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公開番号2024120525
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-05
出願番号2023027369
出願日2023-02-24
発明の名称溶融塩炉及びその運転方法
出願人国立大学法人東京工業大学
代理人個人,個人,個人
主分類G21C 1/22 20060101AFI20240829BHJP(核物理;核工学)
要約【課題】簡便な方法で反応度を制御して原子炉の出力を制御することができる溶融塩炉を提供する。
【解決手段】溶融塩炉3は、核燃料物質を含む溶融燃料塩が循環する炉心10と、液相としての溶融燃料塩と気相とからなる気液二相流のボイド率を調整することによって反応度を制御する反応度制御部とを備えている。反応度制御部は、炉心10を循環する溶融燃料塩の流量を変化させる燃料ポンプ20を備えている。原子炉停止状態にて所定量のガスを注入させた状態で、燃料ポンプ20によって溶融燃料塩の流量を漸次増大させることによって原子炉定格状態となるように起動する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
核燃料物質を含む溶融燃料塩が循環する炉心と、
液相としての前記溶融燃料塩と気相とからなる気液二相流のボイド率を調整することによって反応度を制御する反応度制御部と、
を備えている溶融塩炉。
続きを表示(約 420 文字)【請求項2】
前記反応度制御部は、前記炉心を循環する前記溶融燃料塩の流量を変化させる燃料ポンプを備えている請求項1に記載の溶融塩炉。
【請求項3】
前記反応度制御部は、原子炉停止状態にて所定量のガスを注入させた状態で、前記燃料ポンプによって前記溶融燃料塩の流量を漸次増大させることによって原子炉定格状態となるように起動する請求項2に記載の溶融塩炉。
【請求項4】
請求項1に記載された溶融塩炉と、
前記溶融塩炉から取り出された熱出力によって駆動されるタービンと、
前記タービンの回転出力を得て発電する発電機と、
を備えている発電プラント。
【請求項5】
核燃料を含む溶融燃料塩が循環する炉心を備えた溶融塩炉の運転方法であって、
液相としての前記溶融燃料塩と気相とからなる気液二相流のボイド率を調整することによって反応度を制御する溶融塩炉の運転方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融塩炉及びその運転方法に関するものである。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
脱炭素社会の実現とエネルギー安定供給のために世界で次世代型の原子炉の開発や建設が進んでいる(非特許文献1及び2)。なかでも、溶融塩炉は、液体燃料を用いる点で他の原子炉と異なる。ウラン等の核物質の塩を水酸化ナトリウム等の溶融塩に溶かしこんで溶融燃料塩とし、反応炉の溶融燃料塩を循環させ、熱交換器を経由して熱媒体を加熱して発電用タービンを回す。
【0003】
溶融塩炉のメリットは、燃料の出力が上昇すると温度が上昇し、それによって出力を低下させる自己制御性が高く事故の危険性が極めて低いこと、ウラニウムが地球上に遍在していることから原料の安定供給が比較的容易なこと、燃料を閉じた体系で長期間利用する事から核拡散抵抗性が高いことが挙げられる。
【0004】
溶融塩炉は大きく熱中性子炉と高速炉に大別できる。その他冷却材としてのみ溶融塩が用いられる溶融塩冷却炉がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
エネフロ、「テクノロジーが拓く未来の暮らし Vol.44 次世代原子炉の可能性」、2020年10月18日、インターネット<URL:https://ene-fro.com/article/ef268_a1/>
読売新聞オンライン、「安全保障上不可欠なゼロカーボン・エネルギー:原子力<4>次世代原子力技術とは何か」、2021年10月7日、インターネット<URL:https://www.yomiuri.co.jp/choken/kijironko/ckeconomy/20211007-OYT8T50042/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的な原子炉は、炉内の中性子を吸収する物質(カドミウム、炭化ホウ素など)で作られた制御棒を徐々に引き抜いて炉内の中性子を増やし、核分裂を活発にして原子炉を起動し出力を上げていく。
また、制御棒の位置を変化させて出力を調整する。
【0007】
溶融塩高速炉は、燃料の密度反応度によって温度が高くなると出力が低下する特徴を有している。具体的には、原子炉に異常が発生して燃料ポンプを停止すると燃料温度が上昇する。これにより、液体燃料が温度上昇によって膨張し、増量した燃料は配管を通じて炉心外のタンクに移動する。このことで、一定体積の炉心内で核反応する燃料原子数が減少し、原子炉に加えられる負の反応度により停止する。その固有の安全特性により溶融塩高速炉は制御棒を設けていないタイプが多い。燃料の移動は、温度だけではなく気体によって燃料を排除する事でも達成される。
【0008】
制御棒がない溶融塩炉の出力を0から定格である100%(原子炉熱出力を日本国で認められた定格原子炉熱出力)まで上昇させるためには、溶融塩炉の場合は燃料温度を低くすれば達成できることが知られている。しかしながら温度を低くすると液体燃料が固化してしまうという問題が生じる可能性もあるため、その調整幅は自由には選べない。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、簡便な方法で反応度を制御して原子炉の出力を制御することができる溶融塩炉及びその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る溶融塩炉は、核燃料物質を含む溶融燃料塩が循環する炉心と、液相としての前記溶融燃料塩と気相とからなる気液二相流のボイド率を調整することによって反応度を制御する反応度制御部を備えている。
(【0011】以降は省略されています)

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