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公開番号2024094998
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-10
出願番号2022211965
出願日2022-12-28
発明の名称インクジェット記録用処理液
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人大谷特許事務所
主分類B41M 5/00 20060101AFI20240703BHJP(印刷;線画機;タイプライター;スタンプ)
要約【課題】低浸透性の記録媒体を用いる際にドット拡張性とベタ画像均一性が共に優れる高画質の印刷物を得ることができ、高浸透性の記録媒体を用いる際に高い画像濃度を有する印刷物を得ることができる、インクジェット記録用処理液、インクジェット記録用インクセット、及びインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】[1]25℃で測定した表面張力が30mN/m以下かつ大気圧下での沸点が100~250℃である有機溶剤(A)と、2つの水酸基が互いに隣接していない炭素原子に結合している炭素数5~8のアルカンジオール(B)と、凝集剤(C)とを含有する、インクジェット記録用処理液、[2]前記[1]に記載のインクジェット記録用処理液と、着色材及び水を含有するインクとを含む、インクジェット記録用インクセット、[3]前記[1]に記載のインクジェット記録用処理液を用い、工程1及び工程2を含む、インクジェット記録方法である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
25℃で測定した表面張力が30mN/m以下かつ大気圧下での沸点が100℃以上250℃以下である有機溶剤(A)と、2つの水酸基が互いに隣接していない炭素原子に結合している炭素数5以上8以下のアルカンジオール(B)と、凝集剤(C)とを含有する、インクジェット記録用処理液。
続きを表示(約 700 文字)【請求項2】
凝集剤(C)が、金属塩、有機酸又はその塩、及びカチオン性樹脂からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載のインクジェット記録用処理液。
【請求項3】
アルカンジオール(B)が炭素数5以上8以下のα,ω-アルカンジオールである、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用処理液。
【請求項4】
インクジェット記録用処理液中の有機溶剤(A)の含有量のアルカンジオール(B)の含有量に対する質量比[有機溶剤(A)/アルカンジオール(B)]が0.01以上2.0以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用処理液。
【請求項5】
インクジェット記録用処理液中のアルカンジオール(B)の含有量の凝集剤(C)の含有量に対する質量比[アルカンジオール(B)/凝集剤(C)]が0.20以上7.5以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用処理液。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用処理液と、着色材及び水を含有するインクとを含む、インクジェット記録用インクセット。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用処理液を用い、下記の工程1及び工程2を含む、インクジェット記録方法。
工程1:前記処理液を記録媒体に付与し、表面処理記録媒体を得る工程
工程2:工程1で得られた表面処理記録媒体の処理面に、着色材及び水を含有するインクを用いてインクジェット記録方式により画像を形成する工程

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録用処理液、該処理液を含むインクジェット記録用インクセット、及び該処理液を用いるインクジェット記録方法に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式は、製版が不要であり、バリアブル(可変)印刷に対応しやすく、また、被印刷物に対して非接触という多くの利点があるため、オフィス用途、家庭用途等の広い分野で普及が進んでいる。近年では、印刷ボリュームが格段に大きい商業印刷用途、産業印刷用途への展開も試みられ、インクジェット記録方式は多様な材質の記録媒体への印刷が求められている。
このような要求に対して、記録媒体にインクを付着させる前に、色材、樹脂等のインク中に含まれる固体成分を意図的に凝集させる処理液を予め記録媒体に付与し、インク凝集層を記録媒体上に形成する方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、水吸収能力の低い、平滑な印刷用紙において、鮮明で印刷物に近い高品質な画像が得られるインクメディアセット等の提供を目的として、少なくとも着色剤、水分散性樹脂、及び水を含有するインクと、支持体と、該支持体上に少なくとも塗工層とを有する記録用メディアと、インクジェット記録時に記録用メディアの記録面に付与される前処理液と、を有するインクメディアセットが記載され、実施例では、特定の構造を有するカチオン性ポリマー及び水溶性溶媒を含有する前処理液が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2007-276387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、処理液を用いずにコート紙等の低浸透性の記録媒体にインクジェット記録方式により画像を形成する場合には、記録媒体上でドットが真円状に拡張せずにドットの形状に歪みが生じ、にじみやベタの埋まり不足が発生して印刷物の画像低下を引き起こし、ベタ画像均一性が十分でない傾向にある。一方、処理液を用いずに普通紙等の高浸透性の記録媒体にインクジェット記録方式により画像を形成する場合、インクが記録媒体内に浸透してしまうため、高い画像濃度を得ることが難しい傾向がある。
特許文献1の技術も、低浸透性の記録媒体に印刷する際に、ドット拡張性が十分ではなく、また、ベタ画像の均一性も不十分であり、更に高浸透性の記録媒体に印刷する際の画像濃度も高いものではなかった。
