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公開番号2024021473
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-02-16
出願番号2022124310
出願日2022-08-03
発明の名称シーラント材
出願人株式会社クラレ
代理人弁理士法人大谷特許事務所
主分類C08G 63/60 20060101AFI20240208BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】良好な生分解性を有するシーラント材を提供する。
【解決手段】
ポリ乳酸単位(a)を主単位として含むブロック構造単位(A)とポリエステル単位(b)を主単位として含むブロック構造単位(B)とを含み、かつ、融点が110℃以上185℃以下であるブロック共重合体を含むシーラント材であり、
前記ポリエステル単位(b)が、脂肪族ジオール(b1)と脂肪族ジカルボン酸(b2)に由来する単位を含有し、前記脂肪族ジオール(b1)がアルキル基を分岐鎖として有するジオールである、シーラント材。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリ乳酸単位(a)を主単位として含むブロック構造単位(A)とポリエステル単位(b)を主単位として含むブロック構造単位(B)とを含み、かつ、融点が110℃以上185℃以下であるブロック共重合体を含むシーラント材であり、
前記ポリエステル単位(b)が、脂肪族ジオール(b1)と脂肪族ジカルボン酸(b2)に由来する単位を含有し、前記脂肪族ジオール(b1)がアルキル基を分岐鎖として有するジオールである、シーラント材。
続きを表示(約 810 文字)【請求項2】
前記ブロック共重合体のガラス転移点が-80℃以上-15℃以下である、請求項1に記載のシーラント材。
【請求項3】
前記脂肪族ジオール(b1)が有する2つの水酸基が1級水酸基であり、かつ、前記脂肪族ジオール(b1)が4級炭素を有さないジオールである、請求項1又は2に記載のシーラント材。
【請求項4】
前記脂肪族ジオール(b1)の炭素数が4以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のシーラント材。
【請求項5】
前記ブロック構造単位(A)と前記ブロック構造単位(B)の合計100質量%に対し、前記ブロック構造単位(A)が5質量%以上95質量%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のシーラント材。
【請求項6】
前記脂肪族ジオール(b1)の炭素数が10以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のシーラント材。
【請求項7】
前記脂肪族ジオール(b1)が有する前記分岐鎖が、メチル基である、請求項1~6のいずれか1項に記載のシーラント材。
【請求項8】
前記ポリ乳酸単位(a)中、D-乳酸若しくはD-ラクチドに由来する単位の割合が、L-乳酸若しくはL-ラクチドに由来する単位とD-乳酸若しくはD-ラクチドに由来する単位との合計100質量%に対して10質量%未満、又は、L-乳酸若しくはL-ラクチドに由来する単位の割合が、L-乳酸若しくはL-ラクチドに由来する単位とD-乳酸若しくはD-ラクチドに由来する単位との合計100質量%に対して10質量%未満である、請求項1~7のいずれか1項に記載のシーラント材。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のシーラント材を含むシール層と基材とを含む、積層体。
【請求項10】
前記基材が紙である、請求項9に記載の積層体。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な生分解性を有するシーラント材に関する。
続きを表示(約 4,900 文字)【背景技術】
【0002】
環境保護の見地から、バイオプラスチックに関する開発が盛んに行われている。例えば、バイオプラスチックであるポリ乳酸は、光合成により生産されるとうもろこし等の植物由来再生可能資源を原料とし、幅広い分野において利用されることが期待されている。
例えば、特許文献1には、特定の要件を満たす結晶化された乳酸系ポリエステル組成物(A)からなる基材層と、特定の要件を満たす非晶性の乳酸系ポリエステル組成物(B)からなるヒートシール層とから成るヒートシールフィルムが記載されている。
特許文献2には、結晶化された乳酸系ポリマー(A)からなる基材層(I)と、乳酸系ポリマー(A)の融点より低い軟化点を有する非晶性の乳酸系ポリマー(B)からなるシール層(II)とを有する熱融着可能な乳酸系ポリマー積層体が記載されている。
特許文献3には、特定のポリ乳酸繰り返し単位を含むハードセグメントおよび特定のポリウレタンポリオール繰り返し単位の含むソフトセグメントを含むポリ乳酸樹脂を含み、長さ方向および幅方向のヤング率の合計、並びに、長さ方向および幅方向の初期引張強度の合計が、それぞれ、特定の範囲であるポリ乳酸樹脂フィルムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2003-94585号公報
