と、未改良土の含水比を測定する工程と、試料とアルカリ水溶液を混合して混合物を得た後、該混合物のCODを測定する工程と、セメント系固化材の候補を1種以上用意する工程と、含水比、COD、及びセメント系固化材のSO

の含有率、並びに、予め定めた判定式を用いて、セメント系固化材を選択する工程と、未改良土に対して、選択されたセメント系固化材を供給し、混合して、固化改良土を得る工程を含む地盤改良方法によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[5]を提供するものである。
[1] 泥炭を含む未改良土に対して、セメント系固化材を供給し、混合して、固化改良土を得る地盤改良方法であって、上記未改良土から、上記未改良土の試料を採取する試料採取工程と、上記試料を用いて、上記未改良土の含水比を測定する含水比測定工程と、上記試料を乾燥させ、乾燥後の上記試料とアルカリ水溶液を混合して混合物を得た後、該混合物のCOD(化学的酸素要求量)を測定するCOD測定工程と、上記セメント系固化材の候補を1種以上用意するセメント系固化材準備工程と、上記含水比、上記COD、及び上記候補である1種以上のセメント系固化材のSO

の含有率、並びに、予め定めた判定式を用いて、上記未改良土に供給すべきセメント系固化材を選択する選択工程と、上記未改良土に対して、上記選択工程で選択されたセメント系固化材を供給し、混合して、上記固化改良土を得る固化処理工程、を含むことを特徴とする地盤改良方法。
[2] 上記COD測定工程において、上記乾燥は、上記試料を30~60℃の条件下で10時間以上静置することによって行われ、かつ、上記混合は、乾燥後の上記試料と0.2~0.8mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を、上記試料と上記水酸化ナトリウム水溶液の質量比(試料/水酸化ナトリウム水溶液)が0.005~0.10となる量で混合した後、10~30℃の条件下で30分間以上静置することによって行われるものである前記[1]に記載の地盤改良方法。
【0006】
[3] 上記セメント系固化材が、ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、及び石膏粉末を含む前記[1]または[2]に記載の地盤改良方法。
[4] 上記選択工程において、上記判定式が以下の式(1)であり、かつ、上記含水比、上記COD、及び上記候補である1種以上のセメント系固化材のSO

の含有率、並びに、以下の式(1)を用いて算出された値が、0よりも大きいセメント系固化材を上記未改良土に供給すべきセメント系固化材として選択し、該値が0以下であるセメント系固化材を上記未改良土に供給すべきセメント系固化材として選択しない前記[1]~[3]のいずれかに記載の地盤改良方法。
-AXa-Blog
10
Xb+CXc ・・・(1)
(上記式(1)中、Xaは上記含水比(%)、Xbは上記COD(mg/リットル)、Xcは上記候補である1種以上のセメント系固化材のSO

の含有率(質量%)であり、Aは0.59~0.63の数、Bは54~56の数、Cは63~64の数である。)
[5] 上記選択工程において、上記判定式が以下の式(2)であり、かつ、上記含水比、上記COD、上記候補である1種以上のセメント系固化材のSO

の含有率、及び上記候補である1種以上のセメント系固化材のブレーン比表面積、並びに、以下の式(2)を用いて算出された値が、0よりも大きいセメント系固化材を上記未改良土に供給すべきセメント系固化材として選択し、該値が0以下であるセメント系固化材を上記未改良土に供給すべきセメント系固化材として選択しない前記[1]~[3]のいずれかに記載の地盤改良方法。
-DXa-Elog
10
Xb+FXc+GXd ・・・(2)
(上記式(2)中、Xaは上記含水比(%)、Xbは上記COD(mg/リットル)、Xcは上記候補である1種以上のセメント系固化材のSO

の含有率(質量%)、Xdは上記候補である1種以上のセメント系固化材のブレーン比表面積(cm

/g)であり、Dは0.58~0.60の数、Eは53~55の数、Fは22~24の数、Gは0.03~0.05の数である。)
【発明の効果】
【0007】
本発明の地盤改良方法によれば、強度に優れた固化改良土を得ることができるような、未改良土に供給すべきセメント系固化材を、固化処理の対象となる未改良土に応じて、簡易に選択することができ、強度に優れた固化改良土を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の地盤改良方法は、泥炭を含む未改良土(以下、単に「未改良土」ともいう。)に対して、セメント系固化材を供給し、混合して、固化改良土を得る地盤改良方法であって、未改良土から、未改良土の試料を採取する試料採取工程と、試料を用いて、未改良土の含水比を測定する含水比測定工程と、試料を乾燥させ、乾燥後の試料とアルカリ水溶液を混合して混合物を得た後、該混合物のCOD(化学的酸素要求量)を測定するCOD測定工程と、セメント系固化材の候補を1種以上用意するセメント系固化材準備工程と、含水比、COD、及び候補である1種以上のセメント系固化材のSO

の含有率、並びに、予め定めた判定式を用いて、未改良土に供給すべきセメント系固化材を選択する選択工程と、未改良土に対して、選択工程で選択されたセメント系固化材を供給し、混合して、固化改良土を得る固化処理工程を含むものである。
以下、工程ごとに詳しく説明する。
【0009】
[試料採取工程]
本工程は、泥炭を含む未改良土(改良(固化)処理を行っていない、泥炭土壌)から、該未改良土の試料を採取する工程である。
試料が採取される泥炭を含む未改良土とは、本発明において固化処理(改良処理)の対象となる未改良土である。
未改良土に含まれる泥炭の例としては、熱帯泥炭、及び木質泥炭等が挙げられる。中でも、有機物の含有率が大きい等、従来の方法では、セメント系固化材の適切な選択が難しい熱帯泥炭は、本発明の地盤改良方法の対象として好適である。
なお、熱帯泥炭とは、熱帯に分布する熱帯泥炭土壌(熱帯泥炭地)に含まれる泥炭であり、枯れた樹木等の植物遺骸が腐らずに、有機物のかたまりとして堆積したものである。
泥炭は、通常、有機物(例えば、腐植物質)を含んでいる。ここで、「腐植物質」とは、土壌中の動植物等の遺体が、微生物による分解を経て形成された最終生成物をいい、様々な有機化合物を含むものである。
腐植物質を構成する成分としては、ヒューミン(アルカリ及び酸に溶けない成分)、フミン酸(アルカリに溶け、酸に溶けない成分)、及びフルボ酸(アルカリ及び酸に溶ける成分)が挙げられる。
【0010】
[含水比測定工程]
本工程は、試料採取工程で採取された試料を用いて、未改良土の含水比を測定する工程である。
未改良土の含水比は、特に限定されるものではないが、好ましくは100%以上、より好ましくは110~1,000%、さらに好ましくは120~700%、さらに好ましくは125~500%、特に好ましくは130~400%である。
一般的に、未改良土の含水比が100%以上であると、未改良土に供給、混合されるセメント系固化材の強度発現性が小さくなるため、十分な強度を有する固化改良土を得ることが困難となる場合がある。しかし、本発明の方法によれば、含水比が100%以上であるような未改良土であっても、強度に優れた固化改良土を得ることができるようなセメント系固化材を簡易に選択して、十分な強度を有する固化改良土を得ることができる。
なお、「含水比」(単位:%)とは、未改良土に含まれる固体の質量に対する、未改良土に含まれる水の質量の百分率((水/固体)×100%)をいう。
(【0011】以降は省略されています)

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