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公開番号2024080835
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-17
出願番号2022194113
出願日2022-12-05
発明の名称電波吸収体
出願人日本特殊陶業株式会社
代理人個人,個人
主分類H05K 9/00 20060101AFI20240610BHJP(他に分類されない電気技術)
要約【課題】製造工程の煩雑化を抑えて、より簡便に絶縁性を高める電波吸収体を提供する。
【解決手段】MHz帯の電磁波を吸収する電波吸収体10は、軟磁性フェライト粒子12と、シリコーン樹脂16と、を備え、電波吸収体の断面を観察したときに、軟磁性フェライト粒子の粒子間の距離の平均が0.5μm以上である。また、前記軟磁性フェライト粒子は、Ni-Zn系フェライト粒子であり、前記電波吸収体の表面において、前記軟磁性フェライト粒子の粒子が露出していない。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
MHz帯の電磁波を吸収する電波吸収体であって、
軟磁性フェライト粒子と、シリコーン樹脂と、を備え、
前記電波吸収体の断面を観察したときに、前記軟磁性フェライト粒子の粒子間の距離の平均が0.5μm以上であることを特徴とする
電波吸収体。
続きを表示(約 450 文字)【請求項2】
請求項1に記載の電波吸収体であって、
前記軟磁性フェライト粒子は、Ni-Zn系フェライト粒子であることを特徴とする
電波吸収体。
【請求項3】
請求項1に記載の電波吸収体であって、
前記電波吸収体の表面において、前記軟磁性フェライト粒子の粒子が露出していないことを特徴とする
電波吸収体。
【請求項4】
請求項1に記載の電波吸収体であって、
前記軟磁性フェライト粒子の体積比率が20~60%であることを特徴とする
電波吸収体。
【請求項5】
請求項1に記載の電波吸収体であって、
前記シリコーン樹脂の体積比率が40%以上であることを特徴とする
電波吸収体。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の電波吸収体であって、
ヤング率が20MPa以下であり、かつ、室温での伸び率が20%以上であることを特徴とする
電波吸収体。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、電波吸収体に関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
従来、種々の電気回路や電子機器等から放出される電磁波の影響を抑えるために、電磁波を吸収する電波吸収体が用いられている。例えば、特許文献1には、軟磁性金属フィラーとフェライトフィラーとシリコーン樹脂をと含む電磁波吸収組成物が開示されている。また、特許文献2には、表面に絶縁膜を有する扁平状軟磁性金属粉が積層された軟磁性層と、上記軟磁性層の表面を覆う電気絶縁層と、を備える電波吸収シートが開示されている。さらに、特許文献3には、偏平状の合金粉末と樹脂とを含む電波吸収シートが開示されている。これらの電波吸収体においては、上記した軟磁性金属フィラーやフェライトフィラーや扁平状金属粉によって電磁波が吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2021-174889号公報
特開2006-179901号公報
特開2015-56618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、種々の機器において高電圧化が進み、このような機器の近傍で用いられる電波吸収体における絶縁性の要求が高まるにつれて、特許文献1に記載の構成のように金属フィラーを用いる場合には、電波吸収体の絶縁性能が不十分となる場合が生じるようになった。ここで、特許文献2に記載の電波吸収体では、上記したように扁平状軟磁性金属粉を備える軟磁性層上に電気絶縁層をさらに設けると共に、扁平状軟磁性金属粉は、表面に絶縁膜が形成されている。また、特許文献3においても、偏平状の合金粉末表面に、絶縁処理を目的として自己酸化被膜や外部処理被膜を形成することが記載されている。このような構成とすることで、電波吸収体の絶縁性を高めることは可能になるが、電気絶縁層を設けることや、偏平状の金属粉末表面に絶縁膜を形成することにより、製造工程が煩雑化するという問題が生じ得る。そのため、より簡便に、電波吸収体の絶縁性を高める技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、MHz帯の電磁波を吸収する電波吸収体が提供される。この電波吸収体は、軟磁性フェライト粒子と、シリコーン樹脂と、を備え、前記電波吸収体の断面を観察したときに、前記軟磁性フェライト粒子の粒子間の距離の平均が0.5μm以上である。
この形態の電波吸収体によれば、シリコーン樹脂よりも電気抵抗が小さい軟磁性フェライト粒子によって電波吸収能が実現される電波吸収体において、軟磁性フェライト粒子間の距離が確保されるため、製造工程の煩雑化を抑えつつ、より簡便に電波吸収体の絶縁性を高めることができる。
