TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2023175267
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-12-12
出願番号2022087626
出願日2022-05-30
発明の名称イオンプレーティング装置および方法
出願人神港精機株式会社
代理人個人
主分類C23C 14/32 20060101AFI20231205BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】 膜厚モニタのような成膜速度を監視するための専用の手段を設けずとも、当該成膜速度を一定に維持し、ひいては良好な再現性で単一元素膜を形成する。
【解決手段】 本発明に係るイオンプレーティング装置10によれば、坩堝20内の蒸発材料24が電子銃22により加熱されて、蒸発される。そして、フィラメント34にフィラメント加熱用電力Wfが供給されるとともに、坩堝20を陽極とし、フィラメント34を陰極として、これら両者にイオン化電力Wdが供給される。併せて、イオン化電流Wdの電流成分Idが一定となるように、フィラメント34の加熱温度が制御される。さらに、基板28に基板バイアス電力Wbが供給される。これにより、基板28の被処理面に単一元素膜が形成される。加えて、ファラデーカップ52からのイオン検出電流Isに基づくイオン電流密度Jsが一定となるように、電子銃22の出力Wgが制御される。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
蒸発材料の粒子をイオン化してイオン化された当該粒子を成分とする被膜を被処理物の表面に形成するイオンプレーティング装置であって、
内部に前記被処理物が配置されるとともに当該内部が排気される真空槽、
前記真空槽の内部における前記被処理物の下方に設けられ前記蒸発材料を収容する収容手段、
前記収容手段に収容された前記蒸発材料を蒸発させる蒸発手段、
前記収容手段と前記被処理物との間に設けられ熱電子を放出する熱陰極、
前記収容手段を陽極とし前記熱陰極を陰極として、前記蒸発手段により蒸発された前記蒸発材料の粒子をイオン化するための直流の第1イオン化電力を当該収容手段と当該熱陰極とに供給する第1イオン化電力供給手段、
前記第1イオン化電力の電流成分が一定となるように前記熱陰極からの前記熱電子の放出量を制御する熱電子放出量制御手段、
イオン化された前記粒子を前記被処理物の表面に向けて加速させるためのバイアス電力を当該被処理物に供給するバイアス電力供給手段、
前記イオン化された粒子の前記被処理物の表面への単位時間当たりかつ単位面積当たりの入射量に応じたイオン電流密度を検出するイオン電流密度検出手段、および、
前記イオン電流密度が一定となるように前記蒸発手段による前記蒸発材料の蒸発速度を制御する蒸発速度制御手段を備える、イオンプレーティング装置。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記イオン電流密度検出手段は、ファラデーカップを含む、請求項1に記載のイオンプレーティング装置。
【請求項3】
前記ファラデーカップは、前記収容手段と前記被処理物との間に設けられる、請求項2に記載のイオンプレーティング装置。
【請求項4】
前記ファラデーカップは、前記収容手段側から見たときに、前記被処理物と重ならないように設けられる、請求項3に記載のイオンプレーティング装置。
【請求項5】
前記被膜の成分となる反応性ガスを流通させる中空部を有し、当該中空部を介して前記真空槽の内部に当該反応性ガスを導入する中空陽極、および、
前記中空陽極を陽極とし前記収容手段を陰極として、前記真空槽の内部に導入された前記反応性ガスの粒子をイオン化するための直流の第2イオン化電力を当該中空陽極と当該収容手段とに供給する第2イオン化電力供給手段をさらに備える、請求項1に記載のイオンプレーティング装置。
【請求項6】
前記被膜として導電性被膜または半導電性被膜を形成する、請求項1に記載のイオンプレーティング装置。
【請求項7】
蒸発材料の粒子をイオン化してイオン化された当該粒子を成分とする被膜を被処理物の表面に形成するイオンプレーティング方法であって、
内部に前記被処理物が配置されるとともに当該内部が排気される真空槽の当該内部において当該被処理物の下方に設けられた収容手段に収容されている前記蒸発材料を蒸発させる蒸発ステップ、
