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公開番号2024107967
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-09
出願番号2023012181
出願日2023-01-30
発明の名称乾燥状態シミュレーション装置とその方法及びそのプログラム
出願人株式会社木原製作所
代理人個人
主分類F26B 21/04 20060101AFI20240802BHJP(乾燥)
要約【課題】水分を含んで厚みのある食品等の被乾燥物に対し、乾燥時の重量歩留まり(乾燥に伴う質量残存率)を高精度で求めることが可能な乾燥状態シミュレーション装置を提供する。
【解決手段】乾燥状態シミュレーション装置1は、被乾燥物の密度から球殻を形成する等価球を概念してその等価球半径を計算する被乾燥物解析部8と、乾燥庫内の気体の環境パラメータを用いて被乾燥物に対する物質移動係数を計算する乾燥庫内解析部9と、物質移動係数を用いて被乾燥物と気体間の第1の水移動量と球殻の最外球殻と気体間の第2の水移動量を計算する水移動量解析部10と、被乾燥物の球殻毎の水分内部拡散を計算して密度を更新する水分内部拡散解析部11と、を有し、被乾燥物解析部8は第2の水移動量と更新された密度を用いて等価球半径を更新し、更新された密度と更新された等価球半径を用いて被乾燥物の重量歩留まりを計算する。
【選択図】図5
特許請求の範囲【請求項1】
乾燥庫内に収容された被乾燥物の乾燥状態をシミュレーションする装置であって、前記被乾燥物の密度から球殻を形成する等価球を概念してその等価球半径を計算する被乾燥物解析部と、前記乾燥庫内の気体の環境パラメータを用いて前記被乾燥物に対する物質移動係数を計算する乾燥庫内解析部と、前記物質移動係数を用いて前記被乾燥物と前記気体間の第1の水移動量を計算し、この第1の水移動量を用いて前記球殻の最外球殻と前記気体間の第2の水移動量を計算する水移動量解析部と、前記被乾燥物の前記球殻毎の水分内部拡散を計算して前記密度を更新する水分内部拡散解析部と、を有し、前記被乾燥物解析部は前記第2の水移動量と更新された前記密度を用いて前記等価球半径を更新し、更新された前記密度と更新された前記等価球半径を用いて前記被乾燥物の重量歩留まりを計算することを特徴とする乾燥状態シミュレーション装置。
続きを表示(約 880 文字)【請求項2】
乾燥庫内に収容された被乾燥物の乾燥状態をシミュレーションする方法であって、前記被乾燥物の密度から球殻を形成する等価球を概念してその等価球半径を計算する被乾燥物解析工程と、前記乾燥庫内の気体の環境パラメータを用いて前記被乾燥物に対する物質移動係数を計算する乾燥庫内解析工程と、前記物質移動係数を用いて前記被乾燥物と前記気体間の第1の水移動量を計算する第1の水移動量解析工程と、前記第1の水移動量を用いて前記球殻の最外球殻と前記気体間の第2の水移動量を計算する第2の水移動量解析工程と、前記被乾燥物の前記球殻毎の水分内部拡散を計算して前記密度を更新する水分内部拡散解析工程と、前記第2の水移動量と更新された前記密度を用いて前記等価球半径を更新する等価球半径更新工程と、更新された前記密度と更新された前記等価球半径を用いて前記被乾燥物の重量歩留まりを計算する重量歩留まり解析工程と、を有することを特徴とする乾燥状態シミュレーション方法。
【請求項3】
乾燥庫内に収容された被乾燥物の乾燥状態をシミュレーションするために、コンピュータによって実行されるプログラムであって、前記被乾燥物の密度から球殻を形成する等価球を概念してその等価球半径を計算する被乾燥物解析工程と、前記乾燥庫内の気体の環境パラメータを用いて前記被乾燥物に対する物質移動係数を計算する乾燥庫内解析工程と、前記物質移動係数を用いて前記被乾燥物と前記気体間の第1の水移動量を計算する第1の水移動量解析工程と、前記第1の水移動量を用いて前記球殻の最外球殻と前記気体間の第2の水移動量を計算する第2の水移動量解析工程と、前記被乾燥物の前記球殻毎の水分内部拡散を計算して前記密度を更新する水分内部拡散解析工程と、前記第2の水移動量と更新された前記密度を用いて前記等価球半径を更新する等価球半径更新工程と、更新された前記密度と更新された前記等価球半径を用いて前記被乾燥物の重量歩留まりを計算する重量歩留まり解析工程と、を有することを特徴とする乾燥状態シミュレーションプログラム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、果実やキノコあるいは野菜等あるいは肉や魚等の食品に対して空気の循環による乾燥状態をシミュレーションする乾燥状態シミュレーション装置とその方法及びそのプログラムに関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
