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公開番号2024044791
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-02
出願番号2022150537
出願日2022-09-21
発明の名称腸内細菌培養組培地、及び腸内細菌培養方法。
出願人学校法人近畿大学
代理人個人,個人
主分類C12N 1/20 20060101AFI20240326BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】腸内細菌のより多くの種を培養可能な培養培地、及び培養方法を提供する。
【解決手段】本培養培地を用いてヒトの腸内細菌の本培養を行う前の前培養に使用可能な腸内細菌前培養培地であって、GAM系培地に哺乳動物の血液を添加してなる腸内細菌前培養培地とする。前記哺乳動物の血液は、ヒト、ウマ、及びヒツジからなる群より選ばれる少なくとも1種の哺乳動物の血液であってよい。前記哺乳動物の血液の体積濃度は2.0%以上、6.0%(v/v)以下であってよい。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
本培養培地を用いてヒトの腸内細菌の本培養を行う前の前培養に使用可能な腸内細菌前培養培地であって、
GAM系培地に哺乳動物の血液を添加してなる腸内細菌前培養培地。
続きを表示(約 770 文字)【請求項2】
前記哺乳動物の血液が、ヒト、ウマ、及びヒツジからなる群より選ばれる少なくとも1種の哺乳動物の血液である請求項1に記載の腸内細菌前培養培地。
【請求項3】
前記哺乳動物の血液がウマの血液である請求項1に記載の腸内細菌前培養培地。
【請求項4】
GAM系培地とウマの血液を含むEG培地を混合することによりGAM系培地にウマの血液を添加したことを特徴とする請求項1に記載の腸内細菌前培養培地。
【請求項5】
前記哺乳動物の血液の体積濃度が2.0%以上、6.0%(v/v)以下である請求項1に記載の腸内細菌前培養培地。
【請求項6】
請求項1に記載の腸内細菌前培養培地と、
GAM系培地、EG培地から馬無菌脱繊血を除去したEGMB培地、又はGAM系培地とEGMB培地を混合した培地からなる腸内細菌本培養培地と
を備える腸内細菌培養組培地。
【請求項7】
哺乳動物の血液を添加したGAM系培地を用いて腸内細菌の前培養を行う前培養工程と、本培養培地を用いて前培養工程で培養した腸内細菌の培養を行う本培養工程と
を備えることを特徴とする腸内細菌培養方法。
【請求項8】
前培養工程において、前培養時間の異なる腸内細菌を、本培養工程が開始する時刻からそれぞれの培養時間だけ前にマルチウェルに植菌するようにして、培養時間の長い腸内細菌から順に前記マルチウェルに植菌する請求項7に記載の腸内細菌培養方法。
【請求項9】
前培養工程で用いた前記マルチウェルから別のマルチウェルプレートに菌を一斉に移植したのち、当該マルチウェルに移植された細菌を同じ培養時間で本培養する請求項8に記載の腸内細菌培養方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、多種の腸内細菌の培養に共通して使用可能な培養技術に関し、特に前培養に用いる培地に工夫を加えることで、多種の腸内細菌を同時に培養可能とする培養技術に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
近年、腸内細菌がヒトの健康状態に大きな影響を与えることが明らかになり、その機能を解明するために糞便中の腸内細菌のDNAを直接解読する菌叢解析(培養を介さない解析)が盛んに行われている。しかし、菌叢解析によって得られるDNAの塩基配列の半分が機能未知であるため、菌叢によってすべての腸内細菌の機能を解明することは困難であり、腸内細菌を培養して直接その機能を研究・解明することが求められている。
【0003】
多くの腸内細菌について、等しい条件で表現型を比較するためには、一度に多種の細菌を培養できる培地が必要である。ところが、欧米人の腸内常在菌叢最優勢種56種(表1参照)のうち、現在までにヒトによる培養に成功し、菌株を保存・配布している機関から入手可能な45種、同様に、日本人の腸内常在菌叢最優勢種50種(表2参照)のうち入手可能な41種については、配布機関が種ごとに指定する培養液(表1、表2参照)が推奨されるという問題がある。
【0004】
TIFF
2024044791000002.tif
206
165
【0005】
TIFF
2024044791000003.tif
189
165
【0006】
つまり、マルチウェルプレート等で多種の腸内細菌を同時に培養する場合、菌ごとに異なる推奨培地を用いるとすると、ウェルごとに異なる培地を用意する必要があり、これに多大な時間、労力、費用がかかるという問題が生じる。また、ウェルごとに培地が異なると、沈殿物の有無などにより、各ウェルの培養液が不均一になり、すべてのウェルで同時に菌の増殖を測定し、比較することができなくなるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明者らは、沈殿物を生成せず、かつ多数の腸内細菌種を培養できる培地の開発に着手し、前培養と本培養の両方を岐阜大学処方嫌気性培地(以下、「GAM培地」という。)で培養する方法で、欧米人腸内常在細菌叢最優勢56種のうち入手可能な45種を培養し、その32種について培養に成功している。(非特許文献1参照)。
【0008】
また、非特許文献2では、GAM培地に改良を加え、色が薄く透明度の高いmGAM培地を用いて欧米人腸内常在細菌叢最優勢45種を培養し、34種(76%)が増殖したことが報告されている。
【0009】
また、化学的に定義されたGMMなる培地により、非特許文献3では、糞便サンプルから検出される属の70%が、非特許文献4では、その科の71%が分離培養可能であると報告されており、また、非特許文献2では、同培地により、欧米人腸内常在細菌叢最優勢45種のうち33種(73%)が培養可能であるという報告がなされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
Gotoh A, Nara M, Sugiyama Y, Sakanaka M, Yachi H, Kitakata A, et al. Use of Gifu Anaerobic Medium for culturing 32 dominant species of human gut microbes and its evaluation based on short-chain fatty acids fermentation profiles. Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry (2017) 81:2009-17. doi: 10.1080/09168451.2017.1359486
Tramontano M, Andrejev S, Pruteanu M, Klunemann M, Kuhn M, Galardini M, et al. Nutritional preferences of human gut bacteria reveal their metabolic idiosyncrasies. Nature Microbiology (2018) 3:514-22. doi: 10.1038/s41564-018-0123-9
Goodman AL, Kallstrom G, Faith JJ, Reyes A, Moore A, Dantas G, et al. Extensive personal human gut microbiota culture collections characterized and manipulated in gnotobiotic mice. Proceedings of the National Academy of Sciences (2011) 108:6252-7. doi: doi:10.1073/pnas.1102938108
Rettedal EA, Gumpert H, Sommer MOA. Cultivation-based multiplex phenotyping of human gut microbiota allows targeted recovery of previously uncultured bacteria. Nature Communications (2014) 5:4714. doi: 10.1038/ncomms5714
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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