前記収容手段と前記被処理物との間に設けられた熱陰極から熱電子を放出させる熱電子放出ステップ、
前記収容手段を陽極とし前記熱陰極を陰極として、前記蒸発ステップにより蒸発された前記蒸発材料の粒子をイオン化するための直流の第1イオン化電力を当該収容手段と当該熱陰極とに供給する第1イオン化電力供給ステップ、
前記第1イオン化電力の電流成分が一定となるように前記熱陰極からの前記熱電子の放出量を制御する熱電子放出量制御ステップ、
イオン化された前記粒子を前記被処理物の表面に向けて加速させるためのバイアス電力を当該被処理物に供給するバイアス電力供給ステップ、
前記イオン化された粒子の前記被処理物の表面への単位時間当たりかつ単位面積当たりの入射量に応じたイオン電流密度を検出するイオン電流密度検出ステップ、および、
前記イオン電流密度が一定となるように前記蒸発ステップによる前記蒸発材料の蒸発速度を制御する蒸発速度制御ステップを含む、イオンプレーティング方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンプレーティング装置および方法に関し、特に、蒸発材料の粒子をイオン化してイオン化された当該粒子を成分とする被膜を被処理物の表面に形成する、イオンプレーティング装置および方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
この種のイオンプレーティング装置および方法に関する技術の一例が、とりわけ反応性イオンプレーティング装置および方法に特化された技術の一例が、特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示された技術によれば、被処理物が配置された真空槽内において、収容手段に収容された蒸発材料が蒸発手段によって蒸発される。この蒸発材料の粒子は、収容手段を陽極とし、当該収容手段と被処理物との間に設けられた熱陰極を陰極として、これら一対の電極に直流の第1イオン化電力が供給されることで、イオン化される。併せて、中空部を有する中空陽極を介して、真空槽内に反応性ガスが導入される。この反応性ガスの粒子は、中空陽極を陽極とし、収容手段を陰極として、これら一対の電極に直流の第2イオン化電力が供給されることで、イオン化される。さらに、被処理物には、イオン化された蒸発材料の粒子およびイオン化された反応性ガスの粒子を当該被処理物の表面に向けて加速させるためのバイアス電力が供給される。これにより、イオン化された蒸発材料の粒子およびイオン化された反応性ガスの粒子の化合物である反応膜が被処理物の表面に形成される。
【0003】
また、特許文献1に開示された技術によれば、化学量論的な観点から、反応性ガスの流量が一定とされた状態で、真空槽内の圧力が一定となるように、蒸発手段による蒸発材料の蒸発速度が制御されることで、反応膜の形成速度(成膜速度)が一定に維持される。このことは、目的物としての反応膜を良好な再現性(一定の品質)で形成するのに、大きく貢献する。すなわち、膜厚モニタのような成膜速度を監視するための専用の手段が設けられなくとも、成膜速度が一定に維持され、ひいては目的物としての反応膜が良好な再現性で形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第6788081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、特許文献1に開示された技術は、反応性イオンプレーティング装置および方法に特化された技術であり、つまり目的物として反応膜が形成される場合に特化された技術である。したがって、特許文献1に開示された技術では、目的物として反応膜ではなく単一元素膜が形成される場合に、換言すれば真空槽内に反応性ガスが導入されずに成膜処理が行われる場合に、対応することができない。
【0006】
そこで、本発明は、目的物として単一元素膜を形成する場合に、膜厚モニタのような成膜速度を監視するための専用の手段を設けなくとも、成膜速度を一定に維持することができ、ひいては良好な再現性で当該単一元素膜を形成することができる、新規なイオンプレーティング装置および方法を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明は、イオンプレーティング装置に係る第1発明、および、イオンプレーティング方法に係る第2発明を含む。
