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公開番号2024095001
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-10
出願番号2022211969
出願日2022-12-28
発明の名称水系顔料分散体
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人大谷特許事務所
主分類C09D 17/00 20060101AFI20240703BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】樹脂フィルムへの印刷に用いる際に得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性)に優れ、かつ間欠吐出性に優れる水系顔料分散体、及び該水系顔料分散体を含有する水系インクを提供する。
【解決手段】〔1〕顔料が架橋ポリマーAで分散された水系顔料分散体であって、該架橋ポリマーAが、水分散性ポリマーA’由来の構造と水不溶性の多官能エポキシ架橋剤由来の構造とを含み、該水分散性ポリマーA’が、シクロアルキル(メタ)アクリレート(a-1)由来の構成単位を含むビニル系樹脂である、水系顔料分散体、及び〔2〕前記〔1〕に記載の水系顔料分散体及び水溶性有機溶剤を含有する水系インクである。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
顔料が架橋ポリマーAで分散された水系顔料分散体であって、
該架橋ポリマーAが、水分散性ポリマーA’由来の構造と水不溶性の多官能エポキシ架橋剤由来の構造とを含み、
該水分散性ポリマーA’が、シクロアルキル(メタ)アクリレート(a-1)由来の構成単位を含むビニル系樹脂である、水系顔料分散体。
続きを表示(約 680 文字)【請求項2】
前記水分散性ポリマーA’が、シクロアルキル(メタ)アクリレート(a-1)由来の構成単位と、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選ばれる1種以上のカルボキシ基を有するイオン性モノマー(a-2)由来の構成単位と、アルキル(メタ)アクリレート及び芳香族基含有(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上の疎水性モノマー(a-3)由来の構成単位とを含むビニル系樹脂である、請求項1に記載の水系顔料分散体。
【請求項3】
前記架橋ポリマーAの酸価が、25mgKOH/g以上170mgKOH/g以下である、請求項1又は2に記載の水系顔料分散体。
【請求項4】
前記多官能エポキシ架橋剤が、炭素数3以上8以下の炭化水素基を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル化合物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の水系顔料分散体。
【請求項5】
前記架橋ポリマーAの架橋率が、前記水分散性ポリマーA’のカルボキシ基のモル当量数に対する前記多官能エポキシ架橋剤のエポキシ基のモル当量数の比率で、15モル%以上85モル%以下である、請求項2~4のいずれか1項に記載の水系顔料分散体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の水系顔料分散体、及び水溶性有機溶剤を含有する、水系インク。
【請求項7】
樹脂フィルムを印刷基材とする印刷に用いられる、請求項6記載の水系インク。
【請求項8】
インクジェット印刷用である、請求項6又は7に記載の水系インク。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水系顔料分散体、及び該水系顔料分散体を含有する水系インクに関する。
続きを表示(約 4,100 文字)【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式を用いる印刷方法は、微細なノズルからインク液滴を吐出し、直接印刷基材に付着させて、文字や画像が記録された印刷物等を得る方法である。この印刷方法は、フルカラー化が容易でかつ安価であり、印刷基材として普通紙やラベル紙、樹脂フィルムなどの様々な印刷基材が使用可能であり、被印刷基材に対して非接触である等、数多くの利点があるため、普及が著しい。特に印刷物の耐候性や耐水性の観点から、着色剤に顔料を用いたインクが主流となってきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、顔料を用いる利点である耐水性を維持しつつ、インク吐出ノズルでの顔料やポリマーの固化を抑制できる優れた保存安定性を有し、更に吐出性、定着性に優れた水系顔料分散体、及び水系インクの提供を課題として、顔料をポリマー分散剤で水系媒体に分散させた水系顔料分散体であって、該ポリマー分散剤がカルボキシ基を有する水不溶性ポリマーであり、該カルボキシ基のうち少なくとも一部がアルカリ金属水酸化物で中和されており、かつ該カルボキシ基の一部が水不溶性多官能エポキシ化合物と反応させて得られる架橋構造を有し、所定の条件を満たす水系顔料分散体等が開示されている。
また、特許文献2には、優れた耐候性、定着性(擦過性)等を有する印刷物を形成可能なインクジェットインクを生産性よく提供することを目的として、シクロヘキシルメタクリレート単位とアクリル酸単位とをそれぞれ所定の割合で含むインクジェットインク用共重合体、並びに該共重合体を含有するインクジェットインク用顔料分散体等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2017-119845号公報
国際公開第2012/118078号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、食料品等のパッケージ印刷などの産業印刷市場においては、耐久性の観点から印刷基材として主に樹脂フィルムが用いられている。樹脂フィルムは、紙の印刷基材とは異なり、その表面が疎水的かつ非吸液の印刷基材であるため、樹脂フィルム表面に対するインクの濡れ性が十分でないことが課題として挙げられる。そのため、一般的には、インクの樹脂フィルムへの濡れ性を向上させるため、疎水的な有機溶剤がインクに配合されることがある。しかしながら、このような疎水的な有機溶剤が配合されたインクの場合にはインクジェットノズルでのインク濃縮時に顔料の分散安定性が低下し、インクジェットノズルからインクを吐出しないで所定時間が経過した後、再度インクを吐出する際の吐出性、いわゆる間欠吐出性が低下するという問題がある。
また、印刷基材として樹脂フィルムを用いる特有の課題として、得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性、特に耐テープ剥離性が挙げられる。印刷物のインク塗膜の耐テープ剥離性が不足する場合、インク塗膜が樹脂フィルムから剥離し易く、印刷物の美粧性を損なうだけでなく、ラミネート処理する場合には、樹脂フィルムとラミネートフィルムとが剥がれる原因となることもある。そのため、樹脂フィルムへ印刷する際に得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性)の向上が求められている。