(2)上記形態の電波吸収体において、前記軟磁性フェライト粒子は、Ni-Zn系フェライト粒子であることとしてもよい。このような構成とすれば、比較的電気抵抗が低いNi-Zn系フェライト粒子を軟磁性フェライト粒子として用いることで、電波吸収体の絶縁性をさらに高めることができる。
(3)上記形態の電波吸収体は、前記電波吸収体の表面において、前記軟磁性フェライト粒子の粒子が露出していないこととしてもよい。このような構成とすれば、電波吸収体の表面において軟磁性フェライト粒子12がシリコーン樹脂によって被覆されることにより、電波吸収体の絶縁性をさらに高めることができる。
(4)上記形態の電波吸収体において、前記軟磁性フェライト粒子の体積比率が20~60%であることとしてもよい。このような構成とすれば、軟磁性フェライト粒子の体積比率を20%以上にすることにより、電波吸収能の確保が容易になる。また、軟磁性フェライト粒子の体積比率を60%以下にすることにより、軟磁性フェライト粒子に起因して電波吸収体の絶縁性が低下することを抑えると共に、電波吸収体の柔軟性を確保することができる。
(5)上記形態の電波吸収体において、前記シリコーン樹脂の体積比率が40%以上であることとしてもよい。このような構成とすれば、電波吸収体の柔軟性を高めることができる。
(6)上記形態の電波吸収体において、ヤング率が20MPa以下であり、かつ、室温での伸び率が20%以上であることとしてもよい。このような構成とすれば、電波吸収体の柔軟性や可撓性を高めることができるため、電波吸収体を曲げることなどにより、任意の形状の部材表面に電波吸収体を配置することが容易になる。また、電波吸収体を、例えば発熱する機器を収納する筐体の内壁面に貼り付けたときに、電波吸収体と筐体との間の熱膨張差から生じるひずみを緩和することが容易になる。
本開示は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、電波吸収シート、電波吸収体の製造方法、電波吸収体を備える筐体、電子機器における電磁波の放出や侵入の防止方法、などの形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
第1実施形態の電波吸収体の概略構成を表す断面模式図。
軟磁性フェライト粒子の粒子間距離の求め方を示す説明図。
第2実施形態の電波吸収体の概略構成を表す断面模式図。
電波吸収体の具体的な構成をまとめて示す説明図。
電波吸収体の性能に係る測定値をまとめて示す説明図。
電波吸収体の評価結果をまとめて示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における電波吸収体10の概略構成を表す断面模式図である。電波吸収体10は、軟磁性フェライト粒子12と、シリコーン樹脂16と、を備える。本実施形態の電波吸収体10では、軟磁性フェライト粒子12は、粉末の状態で、シリコーン樹脂16中に分散されている。本実施形態の電波吸収体10は、特に、MHz帯の電磁波の吸収に適している。
【0008】
軟磁性フェライト粒子12は、軟磁性フェライトによって構成される粒子である。軟磁性フェライトとしては、例えば、Ni-Znフェライト(ニッケル亜鉛フェライト)やMn-Znフェライト(マンガン亜鉛フェライト)やマグネタイト等のスピネルフェライト等を挙げることができる。一般的な電子機器から放出される電磁波の周波数帯は、kHz~MHzであるため、電波吸収体10が備える軟磁性材料は、kHz~MHzまでの幅広い周波数帯で機能する軟磁性材料が好ましく、特に、MHz帯(数MHz~数百MHzの周波数)の電磁ノイズを吸収することができる軟磁性材料が有用である。上記したNi-ZnフェライトやMn-Znフェライトは、このようなkHz~MHzにわたる周波数帯における透磁率が比較的高いため好ましい。また、軟磁性材料の中でも、上記した軟磁性フェライトは比較的電気抵抗が高く、電波吸収体10の絶縁性能を確保することが容易となるため望ましい。特に、Ni-Znフェライトは、電気抵抗がより高いため望ましい。
【0009】
軟磁性フェライト粒子12の粒径は、電波吸収体10の厚みに対して十分に小さいことが望ましい。そのため、軟磁性フェライト粒子12の粒径は、例えば、100μm以下とすることが好ましく、50μm以下とすることがより好ましく、10μm以下とすることがさらに好ましい。なお、電波吸収体10の厚みは、電波吸収能を確保する観点から、例えば0.1mm以上とすることが好ましく、0.2mm以上とすることがより好ましい。また、電波吸収体10の厚みは、電波吸収体10が占めるスペースを抑える観点から、例えば5mm以下とすることが好ましく、1mm以下とすることがより好ましい。
【0010】
また、軟磁性フェライト粒子12の粒径は、シリコーン樹脂16中での分散状態の確保を容易にするために、ある程度大きいことが望ましい。そのため、軟磁性フェライト粒子12の粒径は、例えば、0.1μm以上とすることが好ましく、0.3μm以上とすることがより好ましく、0.5μm以上とすることがさらに好ましい。なお、本実施形態において粒径とは、投影面積円相当径(粒子の投影面積と同じ面積を持つ円の直径)を指す。
(【0011】以降は省略されています)

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