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公開番号2024085011
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-26
出願番号2022199298
出願日2022-12-14
発明の名称トナーの製造方法
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人大谷特許事務所
主分類G03G 9/087 20060101AFI20240619BHJP(写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ)
要約【課題】ベタ追従性及び耐ホットオフセット性に優れる、トナーの製造方法に関する。
【解決手段】水系媒体中で、非晶性複合樹脂(CH)を含む粒子と着色剤粒子とを、多価金属塩の存在下で凝集及び融着させてトナー粒子を形成する、トナーの製造方法であって、前記非晶性複合樹脂(CH)が、ポリエステルセグメント(CH-1)、及び、スチレン系化合物を含むモノマー成分の付加重合体であるビニル系樹脂セグメント(CH-2)を含有し、前記ポリエステルセグメント(CH-1)と前記ビニル系樹脂セグメント(CH-2)が高分子反応により複合化されたものであり、前記ビニル系樹脂セグメント(CH-2)を構成するビニル系樹脂の酸価が40mgKOH/g以上であり、前記非晶性複合樹脂(CH)の水酸基価が20mgKOH/g以下である、トナーの製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
水系媒体中で、非晶性複合樹脂(CH)を含む粒子と着色剤粒子とを、多価金属塩の存在下で凝集及び融着させてトナー粒子を形成する、トナーの製造方法であって、
前記非晶性複合樹脂(CH)が、ポリエステルセグメント(CH-1)、及び、スチレン系化合物を含むモノマー成分の付加重合体であるビニル系樹脂セグメント(CH-2)を含有し、前記ポリエステルセグメント(CH-1)と前記ビニル系樹脂セグメント(CH-2)が高分子反応により複合化されたものであり、
前記ビニル系樹脂セグメント(CH-2)を構成するビニル系樹脂の酸価が40mgKOH/g以上であり、
前記非晶性複合樹脂(CH)の水酸基価が20mgKOH/g以下である、
トナーの製造方法。
続きを表示(約 490 文字)【請求項2】
前記ポリエステルセグメント(CH-1)において、アルコール成分中の脂肪酸ジオールの含有量が、90モル%以上である、請求項1に記載のトナーの製造方法。
【請求項3】
前記ポリエステルセグメント(CH-1)において、カルボン酸成分が、ロジンを含む、請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
【請求項4】
前記ビニル系樹脂セグメント(CH-2)において、前記スチレン系化合物が、スチレン及びα-メチルスチレンを含む、請求項1~3のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【請求項5】
前記ビニル系樹脂セグメント(CH-2)において、前記モノマー成分が、カルボキシ基を有するビニルモノマーを含む、請求項1~4のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【請求項6】
前記トナー粒子が、コアシェル構造を有する、請求項1~5のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【請求項7】
前記トナー粒子において、前記非晶性複合樹脂(CH)が、コアシェル構造のシェルを形成する、請求項6に記載のトナーの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーの製造方法に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
近年、電子写真の分野においては、電子写真システムの発展に伴い、高画質化及び高速化印刷に対応した静電荷像現像用トナーの開発が要求されている。
【0003】
特許文献1には、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、及び帯電安定性に優れるトナー用結着樹脂及び静電荷像現像用トナーを得ることを目的として、スチレンアクリル系樹脂ユニットと、ポリエステル系樹脂ユニットとが、共有結合を介して結合された複合樹脂を含有するトナー用結着樹脂であって、前記スチレンアクリル系樹脂ユニットを構成するスチレンアクリル系樹脂(A)の酸価が40mgKOH/g以上であるトナー用結着樹脂、及び該トナー用結着樹脂を含有する静電荷像現像用トナーが開示されている。
また、特許文献2には、耐加水分解性、低温定着性、耐ホットオフセット性、保存性及び耐久性に優れる電子写真用トナーを得ることを目的として、結着樹脂を含む原料を水系媒体中で粒子化する工程を含む方法により得られる電子写真用トナーであって、前記結着樹脂が、縮重合系樹脂とスチレン系樹脂とを含む複合樹脂を含有してなり、前記縮重合系樹脂が、水酸基が結合した第二級炭素原子を2つ以上有する脂肪族多価アルコール(アルコールA)を含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られる樹脂である、電子写真用トナーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2021-107920号公報
特開2010-107675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トナー性能の向上のため、ポリエステルセグメントと、スチレン系化合物及びカルボキシ基を有するビニルモノマーの付加重合体であるビニル系樹脂セグメントの複合樹脂を使用して、乳化凝集法により凝集及び融着させてトナーを製造することが行われているが、ベタ追従性や耐ホットオフセット性が、未だ不十分であった。
本発明は、ベタ追従性及び耐ホットオフセット性に優れる、トナーの製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、特定の構造を有し、特定の水酸基価を有する非晶性複合樹脂を乳化し、該非晶性複合樹脂を含む粒子と着色剤粒子とを多価金属塩の存在下で凝集させてトナー粒子を形成することにより、上記の課題を解決し得ることを見出した。
