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公開番号2024058398
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-25
出願番号2022165737
出願日2022-10-14
発明の名称哺乳期間中の又は離乳に伴う子牛の症状又は状態を改善する方法
出願人全国農業協同組合連合会
代理人弁理士法人谷川国際特許事務所
主分類A23K 50/10 20160101AFI20240418BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】哺乳期間中の子牛に発生しやすい症状や、離乳ストレスによる症状、健康状態への悪影響の軽減に有用な新規な手段を提供すること。
【解決手段】哺乳期~離乳期の子牛に1日当たり0.02 g~10 gのナイアシンを給与することを含む、哺乳期間中の又は離乳に伴う子牛の症状又は状態を改善する方法を提供した。前記症状又は状態の改善は、例えば、離乳期の増体の向上、哺乳期及び離乳期の飼料効率の向上、離乳期のタンパク質代謝の向上、離乳期の肝臓機能の向上、離乳期の白血球数変化の軽減及びN:L比上昇の抑制、並びに哺乳期の治療日数の低減から選択される少なくとも1種である。
【選択図】図4-2
特許請求の範囲【請求項1】
哺乳期~離乳期の子牛に1日当たり0.02 g~10 gのナイアシンを給与することを含む、哺乳期間中の又は離乳に伴う子牛の症状又は状態を改善する方法。
続きを表示(約 830 文字)【請求項2】
前記症状又は状態の改善が、離乳期の増体の向上、哺乳期及び離乳期の飼料効率の向上、離乳期のタンパク質代謝の向上、離乳期の肝臓機能の向上、離乳期の白血球数変化の軽減及びN:L比上昇の抑制、並びに哺乳期の治療日数の低減から選択される少なくとも1種である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ナイアシンを含む、哺乳期間中の又は離乳に伴う子牛の症状又は状態を改善するための哺乳期~離乳期の子牛用のサプリメントであって、1日当たり0.02 g~10 gのナイアシンを前記子牛に補給するために用いられる、サプリメント。
【請求項4】
前記症状又は状態の改善が、離乳期の増体の向上、哺乳期及び離乳期の飼料効率の向上、離乳期のタンパク質代謝の向上、離乳期の肝臓機能の向上、離乳期の白血球数変化の軽減及びN:L比上昇の抑制、並びに哺乳期の治療日数の低減から選択される少なくとも1種である、請求項3記載のサプリメント。
【請求項5】
1日当たり0.02 g~10 gのナイアシンを哺乳期~離乳期の子牛に補給することにより、哺乳期間中の又は離乳に伴う子牛の症状又は状態を改善するための、ナイアシンを含む哺乳期~離乳期の子牛用のサプリメントの使用。
【請求項6】
前記症状又は状態の改善が、離乳期の増体の向上、哺乳期及び離乳期の飼料効率の向上、離乳期のタンパク質代謝の向上、離乳期の肝臓機能の向上、離乳期の白血球数変化の軽減及びN:L比上昇の抑制、並びに哺乳期の治療日数の低減から選択される少なくとも1種である、請求項5記載の使用。
【請求項7】
請求項3又は4記載のサプリメントを哺乳期~離乳期の子牛に給与することを含む、哺乳期間中の又は離乳に伴う子牛の症状又は状態を改善する方法であって、サプリメントから前記子牛に補給されるナイアシンの量が1日当たり0.02 g~10 gである、方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳期間中の又は離乳に伴う子牛の症状又は状態を改善する方法に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)【背景技術】
【0002】
家畜における過度のストレスはアニマルウェルフェア上の問題となるだけでなく、生産性の低下や畜産物の品質の悪化を引き起こす。子牛の場合には、母牛からの分離、離乳、飼料の変化、飼育環境の変化など、様々な社会的・環境的ストレスの負荷を強いられ、体重の減耗や免疫力低下など健康上の問題を生じることが知られている。離乳に伴う生理的反応として、血漿中コルチゾール濃度の増加(非特許文献1)、好中球とリンパ球の比率(N/L比)の増加(非特許文献2)などが知られている。