しかしながら、特許文献1に記載の水系顔料分散体や特許文献2に記載の共重合体を用いたインクは、疎水的かつ非吸液の樹脂フィルムへの印刷に用いた際には、得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性)が不十分であることが判明した。
本発明は、樹脂フィルムへの印刷に用いる際に得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性)に優れ、かつ間欠吐出性に優れる水系顔料分散体、及び該水系顔料分散体を含有する水系インクを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、顔料が架橋ポリマーで分散された水系顔料分散体であって、該架橋ポリマーが、水分散性ポリマー由来の構造と水不溶性の多官能エポキシ架橋剤由来の構造とを含み、該水分散性ポリマーが、シクロアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を含むビニル系樹脂であることにより、上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の[1]及び[2]を提供する。
[1]顔料が架橋ポリマーAで分散された水系顔料分散体であって、
該架橋ポリマーAが、水分散性ポリマーA’由来の構造と水不溶性の多官能エポキシ架橋剤由来の構造とを含み、
該水分散性ポリマーA’が、シクロアルキル(メタ)アクリレート(a-1)由来の構成単位を含むビニル系樹脂である、水系顔料分散体。
[2]前記[1]に記載の水系顔料分散体、及び水溶性有機溶剤を含有する、水系インク。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、樹脂フィルムへの印刷に用いる際に得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性)に優れ、かつ間欠吐出性に優れる水系顔料分散体、及び該水系顔料分散体を含有する水系インクを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[水系顔料分散体]
本発明の水系顔料分散体は、顔料が架橋ポリマーAで分散された水系顔料分散体であって、該架橋ポリマーAが、水分散性ポリマーA’由来の構造と水不溶性の多官能エポキシ架橋剤由来の構造とを含み、該水分散性ポリマーA’が、シクロアルキル(メタ)アクリレート(a-1)由来の構成単位を含むビニル系樹脂である。
本発明において、顔料は、架橋ポリマーAにより水系媒体に分散されてなる。
本発明において「水系」とは、液体成分において水が質量基準で最大の比率を占めていることを意味する。
水系媒体の水としては、脱イオン水、イオン交換水、又は蒸留水が好ましく用いられる。
水系媒体は、更に有機溶媒を含有してもよい。該有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2-プロパノール等の炭素数1以上4以下の脂肪族アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等の炭素数3以上8以下のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類等の水に溶解する水溶性有機溶媒が挙げられる。
水系媒体中の水の含有量は、環境性の観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上である。
【0009】
また、本発明において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートからなる群から選ばれる1種以上を示す。
多官能エポキシ架橋剤の「水不溶性」とは、架橋剤を25℃のイオン交換水100gに飽和するまで溶解させたときの溶解量が、好ましくは50g未満であることをいう。
本発明に係る印刷基材における「非吸液性」とは、印刷基材と純水との接触時間100m秒における該印刷基材の吸水量が1g/m

以下であることを意味する。
本発明に係る印刷基材における「疎水的」とは、表面自由エネルギー(濡れ張力)が、45mN/m以下であることを意味する。印刷基材の表面自由エネルギー(濡れ張力)は、JIS K6768の濡れ張力試験法に準拠した方法で、濡れ張力試験用混合液(富士フイルム和光純薬株式会社製)を用いて測定される。
本発明における「基材密着性」とは、樹脂フィルムへの印刷に用いる際に得られる印刷物のインク塗膜の耐テープ剥離性を意味し、単に「基材密着性」と称することがある。
【0010】
本発明によれば、樹脂フィルムへの印刷に用いる際に得られる印刷物のインク塗膜の基材密着性(耐テープ剥離性)に優れ、かつ間欠吐出性に優れる水系顔料分散体、及び該水系顔料分散体を含有する水系インクを提供することができる。その理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。
本発明において、顔料を分散させる架橋ポリマーは、水分散性ポリマー由来の構造と水不溶性の多官能エポキシ架橋剤由来の構造とを含み、該水分散性ポリマーは、シクロアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を含むビニル系樹脂である。このシクロアルキル(メタ)アクリレートのシクロアルキルエステル部位は、印刷基材として用いる樹脂フィルム表面に存在する極性官能基との極性値が近いことで、本発明の水系顔料分散体を水系インクに用いる際の樹脂フィルムに対する濡れ性が向上すると考えられる。さらに、前記極性官能基と該シクロアルキルエステル部位との間で水素結合を形成し、また、樹脂フィルムの疎水性部位とシクロアルキル(メタ)アクリレートのシクロアルキル部位及び該シクロアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を含む水分散性ポリマー主鎖との間にファンデルワールス相互作用を効率的に発現することができるため、樹脂フィルムに対するインク塗膜の基材密着性が向上すると考えられる。
また、顔料を分散させる架橋ポリマーは、前記水分散性ポリマー由来の構造と水不溶性の多官能エポキシ架橋剤由来の構造とを含む架橋構造を有するため、インクに配合される有機溶剤によってもポリマーの膨潤が起こり難く、顔料の分散安定性を向上させることができる。その結果、インクジェットノズルからインクを吐出しないで所定時間が経過する間に、インクジェットノズル近傍でインクが長期間大気に曝露されて該インク中の水分が揮発し、該インク中の有機溶剤の比率が高まっても、顔料の凝集を抑制することができ、間欠吐出性を向上させることができると考えられる。
(【0011】以降は省略されています)

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