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公開番号2024091088
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-04
出願番号2022207486
出願日2022-12-23
発明の名称インクジェット記録用インク
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人大谷特許事務所
主分類C09D 11/322 20140101AFI20240627BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】吐出安定性に優れ、かつ、インクジェット記録後の記録媒体上のインク塗膜を100℃以上の温度環境下にて加温保持する工程を含むインクジェット記録方法において画像堅牢性に優れる記録物を得ることができる、インクジェット記録用インク等を提供する。
【解決手段】顔料、有機溶剤(B)、顔料を含有しない架橋ポリマー粒子(C)、ワックスを含有するポリマー粒子(D)、及び水を含有し、該有機溶剤(B)が、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選ばれる1種以上の有機溶剤(b1)を含む、インクジェット記録用インク等である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
顔料、有機溶剤(B)、顔料を含有しない架橋ポリマー粒子(C)、ワックスを含有するポリマー粒子(D)、及び水を含有し、
該有機溶剤(B)が、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選ばれる1種以上の有機溶剤(b1)を含む、インクジェット記録用インク。
続きを表示(約 790 文字)【請求項2】
有機溶剤(b1)が2種以上を併用してなり、該有機溶剤(b1)の沸点の加重平均値が145℃以上である、請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
【請求項3】
有機溶剤(B)が2種以上を併用してなり、該有機溶剤(B)の沸点の加重平均値が200℃以下である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インク。
【請求項4】
有機溶剤(B)の含有量に対する沸点が180℃以下の有機溶剤の含有量の質量比[沸点が180℃以下の有機溶剤/有機溶剤(B)]が0.01以上0.70以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク。
【請求項5】
有機溶剤(B)の含有量が10質量%以上40質量%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク。
【請求項6】
有機溶剤(B)の含有量に対する有機溶剤(b1)の含有量の質量比[有機溶剤(b1)/有機溶剤(B)]0.30以上0.90以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクと、処理液由来の成分を表面に有する低吸液性記録媒体とを含む、インクジェット記録用セット。
【請求項8】
請求項7に記載のインクジェット記録用セットを用いるインクジェット記録方法であって、
前記インクジェット記録用インクを用いて、インクジェット記録方式により前記処理液由来の成分を表面に有する低吸液性記録媒体上にインク塗膜を形成する工程1と、
工程1で形成した前記低吸液性記録媒体上のインク塗膜を100℃以上の温度環境下にて加温保持して記録物を得る工程2とを含む、インクジェット記録方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録用インク、インクジェット記録用セット、及びインクジェット記録方法に関する。
続きを表示(約 5,600 文字)【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式は、微細なノズルからインク液滴を直接吐出し、記録媒体に付着させて、文字や画像が記録された記録物を得る記録方式である。インクジェット記録方式は、製版作業が不要で、印刷装置の操作が容易であるといった特徴を有しており、オフィスや家庭での使用をはじめとして、近年は産業用途においてもその需要を伸ばしている。記録媒体としては、従来は普通紙が主であったが、近年はコート紙やアート紙のような低吸液性記録媒体への印刷の需要が高まっており、様々な記録媒体に対して鮮鋭に印刷可能なインクジェット記録用インクの開発が望まれている。その中でも、近年、環境負荷を低減する観点から、溶剤として主に水を用いるインクジェット記録用水系インクを用いるインクジェット記録方法の重要性が高まっている。
しかしながら、インクジェット記録用水系インクでは、低吸液性記録媒体へ記録する際にインクのハジキが起こるため、画像に滲みやヨレが発生するといった課題があった。
このような課題に対する方策の一つとして、処理液を用いる記録媒体に対する前処理が知られている。
例えば、特許文献1には、凝集剤として硝酸カルシウムを所定量使用し、かつ、高沸点溶剤の量や、処理液の粘度・pHを特定の範囲内に収めた処理液と、インクジェットインキとを組み合わせたインキセットによって、印刷速度などの印刷条件によらず、様々な記録媒体に対して、画像の均質性や画像濃度に優れ、かつ、混色や埋まり不足といった画像欠陥のない、高画質な印刷物が作成できると開示されている。