特開平10-151715号公報
特表2014-507524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~3に記載されたポリ乳酸を含有する樹脂又は樹脂組成物は、ある程度の生分解性を有するものと推測できる。ここで、「生分解性」とは微生物等の生物によって最終的には水と二酸化炭素に分解される性質であり、ポリ乳酸を含有する樹脂はコンポスト中で生分解性を示すことが知られている。しかし、環境意識の高まりから、より良好な生分解性を発現させることが要求されている。
前述のとおり、バイオプラスチックに関する様々な用途への適用が検討されているが、近年、シーラント材についても、環境保護の見地から、より良好な生分解性が要求されている。
そこで、本発明は、良好な生分解性を有するシーラント材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の要件を満たすブロック共重合体を含むシーラント材とすることで、前記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
[1] ポリ乳酸単位(a)を主単位として含むブロック構造単位(A)とポリエステル単位(b)を主単位として含むブロック構造単位(B)とを含み、かつ、融点が110℃以上185℃以下であるブロック共重合体を含むシーラント材であり、
前記ポリエステル単位(b)が、脂肪族ジオール(b1)と脂肪族ジカルボン酸(b2)に由来する単位を含有し、前記脂肪族ジオール(b1)がアルキル基を分岐鎖として有するジオールである、シーラント材。
[2] 前記ブロック共重合体のガラス転移点が-80℃以上-15℃以下である、前記[1]に記載のシーラント材。
[3] 前記脂肪族ジオール(b1)が有する2つの水酸基が1級水酸基であり、かつ、前記脂肪族ジオール(b1)が4級炭素を有さないジオールである、前記[1]又は[2]に記載のシーラント材。
[4] 前記脂肪族ジオール(b1)の炭素数が4以上である、前記[1]~[3]のいずれか1つに記載のシーラント材。
[5] 前記ブロック構造単位(A)と前記ブロック構造単位(B)の合計100質量%に対し、前記ブロック構造単位(A)が5質量%以上95質量%以下である、前記[1]~[4]のいずれか1つに記載のシーラント材。
[6] 前記脂肪族ジオール(b1)の炭素数が10以下である、前記[1]~[5]のいずれか1つに記載のシーラント材。
[7] 前記脂肪族ジオール(b1)が有する前記分岐鎖が、メチル基である、前記[1]~[6]のいずれか1つに記載のシーラント材。
[8] 前記ポリ乳酸単位(a)中、D-乳酸若しくはD-ラクチドに由来する単位の割合が、L-乳酸若しくはL-ラクチドに由来する単位とD-乳酸若しくはD-ラクチドに由来する単位との合計100質量%に対して10質量%未満、又は、L-乳酸若しくはL-ラクチドに由来する単位の割合が、L-乳酸若しくはL-ラクチドに由来する単位とD-乳酸若しくはD-ラクチドに由来する単位との合計100質量%に対して10質量%未満である、前記[1]~[7]のいずれか1つに記載のシーラント材。
[9] 前記[1]~[8]のいずれか1つに記載のシーラント材を含むシール層と基材とを含む、積層体。
[10] 前記基材が紙である、前記[9]に記載の積層体。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、良好な生分解性を有するシーラント材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施態様の一例(以下、「本発明の一態様」ともいう。)に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施態様は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下の記載に限定されない。
また、本明細書において、実施態様の好ましい形態を示すが、個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、好ましい形態である。
また、本明細書において、数値範囲で示した事項について、いくつかの数値範囲がある場合、それらの下限値と上限値とを選択的に組み合わせて好ましい形態とすることができる。
すなわち、本明細書において、数値範囲について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、同一事項に対する「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。
また、数値範囲について、例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」との記載に基づいて、上限値は特に規定せずに下限値側だけ「10以上」又は「30以上」と規定することもでき、同様に、下限値は特に規定せずに上限値側だけ「90以下」又は「60以下」と規定することもできる。
