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公開番号2024088231
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-02
出願番号2022203302
出願日2022-12-20
発明の名称酸素欠損型ペロブスカイト金属酸化物、酸素吸脱着装置、酸素吸脱着方法、酸素濃縮装置、及び酸素濃縮方法
出願人三菱ケミカル株式会社,学校法人神奈川大学
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類C01G 49/00 20060101AFI20240625BHJP(無機化学)
要約【課題】高価な金属元素を含有せずとも、比較的低温領域で酸素の吸脱着が可能であり、かつ、酸素吸脱着速度及び最大酸素吸着量に優れた金属酸化物を提供すること。
【解決手段】下記式(I)で表される、酸素欠損型ペロブスカイト型金属酸化物。
(Ba8-x-yCaxFey)(8-z)/8MzO9.5+δ(I)
(上記式(I)において、Mは、アルカリ金属、Ba及びCa以外のアルカリ土類金属、希土類金属、並びにFe以外の遷移金属からなる群より選択される1種以上の元素を表し;x、y、z、及びδはそれぞれ下記式を満たす値である。1<x≦2.751.25≦y<30≦z≦1.5―1.3≦δ≦3.5)
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
下記式(I)で表される、酸素欠損型ペロブスカイト型金属酸化物。
(Ba
8-x-y
Ca
x
Fe


(8-z)/8



9.5+δ
(I)
(上記式(I)において、Mは、アルカリ金属、Ba及びCa以外のアルカリ土類金属、希土類金属、並びにFe以外の遷移金属からなる群より選択される1種以上の元素を表し;
x、y、z、及びδはそれぞれ下記式を満たす値である。
1<x≦2.75
1.25≦y<3
0≦z≦1.5
―1.3≦δ≦3.5)
続きを表示(約 880 文字)【請求項2】
酸素濃度21%雰囲気下での温度スイング吸脱着(TSA)測定から求められる相転移温度が500℃以下である、
請求項1に記載の、酸素欠損型ペロブスカイト型金属酸化物。
【請求項3】
Mが、Na、K、Sr、Ti、Mn、Co、Ni、Nb、Ta、及びLaからなる群より選択される1種以上の元素である、
請求項1に記載の、酸素欠損型ペロブスカイト型金属酸化物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の金属酸化物を含む、酸素吸蔵材。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の金属酸化物を備える、酸素吸脱着装置。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1項に記載の金属酸化物を備える、酸素濃縮装置。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか1項に記載の金属酸化物と酸素含有ガスとを酸素吸着が生じる温度以下で接触させることにより、前記金属酸化物に酸素を吸着させる酸素吸着工程、及び前記酸素吸着工程において酸素を吸着させた前記金属酸化物を酸素脱着が生じる温度以上700℃以下の温度で加熱することにより、前記金属酸化物から酸素を脱着させる酸素脱着工程を含む、酸素吸脱着方法。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか1項に記載の金属酸化物と酸素分圧が0kPa超100kPa以下である酸素含有ガスとを接触させることにより、前記金属酸化物に酸素を吸着させる酸素吸着工程、及び前記酸素吸着工程において酸素を吸着させた前記金属酸化物を前記酸素含有ガスより酸素分圧が低い雰囲気下に置くことで前記金属酸化物から酸素を脱着させる酸素脱着工程を含む、酸素吸脱着方法。
【請求項9】
請求項7に記載の酸素吸脱着方法により前記金属酸化物から脱着した酸素を回収する酸素回収工程を含む、酸素濃縮方法。
【請求項10】
請求項8に記載の酸素吸脱着方法により前記金属酸化物から脱着した酸素を回収する酸素回収工程を含む、酸素濃縮方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化物、酸素吸脱着装置、酸素吸脱着方法、酸素濃縮装置、及び酸素濃縮方法に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
近年、温暖化対策、カーボンニュートラルな産業構造ヘの転換などの観点から、従来法よりも省エネルギーな新規酸素ガス製造法が注目を集めている。その中でも、温度変化や環境中の酸素濃度に応じ、酸素を可逆的に吸収及び放出する酸素吸蔵材が応用上の注目を集め、特にこの酸素吸脱着能を利用した酸素ガス濃縮器、酸素ガス製造システムへ等への応用が期待されている。このような酸素吸蔵材としては、例えばYBaCo


