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公開番号2024084031
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-24
出願番号2022198190
出願日2022-12-12
発明の名称電波吸収シート
出願人株式会社リケン
代理人個人,個人,個人,個人
主分類H05K 9/00 20060101AFI20240617BHJP(他に分類されない電気技術)
要約【課題】軽量性および高絶縁性をもたらす炭化ケイ素粉末を使用した電波吸収シートにおいて、準ミリ波からミリ波の帯域において優れたノイズ減衰効果を得ることができる電波吸収シートを提供すること。
【解決手段】本発明の電波吸収シートは、有機物からなる基材と、前記基材中に担持された炭化ケイ素(SiC)を主体とした粉末とを含み、電波吸収シート表面におけるCu-Kαを線源としたX線回折において、2θ=34.4~35°に現れる4H-SiCに由来するピーク強度I4Hを、2θ=35~36°に現れる6H-SiCに由来するピーク強度I6Hで除した値I4H/I6Hが所定値以上であることを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
有機物からなる基材と、前記基材中に担持された炭化ケイ素(SiC)を主体とした粉末とを含む電波吸収シートであって、該電波吸収シート表面におけるCu-Kαを線源としたX線回折において、2θ=34.4~35°に現れる4H-SiCに由来するピーク強度I
4H
を、2θ=35~36°に現れる6H-SiCに由来するピーク強度I
6H
で除した値I
4H
/I
6H
が0.1以上であることを特徴とする、電波吸収シート。
続きを表示(約 380 文字)【請求項2】
前記電波吸収シートの表面抵抗が10
10
Ω/□以上であることを特徴とする、請求項1記載の電波吸収シート。
【請求項3】
前記炭化ケイ素(SiC)を主体とした粉末の平均粒径が2μm以上40μm以下であることを特徴とする、請求項1又は2記載の電波吸収シート。
【請求項4】
前記炭化ケイ素(SiC)を主体とした粉末の、前記電波吸収シートに対する体積比が、20%以上50%以下であることを特徴とする、請求項1又は2記載の電波吸収シート。
【請求項5】
前記炭化ケイ素(SiC)を主体とした粉末におけるAlの含有量が、0.1mass%以上0.2mass%以下であり、かつFeの含有量が、0.1mass%以上0.3mass%以下であることを特徴とする、請求項1又は2記載の電波吸収シート。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電波吸収シートに関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
通信の高度化に伴い3~80GHzの電波を活用した機器の普及が広がっている。例えば、2020年から国内で商用サービスとして活用され始めた第五世代通信システム(5G)では、sub6である3~5GHzやミリ波帯の28~40GHz付近の周波数帯の活用が進んでいる。また、自動車においては、自動運転システムの高度化に伴い、24GHz付近の周波数を活用した準ミリ波レーダー、76~79GHz付近の周波数を活用したミリ波レーダーの普及が広がっている。一方で、このような機器の内外部においての電磁波干渉問題も顕在化している。そのため、電波干渉が問題となる周波数で機能する電波吸収シートが活用されている。
【0003】
電波吸収シートは、金属などの導電性を有する基材の上に取り付けるか、あるいは電波吸収シートの裏面に金属などの導電性を有する層を設けることで機能し、電波吸収シート表面で反射する表面反射波に対して、電波吸収シート内部を通過し裏面側の導電物で全反射され、電波吸収シート表面から放射される二次反射波の位相が半波長ずれ、表面反射波と二次反射波が打ち消し合うことで電波吸収性を示すものである。電波吸収シートは、軟質樹脂を基材として、そこに電波吸収効果を発生させるためのフィラーが担持されている構造を持ち、構成する基材の材料定数(誘電率、透磁率)と基材の厚みを制御することで、特定の周波数で電波吸収の共振ピークを狙うものである。基材の材料定数は、構成する基材材質やフィラー添加量などによって調整するため、フィラーの添加量は必要範囲内に制御する。代表的な実例としては、ゴムやエラストマーなどの可撓性のある樹脂を基材とし、フィラーとしてカルボニル鉄粉やスピネルフェライト粉を添加したものがある。
【0004】