【0003】
育成牛の輸送ストレスに関しては、例えば、長距離輸送による体重増加抑制及び血清中肝臓機能指標の異常がバイパス加工されたナイアシンの補給により軽減することが知られている(非特許文献3~5)。また、ルーメン機能が未発達な子牛に対し1日当り10~15 mgのナイアシンを摂取させることにより、急激な食欲低下、重篤な下痢、運動失調、脱水症等を防止できることが知られている(非特許文献6)。なお、NRC乳牛飼養標準2001年版(NRC2001)によると、水溶性ビタミンに関しては、子牛が離乳して乾燥飼料を摂取すれば、消化管内に常在する微生物が子牛の必要に見合う量を合成するので、飼料に添加する必要はなく、ビタミンB類は代用乳飼料のみに必要とされ、ナイアシンの場合の要求濃度は10 mg/DM kgである(非特許文献7)。また、DSM Animal Nutrition & HealthのVitamin Supplementation Guidelines, 2022 for Animal Nutrition(非特許文献8)によると、子牛用飼料へのナイアシン補充は代用乳に対して9~18 mg/日の量である。一般的な代用乳給与体系では、代用乳の給与量は1日概ね0.3 kg~0.9 kg程度であり、強化哺育として知られる給与体系では代用乳の給与量は1日0.6 kg~1.2 kgであるから(非特許文献9)、NRC2001の要求濃度およびDSM Animal Nutrition & HealthのVitamin Supplementation Guidelines, 2022 for Animal Nutritionを鑑みてナイアシンを含有する代用乳を用いた場合、公知の給与体系において子牛が代用乳から摂取するナイアシンは1日3 mg~18 mgということになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Lay et al. Applied Animal Behaviour Science, 56 (1998), pp. 109-119
Hickey et al., J Anim Sci, 81: 2847-2855 (2003).
日本畜産学会第122回大会講演要旨集、第120頁、講演番号I29-21、2017年3月28日発行
武本 智嗣、栄養生理研究会報、2019年、63巻1号、p.33-42
Takemoto S, Funaba M, Matsui T. Anim Sci J. 2018 Oct;89(10):1442-1450
S. Panda et al., Asian J. Dairy & Food Res, 36(2) 2017 : 93-99
NRC乳牛飼養標準2001年版 第7版、デーリィ・ジャパン社、2002年2月1日発行、p.208-227、「10 若齢子牛の養分要求量」
DSM Vitamin Supplementation Guidelines, 2022 for Animal Nutrition, Ruminants, [2022年8月30日検索]、インターネット<URL: https://www.dsm.com/anh/en_NA/products-and-services/products/vitamins/ovn/ruminants.html>
齋藤 昭、The Journal of Farm Animal in Infectious Disease、Vol.1、No.2、2012、p.37-47
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、哺乳期間中の子牛に発生しやすい症状や、離乳ストレスによる症状、健康状態への悪影響の軽減に有用な新規な手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは、鋭意研究の結果、所定量のナイアシン補給によって哺乳期~離乳期の子牛における上記の課題を解決できることを見出し、本願発明を完成した。すなわち、本発明は、哺乳期~離乳期の子牛に所定量のナイアシンを給与することを含む、哺乳期間中の又は離乳に伴う子牛の症状又は状態を改善する方法、及びそのためのサプリメントであり、以下の態様を包含する。
【0007】
[1] 哺乳期~離乳期の子牛に1日当たり0.02 g~10 gのナイアシンを給与することを含む、哺乳期間中の又は離乳に伴う子牛の症状又は状態を改善する方法。