【0003】
また、インクジェット記録ヘッド近傍が強い乾燥条件に晒された際には、インク吐出を一旦休止すると、吐出ノズル孔周辺においてインクの凝集増粘物を生成する現象が起こることがある。さらに、記録速度の高速化に伴う吐出頻度の増加と一滴に付与できる応力の減少によってノズル欠けや吐出ヨレが発生し易くなるという吐出安定性の低下、及びこの凝集増粘物の生成を抑制するための方策であるインクへの樹脂成分の配合量低減による画像堅牢性の低下といった課題があった。そこで、これらの課題を改善する試みもなされてきた。
例えば、特許文献2には、水不溶性ポリマー粒子と、有機溶剤と、水とを含有する水系インクであって、該水不溶性ポリマー粒子が架橋されたポリマーであり、該有機溶剤が多価アルコールエーテルを含み、該有機溶剤の粘度変化率を特定の範囲とすることにより、吐出安定性に優れ、低吸水性印刷媒体への印刷において優れた乾燥性及び耐擦過性を有する印刷物を得ることができると開示されている。
また、特許文献3には、特定の架橋ポリマー中にポリオレフィンワックスを含有させた架橋ポリマー粒子をインクジェット記録用水系インク中に含有させることにより、保存安定性、吐出安定性に優れ、低吸液性記録媒体への記録においても、画像堅牢性に優れた記録物を得ることができると開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2020-70334号公報
特開2019-116598号公報
特開2022-085430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インクジェット記録方式でコート紙等の低吸液性記録媒体に記録する場合、記録速度を高めるにはインクを早く乾燥させる必要がある。そのため、一般的にインクジェット記録後に室温より高い温度環境下にて記録媒体上のインク塗膜を加温保持する操作が行われる。この操作における室温より高い環境としては、記録速度の向上の観点から、100℃以上の温度環境とすることが一般的になってきている。
しかしながら、特許文献1~3の技術では、100℃以上の温度環境下にて記録媒体上のインク塗膜を加温保持するインクジェット記録方法を用いた際の画像堅牢性が十分でないことが判明した。
本発明は、吐出安定性に優れ、かつ、インクジェット記録後の記録媒体上のインク塗膜を100℃以上の温度環境下にて加温保持する工程を含むインクジェット記録方法において画像堅牢性に優れる記録物を得ることができる、インクジェット記録用インク、インクジェット記録用セット、及びインクジェット記録方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、顔料、有機溶剤、顔料を含有しない架橋ポリマー粒子と、ワックスを含有するポリマー粒子、及び水を含有し、該有機溶剤が特定の1価アルコールから選ばれる1種以上を含むインクジェット記録用インクにより、上記の課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]~[3]を提供する。
[1]顔料、有機溶剤(B)、顔料を含有しない架橋ポリマー粒子(C)、ワックスを含有するポリマー粒子(D)、及び水を含有し、
該有機溶剤(B)が、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選ばれる1種以上の有機溶剤(b1)を含む、インクジェット記録用インク。
[2]前記[1]に記載のインクジェット記録用インクと、処理液由来の成分を表面に有する低吸液性記録媒体とを含む、インクジェット記録用セット。
[3]前記[2]に記載のインクジェット記録用セットを用いるインクジェット記録方法であって、
前記インクジェット記録用インクを用いて、インクジェット記録方式により前記処理液由来の成分を表面に有する低吸液性記録媒体上にインク塗膜を形成する工程1と、
工程1で形成した前記低吸液性記録媒体上のインク塗膜を100℃以上の温度環境下にて加温保持して記録物を得る工程2とを含む、インクジェット記録方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吐出安定性に優れ、かつ、インクジェット記録後の記録媒体上のインク塗膜を100℃以上の温度環境下にて加温保持する工程を含むインクジェット記録方法において画像堅牢性に優れる記録物を得ることができる、インクジェット記録用インク、インクジェット記録用セット、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[インクジェット記録用インク]
本発明のインクジェット記録用インク(以下、「本発明のインク」又は「インク」ともいう)は、顔料、有機溶剤(B)、顔料を含有しない架橋ポリマー粒子(C)、ワックスを含有するポリマー粒子(D)、及び水を含有し、該有機溶剤(B)が、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選ばれる1種以上の有機溶剤(b1)を含む。
本発明のインクは、環境負荷を低減する観点から、質量基準で水が最大割合を占める、いわゆる水系インクであることが好ましい。なお、本発明において「水系」とは、媒体中で、水が質量比で最大割合を占めていることを意味する。
本発明において「ワックス」とは、常温(25℃)で固体、加熱すると液体となる有機物を意味する。この時、ワックスが液体となる温度、いわゆるワックスの融点は45℃以上150℃以下の範囲に存在する。