近年、電子機器の小型化が進んでいる。そのため、電波吸収シートは狭いスペースに設置されることになり、電波吸収シートの厚みを1mm以下にすることが求められている。加えて、近年では電子機器の軽量化が求められており、電波吸収シートもより軽量なものが好ましい。樹脂基材の比重は材料の種類によって大きくは変わらないが、損失材の比重は材料によって大きく異なる。そのため、フィラーの添加量にも依るが、軽量化という観点では損失材には、カルボニル鉄やソフトフェライトよりも比重の軽い炭素系材料もしくは炭化ケイ素を選択することが好ましい。また、3~80GHzの電波を活用した機器に対応する電波吸収シートを考えた場合、マイクロ波~ミリ波帯域で大きな透磁率が望みにくい磁性フィラーを損失材として使用するよりも、非磁性の導電物を樹脂基材中に担持させて電気的な損失を与えた方が、電波吸収シートの設計自由度としても高くなる。コスト面含めた実用的な非磁性の導電フィラーという点から考えても、炭素系材料もしくは炭化ケイ素を損失材として選択することが好ましい。
【0005】
また、電波吸収シートは、電子回路周辺に配置されるため、電波吸収シートが取り付け部から脱落した場合、電波吸収シートの表面抵抗が10
10
Ω/□を下回るものであると、電波吸収シートが回路と接触して回路のショートを起こす危険性がある。しかしながら、炭素系材料の損失材を使用した場合、優れた電波吸収量を発現させるに必要な量を添加した電波吸収シートは、表面抵抗が10
10
Ω/□を下回る。これを解決するため、シート表面にPETフィルムなどの絶縁層を取り付けることが考えられるが、絶縁層の材質によっては耐熱性や難燃性の低下をもたらすだけでなく、製造コストUPにも繋がる。また、炭素系材料は粉末の凝集力が高いため、一般的には基材樹脂へ均質に分散させることが難しく、製造ばらつきが大きくなる。炭素系材料の損失材を使用した電波吸収シートにおいて、損失材の分散バラつきが小さくなるようにするためには特殊な装置や工程を必要とすることが多く、製造コストの観点からも好ましくない。
【0006】
一方、炭化ケイ素を損失材とした場合、優れる電波吸収量を発現させるに必要な量を添加した電波吸収シートは、表面抵抗が10
10
Ω/□を上回る。また、高価な炭化ケイ素繊維を使用する場合を例外とすると、工業的に使用するものは粒子状の安価な炭化ケイ素であり、樹脂基材への分散も容易である。そのため、軽量かつ絶縁性の高い電波吸収シートを作製するには、損失材に炭化ケイ素粉末を使用することが好ましい。損失材に炭化ケイ素粉末を使用した電波吸収シートとしては、特許文献1に記載のものがある。
【0007】
しかしながら、損失材に炭化ケイ素粉末を使用した電波吸収シートにおいて、炭化ケイ素粉末の結晶構造および不純物含有量によって、得られる電波吸収シートの電波吸収性が大きく左右されることは知られていなかった。炭化ケイ素粉末の導電性が電波吸収シートの誘電率に影響を与え、その誘電率を制御する、つまり、炭化ケイ素粉末の結晶構造、不純物含有量、粒径および添加量を制御することによって所望の電波吸収シートが得られると考えられる。特許文献1では、炭化ケイ素の粒径と添加量のみを規定しているのみであり、結晶構造と不純物含有量については触れていない。また特許文献1では、純度の高い緑色の炭化ケイ素粉末(具体例として、昭和電工製:グリーンデンシック)を使用した実施例を開示している。炭化ケイ素の主な結晶構造は正四面体を最小構造としたものであり、その正四面体の積層構造によって4H型と6H型の結晶構造が主として存在する。この結晶構造の違いによって、半導体の特性であるキャリア移動度には差異がある。6H型と比較すると4H型はキャリア移動度が高く、電波吸収シートの誘電率実部ε’と誘電率虚部ε”を用いて表す、電波吸収性能に関連する誘電正接tanδ(=ε”/ε’)が高くなる。しかし、グリーンデンシックの結晶構造は6H型が主であるため、誘電正接tanδが低く、電波吸収シートの性能が低いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特許第4113812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、上記課題に鑑み、軽量性および高絶縁性をもたらす炭化ケイ素粉末を使用した電波吸収シートにおいて、準ミリ波からミリ波の帯域において優れたノイズ減衰効果を得ることができる電波吸収シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく本発明者は鋭意研究を行い、以下の知見を得た。すなわち、基材に担持させる誘電損失材として、軽量性および高絶縁性をもたらす炭化ケイ素(SiC)を主体とした粉末を採用し、かつ、炭化ケイ素(SiC)として、X線回折データが所定の条件内であるものを採用することによって、カルボニル鉄やソフトフェライトを損失フィラーとした電波吸収シートよりも軽量化でき、また、炭素系材料を損失フィラーとした電波吸収シートに比べ、シート表面にPETフィルムなどの絶縁層を取り付けなくても電波吸収シートの表面抵抗が10
10
Ω/□を上回り、基材中への炭化ケイ素粉末の樹脂基材中への均質分散も容易となるため、製造バラツキの抑制による電波吸収性の安定化が図れる。また、従来知られていた炭化ケイ素を損失フィラーとした電波吸収シートに比べて、薄型化が可能となり、電波吸収性を向上させることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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