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公開番号
2024104080
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-08-02
出願番号
2023008103
出願日
2023-01-23
発明の名称
継目無鋼管
出願人
日本製鉄株式会社
代理人
アセンド弁理士法人
主分類
C22C
38/00 20060101AFI20240726BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約
【課題】高強度を有し、溶接後に極低温環境におけるHAZ靭性が優れる継目無鋼管を提供する。
【解決手段】本開示による継目無鋼管は、明細書に記載の化学組成を有し、式(1)で定義されるFn1が0.500~1.200であり、式(2)で定義されるFn2が0.400以上であり、式(3)で定義されるFn3が2.80~5.50であり、式(4)で定義されるFn4が20.00以下である。降伏強度が625MPa以上である。Ti含有量が70質量%以上を満たし、円相当径が0.20μm以下のTi含有粒子の個数密度をND個/mm
2
と定義したとき、Fn2と、NDとが、式(5)を満たす。
Fn1=Cr+1.2Mo+V+8Nb (1)
Fn2=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5 (2)
Fn3=Ti/N (3)
Fn4=Ti/Ca (4)
19.6×Fn2-ND×10
-6
≦6.4 (5)
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
継目無鋼管であって、
質量%で、
C:0.080超~0.180%、
Si:0.03~1.00%、
Mn:0.50~2.50%、
P:0.050%以下、
S:0.0050%以下、
Cu:1.00%以下、
Ni:0.25~1.00%、
Ti:0.001~0.050%、
Al:0.050%以下、
N:0.0020~0.0150%、
Ca:0.0005~0.0050%、及び、
B:0.0005~0.0050%を含有し、さらに、
Cr:0.01~0.60%、
Mo:0.01~0.40%、
V:0.01~0.10%、及び、
Nb:0.01~0.05%からなる群から選択される1元素以上を含有し、
残部がFe及び不純物からなり、
式(1)で定義されるFn1が0.500~1.200であり、
式(2)で定義されるFn2が0.400以上であり、
式(3)で定義されるFn3が2.80~5.50であり、
式(4)で定義されるFn4が20.00以下であり、
降伏強度が625MPa以上であり、
前記継目無鋼管中において、
Ti含有量が70質量%以上を満たし、円相当径が0.20μm以下のTi含有粒子の個数密度をND個/mm
2
と定義したとき、
前記Fn2と、前記NDとが、式(5)を満たす、
継目無鋼管。
Fn1=Cr+1.2Mo+V+8Nb (1)
Fn2=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5 (2)
Fn3=Ti/N (3)
Fn4=Ti/Ca (4)
19.6×Fn2-ND×10
-6
≦6.4 (5)
ここで、式(1)~(4)中の元素記号には、対応する元素の含有量が質量%で代入される。なお、対応する元素が含有されない場合、当該元素記号には「0」が代入される。
続きを表示(約 75 文字)
【請求項2】
請求項1に記載の継目無鋼管であって、
前記継目無鋼管は、海洋構造部材用継目無鋼管である、
継目無鋼管。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、鋼材に関し、さらに詳しくは、継目無鋼管に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)
【背景技術】
【0002】
石油や天然ガス資源の需要増大に伴い、海底油田の開発が活発化している。ここで、海底油田の開発では、プラットフォームやジャッキアップリグに代表される海洋構造物が用いられる。また、海洋構造物の大型化に伴い、海洋構造物の重量が高まってきている。そこで、海洋構造物の部材(以下、単に「海洋構造部材」ともいう)として、継目無鋼管が用いられる場合がある。海洋構造部材として中空の継目無鋼管を用いることで、海洋構造物の重量を低減できる。一方、このような海洋構造部材用の継目無鋼管には、高い強度が求められる。
【0003】
国際公開第2005/052205号(特許文献1)、及び、国際公開第2013/051231号(特許文献2)は、海洋構造物の部材として用いられる高強度の鋼材を提案する。
【0004】