ドライフルーツや魚の干物をはじめとする乾燥食品は保存食品としてのみならず日常的に広く食されており、その乾燥技術も研究・開発されてきた。
例えば、特許文献1には「乾燥装置」という名称で、小魚等の被乾燥物を収容した複数のセイロを配設し、そのセイロ内部に低相対湿度、高温の湿り空気を流すことで被乾燥物を乾燥させる装置が開示されている。
この発明では、セイロ内での温度や湿度に加えて被乾燥物の表面温度を制御することで小魚の品質を維持しながら乾燥させている。
また、特許文献2には本願出願人によって「循環式乾燥機とその乾燥方法及びその乾燥制御プログラム」という名称で、果実等の植物を主とした被乾燥物を乾燥室内に収容し空気と外気を換気させながら循環させて効率的かつ高品質に乾燥させる技術が開示されている。
一方、特許文献3には、食品ではないが溶剤濃度分布及び塗液温度分布を考慮した三成分系塗液に関する塗工乾燥シミュレーション方法が開示されている。
この発明では、溶剤とポリマを含む塗液の溶剤乾燥速度は実績値で求めるものの、Regular Regime理論やFlory-Huggins理論、流速比較法等を用いることで乾燥速度を高精度で計算することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2012-107852号公報
特開2019-148361号公報
特開2009-233663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示された発明では、試行錯誤や経験に基づく乾燥条件を設定条件として、被乾燥物の品質を維持しながら効率的な乾燥を実行するものであるため、被乾燥物の種類等によってそれぞれ試行錯誤を繰り返し、乾燥条件を求めなければならないという課題があった。
また、その量やサイズのバラツキも乾燥条件に影響を与えるため、同一の被乾燥物であったとしても乾燥に対する客観的で定量的な判断結果を得ることが難しい可能性があるという課題もあった。
また、特許文献3に開示された発明では、均質な塗液を薄く塗布した平面状の基材を対象としているため、シミュレーションが適用される技術分野や対象物が限定されてしまうという課題があった。特に水分を含み厚みのある食品では適用が難しく、シミュレーション精度を高めることが難しいという課題があった。
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、水分を含んで厚みのある食品等の被乾燥物に対し、その密度から球殻を形成する等価球を概念して、その内部での水分の拡散、空気と被乾燥物間の水移動量及び空気中に移動した水分を計算して、乾燥に供する空気の相対湿度と被乾燥物の密度を修正し、等価球の半径を修正することで乾燥時の重量歩留まり(乾燥に伴う質量残存率)を高精度で求めることが可能な乾燥状態シミュレーション装置とその方法及びそのプログラムを提供することを目的としている。
なお、本願において被乾燥物の重量歩留まりとは、乾燥に伴う水分蒸発によって初期の質量からどの程度減少して質量が残存しているかという質量残存率[質量%]を意味している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、第1の発明である乾燥状態シミュレーション装置は、乾燥庫内に収容された被乾燥物の乾燥状態をシミュレーションする装置であって、前記被乾燥物の密度から球殻を形成する等価球を概念してその等価球半径を計算する被乾燥物解析部と、前記乾燥庫内の気体の環境パラメータを用いて前記被乾燥物に対する物質移動係数を計算する乾燥庫内解析部と、前記物質移動係数を用いて前記被乾燥物と前記気体間の第1の水移動量を計算し、この第1の水移動量を用いて前記球殻の最外球殻と前記気体間の第2の水移動量を計算する水移動量解析部と、前記被乾燥物の前記球殻毎の水分内部拡散を計算して前記密度を更新する水分内部拡散解析部と、を有し、前記被乾燥物解析部は前記第2の水移動量と更新された前記密度を用いて前記等価球半径を更新し、更新された前記密度と更新された前記等価球半径を用いて前記被乾燥物の重量歩留まりを計算することを特徴とするものである。
