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公開番号2023109246
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-08-08
出願番号2022010657
出願日2022-01-27
発明の名称屑鉄の大量溶解装置
出願人個人
代理人個人
主分類F27B 14/14 20060101AFI20230801BHJP(炉,キルン,窯;レトルト)
要約【課題】 CO2放出の少ない屑鉄の大量溶解装置を提供する。
【解決手段】 アーク炉に替わって誘導炉を使用し、炉の高径比(=容器深さ/内径)を大きく特定し、容器上部外周に低周波コイルを設けて装入原料をキューリー点までは効率的に予熱し、容器下部外周には高周波コイルを設けて溶解に集中させる。溶解能率が強化され、且つ電力源単位の向上が得られる。上記の炉を2種電源+2炉体に組み立てると一層電力効率が向上する。アーク炉のように溶解促進のための炭材投入(発泡スラグの形成とCO沸騰強化)は不要になる。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
屑鉄を処理する誘導溶解炉であって、るつぼに相当する有底円筒状の耐火物容器の深さを定格容量深さの1.5倍以上とし、該定格容量深さ部分を溶解室として外周にソレノイド型高周波誘導加熱コイルを設け、該溶解室の上方を予熱室として該耐火物容器の外周にソレノイド型低周波コイルを設け、定格容量分までは屑鉄を反復装入して満載状態を維持しつつ加熱溶解することを特徴とする屑鉄の誘導溶解炉。
続きを表示(約 110 文字)【請求項2】
耐火物容器と2段の誘導加熱コイルとから成る炉体部分を2基、高周波電源と低周波電源を各1基として、各電源を適宜どちらかの炉体へ切り替え可能としたことを特徴とする請求項1に記載した屑鉄の誘導溶解炉。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、現在屑鉄の大量処理を担っているアーク式溶解炉に代替可能な誘導溶解炉に関している。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
屑鉄を主原料としアーク熱溶解による電炉製鋼法は特殊鋼用として誕生成長し、その後地産地消型の普通鋼小規模鉄鋼業の基幹設備として広範に普及、今日生産量が製鋼総量の約30%に達するだけでなく、主流の高炉-転炉製鋼法と比較して資源の自給・エネルギー消費・CO2発生量及び投資効率の有利性からその意義が再認識されつつある。国内では設備技術・操業技術・製品品質・公害対策とも高度に進展、技術的にはもはや大きな飛躍は望めない観がある。
【0003】
他方、対極には本願発明の図面の図5に例示するように少量多品種の金属溶解には鋳鉄を含め、熔解容量が数トン以下の高周波・低周波の誘導溶解炉が多用されている。精錬機能は低いが良質原料を使用し、使い勝手がよい。問題は当然ながら大型炉に比較して電力原単位が大きいことである。
ここ数年、誘導溶解炉は急速に容量が拡大して量産普通鋼に適用可能となり、海外特に低開発国では設備投資総額が小さい故に急速に普及、異様な発展を示しつつある。
エネルギー・耐火物等の原単位はアーク炉にまだまだ及ばないものの大きな可能性を秘める。
【0004】
アーク炉の問題点を検討する。コストの過半を占める電力の節減が長く追求され、現在優れた製鋼工場の電力原単位は300kWh/t以下と低位である。変圧器の増強、酸素・LNGバーナーの付設、原料の連続装入、スクラップ・プレヒーターの付設、炭材投入による発泡スラグ操業等々が寄与している。
その結果、LNG原単位は5~10Nm
3
/t、酸素ガス30~40Nm
3
/t、炭材5~10kg/t、最大30kg/tと補助燃料が増加している。炭材の使用はCO2の発生抑制に対して大いに問題含みである。
【0005】
非特許文献1には、新鋭アーク炉に関する詳細な説明がある。それによると大量の熱排ガスを効率的に原料屑鉄の予熱に活用するものであって、消費電力の削減は著しいが、大量の酸素ガス(40Nm
3
/t)とそれに見合う大量のLNGと炭材が消費される。炭材消費が30kg/t(3%Cに相当)を超えると転炉における脱炭量と大差がなくなり、CO2発生量が過大になる。今後の製鋼方法としては問題が大きい。
【0006】
誘導炉の問題点を検討する。
非特許文献2には通常のアーク炉対大型誘導炉の普通鋼実操業における比較が記述されている。電力原単位は、約350kWh/t対約600kWh/tであって、誘導炉は圧倒的に不利である(Figure 3)。原因は溶解サイクル(通称 Tap to Tap)がアーク炉が約60分に対して誘導炉が約150分(電源容量の設計値が低位と推測)であって、能率が低くエネルギーの損失が増加していると考えられる(Figure 4)。
【0007】
電力差は約250kWh/tとなるが、誘導炉では高価な黒鉛電極棒を使用しない利点がある。当該費用を電力に換算すると約100~150kWh/tに相当する。アーク炉は補助燃料を使用しているので差はさらに縮まる。誘導炉の低能率を解決すると両者の差異は克服不可能とは言い切れない水準であろう。
【0008】
低能率の改善策として、上記の事例では誘導炉を3基併設して見かけ上溶解サイクルを50分とし、後続行程の需要量に対処している。経営的には意味があってもエネルギー効率面では効果が大きくない。
特許文献1には、少量多品種のAl合金溶解において電力消費改善策として、バーナーを持つ水平式予熱炉を近傍に設け、原料を一定温度に予熱後誘導炉に装入することが記載されている。これは量産普通鋼に対しても参考になる策である。
【0009】
誘導炉の他の問題として、一般的には溶鋼の加熱と溶解を主とするなら高周波、攪拌・保温を主とするなら低周波が好ましいとされているが、特許文献2には、誘導攪拌力を強化するため、単一のソレノイドコイルを回路上で2分割して適切な攪拌を発生させている。ソレノイドの活用方法として参考になる。
【0010】
誘導炉において本来意図したことではないが新たな利点がある。補助熱源としての炭材やスラグ発泡用の炭材を要しないことである。将来の炭素税を勘案すると先進国においても十分競争力を持ち得る溶解炉・製鋼方法になる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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