なお、本明細書において、特に言及しない限り、例えば、「XX~YY」との数値範囲の記載がある場合、「XX以上YY以下」を意味する(XXは下限値、YYは上限値を表す)。
前記同様、例えば、同一事項に対する「好ましくは10以上、より好ましくは30以上」の記載と「好ましくは90以下、より好ましくは60以下」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10以上60以下」とすることもできる。また、前記同様、下限値側だけ「10以上」又は「30以上」と規定することもでき、同様に、上限値側だけ「90以下」又は「60以下」と規定することもできる。
また、本明細書において、「~単位」(ここで「~」は重合体を示す)とは「~に由来する構造単位」を意味する。例えば「ポリ乳酸単位」とは「ポリ乳酸に由来する構造単位」を意味し、「ポリエステル単位」とは「ポリエステルに由来する構造単位」を意味する。
また、本明細書において、特に言及しない限り、重合体の「主鎖」とは、ポリマー分子中において最も長い分子鎖を意味する。
また、本明細書において、「固形分」とは、重合体及び重合体の原料成分から選ばれる少なくとも1種を、有機溶媒及び水から選ばれる少なくとも1種を含む媒体に溶解又は分散させて得られる溶液又は分散体中における、前記媒体を除いた、前記重合体及び重合体の原料成分の合計含有量を指す。
また、本明細書において、特に言及しない限り、「生分解性」及び「耐加水分解性」との表記は、本発明の一態様であるシーラント材、並びに、当該シーラント材が含むブロック共重合体の「生分解性」及び「耐加水分解性」を指す。
また、本明細書において、特に言及しない限り、「シール強度」との表記は、本発明の一態様であるシーラント材の「シール強度」を指す。
【0008】
[シーラント材]
本発明の一態様であるシーラント材は、ポリ乳酸単位(a)を主単位として含むブロック構造単位(A)とポリエステル単位(b)を主単位として含むブロック構造単位(B)とを含み、かつ、融点が110℃以上185℃以下であるブロック共重合体を含むシーラント材であり、前記ポリエステル単位(b)が、脂肪族ジオール(b1)と脂肪族ジカルボン酸(b2)に由来する単位を含有し、前記脂肪族ジオール(b1)がアルキル基を分岐鎖として有するジオールである。
以下、前記シーラント材が含有するブロック共重合体について説明する。
【0009】
<ブロック共重合体>
前記ブロック共重合体は、ポリ乳酸単位(a)を主単位として含むブロック構造単位(A)とポリエステル単位(b)を主単位として含むブロック構造単位(B)とを含み、かつ、融点が110℃以上185℃以下である。そして、前記ポリエステル単位(b)が、脂肪族ジオール(b1)と脂肪族ジカルボン酸(b2)に由来する単位を含有し、前記脂肪族ジオール(b1)がアルキル基を分岐鎖として有するジオールである。
上記要件を満たすブロック共重合体を用いることで、良好な生分解性が実現できる理由は定かではないが、前記ブロック構造単位(B)が非晶性構造を形成しやすくなるので、前記ブロック共重合体が生分解する際に、微生物がポリマー構造へ入り込みやすくなり、良好な生分解性が実現し、それにより、シーラント材も良好な生分解性を有するものと推測する。また、脂肪族ジオール(b1)がアルキル基を分岐鎖として有することで、より生分解性が向上すると考えられる。一方、ブロック構造単位(B)が非晶性構造を形成しない場合、前記ブロック共重合体が生分解する際に微生物がポリマー構造に入り込みにくくなると考えられ、本発明の効果を得ることが難しくなると考えられる。しかしながら、ポリマーが非晶性構造を有することは生分解性に影響を及ぼす一つの要因でしかない。微生物が非晶性構造を餌として認識するかどうか、酵素や微生物が近づきやすいか、主鎖の立体障害、融点、結晶化度等の様々な要因が複合して生分解性に影響を及ぼすと考えられるためである。よって、単に、ポリマーが非晶性構造を有するものであれば本発明の効果が得られるというわけではない。
【0010】
(ブロック構造単位(A))
〈ポリ乳酸単位(a)〉
ブロック構造単位(A)は、ポリ乳酸単位(a)を主単位とする。
前記「主単位」とは、ブロック構造単位(A)を構成する単位のうちで最も含有割合の高い単位を意味する。
ブロック構造単位(A)における、ポリ乳酸単位(a)の含有割合は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは85質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上であり、100質量%含んでいてもよい。また、ブロック構造単位(A)に含まれるポリ乳酸単位(a)の上限に制限は無く、例えば、100質量%以下である。
(【0011】以降は省略されています)

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