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公開番号2024120784
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-05
出願番号2023027842
出願日2023-02-24
発明の名称誘導加熱クッキングヒータ用高周波インバータ
出願人国立大学法人神戸大学
代理人弁理士法人グローバル知財
主分類H05B 6/12 20060101AFI20240829BHJP(他に分類されない電気技術)
要約【課題】1石式高周波インバータに小容量のパワー半導体を補助スイッチとして付加し固定周波数動作で高周波電力制御を行い、スイッチの耐圧要求が低く、制御が簡単で、低コストの誘導加熱クッキングヒータ用高周波インバータを提供する。
【解決手段】電源に接続された加熱コイルLHと主スイッチQの直列回路、加熱コイルと主スイッチの少なくとも何れかに並列接続された共振コンデンサC1、加熱コイル又は主スイッチに並列接続された補助スイッチQSと定電圧コンデンサCSの直列回路、および、主スイッチと補助スイッチを駆動制御する制御回路を備える。定電圧コンデンサCSの容量は、共振コンデンサC1の容量の10倍以上である。そして、制御回路は、主スイッチと補助スイッチの各導通時間の和を略一定に保ちながら交互に導通させ各導通時間を制御して電力制御を行う。
【選択図】図1


特許請求の範囲【請求項1】
電源に接続された加熱コイルと主スイッチの直列回路、前記加熱コイルと前記主スイッチの少なくとも何れかに並列接続された共振コンデンサ、前記加熱コイル又は前記主スイッチに並列接続された補助スイッチと定電圧コンデンサの直列回路、および、前記主スイッチと前記補助スイッチを駆動制御する制御回路を備え、
前記定電圧コンデンサの容量は、前記共振コンデンサの容量の10倍以上であり、
前記制御回路は、前記主スイッチと前記補助スイッチの各導通時間の和を略一定に保ちながら交互に導通させ前記各導通時間を制御して電力制御を行うことを特徴とする誘導加熱クッキングヒータ用高周波インバータ。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
電源に接続された入力コイルと主スイッチの直列回路、前記入力コイルと前記主スイッチの少なくとも何れかに並列接続された第一の共振コンデンサ、前記入力コイル又は前記主スイッチに並列接続された補助スイッチと定電圧コンデンサの直列回路、前記入力コイル又は前記主スイッチに並列接続された加熱コイルと第二の共振コンデンサの直列回路、および、前記主スイッチと前記補助スイッチを駆動制御する制御回路を備えたことを特徴とする誘導加熱クッキングヒータ用高周波インバータ。
【請求項3】
前記制御回路は、前記主スイッチと前記補助スイッチの各導通時間の和を略一定に保ちながら交互に導通させ前記各導通時間を制御して電力制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の誘導加熱クッキングヒータ用高周波インバータ。
【請求項4】
前記定電圧コンデンサの容量は、前記第一の共振コンデンサの容量の10倍以上であることを特徴とする請求項2又は3に記載の誘導加熱クッキングヒータ用高周波インバータ。
【請求項5】
前記加熱コイルと前記共振コンデンサの回路定数は、前記補助スイッチの導通時間が略ゼロのときに定格電力となるように設定されたことを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱クッキングヒータ用高周波インバータ。
【請求項6】
前記加熱コイル、前記入力コイル、前記第一および第二の共振コンデンサの回路定数は、前記補助スイッチの導通時間が略ゼロのときに定格電力となるように設定されたことを特徴とする請求項2又3に記載の誘導加熱クッキングヒータ用高周波インバータ。
【請求項7】
前記制御回路は、前記加熱コイルの立ち上がりの電圧ゼロクロス点から第一の遅延時間で前記主スイッチをターンオンさせ、前記主スイッチのターンオフから第二の遅延時間で前記補助スイッチをターンオンさせるように動作することを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱クッキングヒータ用高周波インバータ。
【請求項8】
前記制御回路は、前記加熱コイルの立ち上がりの電圧ゼロクロス点から第一の遅延時間で前記主スイッチをターンオンさせ、前記加熱コイルの立ち下がりの電圧ゼロクロス点から第二の遅延時間で前記補助スイッチをターンオンさせるように動作することを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱クッキングヒータ用高周波インバータ。
【請求項9】
前記制御回路は、前記入力コイルの立ち上がりの電圧ゼロクロス点から第一の遅延時間で前記主スイッチをターンオンさせ、前記主スイッチのターンオフから第二の遅延時間で前記補助スイッチをターンオンさせるように動作することを特徴とする請求項2に記載の誘導加熱クッキングヒータ用高周波インバータ。
【請求項10】
前記制御回路は、前記入力コイルの立ち上がりの電圧ゼロクロス点から第一の遅延時間で前記主スイッチをターンオンさせ、前記入力コイルの立ち下がりの電圧ゼロクロス点から第二の遅延時間で前記補助スイッチをターンオンさせるように動作することを特徴とする請求項2に記載の誘導加熱クッキングヒータ用高周波インバータ。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導加熱(IH;Induction Heating)クッキングヒータ用高周波インバータに関するものである。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
誘導加熱クッキングヒータ用高周波インバータは、従来、複数のパワー半導体を用いたブリッジインバータで実用化されている(例えば、非特許文献1を参照)。従来のクッキングヒータの場合、異なる周波数で動作する複数のIHデバイス(鍋など)の間には、動作周波数の偏差により可聴音(干渉音)が発生しやすい。そのため、従来のクッキングヒータでは、鍋からの騒音をなくすため可聴域以上の加熱周波数を用いている。
しかしながら、加熱周波数が変動すると、隣り合うバーナ間の加熱周波数の差が可聴域に入って騒音となる。そのため、従来からブリッジインバータの位相差制御などによって周波数が略一定(固定周波数)で電力可変制御などができる制御方式を用いてきた。
一方、固有抵抗が小さいアルミ鍋を加熱する誘導加熱クッキングヒータの場合には、加熱コイルのアンペアターン(コイル電流×コイル巻数)を大きくするために加熱コイル電圧が極めて高くなる。そのため、ブリッジインバータの電源クランプ機能でパワー半導体には高電圧が印加されないようにしていた。
【0003】
図12(1)に示すような従来のブリッジインバータは、使用するパワー半導体の素子数が多い(Q