本発明において「記録」とは、文字や画像を記録する印刷、印字を含む概念であり、「記録物」とは、文字や画像が記録された印刷物、印字物を含む概念である。
また、「低吸液性」とは、低吸液性、非吸液性を含む概念であり、記録媒体と純水との接触時間100m秒における該記録媒体の吸水量が0g/m

以上10g/m

以下であることを意味する。また、「高吸液性」とは、記録媒体と純水との接触時間100m秒における該記録媒体の吸水量が10g/m

超であることを意味する。
以下、インクジェット記録後の記録媒体上のインク塗膜を100℃以上の温度環境下にて加温保持する工程を含むインクジェット記録方法における記録物の画像堅牢性を単に「画像堅牢性」とも称する。
【0009】
本発明のインクは、吐出安定性に優れ、かつ、インクジェット記録後の記録媒体上のインク塗膜を100℃以上の温度環境下にて加温保持する工程を含むインクジェット記録方法において画像堅牢性に優れる記録物を得ることができる。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明のインクに含まれる有機溶剤(b1)は、炭素数3以上5以下の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族飽和炭化水素鎖及びエーテル基の酸素原子を一つ有する1価アルコール、又は、プロパンジイル基の2連鎖とエーテル基の酸素原子を二つ有する1価アルコールである。本発明のインクが水系インクとして水が質量基準で最大割合を占める状態においては、有機溶剤(b1)は、その鎖長の短い脂肪族飽和炭化水素鎖に由来する強い疎水性と、エーテル基の酸素に由来する弱い親水性及び水酸基に由来する強い親水性によって、顔料、顔料を含有しない架橋ポリマー粒子(C)、及びワックスを含有するポリマー粒子(D)の安定な分散に寄与し、ノズル近傍でのインクの凝集増粘物の発生を抑制し、吐出安定性を向上させることができると考えられる。
また、本発明においては、顔料を含有しない架橋ポリマー粒子(C)が架橋構造を有するため、インクジェット記録用水系インク中に有機溶剤(b1)が存在するインクジェット記録用水系インクであっても、過度の膨潤を抑制することができ、良好な吐出安定性を確保することができると考えられる。
さらに、インクジェット記録後においては、水が蒸発することにより、インク塗膜中の有機溶剤(b1)の含有比率が高まる。その後、有機溶剤(b1)が揮発するまでの間においては、上記のような疎水性から親水性にわたる種々の官能基を有する有機溶剤(b1)が、インク塗膜中の顔料を含有しない架橋ポリマー粒子(C)及びワックスを含有するポリマー粒子(D)を適度に膨潤させて各粒子を結合させるように作用し、得られる記録物の画像堅牢性の向上に寄与していると考えられる。
また、インクジェット記録後にできるだけ早くインク塗膜の揮発成分を除去するため、インクジェット記録後の記録媒体上のインク塗膜を100℃以上の温度環境下にて加温保持する操作が行われている。本発明のインクは、ワックス成分をワックスを含有するポリマー粒子(D)として含有するため、ノズル近傍でのインクの凝集増粘物の発生を抑制し、吐出安定性を向上させることができ、また、100℃以上の温度環境下にて記録媒体上のインク塗膜を加温保持しても、ワックス成分が粒子形状を維持できる時間が長く、また、ワックス成分が溶解しても、平滑に形成されたインク塗膜中にワックス成分を均等に存在させることができ、ワックス成分の極端な偏在化が生じ難く、かつ、ワックス成分のインク塗膜内部への沈み込みを抑制してインク塗膜表面にも残存させて摩擦軽減効果を発現できるので、高い画像堅牢性を発現することができると考えられる。
【0010】
<顔料>
顔料は、染料に比べて記録物の耐水性、耐候性の点で有利である。
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
顔料は、1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。
無機顔料の具体例としては、カーボンブラック、金属酸化物が挙げられる。特に黒色インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。白色インクにおいては酸化チタンが好ましい。
有機顔料の具体例としては、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料が挙げられる。
無彩色インクにおいては、ホワイト、ブラック、グレー等の無彩色顔料、有彩色インクにおいては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブルー、レッド、オレンジ、グリーン等の有彩色顔料をいずれも用いることができる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー、C.I.ピグメントレッド、C.I.ピグメントオレンジ、C.I.ピグメントバイオレット、C.I.ピグメントブルー、及びC.I.ピグメントグリーンからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。
体質顔料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルクが挙げられる。
(【0011】以降は省略されています)

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