第1の発明において、環境パラメータとは熱伝導率、比熱、密度、粘度、拡散係数、流速等、乾燥庫内の被乾燥物と気体間の物質拡散係数の計算に必要な被乾燥物及び周囲の気体に関する物性値や寸法等の物理量を意味している。
【0006】
第2の発明である乾燥状態シミュレーション方法は、乾燥庫内に収容された被乾燥物の乾燥状態をシミュレーションする方法であって、前記被乾燥物の密度から球殻を形成する等価球を概念してその等価球半径を計算する被乾燥物解析工程と、前記乾燥庫内の気体の環境パラメータを用いて前記被乾燥物に対する物質移動係数を計算する乾燥庫内解析工程と、前記物質移動係数を用いて前記被乾燥物と前記気体間の第1の水移動量を計算する第1の水移動量解析工程と、前記第1の水移動量を用いて前記球殻の最外球殻と前記気体間の第2の水移動量を計算する第2の水移動量解析工程と、前記被乾燥物の前記球殻毎の水分内部拡散を計算して前記密度を更新する水分内部拡散解析工程と、前記第2の水移動量と更新された前記密度を用いて前記等価球半径を更新する等価球半径更新工程と、更新された前記密度と更新された前記等価球半径を用いて前記被乾燥物の重量歩留まりを計算する重量歩留まり解析工程と、を有することを特徴とするものである。
【0007】
第3の発明である乾燥状態シミュレーションプログラムは、乾燥庫内に収容された被乾燥物の乾燥状態をシミュレーションするために、コンピュータによって実行されるプログラムであって、前記被乾燥物の密度から球殻を形成する等価球を概念してその等価球半径を計算する被乾燥物解析工程と、前記乾燥庫内の気体の環境パラメータを用いて前記被乾燥物に対する物質移動係数を計算する乾燥庫内解析工程と、前記物質移動係数を用いて前記被乾燥物と前記気体間の第1の水移動量を計算する第1の水移動量解析工程と、前記第1の水移動量を用いて前記球殻の最外球殻と前記気体間の第2の水移動量を計算する第2の水移動量解析工程と、前記被乾燥物の前記球殻毎の水分内部拡散を計算して前記密度を更新する水分内部拡散解析工程と、前記第2の水移動量と更新された前記密度を用いて前記等価球半径を更新する等価球半径更新工程と、更新された前記密度と更新された前記等価球半径を用いて前記被乾燥物の重量歩留まりを計算する重量歩留まり解析工程と、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
第1の発明に係る乾燥状態シミュレーション装置においては、水分を含んで厚みのある食品等の被乾燥物を球殻を形成する等価球として概念することで、水分の内部拡散と球殻の最外球殻の表面から空気中に移動する水分量の計算を可能にすることが可能である。また、空気中に移動する水分量から密度の減少を計算しながら概念した等価球の半径を更新することで、被乾燥物の乾燥による収縮をシミュレーションすることが可能である。したがって、最外球殻表面積の縮小をシミュレーションすることも可能となり、空気中に移動する水分量が最外球殻表面積の縮小によって減少するという現象もシミュレーションすることが可能である。
以上のようなことから、第1の発明においては水分を含んで厚みのある食品等の被乾燥物の乾燥時の重量歩留まりを高精度で求めることが可能である。
【0009】
第2の発明に係る乾燥状態シミュレーション方法は第1の発明を方法発明として捉えたものであるので、その効果は第1の発明と同様である。
【0010】
第3の発明に係る乾燥状態シミュレーションプログラムは第2の発明をプログラム発明として捉えたものであるので、その効果は第2の発明と同様である。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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