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公開番号2024101924
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-30
出願番号2023006148
出願日2023-01-18
発明の名称軸受用鋼
出願人JFEスチール株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C22C 38/00 20060101AFI20240723BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】転がり軸受等の部品製造に必要な加工性は確保しながら、焼入・焼もどし後の硬さの低下を抑制することが可能な軸受用鋼を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.85%以上1.20%以下、Si:0.10%以上1.10%以下、Mn:0.20%以上1.30%以下、Cr:0.80%以上1.80%以下、Al:0.050%以下、O:0.0030%以下及びSb:0.0005%以上0.0050%以下を含有し、残部はFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、初析セメンタイト面積率1.3%未満であり、残部がパーライト組織であるミクロ組織を有する、軸受用鋼。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
質量%で、
C:0.85%以上1.20%以下、
Si:0.10%以上1.10%以下、
Mn:0.20%以上1.30%以下、
Cr:0.80%以上1.80%以下、
Al:0.050%以下、
O:0.0030%以下及び
Sb:0.0005%以上0.0050%以下を含有し、
残部はFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、
初析セメンタイト面積率1.3%未満であり、残部がパーライト組織であるミクロ組織を有する、軸受用鋼。
続きを表示(約 570 文字)【請求項2】
さらに質量%で、
Cu:0.05%以上0.20%以下、
Ni:0.05%以上0.20%以下及び
Mo:0.03%以上0.10%以下からなる群より選択される少なくとも一種以上を含有する、請求項1記載の軸受用鋼。
【請求項3】
質量%で、
C:0.85%以上1.20%以下、
Si:0.10%以上1.10%以下、
Mn:0.20%以上1.30%以下、
Cr:0.80%以上1.80%以下、
Al:0.050%以下、
O:0.0030%以下及び
Sb:0.0005%以上0.0050%以下を含有し、
残部はFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、
面積率で、球状炭化物を12%以上20%以下有し、残部がフェライトであり、
前記球状炭化物の平均粒径が0.50μm未満であり、かつ最大粒径が2.50μm以下であるミクロ組織を有する、軸受用鋼。
【請求項4】
さらに質量%で、
Cu:0.05%以上0.20%以下、
Ni:0.05%以上0.20%以下及び
Mo:0.03%以上0.10%以下からなる群より選択される少なくとも一種以上を含有する、請求項3記載の軸受用鋼。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受用鋼に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
自動車及び産業機械等に用いる転がり軸受用鋼としては、高炭素クロム軸受鋼(JIS 規格:SUJ2)が最も多く利用されている。このSUJ2は、0.95~1.10質量%(以下単に%で示す)のCを含有していることから非常に硬質であるため、まず球状化焼鈍を行って加工性を向上させたのち、成形加工し、その後に焼入・焼きもどし処理を施すことによって転がり軸受に必要な硬さを確保している。焼入・焼もどし後の硬さが低下した場合、転がり軸受にとって重要な転動疲労寿命の低下につながる。
【0003】
この問題に対処するため、特許文献1では、熱処理時の脱炭層発生による焼入・焼もどし後の硬さ低下を防止するため、Sbを適量添加した軸受用鋼が提案されている。
特許文献2では、圧延後のコイル材に温間精密圧延加工を施すことにより、焼入・焼もどし後の硬さ確保を図った転がり軸受の製造方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開平5-271866号公報
特開2007-191796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
転がり軸受については、振動や音響特性を改善する観点から、通常、切削又は研削により脱炭層が除去される。特許文献1に記載の軸受用鋼は、焼入・焼もどし後、脱炭層が存在する状態での表面硬さの低下を防止するのには有効であるが、この切削又は研削により脱炭層を除去した後の表面硬さの低下防止を図ることができないという問題があった。
また、特許文献2に記載の転がり軸受の製造方法は、温間精密圧延加工設備が必要であり、一般的な転がり軸受の製造設備では実施できないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題を有利に解決するものであり、転がり軸受等の部品製造に必要な加工性は確保しながら、焼入・焼もどし後の硬さの低下を抑制することが可能な軸受用鋼を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するため、鋼の成分組成、組織及び熱間圧延条件の硬さへの影響について鋭意検討を行った。その結果、本発明者は、焼入・焼もどし後の硬さ低下は、主に焼入・焼もどし処理時の加熱温度、加熱時間、冷却速度のばらつきによって生じるが、ばらつきが十分に抑制され、これらが同一の条件といえる場合においても硬さ低下が生じることがあることを見出した。そして、硬さ低下の原因について、本発明者が焼入・焼もどし処理前の素材のミクロ組織に着目して調査を行った結果、以下のことが明らかとなった。
1)圧延後の鋼材のミクロ組織において初析セメンタイトが増加すると焼入・焼もどし後硬さが低下する。
2)圧延後の鋼材のミクロ組織において初析セメンタイトが増加した場合、その後の球状化焼鈍後のミクロ組織において粗大な球状炭化物が増加する。
3)球状化焼鈍後の鋼材のミクロ組織において粗大な球状炭化物が増加した場合、その後の焼入・焼もどし処理において、加熱時の球状炭化物からオーステナイトマトリックスへのCの溶け込みが不足し、硬さが低下する。
【0008】
そして、本発明者がさらに検討した結果、鋼材の成分組成及び熱間圧延条件を制御することにより、熱間圧延後のミクロ組織において初析セメンタイトを面積率で1.3%未満とした軸受用鋼、また、当該鋼を球状化焼鈍して、球状炭化物平均粒径を0.50μm未満、かつ球状炭化物最大粒径を2.50μm以下とした軸受用鋼について、焼入・焼きもどし後の硬さ低下が抑制されるとの知見を得て、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
[1]質量%で、
C:0.85%以上1.20%以下、
Si:0.10%以上1.10%以下、
Mn:0.20%以上1.30%以下、
Cr:0.80%以上1.80%以下、
Al:0.050%以下、
O:0.0030%以下及び
Sb:0.0005%以上0.0050%以下を含有し、
残部はFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、
初析セメンタイト面積率1.3%未満であり、残部がパーライト組織であるミクロ組織を有する、軸受用鋼。
[2]さらに質量%で、
Cu:0.05%以上0.20%以下、
Ni:0.05%以上0.20%以下及び
Mo:0.03%以上0.10%以下からなる群より選択される少なくとも一種以上を含有する、[1]の軸受用鋼。
[3]質量%で、
C:0.85%以上1.20%以下、
Si:0.10%以上1.10%以下、
Mn:0.20%以上1.30%以下、
Cr:0.80%以上1.80%以下、
Al:0.050%以下、
O:0.0030%以下及び
Sb:0.0005%以上0.0050%以下を含有し、
残部はFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、
面積率で、球状化物を12%以上20%以下有し、残部がフェライトであり、
前記球状炭化物の平均粒径が0.50μm未満であり、かつ最大粒径が2.50μm以下であるミクロ組織を有する、軸受用鋼。
[4]さらに質量%で、
Cu:0.05%以上0.20%以下、
Ni:0.05%以上0.20%以下及び
Mo:0.03%以上0.10%以下からなる群より選択される少なくとも一種以上を含有する、[3]の軸受用鋼。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、焼入・焼もどし後の硬さに優れた軸受用鋼を提供することができ、転がり軸受への適用に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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