[2] 前記症状又は状態の改善が、離乳期の増体の向上、哺乳期及び離乳期の飼料効率の向上、離乳期のタンパク質代謝の向上、離乳期の肝臓機能の向上、離乳期の白血球数変化の軽減及びN:L比上昇の抑制、並びに哺乳期の治療日数の低減から選択される少なくとも1種である、[1]の方法。
[3] ナイアシンを含む、哺乳期間中の又は離乳に伴う子牛の症状又は状態を改善するための哺乳期~離乳期の子牛用のサプリメントであって、1日当たり0.02 g~10 gのナイアシンを前記子牛に補給するために用いられる、サプリメント。
[4] 前記症状又は状態の改善が、離乳期の増体の向上、哺乳期及び離乳期の飼料効率の向上、離乳期のタンパク質代謝の向上、離乳期の肝臓機能の向上、離乳期の白血球数変化の軽減及びN:L比上昇の抑制、並びに哺乳期の治療日数の低減から選択される少なくとも1種である、[3]記載のサプリメント。
[5] 1日当たり0.02 g~10 gのナイアシンを哺乳期~離乳期の子牛に補給することにより、哺乳期間中の又は離乳に伴う子牛の症状又は状態を改善するための、ナイアシンを含む哺乳期~離乳期の子牛用のサプリメントの使用。
[6] 前記症状又は状態の改善が、離乳期の増体の向上、哺乳期及び離乳期の飼料効率の向上、離乳期のタンパク質代謝の向上、離乳期の肝臓機能の向上、離乳期の白血球数変化の軽減及びN:L比上昇の抑制、並びに哺乳期の治療日数の低減から選択される少なくとも1種である、[5]記載の使用。
[7] [3]又は[4]記載のサプリメントを哺乳期~離乳期の子牛に給与することを含む、哺乳期間中の又は離乳に伴う子牛の症状又は状態を改善する方法であって、サプリメントから前記子牛に補給されるナイアシンの量が1日当たり0.02 g~10 gである、方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、哺乳期間中の子牛に発生しやすい症状や、離乳ストレスによる症状、健康状態への悪影響を軽減し、哺乳期~離乳期の子牛の健康状態を改善ないし向上できる。一般的な代用乳には要求量10 mg/DM kgを満たす濃度でナイアシンが添加されており、また、ルーメンがある程度発達する離乳期以後はルーメン微生物によって粗飼料から子牛の必要に見合う量の水溶性ビタミンが合成されることから(非特許文献7)、子牛飼養の分野では哺乳期~離乳期の子牛にナイアシンを追加補給する必要はないと認識されており、ナイアシンを追加補給する技術はこれまでに報告されていない。非特許文献6に開示される子牛のナイアシン摂取量も、要求量を満たす濃度でナイアシンが添加された一般的な代用乳を公知の給与体系で用いた場合に達成される摂取量である。本発明は、当該分野のこれまでの技術常識を覆す発明である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
試験に供試した子牛への代用乳給与体系。
ナイアシン(NA)区及び対照区の子牛の体重。
NA区及び対照区の一日平均増体量。
NA区及び対照区のステージ別一日平均増体量。
NA区及び対照区の人工乳摂取量。*: P<0.05
NA区及び対照区のステージ別総人工乳摂取量。*:P<0.05
NA区及び対照区の粗飼料摂取量。
NA区及び対照区のステージ別総粗飼料摂取量。
NA区及び対照区の飼料効率。†:P<0.10、*:P<0.05
NA区及び対照区のステージ別飼料効率。*:P<0.05、**:P<0.01
NA区及び対照区のステージ別治療日数。†:P<0.10
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の方法は、哺乳期~離乳期の子牛に1日当たり0.02 g~10 gのナイアシンを給与することを含む、哺乳期間中の又は離乳に伴う子牛の症状又は状態を改善する方法である。また、本発明のサプリメントは、ナイアシンを含む、哺乳期間中の又は離乳に伴う子牛の症状又は状態を改善するための哺乳期~離乳期の子牛用のサプリメントであって、1日当たり0.02 g~10 gのナイアシンを前記子牛に補給するために用いられる。
(【0011】以降は省略されています)

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