【0008】
このうちの第1発明は、蒸発材料の粒子をイオン化してイオン化された当該粒子を成分とする被膜を被処理物の表面に形成するイオンプレーティング装置であって、真空槽を備える。この真空槽の内部には、被処理物が配置される。併せて、真空槽の内部は、排気される。さらに、本第1発明は、収容手段、蒸発手段、熱陰極、第1イオン化電力供給手段、熱電子放出量制御手段、バイアス電力供給手段、イオン電流密度検出手段および蒸発速度制御手段を備える。収容手段は、真空槽の内部における被処理物の下方に設けられ、蒸発材料を収容する。蒸発手段は、収容手段に収容された蒸発材料を蒸発させる。熱陰極は、真空槽の内部における収容手段と被処理物との間に設けられ、熱電子を放出する。第1イオン化電力供給手段は、収容手段を陽極とし、熱陰極を陰極として、これら一対の電極に第1イオン化電力を供給する。この第1イオン化電力は、蒸発手段により蒸発された蒸発材料の粒子をイオン化するための直流電力である。熱電子放出量制御手段は、第1イオン化電力の電流成分が一定となるように、熱陰極からの熱電子の放出量を制御する。バイアス電力供給手段は、イオン化された粒子を被処理物の表面に向けて加速させるためのバイアス電力を、当該被処理物に供給する。イオン電流密度検出手段は、イオン化された粒子の被処理物の表面への単位時間当たりかつ単位面積当たりの入射量に応じたイオン電流密度を検出する。そして、蒸発速度制御手段は、イオン電流密度検出手段により検出されたイオン電流密度が一定となるように、蒸発手段による蒸発材料の蒸発速度を制御する。これにより、被膜の形成速度が一定となる(安定化される)ことが、このたび、実験を含む研究により判明した。
【0009】
なお、イオン電流密度検出手段は、たとえばファラデーカップを含む。
【0010】
この場合、ファラデーカップは、収容手段と被処理物との間の適当な位置に設けられるのが、望ましい。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

神港精機株式会社
イオンプレーティング装置および方法
4か月前
株式会社アイセロ
防錆フィルム
16日前
東京エレクトロン株式会社
基板処理装置
1か月前
北川工業株式会社
導電反射膜
23日前
株式会社神戸製鋼所
改質金属材の製造方法
1か月前
TOPPANホールディングス株式会社
エッチング装置
1か月前
株式会社神戸製鋼所
金属-有機化合物複合材
24日前
株式会社ブイ・テクノロジー
蒸着装置及び蒸着方法
1か月前
東京エレクトロン株式会社
成膜装置および成膜方法
11日前
株式会社不二越
真空浸炭方法及び真空浸炭装置
1か月前
日本特殊陶業株式会社
複合部材
29日前
キヤノントッキ株式会社
成膜装置
17日前
富士フイルム株式会社
蒸着方法および蒸着用容器
24日前
芝浦メカトロニクス株式会社
成膜装置
23日前
芝浦メカトロニクス株式会社
成膜装置
23日前
ENEOS株式会社
さび止め油組成物
17日前
東京エレクトロン株式会社
載置台及び基板処理装置
11日前
株式会社不二越
熱処理装置及び金属製部材製造方法
10日前
大日本印刷株式会社
マスクの製造方法及びマスク
24日前
東京エレクトロン株式会社
エッチング方法およびエッチング装置
1か月前
マクセル株式会社
枠体
1か月前
東京エレクトロン株式会社
成膜方法及び基板処理システム
25日前
株式会社ファシリティ
銅エッチング液組成物及びエッチング方法
2日前
株式会社 日立パワーデバイス
めっき処理用治具
11日前
日本発條株式会社
筒状部材の防錆処理方法
17日前
東京エレクトロン株式会社
成膜方法、成膜装置、および成膜システム
26日前
東京エレクトロン株式会社
液体原料供給方法及びガス供給装置
1か月前
キヤノントッキ株式会社
支持装置および調整方法
1か月前
花王株式会社
フラックス用洗浄剤組成物
26日前
大日本印刷株式会社
メタルマスク及びその製造方法
16日前
大日本印刷株式会社
マスク装置及びマスク装置の製造方法
25日前
マクセル株式会社
蒸着マスク
22日前
キヤノントッキ株式会社
成膜装置及び成膜方法
1か月前
石原ケミカル株式会社
金含有メッキ液中の金濃度測定装置並びに測定方法
1か月前
芝浦メカトロニクス株式会社
チャック機構及び成膜装置
23日前
横浜油脂工業株式会社
カップリング剤含有洗浄剤
1か月前
続きを見る