発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は経口組成物に関する。本発明はまた、ミクログリア細胞活性化抑制用組成物、網膜保護及び/又は認知機能向上用組成物に関する。 続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】 【0002】 近年、ミクログリア細胞の活性化が神経炎症を引き起こし、神経変性の機序に基づく各種の障害に影響していることが報告されている。活性化したミクログリア細胞には、2種のサブポピュレーションが知られている(非特許文献1)。そのうち、M1ミクログリア細胞は、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β、CSF1、CSF2、CXCL10、CCL2等)等を産生し、神経障害性の機能を有する。一方、M2ミクログリア細胞は、抗炎症性サイトカイン(IL-4、IL-10、TGF-β等)を産生し、神経保護性の機能を有する。 【0003】 アルツハイマー病を含む中枢神経系の炎症を伴う障害には、ミクログリア細胞によるIL-1βの産生が重要な要素であると認識されている(非特許文献2)。アルツハイマー病のモデルマウスでは、IL-1βの上昇が起こる結果、神経炎症を起こしてアルツハイマー病を増悪させることが知られている。 【0004】 また、ミクログリア細胞は、脳・脊髄などの中枢神経系だけでなく、後眼部においても、各種の異常状態に影響を与えている。例えば、緑内障、加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症などの主要な網膜変性疾患では、ミクログリア媒介性の神経炎症が重要な要因となっていることが知られている(非特許文献3)。上述のように、ミクログリア細胞は、M2ミクログリア細胞にシフトすることにより、神経保護作用も有しているため、ミクログリア細胞を完全に阻害することは恒常性の観点から適切ではなく、炎症性サイトカイン等を産生するように活性化されたM1ミクログリア細胞をターゲットとして、適切に抑制することが望ましい。 【0005】 ミクログリア細胞の作用本体は、サイトカインやケモカインである可能性が報告されており、これらの炎症性サイトカイン産生の制御が、ミクログリア細胞が関与する疾患の新たな治療標的となり得る(非特許文献4)。 【先行技術文献】 【非特許文献】 【0006】 Sudhakar R et al. Targeting Microglial Activation States as a Therapeutic Avenue in Parkinson’s Disease. Frontiers in Aging Neuroscience. 2017, Vol. 9, Article 176, p.1-18. Solomon S Shaftel et al. The role of interleukin-1 in neuroinflammation and Alzheimer disease: an evolving perspective. Journal of Neuroinflammation. 2008, Vol. 5:7, p.1-12. Maria H. Madeira et al. Contribution of Microglia-Mediated Neuroinflammation to Retinal Degenerative Diseases. Mediators of Inflammation. Volume 2015, Article ID 673090, p.1-15. 最上 由香里、佐藤 薫.ミクログリアの中枢神経系発達調節機能とその創薬・治療への応用可能性.日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.).2017,Vol.150, p.268-274. 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 ミクログリア細胞の活性化を効果的に抑制することができれば、脳・脊髄などの中枢神経系や、後眼部における異常状態のリスク低減、予防、治療等の効果が期待されるため、多種の医薬品開発が継続されている。 【0008】 しかしながら、ミクログリア細胞の活性化は継続的に抑制されることが必要なため、医薬品成分だけでは十分ではなく、安全性が高く、医薬品の領域だけでなく、機能性食品やサプリメントの領域でも適用可能な成分を用いた新規のミクログリア細胞活性化抑制組成物が求められている。 【0009】 そこで、本発明は、ミクログリア細胞の活性化を効果的に抑制し、それにより、関連する疾患や異常を効果的に改善する組成物を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0010】 上記課題を解決するために、本発明者等が鋭意検討した結果、食品分野や医薬品分野において、安全に使用されている成分において、ミクログリア細胞の活性化を抑制することを見出し、本発明を完成するに至った。 (【0011】以降は省略されています)
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