~Q

)ため、大型で高価になっていた。一方、図12(2)に示すような単一のパワー半導体で高周波電力を発生する1石式高周波インバータは、小型で安価であるが、周波数可変による電力制御しかできないために、鍋からの騒音の問題が解決できないという問題があった。また、アルミ鍋加熱対応の従来のクッキングヒータでは、パワー半導体素子に過大な電圧が印加されるために、耐圧破壊を生じるという課題があった。
【0004】
特許文献1には、照明分野の電源装置において、1石式高周波インバータを用いて、主スイッチが実質的にゼロ電圧スイッチングを行う所定の周波数で主スイッチを制御すると共に、そのオンデューティを変化させてインバータの出力を調整して調光する回路が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、固定周波数動作の1石式高周波インバータの制御回路が開示されている。特許文献2の1石式高周波インバータでは、インバータ回路の動作周期に対するパワー半導体の主スイッチのオン時間の比である導通比を変化させ、主スイッチのオフ期間に補助スイッチを投入して、加熱コイルと並列接続されている第一共振コンデンサと併用して共振特性インピーダンスを下げ、加熱コイルへの共振電流実効値を増幅させることにより電力制御を行っている。
しかしながら、主スイッチ(第一スイッチング素子)の電圧波形(特許文献2の図2のV
ce1
)には、T
on2
の期間に共振の影響を受けて上に膨らんだ弧が描かれているとおり、補助スイッチ(第二スイッチング素子)と直列接続されるコンデンサ(第二共振コンデンサ)は、インバータの動作周波数に対し加熱コイルとの共振動作が認められる大きさである。つまり、補助スイッチ(第二スイッチング素子)と直列接続されるコンデンサ(第二共振コンデンサ)は、加熱コイルと並列接続されている第一共振コンデンサと同じオーダの容量であり、少なくとも主スイッチのクランプ効果は弱いといった問題がある。加熱コイルとの共振動作があると、主スイッチの耐圧を高くする必要があり、高価なパワー半導体素子を用いる必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平7-147776号公報
特開平9-245953号公報
【非特許文献】
【0007】
H. Shoji et al., " Buck-Boost-Full-Bridge Inverter forAll-Metals Induction Heating Cookers″,IEEJ Journal of IA, Vol.5 No.4.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の如く、特許文献4の1石式高周波インバータでは、インバータ回路の動作周期に対するパワー半導体の主スイッチのオン時間の比である導通比を変化させることで電力制御を行っているが、かかる電力制御を簡易化し、また、加熱コイルとの共振動作を無くして上記のような共振電流実効値を増幅の効果をなくし、主スイッチのオフ電圧(耐圧)を下げて、主スイッチの耐圧要求を低くして、更なる低コスト化を図る必要がある。
また、アルミ鍋加熱対応の従来のクッキングヒータでは、パワー半導体素子に過大な電圧が印加されるために耐圧破壊を生じることから、加熱コイルの高電圧がパワー半導体に印加されないようにする必要がある。
【0009】
上記課題を解決すべく、本発明は、1石式高周波インバータに小容量のパワー半導体を補助スイッチとして付加し固定周波数動作で高周波電力制御を行い、スイッチの耐圧要求が低く、制御が簡単で、低コストの誘導加熱クッキングヒータ用高周波インバータを提供することを目的とする。
また、本発明は、加熱コイルの高電圧がパワー半導体に印加されない誘導加熱クッキングヒータ用高周波インバータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、本発明の第1観点の誘導加熱クッキングヒータ用高周波インバータは、電源に接続された加熱コイルと主スイッチの直列回路、加熱コイルと主スイッチの少なくとも何れかに並列接続された共振コンデンサ、加熱コイル又は主スイッチに並列接続された補助スイッチと定電圧コンデンサの直列回路、および、主スイッチと補助スイッチを駆動制御する制御回路を備える。定電圧コンデンサの容量は、共振コンデンサの容量の10倍以上である。そして、制御回路は、主スイッチと補助スイッチの各導通時間の和を略一定に保ちながら交互に導通させ各導通時間を制御して電力制御を行う。
(【0011】以降は省略されています)

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