7+δ
(特許文献1~4)、Ca

AlMnO
5+β
(特許文献5、6)等の種々の金属酸化物が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2014-012619号公報
特開2016-193815号公報
特開2018-008871号公報
特開2019-043833号公報
特開2013-255911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
酸素吸蔵材を用いた酸素ガス製造プロセスにおいて、プロセスの実用化のためには、低コストな組成の材料、工場排熱量と装置耐熱の観点から450℃以下の作動温度を有すること、素早い酸素の吸放出が可能なこと、これらをすべて充足する材料が必要となる。従来の報告ではペロブスカイト系の物質でも最適動作温度が600℃付近と高温であること、低温作動型の物質は高価な元素を必要とすること、あるいは吸放出速度が遅いことなどの課題があり、プロセスの実用化には至っていない。
例えば、特許文献1~4に記載の金属酸化物は、構成元素に高価な金属元素であるYやCoを多量に含有するため、原料コストが実用化の障壁となる。一方で、特許文献5に記載の金属酸化物においては、金属元素として比較的安価な金属元素のみを使用できるが、酸素吸放出特性がもっとも高活性となる活性温度が高温となる傾向にあるため、酸素ガス濃縮器等の装置の耐熱性を考慮すると、実用化上問題があった。また、装置の耐熱性の問題を解決できたとしても、排熱を利用して材を活性温度に加熱する場合は、排熱量の確保などの観点から、適用できるプロセスが限られる。
【0005】
本発明の課題は、高価な金属元素を含有せずとも、比較的低温領域で酸素の吸脱着が可能であり、かつ、酸素吸脱着速度及び最大酸素吸着量に優れた金属酸化物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、高価な金属元素を含有せずとも、Ba、Ca、及びFeを主元素とする特定組成域の酸素欠損型ペロブスカイト金属酸化物では、Feの3価、4価遷移を伴う相変化を利用することで、450℃以下での素早い酸素の吸放出が可能であり、上記課題を解決できることを見出した。ここで、特に構成元素のCaおよびFeの存在比率に応じ
て新規の結晶相が生成し、特性を制御可能であり、同組成域の物質が低温作動化、酸素生成能に優位であることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
【0007】
[1]
下記式(I)で表される、酸素欠損型ペロブスカイト型金属酸化物。
(Ba
8-x-y
Ca
x
Fe


(8-z)/8



9.5+δ
(I)
(上記式(I)において、Mは、アルカリ金属、Ba及びCa以外のアルカリ土類金属、希土類金属、並びにFe以外の遷移金属からなる群より選択される1種以上の元素を表し;
x、y、z、及びδはそれぞれ下記式を満たす値である。
1<x≦2.75
1.25≦y<3
0≦z≦1.5
―1.3≦δ≦3.5)
[2]
酸素濃度21%雰囲気下での温度スイング吸脱着(TSA)測定から求められる相転移温度が500℃以下である、
[1]に記載の、酸素欠損型ペロブスカイト型金属酸化物。
[3]
Mが、Na、K、Sr、Ti、Mn、Co、Ni、Nb、Ta、及びLaからなる群より選択される1種以上の元素である、
[1]または[2]に記載の、酸素欠損型ペロブスカイト型金属酸化物。
[4]
[1]~[3]のいずれかに記載の金属酸化物を含む、酸素吸蔵材。
[5]
[1]~[3]のいずれかに記載の金属酸化物を備える、酸素吸脱着装置。
[6]
[1]~[3]のいずれかに記載の金属酸化物を備える、酸素濃縮装置。
[7]
[1]~[3]のいずれかに記載の金属酸化物と酸素含有ガスとを酸素吸着が生じる温度以下で接触させることにより、前記金属酸化物に酸素を吸着させる酸素吸着工程、及び前記酸素吸着工程において酸素を吸着させた前記金属酸化物を酸素脱着が生じる温度以上700℃以下の温度で加熱することにより、前記金属酸化物から酸素を脱着させる酸素脱着工程を含む、酸素吸脱着方法。
[8]
[1]~[3]のいずれかに記載の金属酸化物と酸素分圧が0kPa超100kPa以下である酸素含有ガスとを接触させることにより、前記金属酸化物に酸素を吸着させる酸素吸着工程、及び前記酸素吸着工程において酸素を吸着させた前記金属酸化物を前記酸素含有ガスより酸素分圧が低い雰囲気下に置くことで前記金属酸化物から酸素を脱着させる酸素脱着工程を含む、酸素吸脱着方法。
[9]
[7]または[8]に記載の酸素吸脱着方法により前記金属酸化物から脱着した酸素を回収する酸素回収工程を含む、酸素濃縮方法。
【発明の効果】
【0008】
以上より、本発明によれば、高価な金属元素を含有せずとも比較的低温領域で酸素の吸脱着が可能であり、かつ、酸素吸脱着速度及び最大酸素吸着量に優れた金属酸化物を提供することができる。
この金属酸化物は、酸素吸蔵材として用いることができ、実用的な運転条件で酸素吸脱
着装置や酸素濃縮装置に用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
実施例1で得た金属酸化物の空気気流下での雰囲気温度スイングによる酸素吸脱着挙動を示す図である。
比較例1で得た金属酸化物の空気気流下での雰囲気温度スイングによる酸素吸脱着挙動を示す図である。
比較例2で得た金属酸化物の空気気流下での雰囲気温度スイングによる酸素吸脱着挙動を示す図である。
実施例1、比較例1、および比較例2の製造直後の酸素放出相の状態にある金属酸化物の粉末XRD測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらの内容に特定されるものではない。
なお本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載された数値を下限値および上限値として含む範囲を意味し、「A~B」は、A以上B以下であることを意味する。
(【0011】以降は省略されています)

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