本発明は、以下の〔1〕に関する。
〔1〕水系媒体中で、非晶性複合樹脂(CH)を含む粒子と着色剤粒子とを、多価金属塩の存在下で凝集及び融着させてトナー粒子を形成する、トナーの製造方法であって、前記非晶性複合樹脂(CH)が、ポリエステルセグメント(CH-1)、及び、スチレン系化合物を含むモノマー成分の付加重合体であるビニル系樹脂セグメント(CH-2)を含有し、前記ポリエステルセグメント(CH-1)と前記ビニル系樹脂セグメント(CH-2)が高分子反応により複合化されたものであり、前記ビニル系樹脂セグメント(CH-2)を構成するビニル系樹脂の酸価が40mgKOH/g以上であり、前記非晶性複合樹脂(CH)の水酸基価が20mgKOH/g以下である、トナーの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ベタ追従性及び耐ホットオフセット性に優れる、トナーの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[トナーの製造方法]
本発明のトナーの製造方法は、水系媒体中で、非晶性複合樹脂(CH)を含む粒子と着色剤粒子とを、多価金属塩の存在下で凝集及び融着させてトナー粒子を形成する、トナーの製造方法であって、前記非晶性複合樹脂(CH)が、ポリエステルセグメント(CH-1)、及び、スチレン系化合物を含むモノマー成分の付加重合体であるビニル系樹脂セグメント(CH-2)を含有し、前記ポリエステルセグメント(CH-1)と前記ビニル系樹脂セグメント(CH-2)が高分子反応により複合化されたものであり、前記ビニル系樹脂セグメント(CH-2)を構成するビニル系樹脂の酸価が40mgKOH/g以上であり、前記非晶性複合樹脂(CH)の水酸基価が20mgKOH/g以下である。
本発明によれば、ベタ追従性及び耐ホットオフセット性に優れる、トナーを得ることができる。
【0009】
本発明の効果が得られる理由は定かではないが、次のように考えられる。
従来、ポリエステルセグメントと、スチレン系化合物を含むモノマー成分の付加重合体であるビニル系樹脂セグメントとの複合樹脂を使用して、乳化凝集法により凝集及び融着させてトナー粒子を得るトナーの製造が行われているが、この時、凝集剤として多価金属塩を用いると、ベタ追従性が不足する傾向があった。これは、トナー製造時に凝集させる複合樹脂粒子や着色剤粒子等の各成分粒子の分散安定性が一様でなく、特に複合樹脂粒子の分散安定性が低くなりやすいところ、多価金属塩を用いることにより、凝集速度が増し、各成分粒子の凝集のしやすさのばらつきが大きくなるため、得られるトナー粒子の円形度が低くなり、その結果、トナーの流動性が低くなることに起因すると考えられた。
また、従来の複合樹脂の製造方法では、ポリエステルの重縮合時に系内で同時にスチレン系化合物を含むモノマー成分の付加重合を行う。そのため、スチレン系化合物を含むモノマー成分の付加重合を十分に制御できず、ビニル系樹脂セグメントの構造内において酸基が不均一に存在をしている状態となりやすい。また、生成するポリエステルセグメント内においても、酸基を有さない(つまり、両末端が水酸基を有する)低分子量成分が存在しやすくなる。
一方、本発明のトナーの製造方法では、非晶性複合樹脂(CH)を製造する際に、スチレン系化合物を含むモノマー成分の付加重合体であるビニル系樹脂セグメント(CH-2)を、ポリエステルセグメント(CH-1)の重縮合とは別に重合して形成し、別々に形成したポリエステルセグメント(CH-1)とビニル系樹脂セグメント(CH-2)を高分子反応で結合させることで、非晶性複合樹脂を製造する。これにより、ビニル系樹脂セグメント(CH-2)の構造内において、酸基が均一に存在している状態にすることができる。更に、均一に存在する酸基がポリエステルセグメント(CH-1)に存在する、酸基を有さない低分子量成分と効率的に反応するためその存在比率を下げることができ、得られる非晶性複合樹脂が低水酸基価となるとともに、非晶性複合樹脂粒子の分散液を安定化させることができる。この結果、トナー製造時、凝集剤として多価金属塩を用いても、トナー粒子の凝集を制御でき、トナー粒子の円形度を向上させることができるため、トナーの流動性を向上でき、ベタ追従性が向上すると考えられる。
また、ビニル系樹脂セグメント(CH-2)の構造内に均一に存在する酸基が、多価金属塩と疑似的な架橋構造を作り、トナー粒子の高温時における弾性が向上する。このため、本発明で得られるトナーは、耐ホットオフセット性が向上すると考えられる。
【0010】
本明細書における各種用語の定義等を以下に示す。
明細書中、ポリエステル系樹脂のカルボン酸成分として記載するカルボン酸には、そのカルボン酸のみならず、反応中に分解してカルボン酸を生成する無水物、及び各カルボン酸のアルキルエステル(アルキル基の炭素数1以上3以下)も含まれる。
炭化水素基に関して、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」を括弧とする記載は、これらの接頭辞が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの接頭辞が存在しない場合には、ノルマルを示す。
「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種を意味する。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートから選ばれる少なくとも1種を意味する。
樹脂が結晶性であるか非晶性であるかについては、結晶性指数により判定される。結晶性指数は、後述する実施例に記載の測定方法における、吸熱の最大ピーク温度に対する樹脂の軟化点の比(軟化点(℃)/吸熱の最大ピーク温度(℃))で定義される。結晶性樹脂とは、結晶性指数が0.6以上1.4以下のものである。非晶性樹脂とは、吸熱ピークが観測されないか、観測される場合は、結晶性指数が0.6未満又は1.4超のものである。結晶性指数は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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