本発明は、低浸透性の記録媒体を用いる際にドット拡張性とベタ画像均一性が共に優れる高画質の印刷物を得ることができ、高浸透性の記録媒体を用いる際に高い画像濃度を有する印刷物を得ることができる、インクジェット記録用処理液、インクジェット記録用インクセット、及びインクジェット記録方法を提供すること課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、25℃で測定した表面張力30mN/m以下かつ大気圧下での沸点が100℃以上250℃以下である有機溶剤と、2つの水酸基が互いに隣接していない炭素原子に結合している炭素数5以上8以下のアルカンジオールと、凝集剤とを含有することにより、上記課題を解決し得ることを見出した。
本発明は、次の[1]~[3]を提供する。
[1] 25℃で測定した表面張力が30mN/m以下かつ大気圧下での沸点が100℃以上250℃以下である有機溶剤(A)と、2つの水酸基が互いに隣接していない炭素原子に結合している炭素数5以上8以下のアルカンジオール(B)と、凝集剤(C)とを含有する、インクジェット記録用処理液。
[2]前記[1]に記載のインクジェット記録用処理液と、着色材及び水を含有するインクとを含む、インクジェット記録用インクセット。
[3]前記[1]に記載のインクジェット記録用処理液を用い、下記の工程1及び工程2を含む、インクジェット記録方法。
工程1:前記処理液を記録媒体に付与し、表面処理記録媒体を得る工程
工程2:工程1で得られた表面処理記録媒体の処理面に、着色材及び水を含有するインクを用いてインクジェット記録方式により画像を形成する工程
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、低浸透性の記録媒体を用いる際にドット拡張性とベタ画像均一性が共に優れる高画質の印刷物を得ることができ、高浸透性の記録媒体を用いる際に高い画像濃度を有する印刷物を得ることができる、インクジェット記録用処理液、インクジェット記録用インクセット、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[インクジェット記録用処理液]
本発明のインクジェット記録用処理液(以下、「本発明の処理液」又は「処理液」ともいう)は、25℃で測定した表面張力が30mN/m以下かつ大気圧下での沸点が100℃以上250℃以下である有機溶剤(A)と、2つの水酸基が互いに隣接していない炭素原子に結合している炭素数5以上8以下のアルカンジオール(B)と、凝集剤(C)とを含有する。
なお、本発明において、記録媒体が低浸透性であるか高浸透性であるかは、記録媒体と純水との接触時間100m秒における該記録媒体の吸水量により判定される。該吸水量は、自動走査吸液計(例えば、熊谷理機工業(株)製「KM500win」)を用いて、23℃、相対湿度50%の条件下で、純水の接触時間100m秒における転移量として測定できる。
本発明において「低浸透性」とは、低浸透性及び非浸透性を含む概念であり、前記吸水量が0g/m
2
以上7g/m
2
以下であることを意味し、「高浸透性」とは、前記吸水量が7g/m
2
超であることを意味する。
【0009】
本発明によれば、低浸透性の記録媒体を用いる際にドット拡張性とベタ画像均一性が共に優れる高画質の印刷物を得ることができ、高浸透性の記録媒体を用いる際に高い画像濃度を有する印刷物を得ることができる。その理由は、必ずしも明確ではないが、以下のように考えられる。
本発明の処理液に含まれる有機溶剤(A)は、表面張力が30mN/m以下であるため、その高い界面活性効果により、該処理液を記録媒体に均一に濡れ広がらせる作用を有するため、記録媒体上で連続的で一様な処理液膜を形成し、凝集剤(C)の析出物が記録媒体上に微小かつ均等に配置された状態となると考えられる。そして、本発明の処理液に含まれるアルカンジオール(B)は、炭素数が5以上8以下であり、かつ、2つの水酸基が互いに隣接していない炭素原子に結合しているため、水酸基の配向の自由度が高く、本発明の処理液で処理された低浸透性の記録媒体にインクジェット記録用インクが着弾した時に該水酸基がインクとの強い親和性を発揮してインクのドットを拡張させて、ベタ部でもムラのない画像を形成することができ、ドット拡張性とベタ画像均一性が共に優れる高画質の印刷物を得ることができると考えられる。
また、本発明の処理液を記録媒体に付与した後において、凝集剤(C)の析出物が記録媒体上に微小かつ均等に配置されることにより、インク中に含まれる水系媒体が記録媒体に供給された際に凝集剤(C)の再溶解が急速に起こり、記録媒体に付着したインクを速やかに増粘させると考えられ、インクが高浸透性の記録媒体の内奥部に浸透することによる画像濃度の低下を抑制することができ、高い画像濃度を有する印刷物を得ることができると考えられる。
さらに、有機溶剤(A)は沸点が100℃以上250℃以下であるため、インクジェット記録用インクで印刷するまでに揮発して記録媒体上に残留しないため、記録媒体上に存在するアルカンジオール(B)のドット拡張効果と凝集剤(C)による増粘効果とを阻害せず、その効果を最大限発揮させることができると考えられる。
【0010】
<有機溶剤(A)>
本発明の処理液は、25℃で測定した表面張力が30mN/m以下かつ大気圧下での沸点が100℃以上250℃以下である有機溶剤(A)(以下、「有機溶剤(A)」ともいう)を含有する。有機溶剤(A)は、後述するアルカンジオール(B)以外の、25℃で測定した表面張力が30mN/m以下かつ大気圧下での沸点が100℃以上250℃以下である有機溶剤である。
有機溶剤(A)は、25℃で測定した表面張力が30mN/m以下であるため、記録媒体上で連続的で一様な処理液膜を形成し、凝集剤(C)の析出物を記録媒体上に微小かつ均等に配置させることができ、さらに、大気圧下での沸点が100℃以上250℃以下であるため、インクジェット記録用インクで印刷するまでに揮発して記録媒体上に残留しないため、記録媒体上に存在するアルカンジオール(B)のドット拡張効果と凝集剤(C)による増粘効果とを最大限発揮させることができると考えられる。
有機溶剤(A)は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(【0011】以降は省略されています)

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