特許文献1に記載の鋼材は、高張力鋼であって、質量%で、C:0.01~0.10%、Si:0.5%以下、Mn:0.8~1.8%、P:0.020%以下、S:0.01%以下、Cu:0.8~1.5%、Ni:0.2~1.5%、Al:0.001~0.05%、N:0.003~0.008%、O:0.0005~0.0035%を含有し、残部がFe及び不純物であって、かつ、N/Alが0.3~3.0である。この鋼材は、降伏強度が420MPa以上であり、溶接部靭性が優れる、と特許文献1には開示されている。
【0005】
特許文献2に記載の鋼材は、高張力鋼板であって、質量%で、C:0.05~0.14%、Si:0.01~0.30%以下、Mn:0.3~2.3%、P:0.008%以下、S:0.005%以下、Al:0.005~0.1%、Ni:0.5~4%、B:0.0003~0.003%、N:0.001~0.008%を含有し、Ceq(=[C]+[Mn]/6+[Cu+Ni]/15+[Cr+Mo+V]/5)≦0.80、中心偏析部硬さ指標HCSが式(HCS=5.5[C]4/3+15[P]+0.90[Mn]+0.12[Ni]+0.53[Mo]≦2.5)を満たし、残部がFe及び不純物からなる。さらに、鋼板の中心偏析部の硬さが式(HVmax/HVave≦1.35+0.006/C-t/750、HVmaxは中心偏析部のビッカース硬さの最大値、HVaveは中心偏析部と表裏面から板厚の1/4を除く部分のビッカース硬さの平均値、Cは炭素の含有量(質量%)、tは鋼板の板厚(mm))を満たす。この高張力鋼板は、降伏強度が620MPa以上であり、小~中入熱による多層溶接部の溶接熱影響部の靭性が優れる、と特許文献2には開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
国際公開第2005/052205号
国際公開第2013/051231号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、海洋構造物のさらなる大型化に伴い、海洋構造部材用継目無鋼管には、さらに高い強度が求められてきている。具体的に、625MPa以上の降伏強度を有する継目無鋼管が求められてきている。一方、上記特許文献1及び2では、625MPa以上の降伏強度を有する継目無鋼管について、検討されていない。
【0008】
ところで、海洋構造物を建造する際、海洋構造部材用継目無鋼管同士が、溶接により接合される。一方、複数の継目無鋼管同士を溶接した場合、溶接の熱影響部(以下、HAZ(Heat Affected Zone)という)の靭性が低下しやすい。近年さらに、特に北海、北極海沿岸、シベリアといった地域での使用が想定された海洋構造部材が求められてきている。このような海洋構造部材では、たとえば、-40℃以下の極低温環境において、溶接後のHAZに優れた靭性が求められる。一方、上記特許文献1及び2では、-40℃以下という極低温環境における優れたHAZ靭性を有する継目無鋼管について、検討されていない。
【0009】
本開示の目的は、高強度を有し、溶接後に極低温環境におけるHAZ靭性が優れる、継目無鋼管を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示による継目無鋼管は、
質量%で、
C:0.080超~0.180%、
Si:0.03~1.00%、
Mn:0.50~2.50%、
P:0.050%以下、
S:0.0050%以下、
Cu:1.00%以下、
Ni:0.25~1.00%、
Ti:0.001~0.050%、
Al:0.050%以下、
N:0.0020~0.0150%、
Ca:0.0005~0.0050%、及び、
B:0.0005~0.0050%を含有し、さらに、
Cr:0.01~0.60%、
Mo:0.01~0.40%、
V:0.01~0.10%、及び、
Nb:0.01~0.05%からなる群から選択される1元素以上を含有し、
残部がFe及び不純物からなり、
式(1)で定義されるFn1が0.500~1.200であり、
式(2)で定義されるFn2が0.400以上であり、
式(3)で定義されるFn3が2.80~5.50であり、
式(4)で定義されるFn4が20.00以下であり、
降伏強度が625MPa以上であり、
前記継目無鋼管中において、
Ti含有量が70質量%以上を満たし、円相当径が0.20μm以下のTi含有粒子の個数密度をND個/mm
2
と定義したとき、
前記Fn2と、前記NDとが、式(5)を満たす。
Fn1=Cr+1.2Mo+V+8Nb (1)
Fn2=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5 (2)
Fn3=Ti/N (3)
Fn4=Ti/Ca (4)
19.6×Fn2-ND×10
-6
≦6.4 (5)
ここで、式(1)~(4)中の元素記号には、対応する元素の含有量が質量%で代入される。なお、対応する元素が含有されない場合、当該元素記号には「0」が代入される。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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